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四十九
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昼食のあと。王子と2人ーー彼の部屋で猫と狼の姿でまったりしていた。転生の話は王子にお茶の時間になったら、話そうと言われており緊張していた。
「ミタリア、どうした? 俺に甘えにこないのか?」
「にゃっ?」
甘えにこない? いきなり何を言うの? と思ったのだけど。王子と同じベッドの上で『いつでも来い』といった体勢の王子と、体の中に前足をしまい香箱座りの私。
この私たちの間に出来た隙間が、王子は気になったらしい。
「少し、考え事をしていたにゃ、とうっ!」
ポフンと、王子の空いたスペースに飛び込んだ。
「おっ、ようやく来たな。……で、ミタリアの考え事ってお茶の時間に、聞くといった話のことか?」
「そうにゃ、上手くリチャード様に説明できるかなって? 考えていたにゃ」
「別に上手く話さなくてもいいんだ。俺がただ、ミタリアの事を知りたいだけだからさ」
長い鼻で頬ではなく、私のもふもふな胸元をスリスリしてきた。
「ぴゃっ! リ、リチャード様、そ、そこは! そこ……っ!」
「俺をほったらかしにした罰だ」
「にゃっ、にゃっ……(自分でできないところは、やばい……っ)」
あ、顎の下も……王子は良いところをグルーミングするから。私はなすすべもなく、ゴロゴロ、ゴロゴロ、甘えて、喉を鳴らしてしまうのだ。
「そんなに喉を鳴らして、目を瞑って、気持ち良さそうだな。次に何処をグルーミングする?」
どこをグルーミングする?
「み、耳の後ろと後頭、ぶ……あっ!」
「ほぉっ、素直にこたえたな」
ううっ、王子のグルーミングはやばい。ポーッとして、リラックスして、しまいには眠気を誘う。
「にゃっ……」
心地よい……。
「ミタリア、眠そうだな。俺に我慢せずに寝ていいんだぞ」
「うん……リチャード様のリラックスは?」
「俺はミタリアに触れている時が1番リラックスしている。それでもミタリアが俺をリラックスさせたいのなら、目が覚めた後にブラッシングしてくれると嬉しい」
「ブラッシング? わかったにゃ」
目を瞑ると、王子も寝るのかベッドに体を預けた。
しばし、2人で仲良くお昼寝をした。
+
1時間ちょいお昼寝をして、ベッドの上で王子をブラッシング中。今度は王子が気持ちよさそうに目を瞑っていた。
(気持ちよさそう、嬉しいなぁ)
「ミタリア、背中の方をもっと頼む」
頷き、背中にブラシを通した。
「リチャード様。ここで、良いすか?」
「あぁ、そこだ。……気持ちいい」
いつも素敵な人が私に体を預けて、リラックスしてくれる。王子のブラッシングは大好きだ。
+
王子の部屋。メイド達はカチャカチャとテーブルにお茶の準備をしている。私は獣化から戻り、いまはソファーで準備が終わるのを、本を読み1人で待っていた。
王子は先程、側近のリルに「国王陛下がお呼びです」と呼ばれていまいない。多分、陛下の執務室で、獣化研究所の結果の報告をしているのかな?
(早く戻ってこないかなぁ、退屈)
「ミタリア様、お茶の準備が終わりましたので、私たちは失礼いたします」
「ありがとう、ご苦労さまでした」
メイド達も下がり、ポツンと王子の部屋に1人残る。しばらくはお行儀よく座っていたけど、ゴロリとソファーに寝そべった。
「流石、うちのソファーとは違う肌触りと、ふかふかさ……クッションの質まで違う。これは……すぅ、すぅ」
オフトゥンとは違う心地よさに眠ってしまった。どれくらい経ったのか。ドタドタドタ、ドタドタと、こちらに向かってくる足音で目が覚めた。
「……誰? リチャード様?」
ソファー起き上がると、同時に部屋の扉が勢いよく開いた。開けたのはこの部屋の持ち主の王子で、彼は少し興奮しているようだった。
王子は部屋を見渡して、ソファーに座る私を見つけると、近付き肩をガシッと掴んだ。
(えっ?)
「ミタリア、聞いてくれ! 母上が産気づいたといましがた連絡が来た! お子が生まれるぞ!」
王子は興奮して我を忘れているのか、肩を掴んだまま、ガクガクと私を前後に揺した。
「お、おめでとう、ございます。うわっ、リリ、リチャード様……嬉しい話ですが。ま、待って、待ってください……わ、私、寝起きで……うっ」
寝起きに、力強く揺らされて、ハンカチで口元を押さえた。
「えっ、寝起き? えぇ、ミタリア? ……すまない」
肩から手を離し、隣に静かに座った。
ふぅ、ふぅと息を整える、私の背中を撫でた。
「ごめん、ミタリア。大丈夫か?」
「はい、驚きましたけど大丈夫です。……リチャード様の話だと、王妃殿下が産気づいたのですね」
「そうだ、父上は獣化して既に母上のところに向かった。お子が生まれたら、すぐに連絡をくれるそうだ」
隣で、嬉しそうに笑うから。
私まで笑顔になっちゃう。
「リチャード様、お茶をしながら陛下の連絡を待ちましょう」
そうだな、そうしようと。王子と私はソファーから、お茶が準備されたテーブルに移った。ティーポットから紅茶を注ぎ王子の前にだして、自分のも注いだ。
王子は紅茶をひと口飲み。
「ミタリアは弟、妹のどっちだと思う?」
「私ですか? 私は王妃殿下と赤ちゃんが無事に生まれてくだされば、どちらでもいいと思います」
「そうだよな、母上と赤ちゃんの無事が1番だ!」
そう言いながらも気になるらしくて、弟かな? 妹か? とお茶を飲みながら笑う王子に。……いまからするはずだった、転生の話をはなさなくてもいいかな……って。心の奥底でホッとしていた。
(ゲームとは話がずれたとはいえ。悪役令嬢と婚約破棄すると王子の前で口に出してしまったら。それが運命の悪戯で、本当になってしまったらと思うと……怖い)
「ミタリア、どうした? 俺に甘えにこないのか?」
「にゃっ?」
甘えにこない? いきなり何を言うの? と思ったのだけど。王子と同じベッドの上で『いつでも来い』といった体勢の王子と、体の中に前足をしまい香箱座りの私。
この私たちの間に出来た隙間が、王子は気になったらしい。
「少し、考え事をしていたにゃ、とうっ!」
ポフンと、王子の空いたスペースに飛び込んだ。
「おっ、ようやく来たな。……で、ミタリアの考え事ってお茶の時間に、聞くといった話のことか?」
「そうにゃ、上手くリチャード様に説明できるかなって? 考えていたにゃ」
「別に上手く話さなくてもいいんだ。俺がただ、ミタリアの事を知りたいだけだからさ」
長い鼻で頬ではなく、私のもふもふな胸元をスリスリしてきた。
「ぴゃっ! リ、リチャード様、そ、そこは! そこ……っ!」
「俺をほったらかしにした罰だ」
「にゃっ、にゃっ……(自分でできないところは、やばい……っ)」
あ、顎の下も……王子は良いところをグルーミングするから。私はなすすべもなく、ゴロゴロ、ゴロゴロ、甘えて、喉を鳴らしてしまうのだ。
「そんなに喉を鳴らして、目を瞑って、気持ち良さそうだな。次に何処をグルーミングする?」
どこをグルーミングする?
「み、耳の後ろと後頭、ぶ……あっ!」
「ほぉっ、素直にこたえたな」
ううっ、王子のグルーミングはやばい。ポーッとして、リラックスして、しまいには眠気を誘う。
「にゃっ……」
心地よい……。
「ミタリア、眠そうだな。俺に我慢せずに寝ていいんだぞ」
「うん……リチャード様のリラックスは?」
「俺はミタリアに触れている時が1番リラックスしている。それでもミタリアが俺をリラックスさせたいのなら、目が覚めた後にブラッシングしてくれると嬉しい」
「ブラッシング? わかったにゃ」
目を瞑ると、王子も寝るのかベッドに体を預けた。
しばし、2人で仲良くお昼寝をした。
+
1時間ちょいお昼寝をして、ベッドの上で王子をブラッシング中。今度は王子が気持ちよさそうに目を瞑っていた。
(気持ちよさそう、嬉しいなぁ)
「ミタリア、背中の方をもっと頼む」
頷き、背中にブラシを通した。
「リチャード様。ここで、良いすか?」
「あぁ、そこだ。……気持ちいい」
いつも素敵な人が私に体を預けて、リラックスしてくれる。王子のブラッシングは大好きだ。
+
王子の部屋。メイド達はカチャカチャとテーブルにお茶の準備をしている。私は獣化から戻り、いまはソファーで準備が終わるのを、本を読み1人で待っていた。
王子は先程、側近のリルに「国王陛下がお呼びです」と呼ばれていまいない。多分、陛下の執務室で、獣化研究所の結果の報告をしているのかな?
(早く戻ってこないかなぁ、退屈)
「ミタリア様、お茶の準備が終わりましたので、私たちは失礼いたします」
「ありがとう、ご苦労さまでした」
メイド達も下がり、ポツンと王子の部屋に1人残る。しばらくはお行儀よく座っていたけど、ゴロリとソファーに寝そべった。
「流石、うちのソファーとは違う肌触りと、ふかふかさ……クッションの質まで違う。これは……すぅ、すぅ」
オフトゥンとは違う心地よさに眠ってしまった。どれくらい経ったのか。ドタドタドタ、ドタドタと、こちらに向かってくる足音で目が覚めた。
「……誰? リチャード様?」
ソファー起き上がると、同時に部屋の扉が勢いよく開いた。開けたのはこの部屋の持ち主の王子で、彼は少し興奮しているようだった。
王子は部屋を見渡して、ソファーに座る私を見つけると、近付き肩をガシッと掴んだ。
(えっ?)
「ミタリア、聞いてくれ! 母上が産気づいたといましがた連絡が来た! お子が生まれるぞ!」
王子は興奮して我を忘れているのか、肩を掴んだまま、ガクガクと私を前後に揺した。
「お、おめでとう、ございます。うわっ、リリ、リチャード様……嬉しい話ですが。ま、待って、待ってください……わ、私、寝起きで……うっ」
寝起きに、力強く揺らされて、ハンカチで口元を押さえた。
「えっ、寝起き? えぇ、ミタリア? ……すまない」
肩から手を離し、隣に静かに座った。
ふぅ、ふぅと息を整える、私の背中を撫でた。
「ごめん、ミタリア。大丈夫か?」
「はい、驚きましたけど大丈夫です。……リチャード様の話だと、王妃殿下が産気づいたのですね」
「そうだ、父上は獣化して既に母上のところに向かった。お子が生まれたら、すぐに連絡をくれるそうだ」
隣で、嬉しそうに笑うから。
私まで笑顔になっちゃう。
「リチャード様、お茶をしながら陛下の連絡を待ちましょう」
そうだな、そうしようと。王子と私はソファーから、お茶が準備されたテーブルに移った。ティーポットから紅茶を注ぎ王子の前にだして、自分のも注いだ。
王子は紅茶をひと口飲み。
「ミタリアは弟、妹のどっちだと思う?」
「私ですか? 私は王妃殿下と赤ちゃんが無事に生まれてくだされば、どちらでもいいと思います」
「そうだよな、母上と赤ちゃんの無事が1番だ!」
そう言いながらも気になるらしくて、弟かな? 妹か? とお茶を飲みながら笑う王子に。……いまからするはずだった、転生の話をはなさなくてもいいかな……って。心の奥底でホッとしていた。
(ゲームとは話がずれたとはいえ。悪役令嬢と婚約破棄すると王子の前で口に出してしまったら。それが運命の悪戯で、本当になってしまったらと思うと……怖い)
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