無力

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プロローグ

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 「ほら!見て、合格よ龍馬!!よく頑張ったわね。」
龍馬の隣で母親の彩子が甲高い声をあげて喜んでいる。高校入試の合格発表だ。三田村龍馬は名門私立の日白学園に受験し見事合格をした。
「うん、よかった。これで春から高校生だ!」
龍馬も彩子の祝福に応えるようにわざとらしく喜んだ。
こんなの当然だろ、なにをそんなに喜んでるんだ・・・龍馬は内心そう思っていた。
 2000年9月6日に一人男の子が誕生日した。彼は、才能に恵まれ華やかな人生を送ることができるようにと天才や偉人に多い『龍馬』という名前を両親から名付けられた。彼は両親の願い通り才能に恵まれ何もかも完璧にこなした。
 小学生の頃にはずば抜けて頭が良く周りからは神童と言われいつも褒められていて、彼はそれがとても心地よく感じていた。
 中学入学と同時にサッカーのクラブチームに入団した。そのクラブチームは入団セレクションがあったのだが友人に誘われなんとなく受けてみることにした。それまでサッカーの経験はなく、ボールを蹴るといったら体育の授業くらいだった。
しかし、セレクションを受けてみると他の受験者よりもボールタッチは安定していて体力もあり、足も一番速かった。すぐに、コーチ陣の目にとまり合格が決まった。本格的にサッカーを始めると実力はどんどん伸びて入団して三ヶ月で二個上の学年のチームで活躍するほどにまで成長していた。それはそれは驚くほどの才能だった。体型も恵まれていて背は高く、特別トレーニングをしてるわけでは無いのに筋肉も十二分についていてがっちりしていた。おまけに顔も良く、鼻は高く目は奥二重だが大きくパッチリしていてチャームポイントは目の下の涙ボクロだ。誰もが文句なしのイケメンと認めていた。おかげで街を歩けばしょっちゅう逆ナンパされるほどだった。
可愛い美菜という彼女だっている。
 しかし、彼は一つの疑問を抱えていた。
なぜ他の人は、自分と同じように出来ないのだろうという疑問だ。まさに天才ならではの疑問だ。気が付けば彼は、他人を心の中でバカにしていた。
 
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