【R18】復讐を決意した傷もの令嬢は、魅惑の王弟殿下に甘く翻弄される 〜契約結婚の条件に夜伽が含まれていたなんて聞いてません!〜

ウリ坊

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婚礼の儀

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 それからあっという間に時間が過ぎた。
 遂に婚礼の日を迎えた。

「ほぅ……ちゃんとした格好をすれば、それなりに見えるじゃないか」

 オリビアは真っ白なウェディングドレスに身を包み、手にはブーケを持っている。
 頭にはベールを被り、焦茶色の髪はまとめ上げていた。
 
「やはり殿下は褒めるのが下手すぎます」

「クククッ……! 相変わらずお前は口が減らないな」

「私はともかく、殿下は良くお似合いです。その口の悪ささえなければ、うっかりときめいてしまうくらい素敵です」

 イクシオンはダークグレーの髪を後ろに撫でつけ、少しだけ垂らした前髪が端整な顔によく似合っている。露出こそしていないが、王国の紋章の入ったマントに真っ白な軍服を身にまとっており、いつもとはまた違う風格が漂っていた。

「フッ、当然だ。まぁお前も、俺の理想には程遠いが悪くない」

「はあ。とりあえず私は形だけ進められれば、なんでもいいです」

「お前というやつは感動がないなぁ。婚礼の儀なんてそう何度も挙げられるもんじゃないだろ?」

「私はもう、こういった式など挙げることはないと思っていたので……感動よりも緊張しています」

 そういうとオリビアは「ふぅ……」と、長く息を吐いた。

「そうか。まぁ、今日はお前にとって、色々な意味で忘れられない日となるだろう」

 オリビアの目線に合わせて屈んだかと思えば、ずいぶん含みを持たせた意味深な言葉を吐いている。
 この人の距離感の近さに動揺してしまう。

「――っ、おっしゃる意味がわかりませんが?」

「追々わかる。さぁ行くぞ、我が妃よ」

「……はい」

 とりあえず返事を返し、イクシオンにエスコートされて式場へと向かった。


 略式的な婚礼の儀は厳かに始まった。
 教会での新郎新婦の誓い、指輪の交換、誓いのキスは省き、代わりに司祭の前で婚姻証明書に二人でサインをした。

「ではこれにて神の前でご成婚が認められました。お二人に行方に幸多からんことを」

 優しい笑顔を浮かべた司祭の言葉で、婚礼の儀はつつがなく終わりを迎えた。

 その後領地内で婚礼パーティが開かれ、宴は夜まで続いた。


 ◇◇◆

 
 湯浴みを終えてようやく部屋へと戻ってきたオリビアは、楽な格好でベッドへ横たわっていた。
 緊張の連続だったせいか、布団に吸い込まれるように体を沈めた。

(はぁ……ものすごく、疲れた……。これで簡略化なんだから、実際の式はパレードとかもあって何日にも渡るって言ってたから、想像も絶するくらい大変なんだろうな。私には関係ないからいいけど)

 これに関してはイクシオンに感謝するしかない。当の本人も面倒だったのだろうが、これが何日も続いたらと思うと、具合が悪くなりそうだった。
 
(明日も解毒薬の製造と、説明をするのに領地を回らなきゃいけないから、早めに寝よう……)

 疲れ果てたオリビアは眠気に誘われるまま目を閉じた。
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