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38話 父親
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いきなりお妃様なんて言葉が飛び出したから、私は困ってしまっていたのだけれど・・・
子どもたちは、大喜びで、一斉に大合唱をし始めた。
「聖女様が、王太子様のお妃様になればいい! 聖女様が王太子様のお妃様になればいい!」
「あ、あの・・・みんな、ちょ、ちょっと待って・・・」
私はどうして良いのかわからなくなって、つい、うっかりガトーさんの顔を見てしまった。
ガトーさんはコホンと一つ咳払いをしただけで、止めてくれない。
なんだか顔が、少し赤くなっているような気もする。
「あ、あのね。そういうのは、王太子様が決めることだから、私に言っても・・・ね?」
「聖女様は僕の病気を治してくれたし、この食堂を作ろうって言ってくれたのも聖女様でしょ? 聖女様はこんなに優しいんだもの。僕、王太子様に会ったら、絶対に聖女様をお嫁さんにしてくださいってお願いするのになあ。」
「えっ、あの・・・あ、ありがとう。」
私は真っ赤になってしまった。
ちらりとガトーさんを見たら、なんだか嬉しそうな顔をしている・・・。
「私、厨房を見てきます!」
私はいたたまれなくて、その場を離れた。
最後の子どもたちが食堂を出て、あと片づけを始めたときに、入口から、男の怒鳴り声が聞こえてきた。
「おい! 俺の子が帰って来ないんだ。どうなってるんだ?」
控室に隠した子どもの父親が、やってきたのだ。
子どもが持ち帰るパンを待っていたのだろう。
待ちくたびれて、結局自ら足を運んできたようだ。
騎士様たちが取り押さえて、食堂の中に入れないようにしてくれているが、父親は罵声を浴びせ続けている。
「騎士様か何だか知らないが、俺の子を攫って許されると思っているのか! 責任者、出てこい!」
私が出ようとすると、ガトーさんが私の肩を掴んで止めた。
「聖女様は、ここにいてください。」
「いえ、ここは私が出ます。ガトーさんは私を見守っていてください。」
私は怒鳴り散らしている父親の前に出た。
今にも殴りかかってきそうな勢いだけれど、騎士様が押さえてくれているから、きっと大丈夫。
「なんだ、お前、聖女様か? 聖女が誘拐犯だとはな!」
父親は酒臭い息で私に怒鳴りつけ、騎士様に押さえつけられながらも手を振り上げた。
私は一瞬、ビクッとたじろいでしまった。
幼いころに虐待された私の父と重なり、私を蝕んでいた恐怖心がよみがえって来る。
だけど、もう私は恐れない。
あのときの、何も言えず、父親の暴力が過ぎ去るまで、黙って我慢し続けた私じゃない。
私は大きく息を吸った。
「子どもを虐待する親は、親と名乗る資格はありません。あなたには、あの子を渡しません。帰ってください。」
だが、このくらいで引き下がる親ではなかった。
「何? 虐待だと? 自分の子を殴って何が悪い。しつけだ、しつけ。お前なんぞにとやかく言われる筋合いはない!」
「お前は、自分の子を殴ったことは認めるのだな。」
後ろで見守ってくれていたガトーさんが、前に出た。
子どもたちは、大喜びで、一斉に大合唱をし始めた。
「聖女様が、王太子様のお妃様になればいい! 聖女様が王太子様のお妃様になればいい!」
「あ、あの・・・みんな、ちょ、ちょっと待って・・・」
私はどうして良いのかわからなくなって、つい、うっかりガトーさんの顔を見てしまった。
ガトーさんはコホンと一つ咳払いをしただけで、止めてくれない。
なんだか顔が、少し赤くなっているような気もする。
「あ、あのね。そういうのは、王太子様が決めることだから、私に言っても・・・ね?」
「聖女様は僕の病気を治してくれたし、この食堂を作ろうって言ってくれたのも聖女様でしょ? 聖女様はこんなに優しいんだもの。僕、王太子様に会ったら、絶対に聖女様をお嫁さんにしてくださいってお願いするのになあ。」
「えっ、あの・・・あ、ありがとう。」
私は真っ赤になってしまった。
ちらりとガトーさんを見たら、なんだか嬉しそうな顔をしている・・・。
「私、厨房を見てきます!」
私はいたたまれなくて、その場を離れた。
最後の子どもたちが食堂を出て、あと片づけを始めたときに、入口から、男の怒鳴り声が聞こえてきた。
「おい! 俺の子が帰って来ないんだ。どうなってるんだ?」
控室に隠した子どもの父親が、やってきたのだ。
子どもが持ち帰るパンを待っていたのだろう。
待ちくたびれて、結局自ら足を運んできたようだ。
騎士様たちが取り押さえて、食堂の中に入れないようにしてくれているが、父親は罵声を浴びせ続けている。
「騎士様か何だか知らないが、俺の子を攫って許されると思っているのか! 責任者、出てこい!」
私が出ようとすると、ガトーさんが私の肩を掴んで止めた。
「聖女様は、ここにいてください。」
「いえ、ここは私が出ます。ガトーさんは私を見守っていてください。」
私は怒鳴り散らしている父親の前に出た。
今にも殴りかかってきそうな勢いだけれど、騎士様が押さえてくれているから、きっと大丈夫。
「なんだ、お前、聖女様か? 聖女が誘拐犯だとはな!」
父親は酒臭い息で私に怒鳴りつけ、騎士様に押さえつけられながらも手を振り上げた。
私は一瞬、ビクッとたじろいでしまった。
幼いころに虐待された私の父と重なり、私を蝕んでいた恐怖心がよみがえって来る。
だけど、もう私は恐れない。
あのときの、何も言えず、父親の暴力が過ぎ去るまで、黙って我慢し続けた私じゃない。
私は大きく息を吸った。
「子どもを虐待する親は、親と名乗る資格はありません。あなたには、あの子を渡しません。帰ってください。」
だが、このくらいで引き下がる親ではなかった。
「何? 虐待だと? 自分の子を殴って何が悪い。しつけだ、しつけ。お前なんぞにとやかく言われる筋合いはない!」
「お前は、自分の子を殴ったことは認めるのだな。」
後ろで見守ってくれていたガトーさんが、前に出た。
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