僕の初恋を返せ

鹿音二号

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2−7.3※ぬるい

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入浴用の椅子に座り、グレオルは少し膝を開いた。
デイルはその前に両膝をついて、おそるおそるグレオルのそこを見た。その様子だけでかわいすぎた。素直に下半身にきて、ぴくりと布の下で跳ねる。

「……っ」

デイルは顔を赤くする。
だいたい、彼の格好がいけない。かろうじて下着をつけているがほとんど裸だ。湯を使うのだから当然なのだが。
細い体だ、もしかしたらグレオルの半分くらいかもしれない。すっとした筋が、きれいに動くさまは幼けですらあった。
濡れて肌が光り、温まったから薄く桃色に染まっている。
これをずっと見ていたくて、我慢してデイルの入浴を手伝った。
邪念ばかりで、いっこうに治まらない下半身。結局最後まで滑稽に持ち上がっていて、情けなかった。
それを――デイルは手伝おうかと。

さっきから、胸がドキドキうるさくて、終わるころには破裂しているかもしれない。
こんなことは初めてだ。
触ってもらうだけだ。なのに、期待とそれを抑えるために使っている気力が大きすぎる。
ゆっくりとデイルが動いて、そっとグレオルの腰の布を取ったときには、それだけで頭の芯がしびれた。

「……!」

びく、とデイルが緊張して、けれどその目はグレオルの分身に釘付けだった。
ぴくぴくと震えるそれは、赤黒く膨れ、頭を大きく張り出している。

「……デイル」

恥ずかしくなって呼びかけると、はっと顔を上げた。表情が、あまりにも困惑したもので、けれど赤い頬が怯えだけではないのだと教えてくれる。
視線を落とし、デイルはふっと息を吐くと、そろそろと手を伸ばして……グレオルのそれに触れた。
優しく触れられて、ぞわりと腰骨と首筋にくすぐられたような感覚。

「……」

デイルは無言で、ゆっくりとそれを手のひらで包んでくれた。
デイルの手は小さくない。けれど指が開いて、浅黒い男根に絡んでいるのを見ているだけで、グレオルは胸がいっぱいだった。
手のひらで包まれ、ゆったりと根元から先端に掛けて擦るようにされると、猛烈な射精感が腰を震わせた。まだ、一回だ、これでは情けなさすぎる。そっと奥歯を噛んで耐える。
二度三度と擦られ、後ろから押されるような感覚に体が強張る。

デイルは俯いていて、どんな顔をしているかわからない。嫌悪に歪んでいないか、それだけが気になって、そっと頬に手を添えて上げさせる。
先ほどの困惑とそう変わらない。けれど、目尻が赤くなって、明るい瞳が潤んでいる。

「いやか?」

ダメ押しで聞く自分は意地が悪い。デイルは小さく首を振って、もっと強く握りしめてくるので、グレオルが呻く羽目になった。
大量の先走りが伝って、ぬちぬちと粘ついた音がする。ずくずくと腰が熱く痺れている。だが、もう少し、もう少し、と必死に押さえた。
まだ、終わらせたくない。
デイルはやはり、困った顔をしていた。眉尻が下がり、目はうろうろとあちこちを見ているが、手は緩めない。もう片手でパンパンになった袋を擦られたときには、目の前が赤くなった。

「で、殿下……」
「、う……っ」

聞こえる声が甘い。
デイルの声は少し高めだ。語気はめったに強くならないから、柔らかくゆるやかに、しみるように耳に入ってくる。今は、毒のようだった。
高い波がおさまり、息を吐く。熱くなりすぎて、唇が乾く。
ふと、ゆっくりと動くデイルの腕の奥が見えた。
恥ずかしかったのか、下着のまま入って、今まで脱ぐところは見ていない。
張り付いた布の、その形。
膝をついた足の間から、押し上げるその、

「で、んか、殿下!あっ……」

気がついたら、デイルを抱え込んでいた。

「……っ、デイル、お前の、触っていいか」
「え、あ、……っ」

彼の肩に顎を乗せている状態で、顔が見えない。指を彼の下着の縁に彷徨わせると、ひゅ、と息を吸う音がした。

「嫌なら……叩くなり何なりしてくれ、止める」

口に出すのが精一杯で、下着に手を突っ込む。

「あ……」

震えるデイルの吐息が、耳元にかかる。
めまいがした。
デイルのものは、自分のものより一回り小さい。だが、平均的だろう。手のひらで押し包むと、まだやわらかいそれは、ぴくりと震えた。

「んっ……」
「デイル……」

叩きもしないし、震えてもいない。むしろ力を抜いて、もたれかかられている気がする。
ゆっくり扱いてやると、すぐに大きく育つ。硬くなったそれを手放し、体もゆっくりと離す。

「は、ぁ……」

とろりと目を溶かし、デイルはおとなしくグレオルを見つめる。熱い吐息が、薄く開いた唇から何度もこぼれていた。
その唇に、触れたかった。
許されるのか、わからないけれど。
そっと体をかしげて、顔を寄せた。
潤んで涙になりそうな赤茶の目が、ぼうっとグレオルの目を見ている。
触れる数瞬、答えを待つつもりで動きを止めると、彼は瞼を閉じてくれた。
たまらない。

触れるだけのキスだ。それ以上になると、止められる自信がなかった。
何度も唇を寄せて、触れて。柔らかくて、幸せだった。

デイルの腰に腕を回す。椅子から降りて、彼の立ち上がった性器に、そっと自分のものをくっつける。びくりとデイルは大きく震えて、目を見開いた。

「一緒に……」

そっと、震える手で2つとも握るとデイルはふるふると戦慄いた。

(駄目だろうか)

かあああ、とデイルの顔が赤くなってばっと俯いてしまった。
彼の手が、ゆっくりとグレオルの胸に添えられる。

「いいの、か……」

返事はなかったけれど、叩かれない。

「デイル」

名前を呼んで、ぐっとふたつとも握りしめると、ひ、と引きつった呼吸が聞こえた。
デイルのものは、熱かった。
まとめて扱けば、どちらもびくびくと打ち震えて、グレオルのものなどはすでにびしゃびしゃと透明な体液でしたたっていた。それが、デイルの男にもかかって、グレオルの手で塗り込まれる。

「あ、はは……」

興奮して、視界の縁が赤い。

「ん、っう、あっ」

デイルはゆるく首を振り、腰が抜けたのかくたりと床に尻餅をつく。ずるりとグレオルの手の中で位置が変わって、悲鳴のような声が上がった。

「あっああ!」
「ん、いいぞ……」

ほとんど彼に乗り上げて、片腕で腰を掴み、手でふたつをまとめ上げ、体を揺する。

「んひ、っぃ、あ、あぁ……っ」
「はっ、デイル……デイル、」

グレオルの肩に、デイルの熱い頬が擦り付けられる。乾き始めた麦わら色の髪が、スリスリと首筋を擦って、あまりにも愛らしい。

「あー、あっぐ、でる、でちゃ、殿下、はなし」
「ああ、……」
「だめ、あ、あぁ……っ!」

びくん、と腕の中の身体が跳ねた。
グレオルも、鋭い快感に腰を震わせながら達する。
どろどろとグレオルの手に熱いものが降りかかる。2人分。
デイルは潔く吐き出したが、グレオルは我慢しすぎたせいか、勢いもその量も半端なかった。
ゆるゆると腰が動くし、ずっと管を熱いものが通っていくのが気持ちよくて、しばらく我を忘れていた。

――腕の中の体温が心地良い。
ようやく思い至って、はっと体を離せば、呆然とデイルは座り込んだまま、こちらを見ていた。

「す、すまん」
「……」

罪悪感がすごい。
手伝ってくれるという話だったのに、まったく違うことをしていないか。
まだぼうっとしているデイルに、かかってしまった白濁を見つけて頭を抱えそうになる。
湯で流して、汚れているが彼の下着も整えてやる。

「悪かった……」
「……いえ、その、大丈夫です」

戻ってきたデイルが恥ずかしそうにそう言ってくれただけで、安堵にどっと力が抜けた。

「嫌じゃなかった、ですし、その……むしろ、こっちが……」

何を思い出したのか顔を赤くしてもごもごと口を動かす彼が、かわいすぎてまた胸が苦しくなる。

「……ともかく、出なければ、ならないな。立てるか」
「あ、はい」

少し足取りが危ういものの、デイルは自分で歩いて湯殿を出た。

脱ぎ散らかした服は片付けられ、かわりに籠に新しい服が畳んであった。
デイルが、一瞬それを凝視して動きが止まる。

「デイル?」

彼は無言で籠をひっくり返し、服を一通り検分して、それからバスローブを手に取った。

「身支度をお手伝いします」
「あ、ああ、頼む」

デイルの表情はなんだか険しい。
メイド顔負けの動きでテキパキとグレオルの支度を整えるデイルは、自分を後回しにしてバスローブ1枚で、首筋や胸元が危うかった。
必死に目を向けないように自分を制し、見慣れたコートを着させられタイを結び終えられたときには、どっと疲れが出た。
デイルはものすごい速さで自分の服を着込み、全部身につけてから……一度動きが止まる。

「はああ……」

ため息が大きい。

「デイル?大丈夫か?」
「いーえ、大丈夫です……」

たまに何を考えているか分からなくなるのがデイルだ。
レイリーは、彼の思考を読もうなどおこがましいが、何か考えているなというのは分かる。長い付き合いだからだろうか。
デイルは、いつ、何を考えてるのかさっぱりだ。
最初から、彼はグレオルの考えが及ばない。それも愉快な話だった。

「疲れたか?」
「疲れましたけど、そうじゃないですね」

むう、と口を尖らせる彼は、少し幼く見える。

「自分のチョロさに呆れてただけです。気づかなかったんですよ、ここに誰かに入られたの」
「あ、ああ、なるほどな」

脱いだ服を片付けられ、新しいものが用意される、それはグレオルにとっては日常のことで意識すらしていなかった。
そう、メイドか誰かがしてくれているということだ。
デイルは隣の部屋に、その誰かに入られたことに気づかなかったことが、失態だというのだ。

「だが、何もなかったじゃないか」
「良くないです」

デイルは顔をしかめて片手で顔を覆った。
その耳が、赤くなっているのをグレオルは不思議に思って見ていたが……

「あ」

……デイルが気づいていられない時に、入られたということだ。

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