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37話 信じなさい
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私はガトーさんとの話が終わると、しゃがんで男の子と目線を合わし、できるだけにこやかに優しい声を出した。
「ぼうや、今日はお姉さんと一緒にいましょうね。お家に帰らなくてもいいわ。帰ったらお父さんに殴られてしまうもの・・・。」
「でも、帰らなかったら、父さんに殴られるよー。」
また男の子は泣き出した。
帰っても殴られる、帰らなくても殴られる・・・
父親の暴力の呪縛から、逃れられない男の子の姿がここにあった。
「じゃあ、ずっと帰らなかったらいいのよ。そしたら、一生殴られることはないわ。」
「そ、そんなこと・・・、できるの?」
「できるわよ。お姉さんを信じなさい。」
「聖女様、本当に、本当に、家に帰らなくてもいいの?」
男の子は、すがるような目で私を見た。
「ええ、だから、私たちが帰るまでこの部屋にいてちょうだい。お父さんが来ても、絶対に出たらだめよ。」
「う、うん。」
「じゃあ、私が戻ってくるまで、ここでおりこうさんにしててね。」
私とガトーさんは、部屋を出た。
「聖女様、あの子をどうするつもりですか?」
他の子どもたちに聞かれないように、ガトーさんは小声で話しかけてきた。
私も同じく、周りに聞かれないように気を遣いながら話す。
「今日は私の家に連れて帰ります。孤児院に預けても、父親が取り返しに来るかもしれませんから・・・。」
「子どもを愛してもいない親が、あの子を取り返しに来るのでしょうか? いなくなって、せいせいするのでは?」
「子どもに暴力を振るうことで鬱憤を晴らすような親は、愛していなくても取り返しに来るのです。自分の玩具を取られた子どものように・・・」
私の場合は、祖母と法律が私を守ってくれた。
でも、この国には、子どもを守る法律がない。
なら、貴族の地位を盾にして、守ってあげることしかできないのだろう。
私たちがいない間にも、食堂の給食は順調に進み、並んでいた子供たちの最後の十人が入ってきた。
出された料理を、美味しそうに食べている。
食べ終わったら、どの子もお腹いっぱいになったようで、満足そうな顔をしている。
「聖女様、明日も食べれるの?」
私と目が合った男の子が、唐突に聞いてきた。
この子は以前に、苦しそうに咳き込んでいたのを、治療してあげた子どもだ。
今日は試験的な施行だと聞いている。明日のことは聞いていない。
私は返答に困り、ガトーさんの顔を見る。
ガトーさんはにっこりと微笑んで、大きく頷いてくれた。
ああ、良かった・・・。
私は胸をなでおろした。
「ええ。明日もここに来たら食べられますよ。だから、明日もお腹いっぱい食べてくださいね。」
「わあ! 良かったあ。」
嬉しそうに笑っている子どもの顔を見ていると、幸せな気持ちになる。
「ねえ、聖女様、聖女様が王太子様のお妃様になればいいって、母さんが言ってたよ。そしたら、このセーサクがこれからもずっと続くのにって・・・。そしたら、僕たち毎日毎日食べられるよね。」
その子の言葉を聞いていた他の子どもたちも、口をそろえて言い出した。
「僕の母さんも言ってたよ。」
「あたしの父さんも・・・。」
「そうだ、そうだ、聖女様がお妃様になったらいいんだ!」
「ぼうや、今日はお姉さんと一緒にいましょうね。お家に帰らなくてもいいわ。帰ったらお父さんに殴られてしまうもの・・・。」
「でも、帰らなかったら、父さんに殴られるよー。」
また男の子は泣き出した。
帰っても殴られる、帰らなくても殴られる・・・
父親の暴力の呪縛から、逃れられない男の子の姿がここにあった。
「じゃあ、ずっと帰らなかったらいいのよ。そしたら、一生殴られることはないわ。」
「そ、そんなこと・・・、できるの?」
「できるわよ。お姉さんを信じなさい。」
「聖女様、本当に、本当に、家に帰らなくてもいいの?」
男の子は、すがるような目で私を見た。
「ええ、だから、私たちが帰るまでこの部屋にいてちょうだい。お父さんが来ても、絶対に出たらだめよ。」
「う、うん。」
「じゃあ、私が戻ってくるまで、ここでおりこうさんにしててね。」
私とガトーさんは、部屋を出た。
「聖女様、あの子をどうするつもりですか?」
他の子どもたちに聞かれないように、ガトーさんは小声で話しかけてきた。
私も同じく、周りに聞かれないように気を遣いながら話す。
「今日は私の家に連れて帰ります。孤児院に預けても、父親が取り返しに来るかもしれませんから・・・。」
「子どもを愛してもいない親が、あの子を取り返しに来るのでしょうか? いなくなって、せいせいするのでは?」
「子どもに暴力を振るうことで鬱憤を晴らすような親は、愛していなくても取り返しに来るのです。自分の玩具を取られた子どものように・・・」
私の場合は、祖母と法律が私を守ってくれた。
でも、この国には、子どもを守る法律がない。
なら、貴族の地位を盾にして、守ってあげることしかできないのだろう。
私たちがいない間にも、食堂の給食は順調に進み、並んでいた子供たちの最後の十人が入ってきた。
出された料理を、美味しそうに食べている。
食べ終わったら、どの子もお腹いっぱいになったようで、満足そうな顔をしている。
「聖女様、明日も食べれるの?」
私と目が合った男の子が、唐突に聞いてきた。
この子は以前に、苦しそうに咳き込んでいたのを、治療してあげた子どもだ。
今日は試験的な施行だと聞いている。明日のことは聞いていない。
私は返答に困り、ガトーさんの顔を見る。
ガトーさんはにっこりと微笑んで、大きく頷いてくれた。
ああ、良かった・・・。
私は胸をなでおろした。
「ええ。明日もここに来たら食べられますよ。だから、明日もお腹いっぱい食べてくださいね。」
「わあ! 良かったあ。」
嬉しそうに笑っている子どもの顔を見ていると、幸せな気持ちになる。
「ねえ、聖女様、聖女様が王太子様のお妃様になればいいって、母さんが言ってたよ。そしたら、このセーサクがこれからもずっと続くのにって・・・。そしたら、僕たち毎日毎日食べられるよね。」
その子の言葉を聞いていた他の子どもたちも、口をそろえて言い出した。
「僕の母さんも言ってたよ。」
「あたしの父さんも・・・。」
「そうだ、そうだ、聖女様がお妃様になったらいいんだ!」
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