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心に秘めた思い
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イクシオンに連れられ、王都外れの小高い丘の上まで馬を走らせた。
馬を木につなぎ、二人で丘の上まで歩いた。天気もよく、走れ回れそうな広々した緑の野原が奥までずっと続いていた。
「――で? 一体、どういうつもりだったんだ?」
「嘘も方便と申します。ああ言ったほうが角も立ちませんし、殿下の面子も程よく保たれるでしょう」
風が心地よく二人の間を通り過ぎ、オリビアの焦茶色の髪を揺らしていた。
「程よくどころか、お前のおかげでかなりよくなってしまった。俺は顔が良いだけの出来損ないで十分なんだ」
二人で近くの岩に座り、イクシオンはオリビアを見ながら王城での出来事を振り返っている。
オリビアもイクシオンに視線を向けようとしたが、後ろめたさもあってそのまま視線を下に落とした。
「申し訳ございません。殿下が望む立ち位置も少なからず理解しているつもりです。……差し出がましいかと思いましたが、あのまま無視することもできず、咄嗟に声をあげてしまいました」
「通訳の件はいい。むしろよくやったし、俺も驚いたくらいだ。異母兄上のお前に対する心象もこの上なく良くなっただろう」
イクシオンもオリビアから視線を外し、遠くを見るように王都の町並みに視線を移している。
「言いたいことは山ほどあるが、とにかく目立ちすぎだ。お前はいずれ俺の元から去るのだろう? なのにここまで異母兄上の印象に深く残ってしまっては、簡単に離縁することはできないぞ」
「……わかっています。さすがにやりすぎたと思いましたが、これからの対策は考えているのでご心配には及びません。――それに、これで条件は揃いました」
視線を下に向け、両手を握り締めていたオリビアの瞳に力強さが戻っていた。
「条件?」
「王弟妃という地位、殿下から寵愛を受けているという周囲の認知、そして国王陛下に多少なりとも私という存在を覚えていただく……という、私なりに目指していた条件です」
オリビアが真っ直ぐ空色の瞳を向けると、イクシオンもハッとしたように口を開いた。
「――そうだったな。お前の目的は、復讐だった」
「えぇ。殿下には関係のないことですので、覚えていていただかなくても結構ですが……私は、片時も忘れたことなどございません」
オリビアの空色の瞳は復讐の炎に燃えており、表情が一気に険しく変化した。
「ッ」
「私は復讐者です。そのためならば利用できるものは何でも利用します。それがたとえ殿下でも、国王陛下であろうとも……です」
スッと立ち上がったオリビアは、遥か彼方を見るように、遠くへ視線を移していた。
「私を罰したいのであれば、どうぞお好きなようにされて構いません。ですが、私の復讐が終わるまで、もう少しお付き合いいただきたいのです」
「……お前は、そこまでして復讐したいのか?」
不意に俯いたオリビアに、同じく立ち上がったイクシオンはゆっくりと近くまで歩み寄る。
馬を木につなぎ、二人で丘の上まで歩いた。天気もよく、走れ回れそうな広々した緑の野原が奥までずっと続いていた。
「――で? 一体、どういうつもりだったんだ?」
「嘘も方便と申します。ああ言ったほうが角も立ちませんし、殿下の面子も程よく保たれるでしょう」
風が心地よく二人の間を通り過ぎ、オリビアの焦茶色の髪を揺らしていた。
「程よくどころか、お前のおかげでかなりよくなってしまった。俺は顔が良いだけの出来損ないで十分なんだ」
二人で近くの岩に座り、イクシオンはオリビアを見ながら王城での出来事を振り返っている。
オリビアもイクシオンに視線を向けようとしたが、後ろめたさもあってそのまま視線を下に落とした。
「申し訳ございません。殿下が望む立ち位置も少なからず理解しているつもりです。……差し出がましいかと思いましたが、あのまま無視することもできず、咄嗟に声をあげてしまいました」
「通訳の件はいい。むしろよくやったし、俺も驚いたくらいだ。異母兄上のお前に対する心象もこの上なく良くなっただろう」
イクシオンもオリビアから視線を外し、遠くを見るように王都の町並みに視線を移している。
「言いたいことは山ほどあるが、とにかく目立ちすぎだ。お前はいずれ俺の元から去るのだろう? なのにここまで異母兄上の印象に深く残ってしまっては、簡単に離縁することはできないぞ」
「……わかっています。さすがにやりすぎたと思いましたが、これからの対策は考えているのでご心配には及びません。――それに、これで条件は揃いました」
視線を下に向け、両手を握り締めていたオリビアの瞳に力強さが戻っていた。
「条件?」
「王弟妃という地位、殿下から寵愛を受けているという周囲の認知、そして国王陛下に多少なりとも私という存在を覚えていただく……という、私なりに目指していた条件です」
オリビアが真っ直ぐ空色の瞳を向けると、イクシオンもハッとしたように口を開いた。
「――そうだったな。お前の目的は、復讐だった」
「えぇ。殿下には関係のないことですので、覚えていていただかなくても結構ですが……私は、片時も忘れたことなどございません」
オリビアの空色の瞳は復讐の炎に燃えており、表情が一気に険しく変化した。
「ッ」
「私は復讐者です。そのためならば利用できるものは何でも利用します。それがたとえ殿下でも、国王陛下であろうとも……です」
スッと立ち上がったオリビアは、遥か彼方を見るように、遠くへ視線を移していた。
「私を罰したいのであれば、どうぞお好きなようにされて構いません。ですが、私の復讐が終わるまで、もう少しお付き合いいただきたいのです」
「……お前は、そこまでして復讐したいのか?」
不意に俯いたオリビアに、同じく立ち上がったイクシオンはゆっくりと近くまで歩み寄る。
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