竜人さまに狂愛される悪役令嬢には王子なんか必要ありません!

深月カナメ

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第四章 獣人の国に咲いた魔女の毒花(竜人王祭編)

第10話

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 祭り用の衣装も出来上がった、帰り際にチャコちゃん達にもお守りを渡した。
 スノー様も一度も取られた時に、竜人王様の分も渡せた。

「明日のお泊まり会を楽しもうね」

 みんなと別れて部屋に戻る途中に、アル様に貰った水晶球から声がした。

 この声はアル様だ。いつもは私が気にするからと、話しかけてこなかったのに、なんだろう? と取り出した。

「こんにちは、アル様。どうしたのですか?」

「こんにちはシャルちゃん。今日、シーラン君からお守りを貰ったよ。ありがとう。ラーロとエシャロット、お師匠とアオさんも喜んでいたよ」

 よかった。

「みんなに喜んでいただいて、嬉しいです」

「それとね。師匠が作った青桜の特効薬が効いたよ」

 それは、とても嬉しい報告だった。

「前に獣人の国から助けだした、人達は今みんなと合流しているよ。エシャロットの弟さんの彼女も元気になった」

「よかった。では、もっと青桜が咲けば……」

「それは、そうだけど。シャルちゃんが無理をするのとはまた別の話になるから。結果が出るまでは魔法は禁止だからね」

 はいと返事を返した。アル様との通信が切れる間際に、明後日の祭りの君達の衣装を楽しみにしてると、そこで通信が終わった。


 アル様にも夢のことを話せなかった。このまま、何も起こらないことを祈るしか、今はできない。


 部屋に戻りシーラン様達との夕食。
 みんなは朝の心配をした。平気だと、わたしは元気だと、もりもり食べて食べ過ぎだと笑われた。

「はははっ、シャルロット、朝とは違うが……余り食べ過ぎるとお腹を壊してしまう」
「くっくっ、シャルロットちゃん太るぞ」
「ふふっ、シャルロット様、無理は禁物です」

「平気よ、お腹なんて壊さないし、太らない、無理もしてないんだからね!」

 みんなと笑って食事ができてよかった。
 その夜、マリーにホットミルクを入れてもらい、眠った。

 その日の夜、あの夢は見なかった。





 祭りの前の日、みんなとのお泊まり会。
 スノー王妃様が人数分のベッドを部屋に入れた。ベッドの取り合いが始まり、それが終わると恋話と、なんと枕投げが始まった。

 チャコちゃんには気になる人が出来たと、ユリアちゃんが暴露したところで、枕が飛んだ。
 それが私に当たり、私が投げた枕はスノー王妃様に謝る前に顔に飛んできた。

 エンドレス枕投げが始まった。

 それが終わればみんなで集まって、学校のに不思議や怖い話をしのだと、中学の時に行った修学旅行を思い出した。

「ねぇ、シャルロット様は楽しんでる?」
「えぇ、楽しいわ」

 みんなでお風呂で胸の大きさやスタイル、髪の質の話をしたり。
 出た後の冷たいデザートに、お揃いのパジャマ。久しぶりの女の子達だけの楽しい時間を過ごした。


 誰もが夢見の時間、夜空に赤い月が上がったことを誰も知らずにいた。

 そして、魔女の毒花と赤い花が混ざった、オレンジ色のマリーゴールドに似た、花が国中に咲き乱れたことを……。
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