(完結)オフトゥン大好き黒猫令嬢と狼王子。王子は私を婚約者に選ばないでください! (手直しをしております)

深月カナメ

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五十三

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 舞踏会まであと五日。今日は王城てドレスを王子と合わせていた。今回、王子がウキウキと選んだドレスは薄いブルー。そして、王子のジュストコールもドレスと同じ色だった、

「綺麗なドレスをありがとございます、リチャード様」

「うむ、とても似合っているよ。ミタリア」

 王子が合図してメイドと側近リル、近衛騎士を下がらせた。
 二人きりになる部屋で、いきなり頬に擦り寄られた。

 おかしい、舞踏会が近付くにつれて。王子のスキンシップが激しくなる。それに王子は何かに焦っているようにも見えた。

 騎士団との稽古も激しいのか、傷を付けて帰ってくる日もあった。

(聞いても平気だって言って、笑うだけ……心配だわ)

「リチャード様……」

「ん、どうした? そんな可愛い瞳で見られたら、我慢が効かなくなるよ」

 ふわっと王子に唇を奪われた、その唇が微かに震えていた。
 早く、早く、自分の特殊能力が使えるようになりたい。

 使えるようになって、オフトゥンで王子を癒したい。







 遂に舞踏会の当日が来た。王子の妹ーー王女様のお披露目会もあってか、王城は厳重な警備体制だった。
 
 今日の王城には――学園の新学生だけではなく。
 大勢の貴族たちが昼過ぎから行われる、舞踏会に集まっているからでもある。もちろん私のお父様とお母様も招待されていた。

「ミタリア、今日は俺から離れないでくれ」

「わかりました(離れないでくれ?)リチャード様?」

「……っ」
 
 手を引かれて、痛いくらいに王子の胸に抱きしめられた。前から、変だ変だと思っていたけど、どうして? と聞けずにいた。多分、聞いても話してくれないだろうな。

 よし、オフトゥン召喚をして王子を癒そう。

「リチャード様、舞踏会が始まるまで時間があります。私の特殊能力――オフトゥンを召喚して一緒にまったりしませんか? 今日は私の誕生日なので特殊能力が使えます」

 舞踏会の開催まであと三十分くらいある。そう聞くと王子は頷き私の手を引いた。王子の部屋に行くのかと思ったのだけど、王子は近くの扉を開けた。

 中は壊れたシャンデリアと、窓に古びたカーテンだけが掛かる空き部屋だった。王子は部屋に入ると、誰も来ないよう部屋に鍵をかけた。  

「ミタリア、オフトゥン召喚を見せてくれ」

「はい、リチャード様。オフトゥン召喚しますね『ふかふかオフトゥンよ来い!』」

 王子が見守るなかそう唱えると。ポフンとふかふかなオフトゥンが目の前に召喚された。昨夜、誕生日が来たと同時に好奇心には勝てず、一応試しに召喚をやってみたのだ。
 何とオフトゥンの色、柄、大きさ、ふかふかさは、私の思い通りになる。

 夢はめちゃくちゃ分厚いオフトゥンの召喚だ。

「本当に真っ白な、ふかふかオフトゥンが出てきた」

「約束通り、一番乗りはリチャード様だよ、さぁオフトゥンの上に座って」

「では、失礼する」

 緊張しながら足を踏み入れて、私の召喚オフトゥンに座った。









 そしてオフトゥンの上に私が座ると、リチャード様が癒されるはず。

「おおっ、緑色にオフトゥンが光った。腕についていた傷が消えた……ミタリア、凄いぞこれは!」

「あんまり褒めると、図に乗ってしまいますよ」

 それもそうかと、王子は笑った。
 表情が少しだけ和らいだ、王子の緊張がほぐれたかのかな?

(王子に役立つ、特殊能力で良かった)

 王子とまったりオフトゥンの上。しかし時間が過ぎるのは早く、舞踏会の開催時間が来てしまった。
 王子は懐中時計を見て、身だしなみを整え、部屋を出る前に王子が聞いてきた。

「このオフトゥンは?」

「こうするんです『オフトゥン、戻って』」

 目の前に召喚したオフトゥンが一瞬で消えて、元の何もない部屋へと戻った。まぁオフトゥンが何処に消えたかとかは知らないし、知る術もないので、ここは気にしないにかぎる、

「凄いな、そして面白い。舞踏会が終わったら、今度は俺の部屋でオフトゥン召喚をお願いするよ」

「はい、リチャード様」

 王子にエスコートされながら、空き部屋を後にした。
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