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日常 2
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この日オリビアはライアーロードの様子を見に町まで下りて来ていた。解毒薬の効果がきちんと出ているか自分の目で確かめるためだ。
そして隣にはロイズが歩いている。
イクシオンは国王陛下に呼ばれ、三日ほど前から不在にしていた。
「いやぁ~、妃殿下のおかげでこの町もだいぶ活気を取り戻しましたね! この前来た時には意気消沈としていたのに、まるで別の土地に来たように生まれ変わりました!」
活気に溢れるライアーロードの中にある町は人々が賑わい、あちこちから聞こえる商売人の声や人々の喧騒に、オリビアもホッとしている。
「とんでもありません。私は自分の知っていた知識を提供しただけで、実際に尽力してくださったのは殿下とロイズさんです」
歩きながら町の様子を確認して、淡々とロイズに返答を送っている。
隣を歩いていたロイズは、オリビアの返答を聞いてにこやかに微笑んでいる。
「妃殿下は、本当に謙虚なお人ですね」
意外な言葉が聞こえたので横を見ると、ロイズがニコニコと笑っているので、オリビアはまた正面を見て淡々と言葉を返す。
「私ほど謙虚からほど遠い人間もいないでしょう。謙虚な人間でしたら、厚かましく殿下に契約結婚してくれなどとは言いませんから。あと、その呼び方はやめてください」
「はははっ、やはり妃殿下は謙虚な人です。私はかれこれ十年以上殿下を隣で見て来ましたが、あんなに充実されている殿下のお顔は初めて拝見しました。それだけ妃殿下に心を開かれている証拠ですよ!」
隣で高らかな笑い声をあげているロイズに、オリビアの心がほんの僅かに痛んだ。
「……私は、殿下を利用して復讐しようとしている悪い人間なんです。ですから、そんな言い方はやめてください」
「妃殿下?」
視線を落としながらボソッと呟いた言葉が、ロイズに聞こえたのかはわからない。
自分とイクシオンはあくまで利害関係だ。
イクシオンの地位を利用する見返りとして、領地の安定に力を貸している。
ただそれだけなのだ。
しかし最近、それだけではない感情がオリビアの中に生まれつつあった。
「ひとまず、解毒薬が効いているようで良かったです。あと一月ほど薬を服用すれば、元通りになるでしょう」
「えぇ。これも妃殿下のおかげですね!」
これだけ自分がダメな人間だと卑下していても、ロイズはオリビアの評価を変えようとしなかった。
そんなロイズに、オリビアの心が少し救われた気がした。
「ロイズさん、知ってましたか?」
「はい? なんのことでしょう??」
「この解毒薬に使われている花にも、花言葉があるんです」
「へぇ~……そうなんですね! やはり妃殿下は博識でいらっしゃいますね」
「たまたま知っていただけです。この花の名はハレノニチ草と言いまして、花言葉は不屈や堅実などがあるんです」
「なるほど。私も花言葉までは把握していないので、とても勉強になります!」
「実は他にもまだ意味があって――」
他愛のない話だったがロイズとの会話はイクシオンとは違い、互いの見識を深めてとても有意義な時間を送ることができた。
そして隣にはロイズが歩いている。
イクシオンは国王陛下に呼ばれ、三日ほど前から不在にしていた。
「いやぁ~、妃殿下のおかげでこの町もだいぶ活気を取り戻しましたね! この前来た時には意気消沈としていたのに、まるで別の土地に来たように生まれ変わりました!」
活気に溢れるライアーロードの中にある町は人々が賑わい、あちこちから聞こえる商売人の声や人々の喧騒に、オリビアもホッとしている。
「とんでもありません。私は自分の知っていた知識を提供しただけで、実際に尽力してくださったのは殿下とロイズさんです」
歩きながら町の様子を確認して、淡々とロイズに返答を送っている。
隣を歩いていたロイズは、オリビアの返答を聞いてにこやかに微笑んでいる。
「妃殿下は、本当に謙虚なお人ですね」
意外な言葉が聞こえたので横を見ると、ロイズがニコニコと笑っているので、オリビアはまた正面を見て淡々と言葉を返す。
「私ほど謙虚からほど遠い人間もいないでしょう。謙虚な人間でしたら、厚かましく殿下に契約結婚してくれなどとは言いませんから。あと、その呼び方はやめてください」
「はははっ、やはり妃殿下は謙虚な人です。私はかれこれ十年以上殿下を隣で見て来ましたが、あんなに充実されている殿下のお顔は初めて拝見しました。それだけ妃殿下に心を開かれている証拠ですよ!」
隣で高らかな笑い声をあげているロイズに、オリビアの心がほんの僅かに痛んだ。
「……私は、殿下を利用して復讐しようとしている悪い人間なんです。ですから、そんな言い方はやめてください」
「妃殿下?」
視線を落としながらボソッと呟いた言葉が、ロイズに聞こえたのかはわからない。
自分とイクシオンはあくまで利害関係だ。
イクシオンの地位を利用する見返りとして、領地の安定に力を貸している。
ただそれだけなのだ。
しかし最近、それだけではない感情がオリビアの中に生まれつつあった。
「ひとまず、解毒薬が効いているようで良かったです。あと一月ほど薬を服用すれば、元通りになるでしょう」
「えぇ。これも妃殿下のおかげですね!」
これだけ自分がダメな人間だと卑下していても、ロイズはオリビアの評価を変えようとしなかった。
そんなロイズに、オリビアの心が少し救われた気がした。
「ロイズさん、知ってましたか?」
「はい? なんのことでしょう??」
「この解毒薬に使われている花にも、花言葉があるんです」
「へぇ~……そうなんですね! やはり妃殿下は博識でいらっしゃいますね」
「たまたま知っていただけです。この花の名はハレノニチ草と言いまして、花言葉は不屈や堅実などがあるんです」
「なるほど。私も花言葉までは把握していないので、とても勉強になります!」
「実は他にもまだ意味があって――」
他愛のない話だったがロイズとの会話はイクシオンとは違い、互いの見識を深めてとても有意義な時間を送ることができた。
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