「悪役令嬢は愛おしきモフモフ♡へ押しかけたい‼︎」(完結)

深月カナメ

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「掃除はしといたから、ご自由にお使い下さい。俺は下のエントランスで待ってるから、片付けが終わったら来てくれ」

「わかった。おチビ、持ってきたものを片付けるか」

「はーい!」

 ルイは私をベッドに下ろしてアイテムボックスを開いた。中から持ってきた荷物をわたしの足元に置いてくれた。

「ありがとう、ルイ」

「おチビは俺と同じクローゼットでいいよな」

「うん!」

 ルイに返事を返して、持ってきた自分の鞄を開けた。中身は下着数枚、ワンピース数枚よりも、スケスケなベビードールがたくさん入っていた。

(お母様、このスケスケを着るの⁉︎)

  隣ではルイが黙々と自分の服をクローゼットにかけている。その横で鞄から出せずにいた。

(これを、ルイに見せるとか無理!)

「どうしたんだ? おチビ、クローゼットに服を掛けないのか?」

「か、かけるよ……」

 鞄を見たまま固まってたら、ルイが横から覗き込んでくる。わたしはさっと中身が見えないように隠した。

「おチビ、ラーチェさんだっけ? 会いに熊ゴロ喫茶店に行くんだろ?」

「行くけど……」

 いつまでたっても鞄から服を出さないわたしに、ルイは痺れを切らしたのか鞄を横から取り上げた。

「やだ、ルイ、返して!」

「なんだよ。遠慮するなって、俺が手伝ってやるよ」

 鞄から1番見られたくない、スケスケベビードールを1枚掴んでだした。

(それ! 1番際どいスケスケ!)

「あっ!」

 驚いた表情のあと、じーっと、そのスケスケを見て尻尾を揺らした。

 ーールイ、はやくしまって!

「クックク……可愛いけど、スケスケだな」

「……そ、そうだね」

「これ、おチビが着てくれるのか?」

(えっ、あーールイは着て欲しそうね。でも、チーぱなんだけど? 着たら喜ぶ?)

「ル、ルイのご要望であれば着るよ」

「まじかぁ! 今日はどれにするかな?」

 ぶんぶん、ルイの尻尾が嬉しそうに揺れた。それから一枚ずつ、吟味しながらクローゼットに仕舞い始めた。

(ルイ、楽しそう、だけど……余り、際どいのはやめてほしいな、恥ずかしいし)

「おぉ、これいいな」

(うっ……)

「この黒も、なかなかだな」

(それは絶対に大切な場所を隠せない!)

「よし、今日は決めた」

 そんなことを言って、全てのベビードールをしまい終わり、ワンピースと下着までしまってくれた。

「おチビ、鞄の底に手紙が入ってたよ」
 
「えっ、手紙?」

 と、ルイが渡してくれたのは白い封筒だった。封を開けると中にはお母様からの手紙、そこには『たくさん入れといたから、それを着て頑張るのよ!』と一言だけ、手紙に書かれていた。

(お、お母様!)

「後は、これな」

 とルイに渡された。

「リボン?」

(わたしがルイにあげた、リボンの片割れだ)

「そのリボン、俺も持ってるよ。おチビと初め会った頃に俺にくれたんだよな……だけど、ごめんな、俺は……覚えていない」

(ルイ……毒を盛られて高熱で倒れた時に、昔の記憶が消えてしまったと言っていた)
 
 わたしは思いっきり、ぶんぶん首を振る。

「謝らないで! わたしはルイに再び会えたの。これからはここでたくさん、ルイとの思い出が増える。楽しみ、だってルイを独り占めできるんだよ」

「独り占めか……いいな、俺もおチビを独り占めしたい」

「して! してください」

 ルイに優しく見つめられて瞳を瞑った「おチビ、好きだ」と嬉しい愛の言葉の後、ルイの体温が近付いてきた。

(あっ、ルイにキス……される)

 柔らかなルイの唇と体温を唇に感じた。ちゅっ、ちゅっと繰り返されるキス。息をしようと開いた唇、ルイとのキスが深くなる……そのとき、ガチャっと扉が開く。

「遅い、いつまで待たせるんだよ……っ!……あぁっ、悪い、お取り込み中だったな」

(ぎゃっ、リトに見られた!)

 直ぐに離れると思った唇。だけどルイはやめず、ぎゅっとわたしを抱きしめて、ルトが見ている前で深いキスを繰り返した。

「はぁっ……ふぅんっ」

(んんっ……ルイ)

 ちゅっと音をだしてキスが終わる。息を上げたわたしを抱きしめながら、ルイは扉にいるリトを睨みつけた。

「お前、下に行かず。ずっと聞き耳をたてて扉の前にいよな」

「はははっ、バレてたか。おチビは、いつそのスケスケを着るんだ? 今日か? 明日か?」

「えっ!」

「リト! ……そんな事をいちいちお前に教えるか!」

 ルイが手を伸ばして、リトを捕らえようとしたけど、するりと避けてにやりと笑った。

「ヘヘッ、そう簡単に捕まるか! 先行ってる」

 手を振って、扉の外に消えて行った。

「まったく、アイツは!」

「困った、狼さんだね」

「だな」

 ルトが消えていった扉を見て2人で笑った。
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