(完結)オフトゥン大好き黒猫令嬢と狼王子。王子は私を婚約者に選ばないでください! (手直しをしております)

深月カナメ

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三十六 (学園編)

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 4月になりゲーム開始となる学園が始まる。サイカの木(桜の木)が咲き誇るレーベン学園までの道を、王子と2人並んて登校する……はず。


「いやにゃ、まだオフトゥンから出たくないにゃ、後5分はいけるにゃん!」


 アンブレラ家では恒例の時間が始まった。オフトゥンつかみから始まり、メイドナターシャに怒られながら部屋を駆け巡る。

 そして、両親の登場だったのだが今日は違っていた。

「ミタリア、迎えに来たぞ。朝食は馬車に支度してあるから一緒に登校しような」

「リ、リチャード様にゃ⁉︎」

 ここで両親ではなく王子が登場したのだ。しかし、私は今日遅刻ギリギリで登校したかった。なぜなら王子とヒロインの出会いのイベントが起こるからである。

(王子とミタリアが並んで登校中、ヒロインが石に躓き、転びそうなところを王子が助けるにゃ)

 ここで2人の出会いのフラグが立つ。そしてお昼、朝のお礼だと言って、ヒロインが王子をランチに誘う。

 婚約者がいる身で、断ると思っていたミタリアだが王子は微笑み。

『いいよ、ミタリア嬢もテラスで昼食を取ろう』となる。王子とヒロインは並んで座り、ミタリアは反対側の席。

 いつの間にやら本の話題で盛り上がる2人。昼食後、書庫にまで一緒に行く段取り。


「ミタリア、学園に行くぞ」

「リチャード様、制服に着替えるので応接間でお待ちくださいにゃ」

 ここで王子を応接間に行かせて、お腹が痛いと言って「医者を呼び、診察するので先に行ってください」で学園に少し遅れていくのだ。

(そうすればイベントを見なくて済むし、話が変わるかもしれない)

「それは大丈夫、ミタリアの着替えは持ったから」

「へっ、着替えを持った?」

 王子はくるっと私の体を自分の制服に包んだ。
 えっ、待って私はこのまま登校するの?

「毎朝、ミタリアと登校したくて父上にお願いして、馬車を新調したんだ」

 と見せてくれた馬車は。王家の紋章がなく、シンプルな作りで、馬車の中で私が立ち上がっても平気な馬車。すぐに乗り込めるよう扉が開いていて中が見えた、この馬車にもオフトゥンが引いてあった。

(ふかふかオフトゥンだぁ……でも待って)

「リチャード様、毎朝一緒に登校とおっしゃってましたが、王都からここまではかなりの距離ですにゃ」

「それも大丈夫だ。ミタリアには黙っていたんだが、チココの実績、じゃがいもなど料理の実績、俺の日頃の行いのお陰でミタリアの屋敷近くにというか、隣に父上と母上に小さな屋敷を建ててもらった」

「小さな屋敷?」

 まさか、馬車で15分位のところに秋の頃から建て始めて、雪解けの頃には工事が終わっていた、あの可愛い真っ白なお屋敷!

「あの可愛い、新しい、お屋敷ってリチャード様のお屋敷だったの!」

「そうだ、いまは出産を控えた母上が住んでいる。後数日で笑まれるらしい。なんでも屋敷の近くに良い医者と産婆がいるらしくてな、雪解けが始まった時期に移ってもらったんだ」

「もうすぐ、お子様がお生まれになるにゃ、リチャード様に弟か妹がお出来になる、楽しみですね」

「あぁ、楽しみだ。いっぱい遊んで、可愛がって、今後の練習を一緒にさせてもらおうな」

 微笑んで、王子に頬をすりすりされた。王子と今後の練習? ということは私と王子の子供……。

「にゃぁあ……」

「なんだよミタリア、照れるなよ。まったくお前は可愛いなぁ」









「お父様、お母様行って来ますにゃ」

「気をつけていくんだぞ、リチャード王子殿下、娘をよろしくお願いいたします」

「いってらっしゃい、リチャード王子殿下、ミタリア」

 もう、私が獣化していても、王子に包まれていても気にしない両親。
 狼王子に守られているから、安心しているのだろう。

「いってきます、ミタリア行こう」

 両親に挨拶を終えて、屋敷前に止める場所に向かった。

「リル、お待たせ」

「リチャード様、早く出発しないと入学式に間に合いませんよ……あ、ミタリア様、おはようございます」

「おはようございますにゃ」

 王子の側近リルと従者が屋敷の外に待ってがいた。制服姿だ。そうだ、彼も今日から一緒に学園に通う……(王子の護衛も兼ねている)そして、彼もまた攻略対象なのだ。婚約破棄の時にミタリアは側近リルに捕まり、引きずられて牢屋に入れられる。


 そんな彼――側近リルは礼をした後、微笑んだ。

(いつもの作り笑いじゃない、その微笑み! 心を許した、ヒロインの前でしか笑わないのに?)

「ミタリア様は獣化したままなのですね、いつも可愛らしい」

 普段の彼らしくない発言をした後、側近リルは私の頭を優しく撫でた。

「にゃぁっ?」

「リル、俺のミタリアに触れるな!」

 王子の声と、自分のとった行動と手を見て一瞬驚いた様子。だけど、彼はすぐ表情を変えて頭を下げて。

「リチャード様、ミタリア様、失礼いたしました。馬車にお乗りください」

 王子と私は馬車に乗り込み、側近リルは従者席に座り、王都にあるレーベン学園に向かった。

(……今日、私たちは兎ヒロインと会う)
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