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65話外伝 あなたの腕の中で3 裏通りの出来事
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次の日も、エドワードはアデルに会いに行きたいという衝動に駆られたが、ぐっと我慢した。
用もないのに、押しかけては、しつこい男だと嫌われるかもしれない・・・。
そう思うと、行動に移せなかった。
一週間後、ケガが完全に治ったフレッドとカイルを従えて、いつものように町の視察に出かけたエドワードであるが、病院に行きたい気持ちと、嫌われたくない気持ちがせめぎ合い、結局病院に足を向けることはなかった。
だが、恋する男の嗅覚だろうか、露店商が所狭しと並ぶ通りでアデルを見つけた。
周りは人がいっぱいで、アデルはまったくエドワードに気付いていない。
今日のアデルは、男物の医師服ではなく、モスグリーンのワンピースを着用し、落ち着いた服の色が町の中に溶け込んでいるのだが、背中まで伸びているピンクブロンドの髪色がキラキラ光りそこだけが目立って見えた。
アデルは、店でリンゴを買い、次の目的地へ向かって歩き出す。
エドワードは、つい、ふらふらとピンクの光を追いかけた。
エドワードがふらりと一点を見つめて歩き出したので、護衛のフレッドもカイルも何事かと訝しんだが、その視線の先にピンクブロンドの髪色のワンピース姿の女性がいることに気が付いた。
あの女性は女医のアデル・・・
殿下は何故か、彼女に興味を示しているようだ。
日頃、女っ気がないエドワードだったので、カイルは意外なことに少し驚いた。
フレッドは、一週間前に何となく感じた不安が的中したのではないかと心配になる。
だが、今はエドワードの行動を黙って見守るしかない。
アデルは賑やかな表通りから、さびれた裏通りへと入っていく。
ここは治安が悪く、若い女性が一人で歩くには危険な場所だ。
アデルは裏通りを足早に歩き、最後は古いボロ家の中に入っていった。
何故こんなところに彼女は来たのだろうか?
知りたくなったエドワードは、ボロ家の窓の下に移動し、窓からそっと家の中を覗く。
フレッドもカイルも、釣られて同じように家の中を覗いた。
中にはベッドで横になっている老婆がいた。
アデルは、その老婆に会いに来たようである。
「おばあさん、お加減はどうですか?」
「先生、いつもありがとうございます。」
老婆は礼を言いながらもゴホゴホと咳をする。
「気にしないでくださいね。私は買い物のついでに来ただけですから・・・。」
ほらっと、リンゴとパンが入った籠を見せる。
「まだ完全には治っていませんね。では、この薬を続けて飲んでくださいね。」
そう言うと、アデルは薬をベッドの横にあるテーブルの上に置いた。
「先生、前にも言いましたが、この家には薬代を払うお金がありません。息子が生きていれば、なんとかなったのでしょうが・・・。」
「お代は気にしなくても良いのですよ。早く元気になって、市場でまた私に果物を売ってくださいね。おばあさんが売ってくれる果物はとても美味しいのですから。」
アデルは、薬の横にパンとリンゴを三個ずつ置いてこの家を出た。
エドワードたち三人は、アデルが出てくる際に慌てて隠れたのだが、アデルは三人に気が付かずに、そのまま通りへと向かって歩き出した。
エドワードは、アデルに気づかれなかったことにほっとするのだった。
それにしても・・・とエドワードは思う。
アデルはついでに来たと言っていたが、ついでなんかじゃなく、初めから老婆に会うつもりで来たのだろう。
老婆の心を軽くするための方便なのだな・・・。
エドワードは、アデルの優しさに触れたようで嬉しくなった。
治安の悪い裏通りを一人で歩いているアデルが心配で、エドワードはこっそりと彼女の後をつけた。
フレッドとカイルもそれに続く。
すると、案の定、アデルはガラの悪そうな男二人に声をかけられた。
二人とも昼間っから酒を飲んでいるのか、顔が赤い。
「おい、姉ちゃん。ちょっと付き合ってくれよ。」
「美人の姉ちゃんに酒を注いでもらいたいんだがな。」
アデルは無視してその場を通り過ぎようとしたが、男に腕を掴まれてしまった。
「放してください。人を呼びますよ。」
「こんなところで人を呼んでも誰も来ないさ。なあ、姉ちゃん、いいだろ?」
酒臭い息を吐きながら、男がアデルに詰め寄る。
アデルはキッと男を睨むが、男は掴んだ腕を放す気はないようだ。
アデルは大きく息を吸って大声で叫んだ。
「誰かー、助けてくださいー」
「はっ、誰も来ない・・・」
男が言い終わらないうちに、どこからともなく颯爽と男が三人現れた。
「汚い手を放せ。」
黒髪の男が酔っ払いの腕を掴んでアデルから引き離し、濃紺の髪色の男は引き離された男の腕をねじり上げて拘束、茶髪でガタイの良い男は、もう一人の男の腕をねじり上げた。
「は、放せ!」
「二度とこんなことをしないと誓うなら放してやろう。」
エドワードが言うと、男たちは酔いが醒めたように叫んだ。
「わ、わかったから、二度としないと誓うから、放してくれ!」
ようやく自由になった男二人は、一目散にこの場を去っていった。
「あ、ありがとうございます。本当に助かりました。」
アデルが礼を言った際に、はっと気が付いた。
「あなたは一週間前に頭をケガした男性ですね。たしか・・・、フレッドさん? 濃紺の髪色で思い出しました。」
治療を受けた患者は、カルテに名前を記するので、アデルはフレッドの名前を憶えていた。
「はい。そうです。覚えていてくれたのですね。」
「ええ、もう来なくて良いと言ったものの、また傷口が開かないかと心配していたんです。」
「いただいた薬のお陰で、すっかり治りましたよ。」
「まあ、それは良かったです。」
アデルがフレッドとばかり話をするので、エドワードは二人の会話を遮るようにコホンと咳ばらいをする。
「あなたは黒髪の・・・、お名前を聞いてなかったのですが・・・」
ようやく視線を自分に向けてくれたことが嬉しくて、エドワードはにっこりと微笑んだ。
「私の名前はエドです。それから、こちらはカイルです。」
エドワードは、ついでにカイルの紹介もする。
「エドさんと、カイルさんですね。皆さんに今日はたいへんお世話になったので、何かお礼をしたいのですが・・・。」
この言葉に、エドワードの碧眼がきらりと光った。
「あ、それなら、一緒にお茶でもしませんか? あの、良かったら、私たちにお茶をおごってください。」
「お、お茶ですか?」
「はい、そうです。悪者をやっつけたら、喉が渇いてしまいまして・・・」
エドワードはアデルと関わり合えるチャンスだとばかりに、なんとか約束を取り付けようと必死である。
「あの・・・、私はこれから仕事があるので、お茶をする時間はないのですが・・・」
途端にエドワードがシュンとなる。
「でも、お昼休憩の時間、私は病院に隣接している我が家で昼食をとっているのです。よろしかったら、そちらに来ませんか? 簡単な昼食程度ならご馳走できると思います。」
シュンとなったエドワードの顔に、力が湧いてきた。
「本当によろしいのですか? ぜひぜひお伺いします。」
このやり取りをカイルは興味津々で見ていたが、フレッドは心配そうに見ていた。
昼食時間までエドワードは町の視察をしていたが、心ここにあらずで、そんな主をフレッドもカイルも呆れ気味で見守っていた。
時間になると、エドワードは病院にいそいそと入って行き、いつもの白衣姿のアデルが三人を出迎えた。
「お父様、先ほど話した方たちです。この方たちが私を助けてくれたのです。」
アデルが、父親のランドン・ブルクハルト男爵に三人を紹介する。
「こちらから、エドワードさん、フレッドさん、カイルさんです。」
ランドンは、こげ茶色の短髪で口ひげが印象的な医者である。
白衣の上から聴診器をぶら下げていて、いかにも医者だと言う風情である。
三人を見ると、青い目を細めてにこやかに微笑んだ。
「娘が世話をかけたようですな。助けていただきまして、ありがとうございます。」
男爵であるにも関わらず、平民にも丁寧な礼を言うランドンを見て、エドワードは、感心した。
この父親に育てられたから、アデルは素敵な女性に育ったんだろう・・・
「お父様、今からお昼休憩に入ります。」
「ああ、行っておいで。」
急患が来た時に医者がいないと困るので、昼休憩は父親とアデルは交代してとるようにしている。
隣接している男爵邸は貴族の屋敷にしてはかなり小さい。
町の中心地で病院を経営しているので、隣接した屋敷を作れば、どうしても土地が狭くなってしまうのである。
郊外に屋敷を構えれば、もっと大きな屋敷にすることもできたのだが、ブルクハルト男爵家は、代々利便性を考えて、この場所から屋敷を移動させることはなかった。
屋敷の中にアデルとエドワードたちが入ると、母親のマーゴットが出迎えた。
用もないのに、押しかけては、しつこい男だと嫌われるかもしれない・・・。
そう思うと、行動に移せなかった。
一週間後、ケガが完全に治ったフレッドとカイルを従えて、いつものように町の視察に出かけたエドワードであるが、病院に行きたい気持ちと、嫌われたくない気持ちがせめぎ合い、結局病院に足を向けることはなかった。
だが、恋する男の嗅覚だろうか、露店商が所狭しと並ぶ通りでアデルを見つけた。
周りは人がいっぱいで、アデルはまったくエドワードに気付いていない。
今日のアデルは、男物の医師服ではなく、モスグリーンのワンピースを着用し、落ち着いた服の色が町の中に溶け込んでいるのだが、背中まで伸びているピンクブロンドの髪色がキラキラ光りそこだけが目立って見えた。
アデルは、店でリンゴを買い、次の目的地へ向かって歩き出す。
エドワードは、つい、ふらふらとピンクの光を追いかけた。
エドワードがふらりと一点を見つめて歩き出したので、護衛のフレッドもカイルも何事かと訝しんだが、その視線の先にピンクブロンドの髪色のワンピース姿の女性がいることに気が付いた。
あの女性は女医のアデル・・・
殿下は何故か、彼女に興味を示しているようだ。
日頃、女っ気がないエドワードだったので、カイルは意外なことに少し驚いた。
フレッドは、一週間前に何となく感じた不安が的中したのではないかと心配になる。
だが、今はエドワードの行動を黙って見守るしかない。
アデルは賑やかな表通りから、さびれた裏通りへと入っていく。
ここは治安が悪く、若い女性が一人で歩くには危険な場所だ。
アデルは裏通りを足早に歩き、最後は古いボロ家の中に入っていった。
何故こんなところに彼女は来たのだろうか?
知りたくなったエドワードは、ボロ家の窓の下に移動し、窓からそっと家の中を覗く。
フレッドもカイルも、釣られて同じように家の中を覗いた。
中にはベッドで横になっている老婆がいた。
アデルは、その老婆に会いに来たようである。
「おばあさん、お加減はどうですか?」
「先生、いつもありがとうございます。」
老婆は礼を言いながらもゴホゴホと咳をする。
「気にしないでくださいね。私は買い物のついでに来ただけですから・・・。」
ほらっと、リンゴとパンが入った籠を見せる。
「まだ完全には治っていませんね。では、この薬を続けて飲んでくださいね。」
そう言うと、アデルは薬をベッドの横にあるテーブルの上に置いた。
「先生、前にも言いましたが、この家には薬代を払うお金がありません。息子が生きていれば、なんとかなったのでしょうが・・・。」
「お代は気にしなくても良いのですよ。早く元気になって、市場でまた私に果物を売ってくださいね。おばあさんが売ってくれる果物はとても美味しいのですから。」
アデルは、薬の横にパンとリンゴを三個ずつ置いてこの家を出た。
エドワードたち三人は、アデルが出てくる際に慌てて隠れたのだが、アデルは三人に気が付かずに、そのまま通りへと向かって歩き出した。
エドワードは、アデルに気づかれなかったことにほっとするのだった。
それにしても・・・とエドワードは思う。
アデルはついでに来たと言っていたが、ついでなんかじゃなく、初めから老婆に会うつもりで来たのだろう。
老婆の心を軽くするための方便なのだな・・・。
エドワードは、アデルの優しさに触れたようで嬉しくなった。
治安の悪い裏通りを一人で歩いているアデルが心配で、エドワードはこっそりと彼女の後をつけた。
フレッドとカイルもそれに続く。
すると、案の定、アデルはガラの悪そうな男二人に声をかけられた。
二人とも昼間っから酒を飲んでいるのか、顔が赤い。
「おい、姉ちゃん。ちょっと付き合ってくれよ。」
「美人の姉ちゃんに酒を注いでもらいたいんだがな。」
アデルは無視してその場を通り過ぎようとしたが、男に腕を掴まれてしまった。
「放してください。人を呼びますよ。」
「こんなところで人を呼んでも誰も来ないさ。なあ、姉ちゃん、いいだろ?」
酒臭い息を吐きながら、男がアデルに詰め寄る。
アデルはキッと男を睨むが、男は掴んだ腕を放す気はないようだ。
アデルは大きく息を吸って大声で叫んだ。
「誰かー、助けてくださいー」
「はっ、誰も来ない・・・」
男が言い終わらないうちに、どこからともなく颯爽と男が三人現れた。
「汚い手を放せ。」
黒髪の男が酔っ払いの腕を掴んでアデルから引き離し、濃紺の髪色の男は引き離された男の腕をねじり上げて拘束、茶髪でガタイの良い男は、もう一人の男の腕をねじり上げた。
「は、放せ!」
「二度とこんなことをしないと誓うなら放してやろう。」
エドワードが言うと、男たちは酔いが醒めたように叫んだ。
「わ、わかったから、二度としないと誓うから、放してくれ!」
ようやく自由になった男二人は、一目散にこの場を去っていった。
「あ、ありがとうございます。本当に助かりました。」
アデルが礼を言った際に、はっと気が付いた。
「あなたは一週間前に頭をケガした男性ですね。たしか・・・、フレッドさん? 濃紺の髪色で思い出しました。」
治療を受けた患者は、カルテに名前を記するので、アデルはフレッドの名前を憶えていた。
「はい。そうです。覚えていてくれたのですね。」
「ええ、もう来なくて良いと言ったものの、また傷口が開かないかと心配していたんです。」
「いただいた薬のお陰で、すっかり治りましたよ。」
「まあ、それは良かったです。」
アデルがフレッドとばかり話をするので、エドワードは二人の会話を遮るようにコホンと咳ばらいをする。
「あなたは黒髪の・・・、お名前を聞いてなかったのですが・・・」
ようやく視線を自分に向けてくれたことが嬉しくて、エドワードはにっこりと微笑んだ。
「私の名前はエドです。それから、こちらはカイルです。」
エドワードは、ついでにカイルの紹介もする。
「エドさんと、カイルさんですね。皆さんに今日はたいへんお世話になったので、何かお礼をしたいのですが・・・。」
この言葉に、エドワードの碧眼がきらりと光った。
「あ、それなら、一緒にお茶でもしませんか? あの、良かったら、私たちにお茶をおごってください。」
「お、お茶ですか?」
「はい、そうです。悪者をやっつけたら、喉が渇いてしまいまして・・・」
エドワードはアデルと関わり合えるチャンスだとばかりに、なんとか約束を取り付けようと必死である。
「あの・・・、私はこれから仕事があるので、お茶をする時間はないのですが・・・」
途端にエドワードがシュンとなる。
「でも、お昼休憩の時間、私は病院に隣接している我が家で昼食をとっているのです。よろしかったら、そちらに来ませんか? 簡単な昼食程度ならご馳走できると思います。」
シュンとなったエドワードの顔に、力が湧いてきた。
「本当によろしいのですか? ぜひぜひお伺いします。」
このやり取りをカイルは興味津々で見ていたが、フレッドは心配そうに見ていた。
昼食時間までエドワードは町の視察をしていたが、心ここにあらずで、そんな主をフレッドもカイルも呆れ気味で見守っていた。
時間になると、エドワードは病院にいそいそと入って行き、いつもの白衣姿のアデルが三人を出迎えた。
「お父様、先ほど話した方たちです。この方たちが私を助けてくれたのです。」
アデルが、父親のランドン・ブルクハルト男爵に三人を紹介する。
「こちらから、エドワードさん、フレッドさん、カイルさんです。」
ランドンは、こげ茶色の短髪で口ひげが印象的な医者である。
白衣の上から聴診器をぶら下げていて、いかにも医者だと言う風情である。
三人を見ると、青い目を細めてにこやかに微笑んだ。
「娘が世話をかけたようですな。助けていただきまして、ありがとうございます。」
男爵であるにも関わらず、平民にも丁寧な礼を言うランドンを見て、エドワードは、感心した。
この父親に育てられたから、アデルは素敵な女性に育ったんだろう・・・
「お父様、今からお昼休憩に入ります。」
「ああ、行っておいで。」
急患が来た時に医者がいないと困るので、昼休憩は父親とアデルは交代してとるようにしている。
隣接している男爵邸は貴族の屋敷にしてはかなり小さい。
町の中心地で病院を経営しているので、隣接した屋敷を作れば、どうしても土地が狭くなってしまうのである。
郊外に屋敷を構えれば、もっと大きな屋敷にすることもできたのだが、ブルクハルト男爵家は、代々利便性を考えて、この場所から屋敷を移動させることはなかった。
屋敷の中にアデルとエドワードたちが入ると、母親のマーゴットが出迎えた。
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