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第一話 あの子と食べたかぼちゃプリン
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宗川さんの計画は非常に具体的かつ緻密で、本当にそんなことが自分にできるのかと疑ってしまったけれど、反対する理由もなかった。
ひどい言葉をサンドバッグみたいに受け入れ続け、黙って退職届を出して、その時嵐のように怒鳴られるより、ずっとすっきりした気持ちで辞められるはず。
そう思いながら今日も残業に取り組み、終電でひとり暮らしのアパートに帰ってくると、既に深夜一時を過ぎていた。
カップ麺にお湯を入れて待つ間、スマホで求人サイトをチェックする。
営業の仕事はもうしたくない。でも他の業種で、しかも給料が今と同等かそれ以上のものとなると、専門的なスキルを必要とする仕事ばかり。とてもやっていける気がしない。
「環境を変えるって、かんたんじゃないんだな……」
ため息を吐きながら、条件を変えて求人を検索してみる。
契約社員だけど工場のライン作業なら、僕でもできるかもしれない。
こっちはアルバイトだけど、接客の仕事もある。
人見知りとはいえ、接客なら学生時代に居酒屋でバイトした経験もあるし、営業よりはやれる気がする。
この際、条件にはあまりこだわらないでおこう。給料や福利厚生より、大切なのは矢嶋のような上司がいないこと、気持ちよく働ける職場であることを優先したい。
その時画面が切り替わって、着信音が響き渡った。画面に表示された名前に、心臓が一拍跳ねる。
「……もしもし」
『もしもし、じゃねえよ! お前またやらかしやがったな!!』
とっくにできあがったカップ麺が伸びていく間、延々と説教が続いた。
一応、僕に非があるミスなのでスマホに向かってぺこぺこ頭を下げながら聞いていたが、こちらが低姿勢なのをいいことに矢嶋は増長していく。
『謝って終わりにすんな。今すぐ会社行って、明日の朝までにすべて直しておけ!』
「えっ。今って。そんな、無理ですよ。もう終電終わっちゃってますし」
『馬鹿、タクシー使うなり、歩いていくなりすればいいだろ! お前、会社に損失与えてるってわかってねえのか!? お前みたいないい加減な仕事するやつばっかりだから、うちの会社はどんどん業績が落ちていくんだよ!!』
はい、申し訳ありません、本当にすみません……そんな言葉を繰り返しつつ、僕はさりげなく録音ボタンを押した。
宗川さんの計画は、徹底的にパワハラの証拠を残しておくこと。
矢嶋がやっていることはもはやいじめの域であり、椅子を蹴ったり書類を投げつけるのは、暴力行為として訴えられる。
しかもみんなの見ている前で行われているのだから、その気になれば課の全員で結託して、訴えることもできる――
もちろん、他の同僚たちはなかなか協力してくれないだろうけれど、このまま何もせず、黙って辞めるのは僕も宗川さんも嫌だった。
新入社員だからって、いじめられっぱなしでいいわけじゃない。
おかしいことはおかしい、嫌なものは嫌だと、ちゃんと言葉にしないと、矢嶋のような人を放置したまま、社会が回っていくことになる。
『ほんっといい加減にしろお前! 明日出社したら覚悟しとけよ! ぶっ殺してやる!!』
今のは脅迫罪かなんかに当たるんだろうな、と考えながら、すみません、と口にした。
矢嶋の暴言は一語一句漏らさず、ストレージに刻まれていく。
ひどい言葉をサンドバッグみたいに受け入れ続け、黙って退職届を出して、その時嵐のように怒鳴られるより、ずっとすっきりした気持ちで辞められるはず。
そう思いながら今日も残業に取り組み、終電でひとり暮らしのアパートに帰ってくると、既に深夜一時を過ぎていた。
カップ麺にお湯を入れて待つ間、スマホで求人サイトをチェックする。
営業の仕事はもうしたくない。でも他の業種で、しかも給料が今と同等かそれ以上のものとなると、専門的なスキルを必要とする仕事ばかり。とてもやっていける気がしない。
「環境を変えるって、かんたんじゃないんだな……」
ため息を吐きながら、条件を変えて求人を検索してみる。
契約社員だけど工場のライン作業なら、僕でもできるかもしれない。
こっちはアルバイトだけど、接客の仕事もある。
人見知りとはいえ、接客なら学生時代に居酒屋でバイトした経験もあるし、営業よりはやれる気がする。
この際、条件にはあまりこだわらないでおこう。給料や福利厚生より、大切なのは矢嶋のような上司がいないこと、気持ちよく働ける職場であることを優先したい。
その時画面が切り替わって、着信音が響き渡った。画面に表示された名前に、心臓が一拍跳ねる。
「……もしもし」
『もしもし、じゃねえよ! お前またやらかしやがったな!!』
とっくにできあがったカップ麺が伸びていく間、延々と説教が続いた。
一応、僕に非があるミスなのでスマホに向かってぺこぺこ頭を下げながら聞いていたが、こちらが低姿勢なのをいいことに矢嶋は増長していく。
『謝って終わりにすんな。今すぐ会社行って、明日の朝までにすべて直しておけ!』
「えっ。今って。そんな、無理ですよ。もう終電終わっちゃってますし」
『馬鹿、タクシー使うなり、歩いていくなりすればいいだろ! お前、会社に損失与えてるってわかってねえのか!? お前みたいないい加減な仕事するやつばっかりだから、うちの会社はどんどん業績が落ちていくんだよ!!』
はい、申し訳ありません、本当にすみません……そんな言葉を繰り返しつつ、僕はさりげなく録音ボタンを押した。
宗川さんの計画は、徹底的にパワハラの証拠を残しておくこと。
矢嶋がやっていることはもはやいじめの域であり、椅子を蹴ったり書類を投げつけるのは、暴力行為として訴えられる。
しかもみんなの見ている前で行われているのだから、その気になれば課の全員で結託して、訴えることもできる――
もちろん、他の同僚たちはなかなか協力してくれないだろうけれど、このまま何もせず、黙って辞めるのは僕も宗川さんも嫌だった。
新入社員だからって、いじめられっぱなしでいいわけじゃない。
おかしいことはおかしい、嫌なものは嫌だと、ちゃんと言葉にしないと、矢嶋のような人を放置したまま、社会が回っていくことになる。
『ほんっといい加減にしろお前! 明日出社したら覚悟しとけよ! ぶっ殺してやる!!』
今のは脅迫罪かなんかに当たるんだろうな、と考えながら、すみません、と口にした。
矢嶋の暴言は一語一句漏らさず、ストレージに刻まれていく。
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