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episode.32
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シルヴィの実家であるベルーナ男爵邸に来てから数日。
何とも穏やかな日を送っている。
パウルが追いかけて来るかもと思っていたがその様子もなく、日がな一日のんびりと過ごしている。
アルベールはどうしているか?
仕事人間のアルベールが何日もじっとしている訳もなく一日で根を上げ、グレッグに連絡を取った後、在宅でも出来る書類仕事を送ってもらっている。
噂も下火になって来たのでそろそろ戻ってきも良いとお許しが出たので、明日か明後日には王都に戻る予定でいる。
なので、こうやってのんびり過ごせるのも残り数時間。
「いざ戻るとなると、このだらけた生活が惜しい……」
ベッドの上で枕を抱きしめながら呟いていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「失礼するぞ」
入ってきたのはアルベールだった。しかし、その顔は曇っている。
「何かあったんですか?」
「ああ、急だが今から城へ戻ることになった」
よくよく話を聞くと、遠征に行っていたマティアス率いる第一部隊がなんと負けて帰ってきたらしい。
壊滅とまではいっていないが、大佐であるマティアスの怪我が思いの外酷いらしく、城に残っているグレッグやレリスでは手に負えない状態らしい。
「マティアス大佐が負けた!?そんな事あるんですか!?」
正直、あの人は無敵認識でいた。というか、負けるところが想像つかない。
「そんな訳でマティアスを失う訳にはいかず、事態は一刻を争う」
それはそうだろうな。
「分かりました。えっと、私も行った方がいいですか?」
「いや、君は見習いだからな。行ったところで出来ることが限られる」
要は邪魔だから来るな。という事だろう。
遠回しとはいえ、中々刺さる。
「……そんな顔するな。君が邪魔という訳で言っているんじゃない。焦って戻るよりもゆっくり来た方が体の負担も少ないからな」
それはまるでシルヴィの体を心配している様な言い方で、シルヴィは目を見開い驚いていた。
(え?ヤバい、なんか本当のカップルみたいな会話じゃない?)
アルフレードもそこに気づいたのか、はたまた気づいていて言ったのかは分からないが耳を赤くしながら顔を背けてしまった。
その照れ隠しがまさにギャップ萌え!!!
(くぅ~~~!!!堪らんですな!!!!)
口元をしっかり押さえてないとヨダレが出てきそう。
まあ、傍から見たらただの変態だが、そんな姿でも愛おしいと思ってしまうのが恋という名の魔法にかかっているアルベール。
「私は一足先に行って、君を待っていることにする。……気をつけて帰ってこい」
そう言いながらシルヴィの頭を撫でると、部屋を出ていった。
シルヴィは撫でられた感触の残る頭に手をやると、一気に熱が湧き出してきた。
それと同時に少し、寂しさが残った。
◈◈◈
翌日……朝だというのに、シルヴィの視界は真っ暗。
しかも、背中に当たる感触はゴツゴツしていて明らかに布団では無い。
はて、どういう状況だ?と、こんな状況で冷静でいられるシルヴィはやはり普通の人とは何かが違う。
昨日は総監様を送り出して、それから夕食を食べて、自分のベッドで寝たはずなのだが……
(ん~……?もしかして、運搬中?)
ガタゴトと揺れる体感に手で触れた時の木の質感。
ここから導かれる答えは、うん。拉致られてる。
(ええ~!?勘弁してよ!!身代金要求されても払えないよ!!)
自分の身の安全よりも真っ先に出てくるのは身代金の事。
これが貧乏の性。
う~~~ん。と腕を組み唸っていると、急に視界が開け光が射し込んで来た。
「眩しっ!!!」
「ああ~、ごめんな」
そう言ってシルヴィの目を手で隠してくれた犯人。
いや、この声に聞き覚えがある。
「……何してんですか?」
「おや、第一声がそれなん?君はホンマ肝が座っとるね」
目を覆う手を払うと、シルヴィの視線の先にいたのはパウル。
この拉致監禁の容疑者でもある。
シルヴィがいたのは大きな木箱の中。そして、連れてこられた先はなんとも煌びやかな部屋。
(な、なんだこの部屋!!!目がチカチカするぞ!!!)
こんな煌びやかな空間に来たことも見たこともないシルヴィは興味津々に部屋の中を見渡している。
そんな姿を見てパウルが笑い声を上げた。
「あはははははは!!!気に入ったか?今日からここが君の部屋になるんよ」
「は?」
「これ見てみ」
シルヴィの目の前に差し出されていたのは婚姻契約書。
そこにはパウルとシルヴィの名が記入してあり、父である男爵のサインまで……
「なにこれ!!!」
パウルの手から奪い取り何度も見返したが、やはり婚姻契約書。
しかも、承認のサインは間違いなく父のもの。
「な?分かったやろ」
「……私は承諾してませんよ」
「君の承認なんて要らん。貴族の婚姻は親の決める事やからね」
「うぬぬぬぬ………」
最もな事言われぐぅの音も出ない。
だが、ここで負けるシルヴィでは無い。
「……あの、本当の目的はなんです?」
確信に迫るように、真剣な目をパウルに向けた。
何とも穏やかな日を送っている。
パウルが追いかけて来るかもと思っていたがその様子もなく、日がな一日のんびりと過ごしている。
アルベールはどうしているか?
仕事人間のアルベールが何日もじっとしている訳もなく一日で根を上げ、グレッグに連絡を取った後、在宅でも出来る書類仕事を送ってもらっている。
噂も下火になって来たのでそろそろ戻ってきも良いとお許しが出たので、明日か明後日には王都に戻る予定でいる。
なので、こうやってのんびり過ごせるのも残り数時間。
「いざ戻るとなると、このだらけた生活が惜しい……」
ベッドの上で枕を抱きしめながら呟いていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「失礼するぞ」
入ってきたのはアルベールだった。しかし、その顔は曇っている。
「何かあったんですか?」
「ああ、急だが今から城へ戻ることになった」
よくよく話を聞くと、遠征に行っていたマティアス率いる第一部隊がなんと負けて帰ってきたらしい。
壊滅とまではいっていないが、大佐であるマティアスの怪我が思いの外酷いらしく、城に残っているグレッグやレリスでは手に負えない状態らしい。
「マティアス大佐が負けた!?そんな事あるんですか!?」
正直、あの人は無敵認識でいた。というか、負けるところが想像つかない。
「そんな訳でマティアスを失う訳にはいかず、事態は一刻を争う」
それはそうだろうな。
「分かりました。えっと、私も行った方がいいですか?」
「いや、君は見習いだからな。行ったところで出来ることが限られる」
要は邪魔だから来るな。という事だろう。
遠回しとはいえ、中々刺さる。
「……そんな顔するな。君が邪魔という訳で言っているんじゃない。焦って戻るよりもゆっくり来た方が体の負担も少ないからな」
それはまるでシルヴィの体を心配している様な言い方で、シルヴィは目を見開い驚いていた。
(え?ヤバい、なんか本当のカップルみたいな会話じゃない?)
アルフレードもそこに気づいたのか、はたまた気づいていて言ったのかは分からないが耳を赤くしながら顔を背けてしまった。
その照れ隠しがまさにギャップ萌え!!!
(くぅ~~~!!!堪らんですな!!!!)
口元をしっかり押さえてないとヨダレが出てきそう。
まあ、傍から見たらただの変態だが、そんな姿でも愛おしいと思ってしまうのが恋という名の魔法にかかっているアルベール。
「私は一足先に行って、君を待っていることにする。……気をつけて帰ってこい」
そう言いながらシルヴィの頭を撫でると、部屋を出ていった。
シルヴィは撫でられた感触の残る頭に手をやると、一気に熱が湧き出してきた。
それと同時に少し、寂しさが残った。
◈◈◈
翌日……朝だというのに、シルヴィの視界は真っ暗。
しかも、背中に当たる感触はゴツゴツしていて明らかに布団では無い。
はて、どういう状況だ?と、こんな状況で冷静でいられるシルヴィはやはり普通の人とは何かが違う。
昨日は総監様を送り出して、それから夕食を食べて、自分のベッドで寝たはずなのだが……
(ん~……?もしかして、運搬中?)
ガタゴトと揺れる体感に手で触れた時の木の質感。
ここから導かれる答えは、うん。拉致られてる。
(ええ~!?勘弁してよ!!身代金要求されても払えないよ!!)
自分の身の安全よりも真っ先に出てくるのは身代金の事。
これが貧乏の性。
う~~~ん。と腕を組み唸っていると、急に視界が開け光が射し込んで来た。
「眩しっ!!!」
「ああ~、ごめんな」
そう言ってシルヴィの目を手で隠してくれた犯人。
いや、この声に聞き覚えがある。
「……何してんですか?」
「おや、第一声がそれなん?君はホンマ肝が座っとるね」
目を覆う手を払うと、シルヴィの視線の先にいたのはパウル。
この拉致監禁の容疑者でもある。
シルヴィがいたのは大きな木箱の中。そして、連れてこられた先はなんとも煌びやかな部屋。
(な、なんだこの部屋!!!目がチカチカするぞ!!!)
こんな煌びやかな空間に来たことも見たこともないシルヴィは興味津々に部屋の中を見渡している。
そんな姿を見てパウルが笑い声を上げた。
「あはははははは!!!気に入ったか?今日からここが君の部屋になるんよ」
「は?」
「これ見てみ」
シルヴィの目の前に差し出されていたのは婚姻契約書。
そこにはパウルとシルヴィの名が記入してあり、父である男爵のサインまで……
「なにこれ!!!」
パウルの手から奪い取り何度も見返したが、やはり婚姻契約書。
しかも、承認のサインは間違いなく父のもの。
「な?分かったやろ」
「……私は承諾してませんよ」
「君の承認なんて要らん。貴族の婚姻は親の決める事やからね」
「うぬぬぬぬ………」
最もな事言われぐぅの音も出ない。
だが、ここで負けるシルヴィでは無い。
「……あの、本当の目的はなんです?」
確信に迫るように、真剣な目をパウルに向けた。
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