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初夜 2 *
しおりを挟むキスなど気持ち悪いだけだと思っていたが、イクシオンとのキスは頭がぼぅっとするほど心地良かった。
前世でどうだったかの記憶はほぼないが、おそらくこういった経験は初めてだろう。
さすがに多くの美女と遊んできただけあるのか、イクシオンの舌使いはとても巧みで、未経験のオリビアには刺激が強すぎるほどだった。
激しく舌を使い絡め取られたかと思えば、今度は唇を離して舌先でなぞるように耳朶を愛撫される。
「っ……、ふっ、ぅ」
耳朶からツゥーと上に向けて舌が舐め上げ、すぐ近くで水音が響き、たまに軽く甘噛みされる。
そのたびにビクビクと体が顕著に反応を示す。
「んっ、はっ、ぁ」
鼻から抜けるような甘い声がオリビアの口から漏れ出し、オリビアの反応を伺うように、イクシオンは様々な箇所を丁寧に愛撫していった。
とくに耳の裏から首筋にかけてイクシオンの息がかかると、さらに強く体がビクリと跳ねる。
「あっ!」
一瞬止まったイクシオンだったが、次にはオリビアの首を執拗に攻める。
唇を当て、チュッと強く吸ったかと思えば、今度は嬲るように舌で下から上に向かい、じっくりと舐めていく。
「ん、や、ぁっ……!」
反応したくなどないのに、体の奥から疼くような感覚にどうしても体は素直に反応してしまう。
「で、んか……も、いいですから……っ、挿れて、くだ、さいっ」
執拗なまでのねちっこい愛撫に、オリビアは早くも音を上げている。
「魅力的な提案だが、まだまだだな。その台詞はもう少し後までとっておけ」
耳元で囁かれるとゾクリと鳥肌が立ち、体に感じる甘い疼きに耐えきれずにぎゅっと瞳を閉じた。
「んっ、もぅ……、十分、です」
そもそもオリビアの頭の中に、イクシオンとの夜伽など一ミリも入ってもいなかった。
あくまで書類上の関係で、体を繋げることは想像すらしていない。
今の前戯だけですでに許容範囲を超え、お手上げ状態だった。
「はッ……冗談だろ? 楽しみはこれからだ」
そう言うとオリビアの寝間着に手を伸ばす。
この時、あらかじめ用意されていた上下離れたフリルタイプの寝間着を着ていた。
イクシオンはやはり楽しそうに、片手で器用にボタンを一つずつ外している。
まな板の上の鯉のようにベッドに横たわったまま、その様子を信じられない思いで見ているしかできなかった。
「ぁ……、私は、胸も小さいですし、日にも焼けていますし……殿下が触れて楽しめるような、体ではないです……」
「胸の大きさはとくに気にしていないが、お前が小さいことを気にしているのなら、俺が毎日揉んでやろう」
「――はっ?」
イクシオンの見当違いな言葉の捉え方に、オリビアは思わず目を丸くする。
そもそも、そういう話をしたいわけではないのだ。
オリビアは幼い頃から外を駆け回り、領地の内情を覚えることに精一杯で、女性としてのお手入れや努力はほぼしてこなかった。
そんな体をイクシオンに触れられることにかなりの抵抗感を覚えたので、自己申告しただけだった。
「胸は揉むと大きくなるというからな。俺が毎日揉んで刺激してやれば、自ずと膨らんでくるだろう」
話している間もイクシオンの手は止まらず、最後までボタンを外してしまった。
「正気ですか?」
「クククッ、俺はいつでも正常だ」
「正常な男性でしたら、まず私を抱こうとはしません。それに、誰が胸を揉んで大きくしてくれと頼みましたぁ?!」
「我が妃のためなら喜んで手伝ってやろう」
「いりませんっ」
そう言うとオリビアの寝間着に手をかけ、前をバッと開いた。
「やめっ……!」
「うむ、小さいだけで形は綺麗だ」
ベッドに仰向けた体が空気に晒されて肌が涼しく感じるが、イクシオンに自分の胸をまじまじと見られていると思うと、カッと顔が熱くなり羞恥に体温が上がってくる。
「~~っ! いちいち評価しなくて結構ですっ」
「感度は……」
すでに焦らすように触れられていたせいか、体は敏感になっていた。
伸びた手が緩やかに隆起した双丘をそっと撫でるとゾクリと皮膚が粟立ち、気を抜いていた体がビクッと大きく反応した。
「っ――やっ」
「悪くない」
オリビアの見下ろし、満足そうに笑みを浮かべ、その中心で主張している赤く色付いた頂きを指先できゅっと摘んだ。
「ッ! んッ!」
そして確かめるように指を回すように動かし、オリビアの反応を伺っている。
「ぁ、う! んんっ」
子宮に直結するような鋭い快楽を先端に感じ、突き抜けるような感覚に体がビクビクと跳ね、自分でも予想もしていないような甲高い声が上がった。
「いや……、かなりいいな」
フッと笑って屈むと、今度はオリビアの尖った先端に顔を近づけて唇を寄せている。
口に咥えられたまま舌先でチロチロと舐められ、反対側は指の腹で摘んだり擦ったりを繰り返している。
「ゃ、あっ! ん、ふ、あぁっ!」
敏感な先端を舐めるぬるりとした感覚と温かな舌触りが、オリビアの思考を混乱させていく。
じっとしていられないくらい強い刺激で、オリビアの体はベッドの上で弧を描いてしなりながら、与えられる甘すぎる疼きに絶えきれずに震えていた。
「いい声で啼くな……とても人に触られることが嫌そうには見えないぞ?」
「んっ、はっ……! やめっ!」
心とは裏腹に、体はイクシオンの愛撫を貪欲に欲している。
胸の先端を執拗に愛撫されていると、オリビアの秘部も同時に疼き、知らず知らずに下着を濡らしていく。
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