【第2章完】過労死した俺、今度は異世界で影の力を駆使して死なない程度に頑張ります。

疾風

文字の大きさ
16 / 34
第2章 過労死した俺、リリアが顔を隠してる理由に迫る。

第16話

しおりを挟む
 悠斗とリリーナはリリアを探すため、さっそく準備を整えた。彼女がいなくなった理由を考えれば考えるほど、不安と焦りが募る。
 悠斗は一度、リリーナに危険だからついて来るなといったがリリーナは悠斗の言葉に耳を貸さなかった。悠斗は、リリーナを留守番させることを諦めて一緒に行動してリリアを探すことにした。

「ひとまず、昨日襲われた場所にいってみよう」

 悠斗はリリーナにそう提案し、リリアと最後に歩いた道を辿りながら周囲を注意深く観察した。森の中はまだ朝の静けさに包まれており、鳥のさえずりが響くだけで人の気配は感じられない。

 しばらく森を進むと、草むらに一筋の足跡が見つかった。

「見てくれリリーナさん。この足跡、リリアのかもしれない」

リリーナは目を凝らし、足跡を確認した。

「これだけじゃ、なんとも言えないけど確かに最近できた足跡だね」

 他に宛があるわけではなかったので悠斗とリリーナは足跡を辿り進むことにした。
 足跡を辿って森の奥へ進んでいくと、森は次第に薄暗く、静寂を増していった。葉の隙間から差し込む朝の光もほとんど届かず、足元の道はどこか不気味な雰囲気を醸し出している。

「この辺り、なんだか……さっきまでと空気が違う気がする」

 リリーナが不安げに辺りを見回し、呟いた。悠斗も同意見だった。人が通るような道とは到底思えないが、足跡は確かにここへ続いている。

「この足跡、どこまで続いているんだ……?」

 そうぼやく悠斗が目を凝らしていると、遠くにかすかだが黒い影が動くのが見えた。緊張が走り、二人は音を立てないように静かにその影に近づいた。

 すると、低木の陰で一人の男性が姿を現した。暗いローブを纏った男で、その顔には深い皺が刻まれ、目は冷たく光っている。悠斗がその男の様子を窺っていると、男は辺りを見回し、不満そうな表情を浮かべて低く呟いた。

「……逃げ足の速い奴だな。しかし、必ず見つけ出す……裏切り者め」

 その言葉を耳にした悠斗とリリーナは息を呑んだ。男がリリアを狙っているのは明白で、何か手がかりを掴んでいるかもしれない。

 悠斗は男に気づかれないようにリリーナに目配せし、そっと近づいた。男の気配を完全に捉えられる距離まで来た時、悠斗は低い声で言った。

「おい、あんた。リリアさんがどこにいるか知らないか?」

 男は驚いたように振り返り、二人をじろりと睨みつけた。その目には、悠斗たちに対する敵意が隠しきれずに滲んでいた。

「貴様……昨日リリアと一緒にいた奴か」

 男は不気味に笑いながら、影をゆっくりと操り始めた。その動きは悠斗とリリアが昨日遭遇した影使いに似ているが、より冷酷で凶悪な気配を漂わせている。

「彼女は裏切り者だ。この森に隠れていようとも、影の一族は逃がしはしない」

 男が低く呟くと同時に、彼の影が大きく膨らみ、悠斗とリリーナに襲いかかってきた。悠斗はとっさにリリーナをかばい、男の影の攻撃を避けながら身構える。

「リリアさんがどこにいるか教えてもらおうか。その前に、あんたを黙らせなきゃな!」

悠斗は戦闘態勢を整え、目の前の男に立ち向かう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

処理中です...