38 / 65
三十六 (学園編)
しおりを挟む
4月になりゲーム開始となる学園が始まる。サイカの木(桜の木)が咲き誇るレーベン学園までの道を、王子と2人並んて登校する……はず。
「いやにゃ、まだオフトゥンから出たくないにゃ、後5分はいけるにゃん!」
アンブレラ家では恒例の時間が始まった。オフトゥンつかみから始まり、メイドナターシャに怒られながら部屋を駆け巡る。
そして、両親の登場だったのだが今日は違っていた。
「ミタリア、迎えに来たぞ。朝食は馬車に支度してあるから一緒に登校しような」
「リ、リチャード様にゃ⁉︎」
ここで両親ではなく王子が登場したのだ。しかし、私は今日遅刻ギリギリで登校したかった。なぜなら王子とヒロインの出会いのイベントが起こるからである。
(王子とミタリアが並んで登校中、ヒロインが石に躓き、転びそうなところを王子が助けるにゃ)
ここで2人の出会いのフラグが立つ。そしてお昼、朝のお礼だと言って、ヒロインが王子をランチに誘う。
婚約者がいる身で、断ると思っていたミタリアだが王子は微笑み。
『いいよ、ミタリア嬢もテラスで昼食を取ろう』となる。王子とヒロインは並んで座り、ミタリアは反対側の席。
いつの間にやら本の話題で盛り上がる2人。昼食後、書庫にまで一緒に行く段取り。
「ミタリア、学園に行くぞ」
「リチャード様、制服に着替えるので応接間でお待ちくださいにゃ」
ここで王子を応接間に行かせて、お腹が痛いと言って「医者を呼び、診察するので先に行ってください」で学園に少し遅れていくのだ。
(そうすればイベントを見なくて済むし、話が変わるかもしれない)
「それは大丈夫、ミタリアの着替えは持ったから」
「へっ、着替えを持った?」
王子はくるっと私の体を自分の制服に包んだ。
えっ、待って私はこのまま登校するの?
「毎朝、ミタリアと登校したくて父上にお願いして、馬車を新調したんだ」
と見せてくれた馬車は。王家の紋章がなく、シンプルな作りで、馬車の中で私が立ち上がっても平気な馬車。すぐに乗り込めるよう扉が開いていて中が見えた、この馬車にもオフトゥンが引いてあった。
(ふかふかオフトゥンだぁ……でも待って)
「リチャード様、毎朝一緒に登校とおっしゃってましたが、王都からここまではかなりの距離ですにゃ」
「それも大丈夫だ。ミタリアには黙っていたんだが、チココの実績、じゃがいもなど料理の実績、俺の日頃の行いのお陰でミタリアの屋敷近くにというか、隣に父上と母上に小さな屋敷を建ててもらった」
「小さな屋敷?」
まさか、馬車で15分位のところに秋の頃から建て始めて、雪解けの頃には工事が終わっていた、あの可愛い真っ白なお屋敷!
「あの可愛い、新しい、お屋敷ってリチャード様のお屋敷だったの!」
「そうだ、いまは出産を控えた母上が住んでいる。後数日で笑まれるらしい。なんでも屋敷の近くに良い医者と産婆がいるらしくてな、雪解けが始まった時期に移ってもらったんだ」
「もうすぐ、お子様がお生まれになるにゃ、リチャード様に弟か妹がお出来になる、楽しみですね」
「あぁ、楽しみだ。いっぱい遊んで、可愛がって、今後の練習を一緒にさせてもらおうな」
微笑んで、王子に頬をすりすりされた。王子と今後の練習? ということは私と王子の子供……。
「にゃぁあ……」
「なんだよミタリア、照れるなよ。まったくお前は可愛いなぁ」
+
「お父様、お母様行って来ますにゃ」
「気をつけていくんだぞ、リチャード王子殿下、娘をよろしくお願いいたします」
「いってらっしゃい、リチャード王子殿下、ミタリア」
もう、私が獣化していても、王子に包まれていても気にしない両親。
狼王子に守られているから、安心しているのだろう。
「いってきます、ミタリア行こう」
両親に挨拶を終えて、屋敷前に止める場所に向かった。
「リル、お待たせ」
「リチャード様、早く出発しないと入学式に間に合いませんよ……あ、ミタリア様、おはようございます」
「おはようございますにゃ」
王子の側近リルと従者が屋敷の外に待ってがいた。制服姿だ。そうだ、彼も今日から一緒に学園に通う……(王子の護衛も兼ねている)そして、彼もまた攻略対象なのだ。婚約破棄の時にミタリアは側近リルに捕まり、引きずられて牢屋に入れられる。
そんな彼――側近リルは礼をした後、微笑んだ。
(いつもの作り笑いじゃない、その微笑み! 心を許した、ヒロインの前でしか笑わないのに?)
「ミタリア様は獣化したままなのですね、いつも可愛らしい」
普段の彼らしくない発言をした後、側近リルは私の頭を優しく撫でた。
「にゃぁっ?」
「リル、俺のミタリアに触れるな!」
王子の声と、自分のとった行動と手を見て一瞬驚いた様子。だけど、彼はすぐ表情を変えて頭を下げて。
「リチャード様、ミタリア様、失礼いたしました。馬車にお乗りください」
王子と私は馬車に乗り込み、側近リルは従者席に座り、王都にあるレーベン学園に向かった。
(……今日、私たちは兎ヒロインと会う)
「いやにゃ、まだオフトゥンから出たくないにゃ、後5分はいけるにゃん!」
アンブレラ家では恒例の時間が始まった。オフトゥンつかみから始まり、メイドナターシャに怒られながら部屋を駆け巡る。
そして、両親の登場だったのだが今日は違っていた。
「ミタリア、迎えに来たぞ。朝食は馬車に支度してあるから一緒に登校しような」
「リ、リチャード様にゃ⁉︎」
ここで両親ではなく王子が登場したのだ。しかし、私は今日遅刻ギリギリで登校したかった。なぜなら王子とヒロインの出会いのイベントが起こるからである。
(王子とミタリアが並んで登校中、ヒロインが石に躓き、転びそうなところを王子が助けるにゃ)
ここで2人の出会いのフラグが立つ。そしてお昼、朝のお礼だと言って、ヒロインが王子をランチに誘う。
婚約者がいる身で、断ると思っていたミタリアだが王子は微笑み。
『いいよ、ミタリア嬢もテラスで昼食を取ろう』となる。王子とヒロインは並んで座り、ミタリアは反対側の席。
いつの間にやら本の話題で盛り上がる2人。昼食後、書庫にまで一緒に行く段取り。
「ミタリア、学園に行くぞ」
「リチャード様、制服に着替えるので応接間でお待ちくださいにゃ」
ここで王子を応接間に行かせて、お腹が痛いと言って「医者を呼び、診察するので先に行ってください」で学園に少し遅れていくのだ。
(そうすればイベントを見なくて済むし、話が変わるかもしれない)
「それは大丈夫、ミタリアの着替えは持ったから」
「へっ、着替えを持った?」
王子はくるっと私の体を自分の制服に包んだ。
えっ、待って私はこのまま登校するの?
「毎朝、ミタリアと登校したくて父上にお願いして、馬車を新調したんだ」
と見せてくれた馬車は。王家の紋章がなく、シンプルな作りで、馬車の中で私が立ち上がっても平気な馬車。すぐに乗り込めるよう扉が開いていて中が見えた、この馬車にもオフトゥンが引いてあった。
(ふかふかオフトゥンだぁ……でも待って)
「リチャード様、毎朝一緒に登校とおっしゃってましたが、王都からここまではかなりの距離ですにゃ」
「それも大丈夫だ。ミタリアには黙っていたんだが、チココの実績、じゃがいもなど料理の実績、俺の日頃の行いのお陰でミタリアの屋敷近くにというか、隣に父上と母上に小さな屋敷を建ててもらった」
「小さな屋敷?」
まさか、馬車で15分位のところに秋の頃から建て始めて、雪解けの頃には工事が終わっていた、あの可愛い真っ白なお屋敷!
「あの可愛い、新しい、お屋敷ってリチャード様のお屋敷だったの!」
「そうだ、いまは出産を控えた母上が住んでいる。後数日で笑まれるらしい。なんでも屋敷の近くに良い医者と産婆がいるらしくてな、雪解けが始まった時期に移ってもらったんだ」
「もうすぐ、お子様がお生まれになるにゃ、リチャード様に弟か妹がお出来になる、楽しみですね」
「あぁ、楽しみだ。いっぱい遊んで、可愛がって、今後の練習を一緒にさせてもらおうな」
微笑んで、王子に頬をすりすりされた。王子と今後の練習? ということは私と王子の子供……。
「にゃぁあ……」
「なんだよミタリア、照れるなよ。まったくお前は可愛いなぁ」
+
「お父様、お母様行って来ますにゃ」
「気をつけていくんだぞ、リチャード王子殿下、娘をよろしくお願いいたします」
「いってらっしゃい、リチャード王子殿下、ミタリア」
もう、私が獣化していても、王子に包まれていても気にしない両親。
狼王子に守られているから、安心しているのだろう。
「いってきます、ミタリア行こう」
両親に挨拶を終えて、屋敷前に止める場所に向かった。
「リル、お待たせ」
「リチャード様、早く出発しないと入学式に間に合いませんよ……あ、ミタリア様、おはようございます」
「おはようございますにゃ」
王子の側近リルと従者が屋敷の外に待ってがいた。制服姿だ。そうだ、彼も今日から一緒に学園に通う……(王子の護衛も兼ねている)そして、彼もまた攻略対象なのだ。婚約破棄の時にミタリアは側近リルに捕まり、引きずられて牢屋に入れられる。
そんな彼――側近リルは礼をした後、微笑んだ。
(いつもの作り笑いじゃない、その微笑み! 心を許した、ヒロインの前でしか笑わないのに?)
「ミタリア様は獣化したままなのですね、いつも可愛らしい」
普段の彼らしくない発言をした後、側近リルは私の頭を優しく撫でた。
「にゃぁっ?」
「リル、俺のミタリアに触れるな!」
王子の声と、自分のとった行動と手を見て一瞬驚いた様子。だけど、彼はすぐ表情を変えて頭を下げて。
「リチャード様、ミタリア様、失礼いたしました。馬車にお乗りください」
王子と私は馬車に乗り込み、側近リルは従者席に座り、王都にあるレーベン学園に向かった。
(……今日、私たちは兎ヒロインと会う)
0
あなたにおすすめの小説
モブ令嬢、当て馬の恋を応援する
みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。
【完結】嫌われ公女が継母になった結果
三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。
わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
断罪予定の悪役令嬢ですが、王都でカフェを開いたら婚約者の王太子が常連になりました
由香
恋愛
公爵令嬢エリザベートは、自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生していることに気付く。
このままでは一年後の夜会で婚約破棄され、断罪された上で国外追放されてしまう運命だ。
「――だったら、その前に稼げばいいわ!」
前世の記憶を頼りに、王都の裏通りで小さなカフェを開くことにしたエリザベート。
コーヒーやケーキは評判となり、店は少しずつ人気店へと成長していく。
そんなある日、店に一人の青年が現れる。
落ち着いた雰囲気のその客は、毎日のように通う常連になった。
しかし彼の正体は――なんと婚約者である王太子レオンハルトだった!?
破滅回避のために始めたカフェ経営が、やがて運命を変えていく。
これは、悪役令嬢が小さなカフェから幸せを掴む
ほのぼのカフェ経営×溺愛ロマンスストーリー。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
何やってんのヒロイン
ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。
自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。
始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・
それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。
そんな中とうとうヒロインが入学する年に。
・・・え、ヒロイン何してくれてんの?
※本編・番外編完結。小話待ち。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる