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欲望
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使用人に告げ、部屋へ案内してもらった。
客間と思われるきちんとベッドメイクされた豪華な部屋だった。部屋には仄かな明かりが灯り、部屋全体を把握することができるくらいだった。
奥にある広いベッドまで運んでくれたノアがそっと縁に下ろして二人で腰掛けた。
「はぁ……、運んでいただき、ありがとうございます。わたくしはもう少しここで休んでいきますから、ノアは会場に戻ってください」
ノアのおかげでだいぶ落ち着いたが、それでもジョセフのいるあの場には戻りたくなかった。
ジョセフはよほど思い入れがない限り、同じ相手に声は掛けない。
小説では何度もレイリンにちょっかいをかけ、二人きりになるよう仕向けていた。
そして、まだ三人のアプローチに迷っていたレイリンを翻弄するように、甘い言葉と罠をしかけて迫っていたことを思い出した。
(もう、わたくしに声をかけることはないと思いますが……。さすがに疲れましたし、気が抜けてしまいましたわ……)
また、ふぅ……と安堵の息を吐く。
「いや。心配だし、あんたが落ち着くまで俺もここにいる。それより、アイツになんて言われたんだ?」
ジョセフに言われたことを思い出し、グッと言葉に詰まった。
「それはっ……」
ミレールの肩を掴んだノアの顔はまだ眉間に皺が寄り、不機嫌さが抜けていない。
(わたくしを屈伏させて、ベッドで啼かせたい……などとノアに伝えたら、殺しにいきそうな雰囲気ですわ)
「ミレール」
有無を言わせぬ強い口調に、真っ直ぐみつめる瑠璃色の瞳。掴んでいた手に力が籠もり、誤魔化すことを許さないと無言で告げている。
「っ」
ノアの真剣さにミレールは大きく瞳を開いた。
不謹慎ながら、自分のことで嫉妬してくれることが嬉しかった。ノアは真剣に怒っているのに、そのことに喜びを感じている自分がいる。
少しオブラートに包むように、曖昧に言われた言葉を伝えていく。
「また、誘われましたの。二人で、抜け出さないかと……」
「――ッ!! よくも懲りずに人の妻をッ!! もう許さんぞッ!!」
勢いよく立ち上がり拳を握り締めて激高するノアに、ミレールも立ち上がり慌てて止めに入る。
「ノアッ! お待ちくださいッ!」
「アイツを庇うつもりか!?」
ノアの体に抱きついて引き留めるが、ノアの気持ちは治まらないのか、険しい表情でミレールを問い詰めてきている。
「違います! あのように不貞を働く輩を庇うつもりなど、毛ほどもありませんわ。そうではなく……、もう少しだけ、ノアに触れていてはいけませんか?」
ノアの背中に腕を回し、厚く逞しい胸元に頬をつけて抱きついた。ジョセフに触られた不快感がずっと体に残っていて気持ち悪かった。
「貴方以外の男性に触れられることがとても不快でっ……あんなにも嫌悪感を抱くと思いませんでした。ですが、こうしてノアに触れていると、とても落ち着きます」
今まで感じたことがないくらい、不思議な感覚だった。
同じ男性なのに、触れてる相手がノアだというだけでこんなにも安らいだ気持ちになれる。
ノアとだったらいつまでも触れていたい。
「珍しいな。あんたから甘えてくるなんて」
抱きついていたミレールの頬をスッと撫でたかと思うと、顎を指で掬って上を向かせた。
目が合ったノアの表情は少し和らいでいて、言葉を発する間もなく唇が重なった。
「んっ」
慣れた作業のようにミレールの唇を奪い、深く唇を重ねて舌をねじ込んでくる。
「んぅっ! ……っ、……ん!」
鼻から抜けるようなくぐもった声がもれ、性急に差し込まれた舌で腔内を蹂躙される。
「舌……、もっと、出せって……」
急かすように掠れた声で催促され、ミレールも舌を出してそれに応じる。日々上達しているノアの舌が巧みに動き、ミレールもノアに合わせて舌を絡めていく。
「はぁっ……ぁ」
しばらく貪られていた唇が離された時には、もう体が火照ったように熱くなっていた。
ノアは啄むように軽くキスを落とし、徐々に下へと唇を移動させていく。
「ん、ぁ……」
ドレスの上からミレールの豊満な乳房を撫で、首筋に唇を当ててチュッと強く吸っている。
「ッ、の、あっ」
「どうだ? 欲しくなってきただろ?」
ここでイタす事まで考えていなかったミレールは、瞬時に顔を赤らめてノアを注視する。
「なっ! そこまではっ! こんな場所で、など……さすがに憚られますわ」
恥ずかしさにパッと横を向き、ノアから顔を反らした。
ノアのキスは官能を誘い、ミレールの劣情を刺激しつつあるが、パーティーで訪れた他人の邸宅でなど、ミレールの常識からは考えられなかった。
「まだ、足りないか……じゃあ、あんたが欲しくなるようにすればいいかな?」
不穏な言葉を放ったノアが、胸元の大きく開いていたドレスをコルセットごと下へと強引にずらしている。
「ノアっ?! あっ……!」
ふるりと外気に晒されたミレールの肉付きのよい双丘をそっと両手で掴み、その中央で存在を主張している敏感な薔薇色の突起に指を伸ばす。
「んっ! んんっ……!」
触れるか触れないかの絶妙な指使いに、さらなる官能が刺激され、すぐに甘い声があがる。
「あッ、あッ! そ、れッ……、やぁッ……!」
甘く切ない刺激に、ビクビクと跳ねる体をノアの腕を掴みながら耐えていた。
口からは勝手にはしたない声が漏れ、刺激されている先端と連動するように、秘部から蜜がじわりとあふれ下着を湿らせていく。
「もう硬く尖ってる……ほら、わかるだろ?」
ツンと上を向いた先端を指先でキュッと強めに抓まれて、ビクンッと体が大きく跳ねた。
「ひぁッ!」
先ほどまで焦れったいほど軽く触れていた先端を、今度は指先に力を込めて大胆に弄っている。
「んんッ! あッ! ぁ……やっ、あ!」
指先で弄っていた薔薇色の突起をパクリと口に含んだ。
「――あぁッ!!」
大きく体が仰け反り、さらに甲高い声が部屋に響いた。
客間と思われるきちんとベッドメイクされた豪華な部屋だった。部屋には仄かな明かりが灯り、部屋全体を把握することができるくらいだった。
奥にある広いベッドまで運んでくれたノアがそっと縁に下ろして二人で腰掛けた。
「はぁ……、運んでいただき、ありがとうございます。わたくしはもう少しここで休んでいきますから、ノアは会場に戻ってください」
ノアのおかげでだいぶ落ち着いたが、それでもジョセフのいるあの場には戻りたくなかった。
ジョセフはよほど思い入れがない限り、同じ相手に声は掛けない。
小説では何度もレイリンにちょっかいをかけ、二人きりになるよう仕向けていた。
そして、まだ三人のアプローチに迷っていたレイリンを翻弄するように、甘い言葉と罠をしかけて迫っていたことを思い出した。
(もう、わたくしに声をかけることはないと思いますが……。さすがに疲れましたし、気が抜けてしまいましたわ……)
また、ふぅ……と安堵の息を吐く。
「いや。心配だし、あんたが落ち着くまで俺もここにいる。それより、アイツになんて言われたんだ?」
ジョセフに言われたことを思い出し、グッと言葉に詰まった。
「それはっ……」
ミレールの肩を掴んだノアの顔はまだ眉間に皺が寄り、不機嫌さが抜けていない。
(わたくしを屈伏させて、ベッドで啼かせたい……などとノアに伝えたら、殺しにいきそうな雰囲気ですわ)
「ミレール」
有無を言わせぬ強い口調に、真っ直ぐみつめる瑠璃色の瞳。掴んでいた手に力が籠もり、誤魔化すことを許さないと無言で告げている。
「っ」
ノアの真剣さにミレールは大きく瞳を開いた。
不謹慎ながら、自分のことで嫉妬してくれることが嬉しかった。ノアは真剣に怒っているのに、そのことに喜びを感じている自分がいる。
少しオブラートに包むように、曖昧に言われた言葉を伝えていく。
「また、誘われましたの。二人で、抜け出さないかと……」
「――ッ!! よくも懲りずに人の妻をッ!! もう許さんぞッ!!」
勢いよく立ち上がり拳を握り締めて激高するノアに、ミレールも立ち上がり慌てて止めに入る。
「ノアッ! お待ちくださいッ!」
「アイツを庇うつもりか!?」
ノアの体に抱きついて引き留めるが、ノアの気持ちは治まらないのか、険しい表情でミレールを問い詰めてきている。
「違います! あのように不貞を働く輩を庇うつもりなど、毛ほどもありませんわ。そうではなく……、もう少しだけ、ノアに触れていてはいけませんか?」
ノアの背中に腕を回し、厚く逞しい胸元に頬をつけて抱きついた。ジョセフに触られた不快感がずっと体に残っていて気持ち悪かった。
「貴方以外の男性に触れられることがとても不快でっ……あんなにも嫌悪感を抱くと思いませんでした。ですが、こうしてノアに触れていると、とても落ち着きます」
今まで感じたことがないくらい、不思議な感覚だった。
同じ男性なのに、触れてる相手がノアだというだけでこんなにも安らいだ気持ちになれる。
ノアとだったらいつまでも触れていたい。
「珍しいな。あんたから甘えてくるなんて」
抱きついていたミレールの頬をスッと撫でたかと思うと、顎を指で掬って上を向かせた。
目が合ったノアの表情は少し和らいでいて、言葉を発する間もなく唇が重なった。
「んっ」
慣れた作業のようにミレールの唇を奪い、深く唇を重ねて舌をねじ込んでくる。
「んぅっ! ……っ、……ん!」
鼻から抜けるようなくぐもった声がもれ、性急に差し込まれた舌で腔内を蹂躙される。
「舌……、もっと、出せって……」
急かすように掠れた声で催促され、ミレールも舌を出してそれに応じる。日々上達しているノアの舌が巧みに動き、ミレールもノアに合わせて舌を絡めていく。
「はぁっ……ぁ」
しばらく貪られていた唇が離された時には、もう体が火照ったように熱くなっていた。
ノアは啄むように軽くキスを落とし、徐々に下へと唇を移動させていく。
「ん、ぁ……」
ドレスの上からミレールの豊満な乳房を撫で、首筋に唇を当ててチュッと強く吸っている。
「ッ、の、あっ」
「どうだ? 欲しくなってきただろ?」
ここでイタす事まで考えていなかったミレールは、瞬時に顔を赤らめてノアを注視する。
「なっ! そこまではっ! こんな場所で、など……さすがに憚られますわ」
恥ずかしさにパッと横を向き、ノアから顔を反らした。
ノアのキスは官能を誘い、ミレールの劣情を刺激しつつあるが、パーティーで訪れた他人の邸宅でなど、ミレールの常識からは考えられなかった。
「まだ、足りないか……じゃあ、あんたが欲しくなるようにすればいいかな?」
不穏な言葉を放ったノアが、胸元の大きく開いていたドレスをコルセットごと下へと強引にずらしている。
「ノアっ?! あっ……!」
ふるりと外気に晒されたミレールの肉付きのよい双丘をそっと両手で掴み、その中央で存在を主張している敏感な薔薇色の突起に指を伸ばす。
「んっ! んんっ……!」
触れるか触れないかの絶妙な指使いに、さらなる官能が刺激され、すぐに甘い声があがる。
「あッ、あッ! そ、れッ……、やぁッ……!」
甘く切ない刺激に、ビクビクと跳ねる体をノアの腕を掴みながら耐えていた。
口からは勝手にはしたない声が漏れ、刺激されている先端と連動するように、秘部から蜜がじわりとあふれ下着を湿らせていく。
「もう硬く尖ってる……ほら、わかるだろ?」
ツンと上を向いた先端を指先でキュッと強めに抓まれて、ビクンッと体が大きく跳ねた。
「ひぁッ!」
先ほどまで焦れったいほど軽く触れていた先端を、今度は指先に力を込めて大胆に弄っている。
「んんッ! あッ! ぁ……やっ、あ!」
指先で弄っていた薔薇色の突起をパクリと口に含んだ。
「――あぁッ!!」
大きく体が仰け反り、さらに甲高い声が部屋に響いた。
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