虐げられた第八王女は冷酷公爵に愛される

ウリ坊

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番外編

初夜 11

 
 ベッドに倒れ込み激しくも甘い余韻に、クラウディアの身体はまだピクピクと小刻みに痙攣している。
 ジークフリートは残滓を全てクラウディアの膣内へと放ったのか、ゆっくりと熱い塊を抜いていた。

「あ…、は……んっ…」

 抜かれた内壁の喪失感に身を縮めている。
 久方ぶりの情事にクラウディアはひたすら熱い吐息を溢し、酒のせいもあり増幅された快楽の余韻に身も心も支配されていた。

「ふっ…、えらく満足気だな」

 絶頂を極めたクラウディアの表情があまりに恍惚と満たされており、ジークフリートもその表情に深く笑みを刻んでいる。

「そなたがそこまで酒に溺れると知っていれば、初めから飲ませていたものを…」

「ゃ…」

 ベッドに突っ伏しているクラウディアの華奢な背中を、ジークフリートが大きな手でスッと撫でていく。

 少しの刺激すらまだ敏感に感じ取るクラウディアの身体は、いつになく素直で従順にジークフリートの愛撫を拾っていた。

 まだ息を乱しているクラウディアだが、酒の酔いはだいぶ抜けて来ていた。

 ポワンとしていた脳内が次第にクリアになり、いつもの冷静な考えが戻り始めている。

 クラウディアはベッドからゆっくりと起き上がり、近くにあるしわくちゃになったベッドシーツを引き寄せ身体を隠した。

「……さぁ、そろそろ…休みましょう。ジークも…お疲れでしょうから…」

 クラウディアは乱れに乱れてしまった自分の失態に羞恥を覚え、頬を深紅に染めベッドへと横になった。
 背を撫でていたジークフリートとは反対側を向き、そのまま真新しい布団を引き寄せ頭まで被ってしまった。

 私ったら、何てことをっ…!
 あのような醜態をジークに晒すなんてっ、恥ずかし過ぎるわっ!

 いくら酒に酔っていたとはいえ、あそこまで無防備に本心を晒すとは信じられない思いだ。
 
 布団の中で後悔と羞恥心がクラウディアを襲う。

「クラウディア。あれ程可愛らしい姿で誘いながら、たかだか一度の交わりで終わりとは…随分と酷な事を言う」

 被っていた布団をいとも簡単に捲くられ、蹲っていたクラウディアははっとしたように布団に手を掛ける。

「また…可愛らしいなどと……連日のお仕事で多忙を極めてらっしゃったのですから…、妻として夫の体を案じているだけです」

 捲くられた布団はジークフリートの手によってベッドの隅へと投げられた。
 反論しながら布団を取り戻そうとクラウディアがベッドの端へと手を伸ばす。

「良い響きだな。そなたの口から夫と言われるのは、想像した以上の優越感だ」

 伸ばしていたクラウディアの手を素早く掴み、身体ごと自身へと引き寄せた。

「あっ」

「愛らしいものを愛らしいと言って何が悪い。私は自分の認めたものにしかそういった事を口にしない。それは近くにいたそなたが一番良くわかっている筈だが」

 ベッドで座っていたジークフリートに抱きつくような形で引き寄せられ、耳元で囁かれた言葉にピクリと反応する。

 確かにジークフリートは昔から物事の優劣がはっきりした人間で、好き嫌いも人一倍分かりやすく態度に出していた。
 
「でしたら、ジークの目がおかしいのです。わ、私は…そのような言葉とは無縁な人間なのですから」

 掛けていたシーツも剥ぎ取られ、素肌のままジークフリートの肌に触れ今さらながらひどく落ち着かない気分になる。

「まだわからないのか?この全てを魅了する気高くも貴い緋色の瞳に、滑らかで小さな造形の輪郭、一度目にしたら触れずにいられない程魅惑的な薄桃色の唇…その身体も折れそうなほど嫋やかだが、こうして膨らむ箇所は心地良い程手に馴染み…私のモノを毎回懸命に受け入れる秘所も、日々抱き足りないほど私を夢中にさせている…」

 すぐ目の前で吐かれている現実味のない台詞に、クラウディアの身体がカァーと熱くなりふるふると震えている。
 ジークフリートらしからぬ、あまりに甘い物言いにクラウディアの頬が見る間に朱に染まった。

「なっ…!もうっ、やめ…お止め下さいっ!」

 淡々と話してるジークフリートはそれが羞恥を伴うほどの言葉だとは思っておらず、ただ自分が思っていた事を伝えただけだ。

 それがどれ程クラウディアの心を掻き乱しているかなど思いもしていない。


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