【R18】復讐を決意した傷もの令嬢は、魅惑の王弟殿下に甘く翻弄される 〜契約結婚の条件に夜伽が含まれていたなんて聞いてません!〜

ウリ坊

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妻を愛でる方法 (イクシオン視点)

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 イクシオンはこのオリビアの嫌がる顔を見ることが非常に楽しみだった。
 いつどこで出されるか、どうすればオリビアがこの反応をしてくれるか、常に機会をうかがっていた。

 オリビアは気を取り直したようにコホンと咳払いすると、真顔になってイクシオンと向き合った。

「ありがたいお言葉ですが……殿下まで出向いてしまうと、返って住人たちが萎縮いしゅくしてしまうので私一人で大丈夫です」

 やんわりと丁寧に言葉を返しているが、要するに邪魔だからついてくるなと言っている。
 オリビアから返される言葉はいつも自分の意表を突き、聞いていてとても面白く心が浮き立ってくる。

「クククッ、我が妃がここまで領地の為に心を砕いているんだ。夫である俺が何もしないわけにはいかないだろう?」

 楽しさを隠しきれず、笑いながら自分の顔をオリビアのすぐ目の前まで近づけた。
 一瞬怯んだオリビアは一歩後退したが、すぐに負けじと強い視線をイクシオンへ向けた。

「っ! では、殿下はそこに溜まっております別の書類の処理をお願いいたします」

 そこと呼ばれたオリビアが指さした先には、机に山積みになった書類の束があった。

「殿下があの書類をすべて処理してくだされば領地の安定にも繋がり、率いては私の心の平穏へいおんにも繋がることでしょう」

「ほぅ……? そうくるか」

 イクシオンはこのオリビアの返しがとても楽しくて面白くて仕方がなかった。
 
 これまでの女性ならば、イクシオンが少し笑いかけるだけですぐに落ちていた。
 
 こんな風に一緒に出かけられるとわかれば、満面の笑みを浮かべて喜ぶことは間違いないだろう。

 しかしオリビアにその考えは通用しない。普通の女性が喜びそうなことをすると、眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をする。
 
 それがまたイクシオンの興味をそそり、さらにオリビアを煽る要因となっていた。
 それを知ってか知らずか、オリビアも極力丁寧に言葉を返し断っているのだが、言葉や態度の端々はしばしに気持ちが現れてしまっている。
 そして最終的に自分のことで怒り出すオリビアを、イクシオンはどうしても見たいのだ。

「この書類さえあれば相手を黙らせることができます。非常時でもないのに、殿下に来ていただく必要はないと言っているだけですっ」

 ついてくるなと言わんばかりに、キッと下から睨んでくるオリビアがとにかく可愛い。
 まるで毛を逆立てて威嚇いかくしてくる小動物のようで、どうにか手懐けたくてうずうずと体が高ぶってくる。

 ここまでイクシオンに冷たい態度を見せているオリビアだが、快楽にはとても弱かった。
 閨や色事の際はすぐに甘い声を上げて快楽に染まり、悪態をつきながらもイクシオンを求めるようにつややかに変貌する。
 そしてこの落差が、イクシオンの知らなかった征服欲を掻き立てているのだ。

「護衛も付けずに一人で外出することなど許可できないな。お前は侍女も付けたがらないのだから、やはり俺が行くしかないだろう?」

「私は大体いつも一人で外出しています。今さらそのようなことを言われても困ります。殿下はお仕事が山積みですので、ロイズさんか他の騎士にでもお願いいたしますから結構です」

 オリビアの言っていることに間違いはなく、好きなようにさせていた。

 ただ、嫌がる顔を見るのは楽しいが、他の男を引き合いに自分のことをここまで拒絶されることは気に食わない。

「……俺が一緒に行くと言っているのに、他の男を所望するとは悪い妻だ」

 少し声を低くし耳元で囁くとオリビアはビクッと反応し、明らかな動揺を見せていた。

「ど、どうしてそうなるのですか?!」

「お前には、誰が自分の夫かわからせる必要があるな」

 オリビアの太ももに腕を回し、荷物のように持ち上げた。

「ちょっ……! 殿下っ?!」

 急に持ち上げられたからか、オリビアは驚いた様子でイクシオンの肩を掴んでいる。

「言葉で言ってもわからないようだから、体に教え込むしかないなぁ? 我が妃よ」

「お、お待ちくださいっ……わかりました! もう一緒に行ってもらって結構ですから! 降ろしてくださいっ!」

 じたばたしながら、必死で暴れて訴えているオリビアが面白くて可愛くてたまらない。

 無理やり理由をこじつけて、こうしてベッドへ向かう口実を作っている。
 そうでもしないとオリビアはすぐに自分から逃げていってしまう。

「部屋に着くまで少し待ってろ。そしたらすぐにでも降ろしてやるぞ。ベッドの上にな……」

「~っ! い、いりませんっ!!」

 真っ赤になったオリビアの叫び声を聞きながら、イクシオンは上機嫌で執務室から部屋へと移動するのだった。

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