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しおりを挟む絶頂に達したティアーナは力が入らず、アーサーの胸に凭れかかり、荒い息を整える。
ティアーナは前世で何人かの男と付き合い、夫とも夫婦の営みがあったが、その際にこうして“達く”ということをしたことがなかった。
行為に対しての強い快楽はあるが、絶頂に達するまでの決定的な快楽を得ることは出来なかった。
夫も初めは協力的だったが、それが逆にプレッシャーになり気負うようになり、行為自体に集中できなくなった。
夫も中々達かない妻にしびれを切らし次第に面倒になり、前戯もそこそこに自分が満足すればそこで終わってしまうという味気ない営みに変わっていった。
不満は勿論あったが、イケない自分が悪いのだと口に出すことも出来ず、子供が産まれ更に疎遠になりそのうちに夫は浮気に走った。
しかし今はどうだろう。
今世でのこの身体が感じやすいのか、それともアーサーとの相性が良いのか、ティアーナは生まれて初めて他人の手で絶頂に達したのだ。
この世にこれ程甘美な快楽が存在したのかと驚く。と、同時に嬉しくもあった。
こんなところで前世で密かにあれだけ悩んでいた事が、あっさりと解決してしまった。
アーサーの腕に抱かれ、いけないと思いながらも歓喜する。
アーサーはティアーナをぎゅっと抱きしめ、自分の衝動を抑えようとしている。
先ほどの行為で確信したが、ティアーナは処女だ。それをこのような場所で奪うことは躊躇われる。
アーサーが普通の貴族ならそれも許されるが、自分は王族だ。相手の純潔というものは重要になる。
まぁ、実際奪ってしまってもどうにかなるのだが、ティアーナを大切にしたいアーサーにとってはもっときちんとした形で繋がりたかった。
アーサーは自分の着ていた上着を脱ぐと、ティアーナの身体にそっと掛けた。
「ティナ…大丈夫?」
「……」
「ごめんね。ティナの、その姿を見たら…自分を止められなかったんだ」
アーサーの腕の中にいるティアーナは、その言葉に顔を朱に染める。
甘く甘美な余韻も次第に少しずつ薄れていく。
すまなそうに謝罪するアーサーに、ティアーナもどう対応して良いのか返答に困る。
強引に事を進めてきたアーサーも悪いと思うが、しっかり拒絶しなかった自分にも否はある。
逃げようと思えば逃げられた。
心の何処かでこのまま身を捧げたいと思っている自分がいることをティアーナは気づいてしまった。
「……突然こんなことして怒ってるよね。本当にごめん。謝って許される事じゃないけど……ティナに嫌われたくない」
何も答えないティアーナに、アーサーはすっかり落ち込んでいる。
「………せん」
アーサーの腕の中で、ティアーナが呟く。
「え?……何て……」
「怒って…おりません」
おずおずと腕の中から顔を出し、アーサーを見上げる。
「っ……ティナ」
「驚きましたが…アーサー様に触れられるのは嫌ではないのです」
「─!」
その言葉にアーサーの目がキラキラと輝く。
だが、はっきり言っておかなくてはならない。
もう、これ以上黙っているのは無理だし、真剣に想いをぶつけてくれているアーサーにも失礼だ。
「私の身の上をお話しすることは出来ません…ですが、これだけはお伝えしておきます」
アーサーの瞳をしっかりと見ながら、ティアーナは意を決して話す。
「アーサー様…私は、呪われているのです」
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