城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

文字の大きさ
112 / 177
グロッサ国

43

しおりを挟む
「──くっ!!!」

ユリウス様の剣を受け止めますが、流石は団長様。
怪我を負っていても、一振が重いです。

「……まったく、団長ともお方がこんな術に掛かるなんて……」

ボソッと不満を零すと、その言葉が聞こえたようでユリウス様が物凄い勢いで斬り掛かってきました。

「──……仮にも一国の王子じゃないんですか?こんな所で私に殺られて良いんですか?」

鍔迫り合いになりながらユリウス様に問いかけます。
もしかしたから、正気を取り戻してくれるかもと言う淡い期待を込めて。

「貴方はこんな所で殺られる様な方ではありません!!意志を強くお持ちなさい!!」

「……ぐっ!!」

一瞬ですが、怯みました。
そこにすかさず攻撃を仕掛けると、ユリウス様の片腕に当たり血が滴ります。

──これは自己防衛です。断じて王子に怪我を負わせようとは思っておりません。

そう自分に言い聞かせ、再びユリウス様に攻撃を仕掛けています。
しかし、ユリウス様の能力。神速により私の攻撃は避けられ、更には私の肩が斬られユリウス様同様血が滴っております。

「……これで、おあいこですね」

相変わらずの無表情で私を睨みつけています。

私は痛む肩を押さえながら、この事態を収める術を考えます。

──……私が話しかけたら、一瞬ですが怯みました。もしかしたから、ユリウス様本人の意思は残っているのかもしれません。
もし残っているのであれば、ご自身の肉体を止めてもらうしかありません。
まあ、それを確認する術はありませんが……
確率が0でない限り試す価値はありそうです。

結論が出た私は剣を構え、こちらに向かって来たユリウス様の剣を受け止め「ユリウス様!!負けてはいけません!!」と声を掛けます。

「貴方は何しにこの場にやって来たのですか!?」

更に言葉を掛けますが、顔色一つ変えません。
この言い方ではダメな様です。

「──……なるほど、騎士団長と名乗るお方がこの程度の事で敵の手中に落ちるのですか?」

その言葉を聞いたユリウス様は、ピクッと眉が上がりました。

──おや、これは……

「正直、残念です。もう少し役に立つのかと思えば、こうも易々と敵の術に陥り、私達を傷付けようとする。ユリウス様、貴方……ただのですね」

その一言で、ユリウス様の表情が変わりました。

「わ、私は……」

フラフラと私から離れ、何やらブツブツ仰っています。
剣を構えたまま、その様子を伺っていると………──

「うわぁぁぁ!!!!!!」

叫び声と共に、ユリウス様は自分の剣で自分の太腿を突き刺しました。

「ユリウス様!!?」

慌ててユリウス様の元に駆け寄ると、見事に剣が貫通しております。

「ハァ……ハァ……誰が……お荷物だ……?」

いや、確かにお荷物だと口に出しましたが、それは本来のユリウス様の意識を取り戻す為に言ったまで。
まさか、剣を刺して意識を取り戻すとは思いもしませんでしたよ?

「……意識が戻りましたか?」

「あぁ。お陰様でな」

ズボッと自分の太腿に刺さった剣を抜き取り、鞘に収めました。
抜き取った傷口からは止めどなく血が溢れ出ているので、ユリウス様は自分の服を裂き、止血の為に太腿をキツく縛りました。

無事にユリウス様の意識が戻りましたが、剣を突き刺したことで先程より戦闘不能になったのでは?

「──……お前、名は?」

「私ですか?」

「あぁ」

やはり洗脳を解くためとは言え、王子に暴言はまずかったですかね……

しかし、言ってしまったものは取り消しなど出来ません。
仕方なく名を名乗ると「マリアンネ……か。覚えておく」と言われました。

これは、死刑宣告でしょうか?

──あとで、ゴリさんに泣きつきましょう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する

影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。 ※残酷な描写は予告なく出てきます。 ※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。 ※106話完結。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

お言葉ですが今さらです

MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。 次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。 しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。 アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。 失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。 そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。 お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。 内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。 他社サイト様投稿済み。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

特技は有効利用しよう。

庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。 …………。 どうしてくれよう……。 婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。 この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!

山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。 「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」 周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。 アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。 ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。 その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。 そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。

【バフ】しかできない無能ちゃん。クランから追放されたら、全員を【バフ】する苦行から解放される。自分一人だけ【バフ】したら、なんか最強でした

北川ニキタ
ファンタジー
ニーニャは【バフ】と呼ばれる支援スキルしか持ってなかった。 おかげで戦闘には一切参加できない無能。 それがクラン内でのニーニャの評価だった。 最終的にクランはニーニャを使い物にならないと判断し、追放することに決めた。 ニーニャをダンジョン内に放置したまま、クランメンバーたちは去っていく。 戦えないニーニャはダンジョン内で生き残ることは不可能と誰もが思っていた。 そして、ニーニャ自身魔物を前にして、生きるのを諦めたとき―― 『スキル【バフ】がレベル99になりました。カンストしましたので、スキルが進化します』 天の声が聞こえたのである。 そして、ニーニャを追放したクランは後に崩壊することとなった。 そう誰も気がついていなかった。 ニーニャがクラン全員を常に【バフ】していたことに。 最初だけ暗いですが、基本ほのぼのです。

処理中です...