最強令嬢の秘密結社

鹿音二号

文字の大きさ
46 / 60

42:イワンのまとめ3

しおりを挟む
イワンの話は続く。

「さて、友情も深まったことだし。これから一致団結、ミズリィの未来のためにみんなで知恵を絞ろうじゃないか」
「なかなか試験明けにハードねえ」
「オデット、あなたはしてないのではなくって?」

とは言っても、あまり進展がないのはみんなも承知だ。
おさらいであり、今後の方針を決めるためのものらしい。

「ともかく、みんなと認識を一緒にしよう。まずは――」

ミズリィは、未来で周囲の人間から冷遇され、何故か悪魔として捕まり、処刑された。
今のところその悪魔として処刑される間違いは、なにが原因かは分からない。

「重要だけど番外にするしか出来ないのは、なんでミズリィがこの過去に戻ってきたのか、だけれども」
「そんな現象や魔法、聞いたことがないですからね……」
「ただ、ミズリィ自身が記憶を覚えていて、行動が変われば未来も変わる。どうやらただの過去の再現ではないようだね」

過去に戻ってきたことが、何を意味するのかは分からないけれど――ミズリィは、ただみんなと幸せに過ごしたいだけだ。

「目標はこの通り、ミズリィの家族や我ら友人が離れることなく、また、つらい処刑から回避すること」
「帝国の一大事でもあります。公爵令嬢で当時皇太子になっていたテリッツ様の婚約者が、教会に悪魔としてして捕まり、処刑される。おかしいのは皇家が反発しなかった可能性が高いということです」

捕われる前、ミズリィの周りから人がいなくなっていった理由も良く分からない。
ただ、会えなかったイワンは同じく命を狙われていたかもしれず、一年も前に国を出たオデットはなにか知っていたのではないかということ。

「教会ですものねえ……神殿のことは敵とまではいかないのでしょうけれど、気に入らないって顔をしているのはそういうことなのよねえ」
「どういうことですのはっきりおっしゃい」
「ええ?アリッテルがイワンを気に入らないと一緒よぉ」
「なるほどですわ」

イワンが何やらショックを受けていた。

つまるところ。
オデットは教会の動きを知っていたのではないかということだ。
なにせ、ミズリィの友人だったのだから。

「私も、命を狙われていたか、あるいは迷惑になると思って、出ていったかもしれないわぁ」

メルクリニは、自らミズリィを拒んだ友人だった。

「……分からない。不満や怒ってることなんて、私はすぐ口に出すだろう?それで解決できなかったということか……?」

メルクリニは自分のことがわからないといったふうに首を傾げている。

「もしかしたら、ミズリィ様はメリー様が怒ってらしたことをお忘れになったかもしれませんね」
「……いいえ、覚えているとは思いますわ。けれど……ええ、たぶん、わたくしは理解ができなかったかもしれませんわ。メリーがわたくしのなにに怒っていたか……」

そう、家族や、使用人たちもだった。
事件の数年前に、メイドのフローレンスも怒って出ていったのだ。
普通なら、ありえない。
主人に逆らうということだからだ。
ミズリィが許しても、当主である父ロンバルドが何か罰を与えているかもしれない……いや、屋敷から追い出したのが、罰だったかも。
それに、その後ミズリィ付きのメイドがいなかった。

「え!?」
「ありえないぞ……またこれも問題になったな」
「公爵家もおかしいということか……?」

家族。
一番は、妹のミルリィだ。
やはり数年前から疎遠になり、最期に会ったのは牢屋の中でだった。
憎々しげに睨まれて、それでようやく、嫌われていることに気がついたのだ。

「これも……私が悪いのですわ。異変に気づかず、見ないふりをして……もっと真剣に、ミルリィに向き合っていれば……」

今のスミレにしたように。

父ロンバルドは、その頃屋敷に帰ることが少なくなっていた。忙しそうで、帰ってくるたびに書斎に引きこもっていた。
ミズリィが捕まったのは、屋敷に押し入ってきた教会の兵にだった。
その時も父は不在だったと記憶している。

「公爵様が敵とは考えにくいな」
「ええ、冷静ですし、お考えはしっかりした方ですわ。もし……自分の娘(わたくし)を敵とするにしても、こう、なにか違う行動を取られると思いますわ。ただ、何度か呼ばれたときは……ひどく焦っていらして……そう、不思議なことを仰っていたわ」
「なんですか!?」
「皇宮で粗相をしたのは本当か、とか、とある令嬢に乱暴をしたというのはどういうことか、とか」

そう、今思い出した。
不可解なことを聞かれた。主に父からだ。
スミレが不安そうにしている。

「それはもちろん、ミズリィ様はそんなことなさっていらっしゃいませんよね」
「ええ、身に覚えがないので、違います、しておりません、と答えましたわ」
「……社交界での噂か?」

イワンが不快そうに眉を寄せた。

「なにか関わりがあると思って良さそうだな」
「他には?なにか覚えてらっしゃいますか?噂でもなんでも」
「……思い出せないですわ。お話を続けてくださったほうが思い出すかも……」

『悪魔』と言われたミズリィ。
ペトーキオ公爵令嬢の皮を被った悪魔であるという。根拠として挙げられたのはその数ヶ月前に起こった、聖山に封印された大精霊の復活。帝都周辺を狂った天候にして被害を出した、それが、ミズリィが企んだことだという。

聖オラトリオ学院の学長や、その魔術師たちが大勢山に登り、ミズリィも混じって大精霊の鎮圧に向かい、戦ったのに、だ。
怪我人も多く出て、もう少しで死者も出るところだった。
それもまるごと、ミズリィのせいにされた。

「大精霊の復活も怪しいけれど、もっと重要なのは、鎮圧、撃退をした討伐隊を組んだのは皇家で、オラトリオ学長とミズリィ公女が皇太子に報告したのに、それがなかったことにされているのかもしれないってことだ」
「皇家がなにを考えていたかってことですよね……?」
「まあ、あるいは、教会が皇家から聞いていても聞き流したか。ただ、それでも教会の虚偽を黙認していたことになるんだよなあ……」

真剣なイワンの顔を見て……後でこのあたりのことをもう一度詳しく聞こうと、ミズリィは心のメモに書き込んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

転生皇女はフライパンで生き延びる

渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。 使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。 ……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。 自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。 そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。 「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」 ※※※ 死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。 ※重複投稿作品※

落ちこぼれ公爵令息の真実

三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。 設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。 投稿している他の作品との関連はありません。 カクヨムにも公開しています。

美化係の聖女様

しずもり
ファンタジー
毒親の仕打ち、親友と恋人の裏切り、人生最悪のどん底でやけ酒を煽り何を思ったのか深夜に突然掃除を始めたら床がドンドンって大きく鳴った。 ゴメン、五月蝿かった? 掃除は止めにしよう、そう思った瞬間、床に現れた円のようなものが光りだした。 気づいたらゴミと掃除道具と一緒に何故か森の中。 地面には気を失う前に見た円が直径3メートルぐらいの大きさで光ってる。 何コレ、どうすればいい? 一方、魔王復活の兆しに聖女を召喚した王城では召喚された筈の聖女の姿が見当たらない。 召喚した手応えはあったものの目の前の床に描かれた魔法陣には誰も居ない。 もしかして召喚先を間違えた? 魔力の残滓で聖女が召喚された場所に辿り着いてみれば聖女はおらず。 それでも魔王復活は待ってはくれない。 それならば聖女を探しながら魔王討伐の旅へ見切り発車で旅する第二王子一行。 「もしかしたら聖女様はいきなり召喚された事にお怒りなのかも知れない、、、、。」 「いや、もしかしたら健気な聖女様は我らの足手まといにならぬ様に一人で浄化の旅をしているのかも知れません。」 「己の使命を理解し果敢に試練に立ち向かう聖女様を早く見つけださねばなりません。」 「もしかして聖女様、自分が聖女って気づいて無いんじゃない?」 「「「・・・・・・・・。」」」 何だかよく分からない状況下で主人公が聖女の自覚が無いまま『異世界に来てしまった理由』を探してフラリと旅をする。 ここ、結構汚れていません?ちょっと掃除しますから待ってて下さいね。掃除好きの聖女は無自覚浄化の旅になっている事にいつ気付くのか? そして聖女を追って旅する第二王子一行と果たして出会う事はあるのか!? 魔王はどこに? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 不定期更新になります。 主人公は自分が聖女だとは気づいていません。 恋愛要素薄めです。 なんちゃって異世界の独自設定になります。 誤字脱字は見つけ次第修正する予定です。 R指定は無しの予定です。

クラス召喚されて助かりました、逃げます!

水野(仮)
ファンタジー
クラスでちょっとした騒動が起きていた時にその場に居た全員が異世界へ召喚されたみたいです。

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

処理中です...