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第二章
36話
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港に戻った私達が見たものは……魔法使い達によって、跡形もなく消え去ったタコの足。人々にとって不気味なものだから、クラーケンのパワー様が消えた後で排除したみたいだ。
「綺麗さっぱり……片付けられた」
「ああ、仕方がないか」
「仕方ありませんね」
「残念だな。また、余の足を切ろうか?」
それ、なんだか怖いし。小タコが可愛く見えてきてので、今は……食べたくないかも。――それに、片付けられてしまったら仕方がない。ここは港街だし、お魚を買っていけばいいかな。
街の魚屋に向かおうとした私達の元に、モコモコの羊が飛んで来て前で止まった。この羊は新魔王様のリラックスモードだ。
〈おお、魔王ローザンではないか、やはり港街に来ていたのだな〉
サタ様は素早く、会話を念話に変えた。
〈お久しぶりです、サタナス様、エルバさん、アール君――海の王クラーケン・パワー様〉
〈ほぉ、お主の事は知っておるぞ。そなたが次の魔王だな〉
ローザン君はコクリと頷いた。
〈それと……もう1人、珍しい人間がおるな。この魔力は勇者の末裔か……〉
そうパワー様に言われて物陰からオズオズと、モサモサ君が現れて頭を下げた。相変わらずの見た目だけど、一緒にいるということは、魔王のローザン君とはお友達になったようだ。
〈学園に、マーレ港街で魔物のクラーケンが暴れていると連絡が入り、魔力の高いものだけ集められて演習に来たのですが……クラーケン王・パワー様と冒険者達の言い分違いの様で。深夜になったらその事を伝えようと、グルナと話していたところへ、サタナス様がいらしたんです〉
〈そうか、ワタシ達は解毒薬を持って学園に向かい、キキにマーレ港街にクラーケンが出たと聞いてな〉
〈精霊のキキに? そうでしたか――何もなく、事が片付いたみたいで良かったです〉
コクコクと、モサモサ君も頷いた。
〈すまん、世の行いのせいで……魔王様の手を煩わせた様だな……ん?〉
この場に。
タッタタ……と、足音が聞こえ。サタ様、アール君、モサモサ君、ローザン君が身構え。パワー様が素早く魔法を使い、私達の姿を見えなくした。
聞こえた足音は、私達の近くまで来て止まる。
――そして。
「もう、グルナとローザンたら何処に行ったのかしら? 自由時間が出来たから、港街の散策に誘おうと思ったのに……あたしが可愛いからって、すぐに逃げちゃうんだから」
〈……逃げていない〉
〈……うん、逃げない〉
2人の、大きなため息。
聞こえてきたこの声と、この勘違いっぷりはアマリアさんか……相変わらず、彼女は2人を追いかけているみたい。
「おっかしいな。ビルが2人の魔力を感じたから……この辺にいると思ったのだけど……いないなぁ。クラーケンを倒した後、2人は私を取り合いながら、マーレ港街でデートをするはずなのに」
〈〈⁉︎〉〉
「ちょっと、ビル! こっちに来なさい」
「ほい、ほい」
彼女の元へ、真っ黒で尻尾の先が白い、モコモコなキツネが走ってきて肩に乗った。
「本当にこっちだったの?」
「そーですね。あや? おりませんねぇ」
〈〈はあ? ソーロ!〉〉
サタ様、アール君はその黒いキツネを見て、驚きの声を上げた。
「綺麗さっぱり……片付けられた」
「ああ、仕方がないか」
「仕方ありませんね」
「残念だな。また、余の足を切ろうか?」
それ、なんだか怖いし。小タコが可愛く見えてきてので、今は……食べたくないかも。――それに、片付けられてしまったら仕方がない。ここは港街だし、お魚を買っていけばいいかな。
街の魚屋に向かおうとした私達の元に、モコモコの羊が飛んで来て前で止まった。この羊は新魔王様のリラックスモードだ。
〈おお、魔王ローザンではないか、やはり港街に来ていたのだな〉
サタ様は素早く、会話を念話に変えた。
〈お久しぶりです、サタナス様、エルバさん、アール君――海の王クラーケン・パワー様〉
〈ほぉ、お主の事は知っておるぞ。そなたが次の魔王だな〉
ローザン君はコクリと頷いた。
〈それと……もう1人、珍しい人間がおるな。この魔力は勇者の末裔か……〉
そうパワー様に言われて物陰からオズオズと、モサモサ君が現れて頭を下げた。相変わらずの見た目だけど、一緒にいるということは、魔王のローザン君とはお友達になったようだ。
〈学園に、マーレ港街で魔物のクラーケンが暴れていると連絡が入り、魔力の高いものだけ集められて演習に来たのですが……クラーケン王・パワー様と冒険者達の言い分違いの様で。深夜になったらその事を伝えようと、グルナと話していたところへ、サタナス様がいらしたんです〉
〈そうか、ワタシ達は解毒薬を持って学園に向かい、キキにマーレ港街にクラーケンが出たと聞いてな〉
〈精霊のキキに? そうでしたか――何もなく、事が片付いたみたいで良かったです〉
コクコクと、モサモサ君も頷いた。
〈すまん、世の行いのせいで……魔王様の手を煩わせた様だな……ん?〉
この場に。
タッタタ……と、足音が聞こえ。サタ様、アール君、モサモサ君、ローザン君が身構え。パワー様が素早く魔法を使い、私達の姿を見えなくした。
聞こえた足音は、私達の近くまで来て止まる。
――そして。
「もう、グルナとローザンたら何処に行ったのかしら? 自由時間が出来たから、港街の散策に誘おうと思ったのに……あたしが可愛いからって、すぐに逃げちゃうんだから」
〈……逃げていない〉
〈……うん、逃げない〉
2人の、大きなため息。
聞こえてきたこの声と、この勘違いっぷりはアマリアさんか……相変わらず、彼女は2人を追いかけているみたい。
「おっかしいな。ビルが2人の魔力を感じたから……この辺にいると思ったのだけど……いないなぁ。クラーケンを倒した後、2人は私を取り合いながら、マーレ港街でデートをするはずなのに」
〈〈⁉︎〉〉
「ちょっと、ビル! こっちに来なさい」
「ほい、ほい」
彼女の元へ、真っ黒で尻尾の先が白い、モコモコなキツネが走ってきて肩に乗った。
「本当にこっちだったの?」
「そーですね。あや? おりませんねぇ」
〈〈はあ? ソーロ!〉〉
サタ様、アール君はその黒いキツネを見て、驚きの声を上げた。
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