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ひょんなことから彼シャツを貰った。
嬉しいのだけど、乙女ゲームのカルノが着たら色っぽくなるけど。
いまのわたしが着たら、どう考えてもワンピースかなぁ~
ううーん。でも、彼シャツは憧れる着たい。絶対に着たい!
けど……
「ほら、そこ、いつまでもお尻を向けて丸まってないで、着替えるぞ」
「「はい!」」
彼に言われて、しゃたっ! と素早く立ち上がった。
「は、はははっ」
わたしの元気な返事と元気な動きに、背中越しに彼の笑い声が聞こえた。
(あわわっ、なんて、素敵な声なの)
乙女ゲームでは彼の声を聞くことは叶わなかった。
実際の彼の声はこんなにも凛として澄んでいた。いつまでも聞いていたい。
耳元で「好きだカルノ」なんて言われた日には、わたしはどうなってしまうのだろう。
+
ピクッ!
「おい!」
洞窟にルイさんの声が響く。
「ごめんなさい」
「こらっ、また動くな!」
「あひっ!」
いまルイさんにドレスの後ろのボタンを取ってもらっていた。
彼に「どうぞ」と言ったのだけど、わたしの後ろで困っているのか「小さいな」と呟く声が聞こえた。
「俺の手では掴めない、どうする?」
どうやら彼の手は大きくて、わたしのドレスのボタンループのボタンは小さ過ぎみたい。彼の指先からつるつる逃げていってしまい、取るのに悪戦苦闘をしている。
わたしはそんな彼が、可愛く思えてしかながない。
「ふっ、ふふっ」
「笑うな、すぐに取ってやるから振り向くなよ!」
ムキになった? 振り向き見たい、彼のいまの表現が見たい。
「ほら、返事は?」
あっ、こんどは拗ねた?
「わかりました!」
これ以上、笑わないように自分の口元を押さえた。
しばらくして、カチッと背中のボタンが一つ外れた。
えっ?
いままで、取るのに苦労していたのに?
彼はどんな魔法を使ったの?
しばらくしてボタンループのボタンが半分外れた。
「ふぅーっ、これでいいか?」
「はい。ありがとうございます、あとは自分で脱ぎます」
とは言ったものの。わたしの短い腕では、精一杯、背中に伸ばしても、ボタンに爪先がカチカチ当たるだけで届かなかった。
「うっ、うん? くーっ!」
はぁ、はぁ、ボタンにとどかない。
もう一度だと、背中に伸ばした手を彼に掴まれた。
「無理するなって」
気付かれた……でも、彼に迷惑をかけたくないし。
もう一度、触られるのはなんだか恥ずかしい。
「だ、大丈夫です、とどきます……んんっ!」
「ほら、無理するなって」
彼はとまっていたボタン全部外してくれた。これで窮屈だったドレスとコルセットが脱げる。
「ありがとうございます」
「いいや」
ドレスに手をかけて脱ごうとしても、後ろから彼の視線を感じた。
(このまま全部見ているの?)
まさか、わたしが幼児体型だから子供だと思いお着替えが心配? ルイさん残念ながら、わたしは女の子ではなく一応女性なのです。既にお尻を向けたりと、ボタンを取ってもらうと大胆なことをしていますけど……
「すみません。み、見られていると恥ずかしいです」
「えっ、あっ、そうかわかった」
彼はその場でくるっとわたしに背を向けた。嘘。もう少し距離を置くとか、お隣の部屋に行かないの?チラッと横目に見ても動く気配なし。
とりあえず見ていないのを確認して、ドレスを脱いだのだけど。すぐに次の問題にぶち当たった。お腹を絞めるコレ、名前だけは知ってるけど、メイドはどうやってコレを付けた?
えーっと、記憶を辿ると……今朝の悪戦苦闘が蘇った。
『カルノお嬢様、息を吐いください。紐を締めさせていただきます』
ぎゅーっ⁉︎
『お、お腹がくるしぃー!』
『後少しの辛抱です、お嬢様!」
(思い出した!)
そのあとメイドが背中の紐を交互に通して、靴紐のように締め付けたんだ。これを取るのは難度が高い、一人では脱げない。
もう、このまま彼シャツを着ればいいか。
そうしよっと、シャツを手にした。
「あのさ、コルセットのこの紐を取ればいいのか?」
「はい、そうなんですけど……自分では無理だったので諦めます」
「諦めなくていい、俺が取ってやるぞ」
えっ、彼の気配を近くに感じてクルッと後ろを振り向いた。ちかっ、間近にわたしのコルセットを真剣に見つめるルイさんがいた。
彼はわたしと目が合うとニコッと笑い、クルッと背を向けた。
「見ないでって、言ったのに!」
「ははっ、ごめん。でも、君は無防備すぎ」
もう一度、振り向いた彼に手首を掴まれた。
嬉しいのだけど、乙女ゲームのカルノが着たら色っぽくなるけど。
いまのわたしが着たら、どう考えてもワンピースかなぁ~
ううーん。でも、彼シャツは憧れる着たい。絶対に着たい!
けど……
「ほら、そこ、いつまでもお尻を向けて丸まってないで、着替えるぞ」
「「はい!」」
彼に言われて、しゃたっ! と素早く立ち上がった。
「は、はははっ」
わたしの元気な返事と元気な動きに、背中越しに彼の笑い声が聞こえた。
(あわわっ、なんて、素敵な声なの)
乙女ゲームでは彼の声を聞くことは叶わなかった。
実際の彼の声はこんなにも凛として澄んでいた。いつまでも聞いていたい。
耳元で「好きだカルノ」なんて言われた日には、わたしはどうなってしまうのだろう。
+
ピクッ!
「おい!」
洞窟にルイさんの声が響く。
「ごめんなさい」
「こらっ、また動くな!」
「あひっ!」
いまルイさんにドレスの後ろのボタンを取ってもらっていた。
彼に「どうぞ」と言ったのだけど、わたしの後ろで困っているのか「小さいな」と呟く声が聞こえた。
「俺の手では掴めない、どうする?」
どうやら彼の手は大きくて、わたしのドレスのボタンループのボタンは小さ過ぎみたい。彼の指先からつるつる逃げていってしまい、取るのに悪戦苦闘をしている。
わたしはそんな彼が、可愛く思えてしかながない。
「ふっ、ふふっ」
「笑うな、すぐに取ってやるから振り向くなよ!」
ムキになった? 振り向き見たい、彼のいまの表現が見たい。
「ほら、返事は?」
あっ、こんどは拗ねた?
「わかりました!」
これ以上、笑わないように自分の口元を押さえた。
しばらくして、カチッと背中のボタンが一つ外れた。
えっ?
いままで、取るのに苦労していたのに?
彼はどんな魔法を使ったの?
しばらくしてボタンループのボタンが半分外れた。
「ふぅーっ、これでいいか?」
「はい。ありがとうございます、あとは自分で脱ぎます」
とは言ったものの。わたしの短い腕では、精一杯、背中に伸ばしても、ボタンに爪先がカチカチ当たるだけで届かなかった。
「うっ、うん? くーっ!」
はぁ、はぁ、ボタンにとどかない。
もう一度だと、背中に伸ばした手を彼に掴まれた。
「無理するなって」
気付かれた……でも、彼に迷惑をかけたくないし。
もう一度、触られるのはなんだか恥ずかしい。
「だ、大丈夫です、とどきます……んんっ!」
「ほら、無理するなって」
彼はとまっていたボタン全部外してくれた。これで窮屈だったドレスとコルセットが脱げる。
「ありがとうございます」
「いいや」
ドレスに手をかけて脱ごうとしても、後ろから彼の視線を感じた。
(このまま全部見ているの?)
まさか、わたしが幼児体型だから子供だと思いお着替えが心配? ルイさん残念ながら、わたしは女の子ではなく一応女性なのです。既にお尻を向けたりと、ボタンを取ってもらうと大胆なことをしていますけど……
「すみません。み、見られていると恥ずかしいです」
「えっ、あっ、そうかわかった」
彼はその場でくるっとわたしに背を向けた。嘘。もう少し距離を置くとか、お隣の部屋に行かないの?チラッと横目に見ても動く気配なし。
とりあえず見ていないのを確認して、ドレスを脱いだのだけど。すぐに次の問題にぶち当たった。お腹を絞めるコレ、名前だけは知ってるけど、メイドはどうやってコレを付けた?
えーっと、記憶を辿ると……今朝の悪戦苦闘が蘇った。
『カルノお嬢様、息を吐いください。紐を締めさせていただきます』
ぎゅーっ⁉︎
『お、お腹がくるしぃー!』
『後少しの辛抱です、お嬢様!」
(思い出した!)
そのあとメイドが背中の紐を交互に通して、靴紐のように締め付けたんだ。これを取るのは難度が高い、一人では脱げない。
もう、このまま彼シャツを着ればいいか。
そうしよっと、シャツを手にした。
「あのさ、コルセットのこの紐を取ればいいのか?」
「はい、そうなんですけど……自分では無理だったので諦めます」
「諦めなくていい、俺が取ってやるぞ」
えっ、彼の気配を近くに感じてクルッと後ろを振り向いた。ちかっ、間近にわたしのコルセットを真剣に見つめるルイさんがいた。
彼はわたしと目が合うとニコッと笑い、クルッと背を向けた。
「見ないでって、言ったのに!」
「ははっ、ごめん。でも、君は無防備すぎ」
もう一度、振り向いた彼に手首を掴まれた。
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