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三十八
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私たちの元に飛んできた兎。このヒロインの兎ちゃん、王子の胸に飛び込むのだろうと、隣で見ていたのだけど……。
兎ちゃんは「お前じゃない!」と王子を蹴り飛ばし、私の胸にすぽっと収まった。私は驚き手を出して、兎が落ちないようにぎゅっと胸に抱きしめた。
「兎ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫、ふかふか、やっぱり女の子はいいな」
女の子がいい? 私の胸で、兎ちゃんはご満悦?
(ヒロインって女の子だよね?)
胸にすりすりしてた。
「おい、このすけべ兎! それ以上、ミタリアにすりすりしてみろ! お前を食ってやる!」
ガッチッと王子は兎の頭を掴み、私から強引に引き離した。
「うわっ、僕を食べないで! お、狼? 狼ということは、この国の第1王子リチャード様? となると、この可愛い子は婚約者のミタリア様? ……ごきげんよう、ミタリア様」
「ごきげんよう」
「なにが、ごきげんようだ! お前はなんで? 学園の道端で獣化なんているんだ!」
それもそうだ。獣化は特別、人前ではなってはならないもの。
舞踏会のとき、大勢の学生の前でなってしまってけど、あれは緊急だからと許可された。
しかし、この兎ちゃんは知らないのか、慌てだした。
「え、えっと、なんで獣化したのか僕にもわからないんです。庭園で入学式が始まるまで寝ていたら、いつの間にか兎の姿になっていて。オロオロしていたら、誰かに声をかけられて、びっくりしてここまで逃げてきたんです!」
(ゲームだと、こんなに早くヒロインは獣化しない。学園が始まって数日経ち、偶然に指輪が取れてしまって獣化しちゃうのだけど……)
これだと話が違う。
「君のいまの話だと。学園の警備員が獣化した君を見つけて、保護しようとしていたのかもしれないな」
「そうですね……リチャード様、入学式が終わってからにいたしましょう」
「そうです、リチャード様。そろそろ、入学式の会場に向かわないと、間に合わなくなってしまいますよ」
「わかっている、リル」
今日の入学式には第1王子が入学するからと、国王陛下、大臣などもこの入学式に出席している。もちろん、隣国カーエン王子殿下も学園に入学すると、隣国の国王陛下と王妃様もいらしていると聞いていた。
それに、王子は入学するみんなに祝辞を述べなくてはならないため、遅刻するわけにはいかないのである。
「わかった、入学式が終わってからだな。リルは側近だから俺に着いてこなくてはならない。嫌だ、が……こいつはミタリアに預ける、くっ、嫌だが預ける……お前、ミタリアに手を出すなよ」
「はい、わかっております」
王子と側近リルは祝辞を述べるため、控室に向かい、私は新入生が集まる学園の会場に兎ちゃんを連れて向かった。
+
入学式も無事終わり王子と私、側近リルで庭園に来ていた。兎ちゃんは入学式の間、ずっと私の腕の中で、ぷすぷすと気持ちよさそうに寝ていた。
(……羨ましい)
獣化しと言っていた庭園に向かうと、兎ちゃんの服が一式落ちていた。
拾うと男性物の服……あれっ?
(男装令嬢? 確かめるのは後でいいわね)
「ここで、あなたは獣化してしまったのね」
「はい、ミタリア様」
「獣化しないようにする、何かアクセサリー持っていなかったのか? 兎! いつまでミタリアにくっ付いているんだ!」
「きゃっ!」
ガシッと、兎ちゃんの頭を掴む王子。王子の前でぷらーんとぶら下がった兎くん。王子が怖いのか顔を青くした。
「え、えっと……アクセサリーなら両親の形見の指輪を着けていました……そ、それですかね」
「形見の指輪! それは大変だわ、早く見つけないと」
「僕も見つけます……あの、リチャード王子殿下、頭を離してくださいませんか?」
「いいぞ、俺も探してやろう。ミタリアは俺の隣な」
「はい」
探し始めも、ずっと不機嫌な王子。その隣に並んで、しゃがんだ。
「あの、リチャード様」
「なに、ミタリア」
「リチャード様の入学式での祝辞、素敵でした。カッコ良かったです」
「カッコ良かったか……ミタリアありがとう。少し照れるな」
王子は照れ臭そうに笑った。
「でも、ずっと私を見て祝辞を述べるのは……嬉しかったですが、恥ずかしかったです」
「それは……」
と言いかけて、王子は近くをぴょんぴょんと飛び、指輪を探す兎ちゃんの姿を見て。
「あの兎が気になってな。ずっとミタリアの胸の上で寝ていたろ? 俺の腹がズキズキ痛み、かなり苛立った」
お腹がズキズキ痛んだ? それを聞き、無意識に王子のお腹を撫でていた。
「ミタリア、それは帰りの馬車の中でな」
「えっ、あ、リチャード様、すみません」
「俺は嬉しいが。ここだとみんなの目があるし、可愛いミタリアを見せたくない」
(うわっ、色々と恥ずかしい)
指輪を探して、2人でいる所に。
「さっきから黒猫ちゃんと、リチャード王子はこのような所で、なにをしているんだい?」
私を黒猫ちゃんと呼び、庭園にカーエン王子と側近の方が現れた。
兎ちゃんは「お前じゃない!」と王子を蹴り飛ばし、私の胸にすぽっと収まった。私は驚き手を出して、兎が落ちないようにぎゅっと胸に抱きしめた。
「兎ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫、ふかふか、やっぱり女の子はいいな」
女の子がいい? 私の胸で、兎ちゃんはご満悦?
(ヒロインって女の子だよね?)
胸にすりすりしてた。
「おい、このすけべ兎! それ以上、ミタリアにすりすりしてみろ! お前を食ってやる!」
ガッチッと王子は兎の頭を掴み、私から強引に引き離した。
「うわっ、僕を食べないで! お、狼? 狼ということは、この国の第1王子リチャード様? となると、この可愛い子は婚約者のミタリア様? ……ごきげんよう、ミタリア様」
「ごきげんよう」
「なにが、ごきげんようだ! お前はなんで? 学園の道端で獣化なんているんだ!」
それもそうだ。獣化は特別、人前ではなってはならないもの。
舞踏会のとき、大勢の学生の前でなってしまってけど、あれは緊急だからと許可された。
しかし、この兎ちゃんは知らないのか、慌てだした。
「え、えっと、なんで獣化したのか僕にもわからないんです。庭園で入学式が始まるまで寝ていたら、いつの間にか兎の姿になっていて。オロオロしていたら、誰かに声をかけられて、びっくりしてここまで逃げてきたんです!」
(ゲームだと、こんなに早くヒロインは獣化しない。学園が始まって数日経ち、偶然に指輪が取れてしまって獣化しちゃうのだけど……)
これだと話が違う。
「君のいまの話だと。学園の警備員が獣化した君を見つけて、保護しようとしていたのかもしれないな」
「そうですね……リチャード様、入学式が終わってからにいたしましょう」
「そうです、リチャード様。そろそろ、入学式の会場に向かわないと、間に合わなくなってしまいますよ」
「わかっている、リル」
今日の入学式には第1王子が入学するからと、国王陛下、大臣などもこの入学式に出席している。もちろん、隣国カーエン王子殿下も学園に入学すると、隣国の国王陛下と王妃様もいらしていると聞いていた。
それに、王子は入学するみんなに祝辞を述べなくてはならないため、遅刻するわけにはいかないのである。
「わかった、入学式が終わってからだな。リルは側近だから俺に着いてこなくてはならない。嫌だ、が……こいつはミタリアに預ける、くっ、嫌だが預ける……お前、ミタリアに手を出すなよ」
「はい、わかっております」
王子と側近リルは祝辞を述べるため、控室に向かい、私は新入生が集まる学園の会場に兎ちゃんを連れて向かった。
+
入学式も無事終わり王子と私、側近リルで庭園に来ていた。兎ちゃんは入学式の間、ずっと私の腕の中で、ぷすぷすと気持ちよさそうに寝ていた。
(……羨ましい)
獣化しと言っていた庭園に向かうと、兎ちゃんの服が一式落ちていた。
拾うと男性物の服……あれっ?
(男装令嬢? 確かめるのは後でいいわね)
「ここで、あなたは獣化してしまったのね」
「はい、ミタリア様」
「獣化しないようにする、何かアクセサリー持っていなかったのか? 兎! いつまでミタリアにくっ付いているんだ!」
「きゃっ!」
ガシッと、兎ちゃんの頭を掴む王子。王子の前でぷらーんとぶら下がった兎くん。王子が怖いのか顔を青くした。
「え、えっと……アクセサリーなら両親の形見の指輪を着けていました……そ、それですかね」
「形見の指輪! それは大変だわ、早く見つけないと」
「僕も見つけます……あの、リチャード王子殿下、頭を離してくださいませんか?」
「いいぞ、俺も探してやろう。ミタリアは俺の隣な」
「はい」
探し始めも、ずっと不機嫌な王子。その隣に並んで、しゃがんだ。
「あの、リチャード様」
「なに、ミタリア」
「リチャード様の入学式での祝辞、素敵でした。カッコ良かったです」
「カッコ良かったか……ミタリアありがとう。少し照れるな」
王子は照れ臭そうに笑った。
「でも、ずっと私を見て祝辞を述べるのは……嬉しかったですが、恥ずかしかったです」
「それは……」
と言いかけて、王子は近くをぴょんぴょんと飛び、指輪を探す兎ちゃんの姿を見て。
「あの兎が気になってな。ずっとミタリアの胸の上で寝ていたろ? 俺の腹がズキズキ痛み、かなり苛立った」
お腹がズキズキ痛んだ? それを聞き、無意識に王子のお腹を撫でていた。
「ミタリア、それは帰りの馬車の中でな」
「えっ、あ、リチャード様、すみません」
「俺は嬉しいが。ここだとみんなの目があるし、可愛いミタリアを見せたくない」
(うわっ、色々と恥ずかしい)
指輪を探して、2人でいる所に。
「さっきから黒猫ちゃんと、リチャード王子はこのような所で、なにをしているんだい?」
私を黒猫ちゃんと呼び、庭園にカーエン王子と側近の方が現れた。
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