君と交わした約束

疾風

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第2話

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 それから数日が経ち、勇人は生徒会の仕事を正式に手伝うことになった。
 学校全体を見ても放課後の教室や体育館では、文化祭の準備が進められており、生徒たちは各々の役割を果たしていた。
 普段、表立って人と関わることを避けてきた勇人にとって、こうした集団の中に身を置き、それでいて役割が与えられているという事実は少し居心地が悪かった。
 それでも、紗奈が何かと気にかけてくれるため、逃げ出さずにすんでいる。
 生徒会には、紗奈以外にも個性的なメンバーがいた。文化祭の実行委員長を務めるのは、冷静沈着で成績優秀な高橋和真たかはし かずまという男だ。彼は生徒会長と文化祭実行委員長を兼任している。
 リーダーシップを常に発揮し、生徒全体をまとめる力を持ち、常に淡々とした態度で物事を進めていた。

「高橋和真だ。生徒会長をしている。よろしく頼む。早速で悪いが相川、これが全体のスケジュールだ。確認しておいてくれ」

 初めて会った日に、和真はスケジュール表を勇人に手渡した。

「随分と雑な挨拶ですね」

 勇人は、少しぶっきらぼうな対応をとってしまった。和真は3年生で、勇人は2年生である。

「そうか?気に障ったなら謝る。篠原から、お前は信頼できる奴だと聞いている。文化祭成功させような!」

 高橋は、激励の意味を込めて隼人の肩を叩く。
 勇人は、こういった人間とどうやって関わっていけば良いのかわからずにただ呆然と立ち尽くしてしまった。

「悪い人ではなさそうだけど、正直どう関わっていけばわからんな……」

 勇人は思わず声に出して呟く。

 次に勇人が出会ったのは、生徒会の書記を務める向田杏奈むこうだあんなという3年生の女子生徒だった。
 彼女は小柄で元気いっぱいな性格で、どんな状況でもポジティブな発言で周囲を明るくする。彼女の無邪気な笑顔は、勇人の緊張をほぐしてくれる存在となった。

「向田杏奈です!相川君、よろしくね! 私、いっぱい頼みごとしちゃうかもしれないけど、がんばろうね!」

 杏奈は最初からフレンドリーに接してくれた。握手を求めて右手を差し出しているのも彼女の性格を大いに表しているなと思った。

「よ、よろしくお願いします」

 勇人は、和真の時とは違うベクトルでどう接して良いかわからずに少しオドオドとした態度をとってしまった。かろうじて、握手をすることには成功した。

そして、最後に会計担当の檜山大輝ひやまだいきという同学年の男と出会う。
 彼は無口で少し取っつきにくい性格だが、計算や細かい作業に関しては非常に精密で、他のメンバーからも信頼されていた。彼が一人で静かに予算案を作成している姿に、勇人は少し親近感を抱いた。

「お前も静かな方が好きだろ?」

大輝が勇人にそう声をかけた時、勇人は驚いた。普段あまり話さない彼が、自分に声をかけるとは思わなかったのだ。

「……まあ、そうだな。でも最近は、少し騒がしいのも悪くないと思ってる」

 勇人はそう答えると、大輝は小さく笑った。

「一瞬にしてこの生徒会メンバーに染められちまったな」


「うるせ」

「あはは。でも安心しろ。俺もだ」


 こうして、勇人は少しずつではあるものの生徒会メンバーとの距離を縮めていくのだった
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