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一
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ここは恋の国、獣人ローランド。
確かゲームのタイトルも『獣人国ローランド恋物語』だったはず。
恋物語を題材にした【ローランド愛の物語】という本の舞台となったローランド国。私たち獣人は本能的に相手と出会い――体の何処かに対となる紋様が浮かぶ。その紋様が赤く記された時に二人は晴れて、はれて番となり結ばれるとされている。
記される紋様の形は様々で――場所も左薬指とか手首、胸元などに現れてるらしい。その紋様は番の証、滅多なことがない限り、他の者には見せてはならない。
愛が溢れる国。王都の片隅で、愛の物語を奏でる吟遊詩人がいたり。愛を題材にした絵を描き、熱烈な恋愛の小説を書く作家も多く住む獣人の国。
この国の第一王子リチャード・ローランド様もお年頃となり恋のお相手を探し始めた。国王陛下は国一番の占い師を城に呼び。第一王子リチャード・ローランド様(十)と相性の良い候補者を。貴族令嬢から十二人選んだ。
その十二人のなかに私も選ばれていた(やっぱり選ばれたかぁ……)ヒロインは兎族の平民の出で、十五歳の時に母親の再婚で男爵令嬢になり、次の年に王都の学園に入学してくる。
ヒロインが現れるまで六年。
王子の目が届かないよう。
他の婚約者候補中に、紛れ込むのに六年は些か長い。
なんといってもミタリアは見ためが可愛い。
一度、ゲームの様に高慢な性格になろうとしたけど――破滅になりたくないのと、前世の記憶を思い出した恋愛未経験者の、自分には荷が重かった。
だって私はふかふかオフトゥンと、お昼寝が一番大好きな、黒猫令嬢なんだもの。
前世は仕事ばかりで眠れなかった。本当に眠れなかった。――私が勤めていた会社。ブラック企業というか周りがブラック社員ばかりだった。いま思い出しても辛かった。
歳は二十二歳で名前は倉井たまき。いまの会社に勤めて三年目になる、もっさり黒髪と黒い瞳、オタク、腐女子寄りな、どこにでもいる日本人。
この日の私は、会社で頭を抱えていた。
「うわぁ、金曜なのに帰れない。ゲームしたい、疲れたよ……んんっ、チョコうまっ、生き返る」
今日の定時の仕事終わり。
『たまきさん、これ今日中に直して私の机の上に置いていて、お願いね』
『えっ(仕事終わりに今日中?)……はい』
『たまき先輩! 今日、用事があるので、これもついでにお願いします!』
『……(合コン? 飲み会?だよね)はい』
誰もいない会社に私一人だけ。机には散らばったチョコのゴミと終わらない書類。時計を見れば0時過ぎ――今日も終電に間に合わず。金曜のうちにアパートにも帰れず、乙女ゲームも出来ず、今日もお布団で眠れない。
マジで、お布団で寝たい。
いつも、ソファーで寝落ち。
そして朝! な日常。
カチカチ、カチカチ。キーボードを無心でたたいて、書類と睨めっこしながら文字を入力していた。後はこれをファイルに保存してと。
……カチ。
「お、終わったぁ!」
さてと、近くの二十四時間営業のスーパー銭湯でひとっ風呂浴びて、コンビニで新チョコとご飯を買って、漫喫で始発まで仮眠しよう。
圧力先輩とおねだり後輩に挟まれた会社で、根暗で気が弱く言い返せない私。それを利用して先輩、後輩は面倒な仕事を私に押し付けてきた。仕事は嫌いじゃないけど出来上がった書類、私が成功すると彼女たちは手柄を横取りしていく。
周囲の人たちは知らんふり。自分が次のターゲットになりたくないのだ。事故? 心労? 私がどうやって転生したのかはわからない。
でも、一つ言えることは、地獄の様な日々からようやく解放された。
これからは、ふかふかオフトゥンで、いくらでも眠れるなんて幸せだ。
確かゲームのタイトルも『獣人国ローランド恋物語』だったはず。
恋物語を題材にした【ローランド愛の物語】という本の舞台となったローランド国。私たち獣人は本能的に相手と出会い――体の何処かに対となる紋様が浮かぶ。その紋様が赤く記された時に二人は晴れて、はれて番となり結ばれるとされている。
記される紋様の形は様々で――場所も左薬指とか手首、胸元などに現れてるらしい。その紋様は番の証、滅多なことがない限り、他の者には見せてはならない。
愛が溢れる国。王都の片隅で、愛の物語を奏でる吟遊詩人がいたり。愛を題材にした絵を描き、熱烈な恋愛の小説を書く作家も多く住む獣人の国。
この国の第一王子リチャード・ローランド様もお年頃となり恋のお相手を探し始めた。国王陛下は国一番の占い師を城に呼び。第一王子リチャード・ローランド様(十)と相性の良い候補者を。貴族令嬢から十二人選んだ。
その十二人のなかに私も選ばれていた(やっぱり選ばれたかぁ……)ヒロインは兎族の平民の出で、十五歳の時に母親の再婚で男爵令嬢になり、次の年に王都の学園に入学してくる。
ヒロインが現れるまで六年。
王子の目が届かないよう。
他の婚約者候補中に、紛れ込むのに六年は些か長い。
なんといってもミタリアは見ためが可愛い。
一度、ゲームの様に高慢な性格になろうとしたけど――破滅になりたくないのと、前世の記憶を思い出した恋愛未経験者の、自分には荷が重かった。
だって私はふかふかオフトゥンと、お昼寝が一番大好きな、黒猫令嬢なんだもの。
前世は仕事ばかりで眠れなかった。本当に眠れなかった。――私が勤めていた会社。ブラック企業というか周りがブラック社員ばかりだった。いま思い出しても辛かった。
歳は二十二歳で名前は倉井たまき。いまの会社に勤めて三年目になる、もっさり黒髪と黒い瞳、オタク、腐女子寄りな、どこにでもいる日本人。
この日の私は、会社で頭を抱えていた。
「うわぁ、金曜なのに帰れない。ゲームしたい、疲れたよ……んんっ、チョコうまっ、生き返る」
今日の定時の仕事終わり。
『たまきさん、これ今日中に直して私の机の上に置いていて、お願いね』
『えっ(仕事終わりに今日中?)……はい』
『たまき先輩! 今日、用事があるので、これもついでにお願いします!』
『……(合コン? 飲み会?だよね)はい』
誰もいない会社に私一人だけ。机には散らばったチョコのゴミと終わらない書類。時計を見れば0時過ぎ――今日も終電に間に合わず。金曜のうちにアパートにも帰れず、乙女ゲームも出来ず、今日もお布団で眠れない。
マジで、お布団で寝たい。
いつも、ソファーで寝落ち。
そして朝! な日常。
カチカチ、カチカチ。キーボードを無心でたたいて、書類と睨めっこしながら文字を入力していた。後はこれをファイルに保存してと。
……カチ。
「お、終わったぁ!」
さてと、近くの二十四時間営業のスーパー銭湯でひとっ風呂浴びて、コンビニで新チョコとご飯を買って、漫喫で始発まで仮眠しよう。
圧力先輩とおねだり後輩に挟まれた会社で、根暗で気が弱く言い返せない私。それを利用して先輩、後輩は面倒な仕事を私に押し付けてきた。仕事は嫌いじゃないけど出来上がった書類、私が成功すると彼女たちは手柄を横取りしていく。
周囲の人たちは知らんふり。自分が次のターゲットになりたくないのだ。事故? 心労? 私がどうやって転生したのかはわからない。
でも、一つ言えることは、地獄の様な日々からようやく解放された。
これからは、ふかふかオフトゥンで、いくらでも眠れるなんて幸せだ。
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