(完結)オフトゥン大好き黒猫令嬢と狼王子。王子は私を婚約者に選ばないでください! (手直しをしております)

深月カナメ

文字の大きさ
22 / 65

二十

しおりを挟む
 恥ずかしくて、照れるけどーー王妃殿下と王子は楽しそうに笑ってくれた。この笑顔と王子の弟と妹をなくしたくない。

 いま思い出した記憶はしっかり戻ったら、忘れないうちにノートに書かなくては。

「ミタリア、グルーミング約束な」

「や、約束ですか? リチャード様は本気で言っています?」

「本気だけど、本当に僕が3ペロで終わるか確かめないと、すりすり、甘噛みはしたから」

 ――そうだ。王子にすりすりと甘噛みは、すでにされてしまっている。

「リチャード様、3ペロなんて言葉の綾です。別に、た、試さなくても大丈夫ですよ」

 狼姿の王子をブラッシングするならいいけど、ペロは難易度が上がる。もう少し王子と親密な関係になったのなら、出来るかもしれないけど。

 ――いまは無理。

 それに……この話を始めてからお腹のむずむずは大きくなっている。それは王子も同じなのか、同じ所を時々気にして撫でているようにみえた。

 それに気付いた――王妃殿下は王子と私を交互に見て頷き。

「ミタリアちゃん、少しリチャードに話があるから2人キリにしてもらえる? 応接間で休むか、書庫、庭園のテラスで待っていて欲しいわ」

「はい、分かりました。庭園のテラスに出てもいいですか?」

 えぇっと、王妃殿下はベッドの脇に置かれた、鈴を鳴らしてご自分の専属メイドを部屋に呼んだ。

 コンコンと扉を鳴らしてメイドがやって来る。

「お呼びですか、王妃殿下」

「リチャードに少し話があるから、ミタリアちゃんを庭園のテラス席に案内してあげて」

「かしこまりました、ミタリア様。庭園のテラスにご案内いたします」

「はい、王妃殿下、リチャード様失礼いたします」

 王妃殿下と王子を部屋に残して、私は庭園のテラスに案内された。







 王妃殿下の部屋に残った王子。

「母上、僕に話とはなんですか?」

「リチャード、貴方――お腹のこの辺に紋様が浮かんでいない? そうね、お腹の右下あたりかしら?」

 ――何故、紋様のこと母上はわかった?

「はい――花のような形の紋様が腹の右下あたりに、浮かびました」

 俺は服をめくり、母上にお腹に浮かび上がった紋様を見せた。その紋様は薄いピンク色をしている。

 母上はその紋様をじっくり見て。

「それだと、まだ出来立ての紋様のようね――この色だと、2人はまだ軽い甘噛みくらいで、キスはしていないのね」

 ――キス? この紋様でそこまで分かってしまうのか。

「はい。ま、まだですが。その、キスが――この紋様とは関係あるのですか?」

「えぇあるわ。婚約者のミタリアちゃんにもあなたと同じ位置に、同じ形の紋様が浮かんているはず。私も経験あるからわかるわ、時々むずむずするのよね」

 俺はそうだと母上に頷いた。

「母上の言う通り、時々ーーそれもミタリアといるときに、むずむずしたり熱くなったり、ずきっと痛むときもあります」

「そう、まだ痛みもあるのね。リチャードにはっきり伝えるわ。この紋様は――どちらかに好きな人が出来れば、すぐに消えてしまう紋様ね――例えるなら儚い恋」

 儚い恋。

「そんな……僕かミタリアに好きな人ができると、この紋様は消えてしまうのですか?」

 ――嫌だ。俺はミタリアと繋がる番の証――この紋様は消したくない。

「その様子だと、リチャードはミタリアちゃんが好きなのね。でも、相手のミタリアちゃんはあなたを好きかな? と、恋の一歩手前で止まって悩んでいるのかしら」

 恋の一歩手前? そうか――ミタリアは僕を好きかどうか悩んでいるのか。

「母上、僕はミタリアが欲しい――僕だけを好きになってもらいたい」

 リチャードと名前を呼び、母上は座ったまま俺に向けて手を広げた。俺はテーブルを立ち母上に近付き体を寄せると、優しく俺を抱きしめてくれた。

 こうされるのは15年ぶりなのだろう――とうに忘れてしまっている、母上の柔らかな香りと体温を感じた。それは懐かしい。この温かさはミタリアが言わなければ、けして感じられなかった母上の温かさだ。

「だったら、リチャードも陛下の様に強く優しく、時にはしっかり言葉を伝えられる、立派な狼になりなさい」

 立派な狼……僕はまだ何人前。強く、優しくなり、ミタリアを守れる狼になりたい。

「……分かりました。なれるよう努力いたします、母上」


 ーー絶対に俺を好きにさせる。
 
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

断罪予定の悪役令嬢ですが、王都でカフェを開いたら婚約者の王太子が常連になりました

由香
恋愛
公爵令嬢エリザベートは、自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生していることに気付く。 このままでは一年後の夜会で婚約破棄され、断罪された上で国外追放されてしまう運命だ。 「――だったら、その前に稼げばいいわ!」 前世の記憶を頼りに、王都の裏通りで小さなカフェを開くことにしたエリザベート。 コーヒーやケーキは評判となり、店は少しずつ人気店へと成長していく。 そんなある日、店に一人の青年が現れる。 落ち着いた雰囲気のその客は、毎日のように通う常連になった。 しかし彼の正体は――なんと婚約者である王太子レオンハルトだった!? 破滅回避のために始めたカフェ経営が、やがて運命を変えていく。 これは、悪役令嬢が小さなカフェから幸せを掴む ほのぼのカフェ経営×溺愛ロマンスストーリー。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

何やってんのヒロイン

ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。 自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。 始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・ それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。 そんな中とうとうヒロインが入学する年に。 ・・・え、ヒロイン何してくれてんの? ※本編・番外編完結。小話待ち。

処理中です...