(完結)オフトゥン大好き黒猫令嬢と狼王子。王子は私を婚約者に選ばないでください! (手直しをしております)

深月カナメ

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三十五

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 王子の部屋でお昼用に出店で買った、まんまるじゃがいもをテーブルに座り食べていた。
 見た目たこ焼きに似た外見な、まんまるじゃがいも。

 じゃがいもを茹でて潰し、丸く形を整え、油でカリカリな外側とほくほくな内側。その真ん中には甘辛に味付けされたお肉が入っていた。

(どう見ても、たこ焼きに見える!)

 そのまんまるじゃがいもを私の食べる私を、王子はじっとみていて感想を聞いた。

「ミタリア、どう? まんまるじゃがいもは美味しい?」

「美味しいですけど……私ばかり食べてますよ。リチャード様は食べないのですか?」

 いつもだと一緒に食べるはずの王子は、テーブルの反対側に座り、まんまるじゃがいもに手を継げず見ているだけ。

「食べてるよ、ミタリアもっと食べて」
 
 おかしい? まんまるじゃがいもを10個入りを1つ買って、ほとんど私が1人で食べていると言ってもいいくらい。

「リチャード様?」

 名前を呼んで、じっと王子を見た。それに気付き王子は私の視線から目を逸らして、考え、何故か「ごめん」と誤った。

「なぜ、謝るのですか? もしかして、じゃがいもがお嫌いだったとか?」

 そうならいままで嫌いなのに、私が美味しいと薦めたから、苦手だけど食べてくれていた?

「ごめんなさい……私はリチャード様のお嫌いなものを、薦めていたのですね」

「いや、違う。ミタリア、そんな悲しい顔をしないでくれ、じゃがいもは好物だ」

「じゃーなぜ?」

 聞くと王子は一呼吸、置いて話してくれた。

「……わ、わかった正直に言うよ。この料理は俺がミタリアに食べてもらおうと思って、城の料理長と一緒に考えた料理なんだ」

「えっ!」

 王子の驚きの告白。

「私に為に考えてくれた料理だったんだ……もう、それなら初めから言ってくださいよ。もっと味わって食べたのに……。リチャード様ありがとう、とても美味しかったです」

「良かった。俺、ミタリアに美味しいって笑って欲しかったんだ。いま、そればかりを考えていた、俺の気持ちばかり先に出てしまったな、ごめん」

 しょんぼり顔と、王子の立派な耳がしゅんと垂れた。

「そんな顔しないでください。はい、リチャード様口を開けて」

 最後の1つを爪楊枝にさして前に出すと、王子は観念したのか口を開けた。

「……もぐっ。んっ、やっぱり美味いな」

 と、照れながら笑った王子が可愛かった。









 まんまるじゃがいもを食べた後。
「少し休んでから、ブラッシングをする」と王子は言った。

 その休憩後。ブレスレットを外してベッドの上で猫になった私に、青い持ち手のブラシで王子はブラッシングを始めた。 

「にゃっ?(いま、ぞくっとした)」

 これはまずい……初めてにすぐやめてと、王子を前足を伸ばして止めた。

「やめるにゃぁ、ブラッシングを止めるにゃ、……リ、リチャード様、ブラッシングなんだか変にゃ」

 ブラシが背中を通ると、尻尾の付け根がむずむず、したのだ。

「ミタリア、何が変なんだ?」

「……あのね、尻尾の付け根がむずむずします、にゃっ」


「むずむずか……俺も毎回、そんな感じだぞ」

「にゃっ? そうなの? 王子もこのような感じなの? ……にゃっ!」

 にゃ、にゃ、と鳴き、体を丸めて尻尾を隠した。
 いつもとは違う私の反応に。

「こ、これはいかんな。このブラシは良い物だけど、ミタリアには少しデカすぎか……。今度、父上に頼んでミタリア用を作ってもらわないと、な」

「はいにゃ、そ、それでお願いしますにゃっ」

 ブラッシングの刺激に負けてふにゃーっと潰れた。
 その隣にブレスレットを外して、王子は狼の姿になり寝そべった。

「ミタリア、ブラッシングはやめて帰りの時間まで、昼寝しよう」

「はい、ですにゃ」

 2人、ベッドに並んで寝そべって、お昼寝を始めた。









 それから時が過ぎ、寒い冬が来た。

 私たちが住むローランド国では雪が降り、馬車で王城には行けなくなったけど。
 王子は屋敷まで雪馬を走らせ会いにきて来てくれて、私たちは冬の間も時間がある限り一緒に過ごしていた。

 お腹のむずむずアザは、前よりも赤くなったかもしれない。
 王妃殿下のお子様も順調にすくすくと育ち、春先には生まれると手紙に書かれていた。


 ――12月、ミタリアの部屋。

「リチャード様、紅茶がはいりました」

 王子が座るテーブルに置いた。

「ありがとう。……この冬が過ぎ春になったら、学園が始まるな」

「えぇ始まりますね、学園楽しみです」

 クローゼットの横にかかるローネ学園の制服に目をやる。
 制服はブレザー紺色のジャケット、学年でリボンとネクタイの色が変わり、チェック柄 の赤いプリーツスカートだ。

「ミタリア、他の奴に目移りするなよ」

「それは、リチャード様もですよ」

「俺はミタリアしか見ていない」

(だと、いいのだけど……)

 春には、乙女ゲームのヒロインが学園に来る。ヒロインの登場で、私たちの関係はどう変わるのだろうか。

 ゲームの通りに私は悪役令嬢となり、王子はヒロインに攻略されてしまう?

 ――怖いけど、学園は楽しみでもあった。
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