(完結)オフトゥン大好き黒猫令嬢と狼王子。王子は私を婚約者に選ばないでください! (手直しをしております)

深月カナメ

文字の大きさ
12 / 65

しおりを挟む
 真面目な顔。それをソファーの上で私は眺めていた。時折り私の視線が気になるのか王子と目が合った。

「ミタリア、遠慮せずに寝ていてもいいんだぞ?」

「今日はたくさん寝たから、眠くないにゃ」

 そんなことは嘘だ。王子の顔がイケメンで眺めたいなんて言えない。悪役令嬢、婚約破棄がなければ王子はタイプだ。

(でも、婚約破棄されるんだ、期待しない)

 そう思った途端に、お腹のアザにチリッと痛みを感じた。いつものむずむず、むず痒いのではなく。嘘を言うなとばかりにチリチリとした痛みを感じた。

「うっ」

「ミタリア?」

(なに? この痛み?)

「な、なんでもないです。それより殿下、私はいつまでここに居ればいいのかにゃ?」

「俺の執務が終わるまでかな、帰りたかったらその扉から勝手に出ればいい」

 ニヤリと意地悪げに口を曲げて言う殿下。私が出来ないと、分かって言っているのだろう。獣化している私はいわば丸裸、ここで半獣になっても服がないからもちろん裸だ。

(逃げられないと思ってる酷い王子だ。楽しそうに笑って、まぁ実際に逃げられないけど)

 この執務室の外に王子を守る騎士が立っている。それも2人も。見られないようにここを出るなんてなんて出来ない。

(でも退屈かも、仕方がない寝て待とう)

 ソファーの上でくるんと丸まった。執務机から「やっぱり寝るのか」とため息混じりに呟く王子の声が聞こえた。やることがないから、と言おうと思ったけどやめた。

 だけど私は。ものの数秒でふわふわで猫をダメにする、クッションにやられた。目を瞑ればすぐに夢の国に突入。だけどすぐに、その夢の国からの帰還が王子から発せられた。

「おい、ミタリア! こっちに足を向けてへそ天はやめろ、全て見えているぞ! 俺の集中を削ぐな!」

「う、にゃん?」

 クッションを枕に王子がいる執務机に向けて、へそ天していた。どうしてこんなに王子には安心してしまうのだろう、教えてほしい。

(なぜか、リラックスしちゃう)

「もう、分かったにゃ」

 くるんと扉に足を向けて、へそ天した。

「これで文句ないにゃ?」

「くそっ、幸せそうに寝やがって! そのもふもふな、お腹を後でいいだけ噛んでやる」

「ダメにゃ、お腹はむずむずするからにゃー……すーすー」

「お前もお腹がむずむず、するのか?」

 王子がボソッと呟いたといは、眠ってしまった私には届かなかった。

 ーーむずむず、ぽりぽり。

「ふっ、寝てしまったのか……」









「起きろ、ミタリア。なにが夜寝られなくなるだ!ぐうぐう寝やがって!」

 お腹の上。狼姿の王子にベッドの上で起こされた。どうやらいつの間にか執務が終わり、王子の部屋に移動していたらしい。

「リチャード殿下、おはようございます。殿下はまた、私のお腹の上ですか……にゃ」

「いいや、少し隣で寝て。目が覚めたからもふもふ楽しませてもらった。なんなら、俺のもふもふを触るか?」

(王子のもふもふ⁉︎)

「えっ、触ってもいいのですかにゃ?」

 王子のたんなる冗談だったのか、余りの私の食い付きに、王子が少し引いた感じがした。

「やっぱり、いいです。もう、帰るにゃ」

「むくれるな! さ、触ればいいだろう」

 乱立気味に言い王子が私の目の前でへそ天した、のだけど、私はすぐにさまピョーンと飛び王子に背を向けた。黒猫だから真っ赤になっていることは隠せてるけど。

(王子、その、へそ天は見ちゃいけない!)

 気付いて、と尻尾でペチペチ叩いた。

「なんだよ。折角、俺がへそ天したのに触らないのか?」

(だから、そのへそ天が問題なの!)

「殿下、わ、私も人のことは言えませんが、ご自分の格好を見てくださいにゃん」

「俺の格好? あっ、……そうか、すまないミタリア。これはまだ結婚前だし、見せてはならないものだな」

 王子も気付いたらしく、横向きに寝て足を閉じてくれた。そこにそっと近付き毛を触った。

「ふわふわ、もふもふ、なんて柔らかい毛。私の毛とは違う! 使っている石鹸が違うにゃん?」

「そ、そういうのはわかんねぇよ」

「くぅーっ! 触り心地がいいにゃ」

 私はご機嫌よく、王子のお腹をふみふみした。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

断罪予定の悪役令嬢ですが、王都でカフェを開いたら婚約者の王太子が常連になりました

由香
恋愛
公爵令嬢エリザベートは、自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生していることに気付く。 このままでは一年後の夜会で婚約破棄され、断罪された上で国外追放されてしまう運命だ。 「――だったら、その前に稼げばいいわ!」 前世の記憶を頼りに、王都の裏通りで小さなカフェを開くことにしたエリザベート。 コーヒーやケーキは評判となり、店は少しずつ人気店へと成長していく。 そんなある日、店に一人の青年が現れる。 落ち着いた雰囲気のその客は、毎日のように通う常連になった。 しかし彼の正体は――なんと婚約者である王太子レオンハルトだった!? 破滅回避のために始めたカフェ経営が、やがて運命を変えていく。 これは、悪役令嬢が小さなカフェから幸せを掴む ほのぼのカフェ経営×溺愛ロマンスストーリー。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

何やってんのヒロイン

ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。 自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。 始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・ それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。 そんな中とうとうヒロインが入学する年に。 ・・・え、ヒロイン何してくれてんの? ※本編・番外編完結。小話待ち。

処理中です...