47 / 110
47話 洞窟
しおりを挟む
フランツは、勝ち誇ったような笑みを漏らしながら脳内シュミレーションを終え、意気揚々と馬車のドアを開けた。
「ヒッ・・・」
フランツは目を瞠り、声にならない叫びを上げる。
「な、なぜ・・・?」
ジェフの二つの青い目が、ギロリとフランツを睨んでいる。
「やあ、フランツ、花の美しい庭園に行くんじゃなかったのかい? 催眠香まで用意して・・・。」
右手に催眠香の甘い香りが漂う香炉を持って、ジェフが問う。
「ウッ・・・」
言葉を失ったフランツを睨みながら、ジェフはゆっくりと馬車を降りた。
「ローズはどこだ?」
俺がジェフを運ぶ予定だったが、この際だ、ジェフが自分の足で中に入ればいいんだ。
「ロ、ローズは、・・・こ、この洞窟の中にいる。」
フランツは洞窟を指さした。
ジェフがローズのところまで行ってから、爆薬を投げ込めばいい・・・
ところが、指さす手首をガシッとジェフに掴まれた。
「ウッ・・・」
振りほどこうにも、ジェフの力はすこぶる強く、振りほどくことができない。
「お前も一緒に来るんだ。」
フランツは、半ば引きずられるようにして、一緒に洞窟の中に入って行く。
こうなったら、ジェフが俺の腕を離した隙に逃げて、爆破させるしかない・・・
フランツは諦めて、ジェフと一緒に洞窟の奥へと進んでいく。
洞窟の一番奥は光が届かず、灯りがなければ人間には暗くて何も見えないが、ジェフにははっきり見えている。
その場所には、まだ目覚めぬローズが地面に寝かされていた。
ジェフはフランツを離し、手足を縛られているローズを抱き上げた。
今だ!
フランツは、洞窟の出口目がけて走り出した。
ちょうどその頃、メリッサは自室でお茶を飲みながら、女神像が装飾されている豪奢な時計を見ていた。
国一番の腕利きの時計職人に作らせた時計は、一秒の狂いもなく時を刻んでいる。
「もうそろそろね。・・・バカなフランツ・・・、あなた一人でやり遂げるなら、こんなことしなかったのだけれど・・・、私に関わらせたあなたがいけないのよ。」
フランツは暗い中を闇雲に走り、何度も転びながら出口を目指した。
だが、もうすぐ出口だと思った瞬間、火が点いた爆薬が投げ込まれた。
えっ?
それが何なのか瞬時に判断したフランツは、慌てて地面に伏した。
ドッカ―ン!
爆音が響き、ガラガラと土砂が音を立てて崩れだす。
フランツはすぐに起き上がろうとしたのだが、ドンと鈍い音とともに、猛烈な激痛が下半身を襲った。
「うわー!!」
フランツは思わず大きな叫び声を上げた。
激痛の原因は、天井から落ちてきた大きな岩の塊だった。
腰から足にかけて重くのしかかった岩のせいで、フランツは身動きがとれなくなってしまった。
「ううっ、助けてくれー」
叫んでみても、誰からの返事もない。
一方、ジェフはローズを抱き上げたまま、出口へと向かっていた。
爆発音と共に、上からバラバラと崩れた土砂が落ちてくるが、土砂や岩の塊は、レーザービームを目から発射し、ぶつかる前に粉々に砕きながら、前に進んだ。
出口近くで、動けなくなったフランツを見つけた。
フランツはジェフの足音に気付き、手を伸ばす。
「ジェ、ジェフリー、助けてくれ。お願いだ。助けてくれー!」
泣いて縋って助けを乞うが、ジェフはフランツを冷たい視線で一瞥しただけで、無言で通り過ぎていく。
天井からはバラバラと土砂と岩が崩れ落ち、フランツの身体を覆っていく。
「ジェ、ジェフリー、俺が悪かった。お願いだから助けてくれえ。」
ジェフの背中に叫んでも、ジェフは振り返ることもしない。
洞窟の入り口は落ちてきた土砂や岩で塞がれていたが、ジェフはレーザービームで破壊し、人が一人通れる穴を開けて、ローズと共に洞窟から出た。
その後もガラガラと崩れる音が続き、結局ジェフが開けた穴も塞がれてしまった。
ジェフは乗って来た馬車にローズを乗せて王城へと急いだ。
連絡を受けた騎士たちが、洞窟からフランツを救い出したが、残念ながら、フランツは既に帰らぬ人となっていた。
この事件は全てフランツの自作自演で、ジェフに対する嫉妬の末の凶行であると判断された。
フランツの死という彼のシナリオにはない結末を迎えてしまったが、おそらく慌てたフランツが爆薬の扱いを誤ってしまったのだろうと結論づけられた。
フランツの父親であるオルトマン伯爵の処遇について貴族会議で話し合われたが、息子の愚かな行為をオルトマン伯爵はまったく知らなかったことを強調。
罪は息子にあり、肝心の息子が死んでしまったことを考慮し、オルトマン伯爵の爵位剥奪はなく、多額の罰金刑だけで済むことになった。
この貴族会議で、シャロン侯爵の意見が通ったことは言うまでもない。
フランツの葬儀はひっそりと行われた。
幼馴染のメリッサも葬儀に参列し、墓石に花を手向けた。
愚かなフランツ・・・、結局、あなたの思う事は何一つ成されずに、あなただけが死んでしまったのね・・・。
まあいいわ。私が関わっているってことは、もう誰も知らないのだから・・・。
数少ない参列者の中に、エリオットもいた。
フランツと一緒にアーサーの友人に選ばれた一人である。
子どもの頃から、二人はアーサーと一緒に遊んだ仲間だった。
「ううっ、フランツ・・・、何でこんなことを・・・。」
エリオットの黒い瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
「涙をお拭きなさい。」
メリッサが、自分のハンカチをエリオットに差し出した。
「ああ、メリッサ、ありがとう。」
「とても残念なことだけど、フランツがしたことは許されることではないわね。」
「メリッサ・・・。」
冷たく言い放つメリッサを、エリオットは何とも言えない悲し気な目で見ていた。
それから数日後、王城では、ジェフとアーサーがお互いの情報を共有するために、護衛騎士のジョンとケイレブを交えて話し合いをしていた。
「暴走馬に使われていたのは王の実だと思われます。おそらく、あの実の成分に馬を興奮させる効果があるのでしょう。そして、あの馬に王の実を食べさせたのはフランツでした。」
「やはりそうか・・・。」
「それからフランツが爆薬の使い方を誤ったことになっていますが、それが事実かどうかはわかりません。」
「それはどういう?」
「爆発する瞬間を私が直接見たわけではないのですが、洞窟から出た際に、逃げる男を見たのです。爆破したのは、その男である可能性も考えられます。」
ローズを抱えて洞窟の外に出たジェフは、一瞬ではあるが、逃げる男の横顔を見た。
その男は、すぐに茂みに隠れて見えなくなってしまったが、画像は保存している。
「では、次は私が・・・」
手を上げたのはジョンである。
ジョンはゴールドクラウンに何度も通い、その度に酒を注文し、酒に異常が無いか確かめていた。
「昨日、出された酒が、いつもと違うように感じたので、こっそりと持って帰りました。」
ジョンは小さな水筒に入れた酒を、皆の前でグラスに注いだ。
「少し飲んだだけなのですが、何となく、気が大きくなったと言うか・・・、次は勝てると、変な自信が湧いてきたのです。そこをぐっと我慢して少ししか賭けませんでしたが、もっとたくさん飲んでいたら、あの誘惑に勝てたかどうか・・・。」
ジョンが酒の効力を皆に聞かせている間、ジェフはグラスに入った酒を目で分析していた。
―分析完了:異物混入有りー
「では、少しいただけますか?」
次にジェフは、ほん少し酒を口に含んだ。
―酒の成分分析中・・・分析完了:成分の中にあの男と同じ薬物反応有り―
「思った通り、この中には、王の実の成分が含まれているようです。この酒は大きな証拠となるでしょう。ですが、我々が王の実の証拠を掴んだことはまだ秘密にしておいた方が良いと思います。」
「ああ、そうだな。公になってしまったら、おそらくシャロン侯爵はオルトマン伯爵を切るだけで、自分は知らぬ存ぜぬを貫き通すだろうから。」
そのとき、ドアをノックする音がした。
「ああ、間に合ったようだな。入っていいぞ。」
アーサーの声で、ノックをしていた者が中に入って来た。
「殿下、ただいま戻りました。」
入ってきたのは、シュド王国に捜査に行かせたトリーだった。
「ヒッ・・・」
フランツは目を瞠り、声にならない叫びを上げる。
「な、なぜ・・・?」
ジェフの二つの青い目が、ギロリとフランツを睨んでいる。
「やあ、フランツ、花の美しい庭園に行くんじゃなかったのかい? 催眠香まで用意して・・・。」
右手に催眠香の甘い香りが漂う香炉を持って、ジェフが問う。
「ウッ・・・」
言葉を失ったフランツを睨みながら、ジェフはゆっくりと馬車を降りた。
「ローズはどこだ?」
俺がジェフを運ぶ予定だったが、この際だ、ジェフが自分の足で中に入ればいいんだ。
「ロ、ローズは、・・・こ、この洞窟の中にいる。」
フランツは洞窟を指さした。
ジェフがローズのところまで行ってから、爆薬を投げ込めばいい・・・
ところが、指さす手首をガシッとジェフに掴まれた。
「ウッ・・・」
振りほどこうにも、ジェフの力はすこぶる強く、振りほどくことができない。
「お前も一緒に来るんだ。」
フランツは、半ば引きずられるようにして、一緒に洞窟の中に入って行く。
こうなったら、ジェフが俺の腕を離した隙に逃げて、爆破させるしかない・・・
フランツは諦めて、ジェフと一緒に洞窟の奥へと進んでいく。
洞窟の一番奥は光が届かず、灯りがなければ人間には暗くて何も見えないが、ジェフにははっきり見えている。
その場所には、まだ目覚めぬローズが地面に寝かされていた。
ジェフはフランツを離し、手足を縛られているローズを抱き上げた。
今だ!
フランツは、洞窟の出口目がけて走り出した。
ちょうどその頃、メリッサは自室でお茶を飲みながら、女神像が装飾されている豪奢な時計を見ていた。
国一番の腕利きの時計職人に作らせた時計は、一秒の狂いもなく時を刻んでいる。
「もうそろそろね。・・・バカなフランツ・・・、あなた一人でやり遂げるなら、こんなことしなかったのだけれど・・・、私に関わらせたあなたがいけないのよ。」
フランツは暗い中を闇雲に走り、何度も転びながら出口を目指した。
だが、もうすぐ出口だと思った瞬間、火が点いた爆薬が投げ込まれた。
えっ?
それが何なのか瞬時に判断したフランツは、慌てて地面に伏した。
ドッカ―ン!
爆音が響き、ガラガラと土砂が音を立てて崩れだす。
フランツはすぐに起き上がろうとしたのだが、ドンと鈍い音とともに、猛烈な激痛が下半身を襲った。
「うわー!!」
フランツは思わず大きな叫び声を上げた。
激痛の原因は、天井から落ちてきた大きな岩の塊だった。
腰から足にかけて重くのしかかった岩のせいで、フランツは身動きがとれなくなってしまった。
「ううっ、助けてくれー」
叫んでみても、誰からの返事もない。
一方、ジェフはローズを抱き上げたまま、出口へと向かっていた。
爆発音と共に、上からバラバラと崩れた土砂が落ちてくるが、土砂や岩の塊は、レーザービームを目から発射し、ぶつかる前に粉々に砕きながら、前に進んだ。
出口近くで、動けなくなったフランツを見つけた。
フランツはジェフの足音に気付き、手を伸ばす。
「ジェ、ジェフリー、助けてくれ。お願いだ。助けてくれー!」
泣いて縋って助けを乞うが、ジェフはフランツを冷たい視線で一瞥しただけで、無言で通り過ぎていく。
天井からはバラバラと土砂と岩が崩れ落ち、フランツの身体を覆っていく。
「ジェ、ジェフリー、俺が悪かった。お願いだから助けてくれえ。」
ジェフの背中に叫んでも、ジェフは振り返ることもしない。
洞窟の入り口は落ちてきた土砂や岩で塞がれていたが、ジェフはレーザービームで破壊し、人が一人通れる穴を開けて、ローズと共に洞窟から出た。
その後もガラガラと崩れる音が続き、結局ジェフが開けた穴も塞がれてしまった。
ジェフは乗って来た馬車にローズを乗せて王城へと急いだ。
連絡を受けた騎士たちが、洞窟からフランツを救い出したが、残念ながら、フランツは既に帰らぬ人となっていた。
この事件は全てフランツの自作自演で、ジェフに対する嫉妬の末の凶行であると判断された。
フランツの死という彼のシナリオにはない結末を迎えてしまったが、おそらく慌てたフランツが爆薬の扱いを誤ってしまったのだろうと結論づけられた。
フランツの父親であるオルトマン伯爵の処遇について貴族会議で話し合われたが、息子の愚かな行為をオルトマン伯爵はまったく知らなかったことを強調。
罪は息子にあり、肝心の息子が死んでしまったことを考慮し、オルトマン伯爵の爵位剥奪はなく、多額の罰金刑だけで済むことになった。
この貴族会議で、シャロン侯爵の意見が通ったことは言うまでもない。
フランツの葬儀はひっそりと行われた。
幼馴染のメリッサも葬儀に参列し、墓石に花を手向けた。
愚かなフランツ・・・、結局、あなたの思う事は何一つ成されずに、あなただけが死んでしまったのね・・・。
まあいいわ。私が関わっているってことは、もう誰も知らないのだから・・・。
数少ない参列者の中に、エリオットもいた。
フランツと一緒にアーサーの友人に選ばれた一人である。
子どもの頃から、二人はアーサーと一緒に遊んだ仲間だった。
「ううっ、フランツ・・・、何でこんなことを・・・。」
エリオットの黒い瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
「涙をお拭きなさい。」
メリッサが、自分のハンカチをエリオットに差し出した。
「ああ、メリッサ、ありがとう。」
「とても残念なことだけど、フランツがしたことは許されることではないわね。」
「メリッサ・・・。」
冷たく言い放つメリッサを、エリオットは何とも言えない悲し気な目で見ていた。
それから数日後、王城では、ジェフとアーサーがお互いの情報を共有するために、護衛騎士のジョンとケイレブを交えて話し合いをしていた。
「暴走馬に使われていたのは王の実だと思われます。おそらく、あの実の成分に馬を興奮させる効果があるのでしょう。そして、あの馬に王の実を食べさせたのはフランツでした。」
「やはりそうか・・・。」
「それからフランツが爆薬の使い方を誤ったことになっていますが、それが事実かどうかはわかりません。」
「それはどういう?」
「爆発する瞬間を私が直接見たわけではないのですが、洞窟から出た際に、逃げる男を見たのです。爆破したのは、その男である可能性も考えられます。」
ローズを抱えて洞窟の外に出たジェフは、一瞬ではあるが、逃げる男の横顔を見た。
その男は、すぐに茂みに隠れて見えなくなってしまったが、画像は保存している。
「では、次は私が・・・」
手を上げたのはジョンである。
ジョンはゴールドクラウンに何度も通い、その度に酒を注文し、酒に異常が無いか確かめていた。
「昨日、出された酒が、いつもと違うように感じたので、こっそりと持って帰りました。」
ジョンは小さな水筒に入れた酒を、皆の前でグラスに注いだ。
「少し飲んだだけなのですが、何となく、気が大きくなったと言うか・・・、次は勝てると、変な自信が湧いてきたのです。そこをぐっと我慢して少ししか賭けませんでしたが、もっとたくさん飲んでいたら、あの誘惑に勝てたかどうか・・・。」
ジョンが酒の効力を皆に聞かせている間、ジェフはグラスに入った酒を目で分析していた。
―分析完了:異物混入有りー
「では、少しいただけますか?」
次にジェフは、ほん少し酒を口に含んだ。
―酒の成分分析中・・・分析完了:成分の中にあの男と同じ薬物反応有り―
「思った通り、この中には、王の実の成分が含まれているようです。この酒は大きな証拠となるでしょう。ですが、我々が王の実の証拠を掴んだことはまだ秘密にしておいた方が良いと思います。」
「ああ、そうだな。公になってしまったら、おそらくシャロン侯爵はオルトマン伯爵を切るだけで、自分は知らぬ存ぜぬを貫き通すだろうから。」
そのとき、ドアをノックする音がした。
「ああ、間に合ったようだな。入っていいぞ。」
アーサーの声で、ノックをしていた者が中に入って来た。
「殿下、ただいま戻りました。」
入ってきたのは、シュド王国に捜査に行かせたトリーだった。
20
あなたにおすすめの小説
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、そして政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に行動する勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、そして試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私が、
魔王討伐の旅路の中で、“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※「小説家になろう」にも掲載。(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
【完結】何もできない妻が愛する隻眼騎士のためにできること
大森 樹
恋愛
辺境伯の娘であるナディアは、幼い頃ドラゴンに襲われているところを騎士エドムンドに助けられた。
それから十年が経過し、成長したナディアは国王陛下からあるお願いをされる。その願いとは『エドムンドとの結婚』だった。
幼い頃から憧れていたエドムンドとの結婚は、ナディアにとって願ってもいないことだったが、その結婚は妻というよりは『世話係』のようなものだった。
誰よりも強い騎士団長だったエドムンドは、ある事件で左目を失ってから騎士をやめ、酒を浴びるほど飲み、自堕落な生活を送っているため今はもう英雄とは思えない姿になっていた。
貴族令嬢らしいことは何もできない仮の妻が、愛する隻眼騎士のためにできることはあるのか?
前向き一途な辺境伯令嬢×俺様で不器用な最強騎士の物語です。
※いつもお読みいただきありがとうございます。中途半端なところで長期間投稿止まってしまい申し訳ありません。2025年10月6日〜投稿再開しております。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
出ていってください!~結婚相手に裏切られた令嬢はなぜか騎士様に溺愛される~
白井
恋愛
イヴェット・オーダム男爵令嬢の幸せな結婚生活が始まる……はずだった。
父の死後、急に態度が変わった結婚相手にイヴェットは振り回されていた。
財産を食いつぶす義母、継いだ仕事を放棄して不貞を続ける夫。
それでも家族の形を維持しようと努力するイヴェットは、ついに殺されかける。
「もう我慢の限界。あなたたちにはこの家から出ていってもらいます」
覚悟を決めたら、なぜか騎士団長様が執着してきたけれど困ります!
〘完〙なぜかモブの私がイケメン王子に強引に迫られてます 〜転生したら推しのヒロインが不在でした〜
hanakuro
恋愛
転生してみたら、そこは大好きな漫画の世界だった・・・
OLの梨奈は、事故により突然その生涯閉じる。
しかし次に気付くと、彼女は伯爵令嬢に転生していた。しかも、大好きだった漫画の中のたったのワンシーンに出てくる名もないモブ。
モブならお気楽に推しのヒロインを観察して過ごせると思っていたら、まさかのヒロインがいない!?
そして、推し不在に落胆する彼女に王子からまさかの強引なアプローチが・・
王子!その愛情はヒロインに向けてっ!
私、モブですから!
果たしてヒロインは、どこに行ったのか!?
そしてリーナは、王子の強引なアプローチから逃れることはできるのか!?
イケメン王子に翻弄される伯爵令嬢の恋模様が始まる。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる