56 / 65
五十三
しおりを挟む
舞踏会まであと五日。今日は王城てドレスを王子と合わせていた。今回、王子がウキウキと選んだドレスは薄いブルー。そして、王子のジュストコールもドレスと同じ色だった、
「綺麗なドレスをありがとございます、リチャード様」
「うむ、とても似合っているよ。ミタリア」
王子が合図してメイドと側近リル、近衛騎士を下がらせた。
二人きりになる部屋で、いきなり頬に擦り寄られた。
おかしい、舞踏会が近付くにつれて。王子のスキンシップが激しくなる。それに王子は何かに焦っているようにも見えた。
騎士団との稽古も激しいのか、傷を付けて帰ってくる日もあった。
(聞いても平気だって言って、笑うだけ……心配だわ)
「リチャード様……」
「ん、どうした? そんな可愛い瞳で見られたら、我慢が効かなくなるよ」
ふわっと王子に唇を奪われた、その唇が微かに震えていた。
早く、早く、自分の特殊能力が使えるようになりたい。
使えるようになって、オフトゥンで王子を癒したい。
+
遂に舞踏会の当日が来た。王子の妹ーー王女様のお披露目会もあってか、王城は厳重な警備体制だった。
今日の王城には――学園の新学生だけではなく。
大勢の貴族たちが昼過ぎから行われる、舞踏会に集まっているからでもある。もちろん私のお父様とお母様も招待されていた。
「ミタリア、今日は俺から離れないでくれ」
「わかりました(離れないでくれ?)リチャード様?」
「……っ」
手を引かれて、痛いくらいに王子の胸に抱きしめられた。前から、変だ変だと思っていたけど、どうして? と聞けずにいた。多分、聞いても話してくれないだろうな。
よし、オフトゥン召喚をして王子を癒そう。
「リチャード様、舞踏会が始まるまで時間があります。私の特殊能力――オフトゥンを召喚して一緒にまったりしませんか? 今日は私の誕生日なので特殊能力が使えます」
舞踏会の開催まであと三十分くらいある。そう聞くと王子は頷き私の手を引いた。王子の部屋に行くのかと思ったのだけど、王子は近くの扉を開けた。
中は壊れたシャンデリアと、窓に古びたカーテンだけが掛かる空き部屋だった。王子は部屋に入ると、誰も来ないよう部屋に鍵をかけた。
「ミタリア、オフトゥン召喚を見せてくれ」
「はい、リチャード様。オフトゥン召喚しますね『ふかふかオフトゥンよ来い!』」
王子が見守るなかそう唱えると。ポフンとふかふかなオフトゥンが目の前に召喚された。昨夜、誕生日が来たと同時に好奇心には勝てず、一応試しに召喚をやってみたのだ。
何とオフトゥンの色、柄、大きさ、ふかふかさは、私の思い通りになる。
夢はめちゃくちゃ分厚いオフトゥンの召喚だ。
「本当に真っ白な、ふかふかオフトゥンが出てきた」
「約束通り、一番乗りはリチャード様だよ、さぁオフトゥンの上に座って」
「では、失礼する」
緊張しながら足を踏み入れて、私の召喚オフトゥンに座った。
+
そしてオフトゥンの上に私が座ると、リチャード様が癒されるはず。
「おおっ、緑色にオフトゥンが光った。腕についていた傷が消えた……ミタリア、凄いぞこれは!」
「あんまり褒めると、図に乗ってしまいますよ」
それもそうかと、王子は笑った。
表情が少しだけ和らいだ、王子の緊張がほぐれたかのかな?
(王子に役立つ、特殊能力で良かった)
王子とまったりオフトゥンの上。しかし時間が過ぎるのは早く、舞踏会の開催時間が来てしまった。
王子は懐中時計を見て、身だしなみを整え、部屋を出る前に王子が聞いてきた。
「このオフトゥンは?」
「こうするんです『オフトゥン、戻って』」
目の前に召喚したオフトゥンが一瞬で消えて、元の何もない部屋へと戻った。まぁオフトゥンが何処に消えたかとかは知らないし、知る術もないので、ここは気にしないにかぎる、
「凄いな、そして面白い。舞踏会が終わったら、今度は俺の部屋でオフトゥン召喚をお願いするよ」
「はい、リチャード様」
王子にエスコートされながら、空き部屋を後にした。
「綺麗なドレスをありがとございます、リチャード様」
「うむ、とても似合っているよ。ミタリア」
王子が合図してメイドと側近リル、近衛騎士を下がらせた。
二人きりになる部屋で、いきなり頬に擦り寄られた。
おかしい、舞踏会が近付くにつれて。王子のスキンシップが激しくなる。それに王子は何かに焦っているようにも見えた。
騎士団との稽古も激しいのか、傷を付けて帰ってくる日もあった。
(聞いても平気だって言って、笑うだけ……心配だわ)
「リチャード様……」
「ん、どうした? そんな可愛い瞳で見られたら、我慢が効かなくなるよ」
ふわっと王子に唇を奪われた、その唇が微かに震えていた。
早く、早く、自分の特殊能力が使えるようになりたい。
使えるようになって、オフトゥンで王子を癒したい。
+
遂に舞踏会の当日が来た。王子の妹ーー王女様のお披露目会もあってか、王城は厳重な警備体制だった。
今日の王城には――学園の新学生だけではなく。
大勢の貴族たちが昼過ぎから行われる、舞踏会に集まっているからでもある。もちろん私のお父様とお母様も招待されていた。
「ミタリア、今日は俺から離れないでくれ」
「わかりました(離れないでくれ?)リチャード様?」
「……っ」
手を引かれて、痛いくらいに王子の胸に抱きしめられた。前から、変だ変だと思っていたけど、どうして? と聞けずにいた。多分、聞いても話してくれないだろうな。
よし、オフトゥン召喚をして王子を癒そう。
「リチャード様、舞踏会が始まるまで時間があります。私の特殊能力――オフトゥンを召喚して一緒にまったりしませんか? 今日は私の誕生日なので特殊能力が使えます」
舞踏会の開催まであと三十分くらいある。そう聞くと王子は頷き私の手を引いた。王子の部屋に行くのかと思ったのだけど、王子は近くの扉を開けた。
中は壊れたシャンデリアと、窓に古びたカーテンだけが掛かる空き部屋だった。王子は部屋に入ると、誰も来ないよう部屋に鍵をかけた。
「ミタリア、オフトゥン召喚を見せてくれ」
「はい、リチャード様。オフトゥン召喚しますね『ふかふかオフトゥンよ来い!』」
王子が見守るなかそう唱えると。ポフンとふかふかなオフトゥンが目の前に召喚された。昨夜、誕生日が来たと同時に好奇心には勝てず、一応試しに召喚をやってみたのだ。
何とオフトゥンの色、柄、大きさ、ふかふかさは、私の思い通りになる。
夢はめちゃくちゃ分厚いオフトゥンの召喚だ。
「本当に真っ白な、ふかふかオフトゥンが出てきた」
「約束通り、一番乗りはリチャード様だよ、さぁオフトゥンの上に座って」
「では、失礼する」
緊張しながら足を踏み入れて、私の召喚オフトゥンに座った。
+
そしてオフトゥンの上に私が座ると、リチャード様が癒されるはず。
「おおっ、緑色にオフトゥンが光った。腕についていた傷が消えた……ミタリア、凄いぞこれは!」
「あんまり褒めると、図に乗ってしまいますよ」
それもそうかと、王子は笑った。
表情が少しだけ和らいだ、王子の緊張がほぐれたかのかな?
(王子に役立つ、特殊能力で良かった)
王子とまったりオフトゥンの上。しかし時間が過ぎるのは早く、舞踏会の開催時間が来てしまった。
王子は懐中時計を見て、身だしなみを整え、部屋を出る前に王子が聞いてきた。
「このオフトゥンは?」
「こうするんです『オフトゥン、戻って』」
目の前に召喚したオフトゥンが一瞬で消えて、元の何もない部屋へと戻った。まぁオフトゥンが何処に消えたかとかは知らないし、知る術もないので、ここは気にしないにかぎる、
「凄いな、そして面白い。舞踏会が終わったら、今度は俺の部屋でオフトゥン召喚をお願いするよ」
「はい、リチャード様」
王子にエスコートされながら、空き部屋を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
モブ令嬢、当て馬の恋を応援する
みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。
【完結】嫌われ公女が継母になった結果
三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。
わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
断罪予定の悪役令嬢ですが、王都でカフェを開いたら婚約者の王太子が常連になりました
由香
恋愛
公爵令嬢エリザベートは、自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生していることに気付く。
このままでは一年後の夜会で婚約破棄され、断罪された上で国外追放されてしまう運命だ。
「――だったら、その前に稼げばいいわ!」
前世の記憶を頼りに、王都の裏通りで小さなカフェを開くことにしたエリザベート。
コーヒーやケーキは評判となり、店は少しずつ人気店へと成長していく。
そんなある日、店に一人の青年が現れる。
落ち着いた雰囲気のその客は、毎日のように通う常連になった。
しかし彼の正体は――なんと婚約者である王太子レオンハルトだった!?
破滅回避のために始めたカフェ経営が、やがて運命を変えていく。
これは、悪役令嬢が小さなカフェから幸せを掴む
ほのぼのカフェ経営×溺愛ロマンスストーリー。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
何やってんのヒロイン
ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。
自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。
始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・
それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。
そんな中とうとうヒロインが入学する年に。
・・・え、ヒロイン何してくれてんの?
※本編・番外編完結。小話待ち。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる