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episode.6
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無言で扉を閉めたアルベールは、レイモンドに鋭い視線を向けた。
「勝手に連れて行かれては困る」
「おや?私の見立てでは貴方の邪魔をしている様にしか見えなかったのですが?……違うのですか?」
「………………シルヴィ・ベルナールは私の助手だ」
レイモンドに言い返されたアルベールは一瞬言葉に詰まったが、目を逸らしながらそんな事を言い放った。
見習いのシルヴィに総監の助手なんてできるはずもない。
そんなことはこの場に居る誰もが分かっているが、こんなバレバレの嘘を吐くとは誰もが予想外。驚きのあまりガシャンッ!!やらボンッ!!と物を落としたり調剤を間違えてしまう者が続出。その場は騒然となってしまった。
「驚いた……まさか貴女がそんな苦し紛れの嘘を吐くとは」
流石のレイモンドも開いた口が塞がらない程驚いているようだった。
マティアスは驚いた様子はないが、腹を抱えて声にならない声で笑っている。
当の本人であるシルヴィは、嘘までついて自分を助けてくれようとしてくれるアルベールに涙を流しながら手を合わせ拝んでいた。
推しに助けられるなんてこの上ない喜び!!
「悪魔に連れて行かれそうになっている私を助けてくれるなんて……総監様はやはり救世主、メシア様ですか!?いや、これはもう神格のなにかに違いない!!」
興奮のあまり心の中で呟いていると思っていた言葉が、がっつり声に出ていた。
「──……悪魔。とは私の事ですか?」
「いえいえいえいえ!!滅相もございません!!言葉のあやでございます!!」
射殺されそうな視線で睨まれ、首が取れんばかりに横に振り否定した。
「まあ、貴方がそうまで言うのなら仕方ありませんね……」
「──お」
締まっていた首に解放感があり、レイモンドが手を離してくれた事が分かった。
ホッと安堵したシルヴィが首を摩っていると、今度はアルベールに襟首を掴まれた。
「他に用がないのなら、話は以上だ。……行くぞ」
「えッ!?ちょッ!?」
アルベールはシルヴィの言葉など聞く耳持たずに引きずりながら中へと戻って行った。
◈◈◈
カツカツカツ……
黙って回廊を歩くレイモンドとマティアス。
二人の足音だけが響き渡る中、レイモンドが口を開いた。
「……さっきのあれは無自覚ですか?」
「だろうね。だから面白いんだよ」
レイモンドが指摘しているのは先ほどのアルベールの態度についてだ。
マティアスは手を頭に回しながらクスクスと笑いがながら応え返した。
「まさかあの方がね……」
「流石の宰相様でも予測不可能だっただろ?」
「あんなもの予測できる方がいたらお目にかかりたいものですよ」
「はははっ、間違いないね」
溜息を吐き、考え込む仕草をしながら言えばマティアスが軽く笑い飛ばした。
なんだかんだ言って仲の良い二人なので、冗談を挟みながら歩きながら話を進めた。
「貴方もあの子を気に入っていたのでは?」
レイモンドが問いかけるとマティアスは含みのある笑顔を見せた。
「気に入ってるよ?あの子面白いしね」
「……それだけの理由ではないでしょ?」
「ほんと、あんたそう言うとこ目敏いよね」
「褒めても何もでませんよ」
「褒められていると思ってる時点で、あんたの感性が人と違うって知った方がいいよ?」
頭を抱えるマティアスにレイモンドはどこ吹く風だ。
「はぁ……あの子を遠征に連れて行きたかったのも本当。まあ、正直見習いの子を連れて行くとなると足手纏いになるけどあの子、場の雰囲気をぶち壊すの得意でしょ?力の入りすぎてる奴らには丁度いいと思ったんだよ」
この間アルベールに説明したものと同じようなことをレイモンドに話して聞かせた。
「いざとなれば僕がなんとかできるし。ほら、僕強いじゃない?」
「………………」
自慢げに言うがレイモンドは無反応。
「あの子の家は結構な貧乏貴族って聞いてたからね。こんな城の中にいるより遠征に付いて行った方が断然稼げる。もし死んでも遺族に弔慰金が入る。お互いwin-winの関係でいいと思わない?」
「……脳筋の貴方が考えそうな事ですね」
呆れるようにレイモンドが溜息を吐いた。
マティアスが言うように遠征に出た方が給料は大幅にアップする。
しかし、遠征に付いて行きたがる衛生兵は数少ない。それもそのはず、金に目がくらんで付いて行けば常に危険と隣り合わせ。昼夜問わずに怪我人が運び込まれてきて寝る間もない。更には国に戻れるのは何カ月も先になることもある。そんなブラックな環境耐えられる鋼の心を持った者は過去も未来も一貫してただ一人だけだと言われている。その人物がアルベールだ。
「まあそれは建前だけどね。本音はあの総監様のお気に入りを僕のものにしたらあの人はどんな顔をするのかって言う興味だよね」
「………………だと思いましたよ」
ニヤッと悪戯に微笑むマティアスを見て、レイモンドは呆れ果てたように溜息を吐いた。
「人の恋路をあんまり揶揄うものではありませんよ?」
諭すように言われ「はいはい」と適当に返事を返したマティアスにレイモンドは少し不安を抱きながらも、自分の知った事ではないので考えるのをやめた。
「勝手に連れて行かれては困る」
「おや?私の見立てでは貴方の邪魔をしている様にしか見えなかったのですが?……違うのですか?」
「………………シルヴィ・ベルナールは私の助手だ」
レイモンドに言い返されたアルベールは一瞬言葉に詰まったが、目を逸らしながらそんな事を言い放った。
見習いのシルヴィに総監の助手なんてできるはずもない。
そんなことはこの場に居る誰もが分かっているが、こんなバレバレの嘘を吐くとは誰もが予想外。驚きのあまりガシャンッ!!やらボンッ!!と物を落としたり調剤を間違えてしまう者が続出。その場は騒然となってしまった。
「驚いた……まさか貴女がそんな苦し紛れの嘘を吐くとは」
流石のレイモンドも開いた口が塞がらない程驚いているようだった。
マティアスは驚いた様子はないが、腹を抱えて声にならない声で笑っている。
当の本人であるシルヴィは、嘘までついて自分を助けてくれようとしてくれるアルベールに涙を流しながら手を合わせ拝んでいた。
推しに助けられるなんてこの上ない喜び!!
「悪魔に連れて行かれそうになっている私を助けてくれるなんて……総監様はやはり救世主、メシア様ですか!?いや、これはもう神格のなにかに違いない!!」
興奮のあまり心の中で呟いていると思っていた言葉が、がっつり声に出ていた。
「──……悪魔。とは私の事ですか?」
「いえいえいえいえ!!滅相もございません!!言葉のあやでございます!!」
射殺されそうな視線で睨まれ、首が取れんばかりに横に振り否定した。
「まあ、貴方がそうまで言うのなら仕方ありませんね……」
「──お」
締まっていた首に解放感があり、レイモンドが手を離してくれた事が分かった。
ホッと安堵したシルヴィが首を摩っていると、今度はアルベールに襟首を掴まれた。
「他に用がないのなら、話は以上だ。……行くぞ」
「えッ!?ちょッ!?」
アルベールはシルヴィの言葉など聞く耳持たずに引きずりながら中へと戻って行った。
◈◈◈
カツカツカツ……
黙って回廊を歩くレイモンドとマティアス。
二人の足音だけが響き渡る中、レイモンドが口を開いた。
「……さっきのあれは無自覚ですか?」
「だろうね。だから面白いんだよ」
レイモンドが指摘しているのは先ほどのアルベールの態度についてだ。
マティアスは手を頭に回しながらクスクスと笑いがながら応え返した。
「まさかあの方がね……」
「流石の宰相様でも予測不可能だっただろ?」
「あんなもの予測できる方がいたらお目にかかりたいものですよ」
「はははっ、間違いないね」
溜息を吐き、考え込む仕草をしながら言えばマティアスが軽く笑い飛ばした。
なんだかんだ言って仲の良い二人なので、冗談を挟みながら歩きながら話を進めた。
「貴方もあの子を気に入っていたのでは?」
レイモンドが問いかけるとマティアスは含みのある笑顔を見せた。
「気に入ってるよ?あの子面白いしね」
「……それだけの理由ではないでしょ?」
「ほんと、あんたそう言うとこ目敏いよね」
「褒めても何もでませんよ」
「褒められていると思ってる時点で、あんたの感性が人と違うって知った方がいいよ?」
頭を抱えるマティアスにレイモンドはどこ吹く風だ。
「はぁ……あの子を遠征に連れて行きたかったのも本当。まあ、正直見習いの子を連れて行くとなると足手纏いになるけどあの子、場の雰囲気をぶち壊すの得意でしょ?力の入りすぎてる奴らには丁度いいと思ったんだよ」
この間アルベールに説明したものと同じようなことをレイモンドに話して聞かせた。
「いざとなれば僕がなんとかできるし。ほら、僕強いじゃない?」
「………………」
自慢げに言うがレイモンドは無反応。
「あの子の家は結構な貧乏貴族って聞いてたからね。こんな城の中にいるより遠征に付いて行った方が断然稼げる。もし死んでも遺族に弔慰金が入る。お互いwin-winの関係でいいと思わない?」
「……脳筋の貴方が考えそうな事ですね」
呆れるようにレイモンドが溜息を吐いた。
マティアスが言うように遠征に出た方が給料は大幅にアップする。
しかし、遠征に付いて行きたがる衛生兵は数少ない。それもそのはず、金に目がくらんで付いて行けば常に危険と隣り合わせ。昼夜問わずに怪我人が運び込まれてきて寝る間もない。更には国に戻れるのは何カ月も先になることもある。そんなブラックな環境耐えられる鋼の心を持った者は過去も未来も一貫してただ一人だけだと言われている。その人物がアルベールだ。
「まあそれは建前だけどね。本音はあの総監様のお気に入りを僕のものにしたらあの人はどんな顔をするのかって言う興味だよね」
「………………だと思いましたよ」
ニヤッと悪戯に微笑むマティアスを見て、レイモンドは呆れ果てたように溜息を吐いた。
「人の恋路をあんまり揶揄うものではありませんよ?」
諭すように言われ「はいはい」と適当に返事を返したマティアスにレイモンドは少し不安を抱きながらも、自分の知った事ではないので考えるのをやめた。
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