訳あり師弟が媚薬を100本作る方法【完結済】

ゆきのりん

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04.師匠と弟子としての初日(と媚薬の調合)

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 ほぼ同時に目覚めたようで、しばらく見つめ合って笑いあってしまった。

 
 顔を洗って着替えると温室に向かい、食べ頃の果物を探した。
 熟しても色が変わらないので匂いで判別する果実に顔を近づけると、出入り口の辺りでシューが見ているのに気づいた。
 手招きして、いくつか生っているうちのひとつを指し示す。

「これ、熟れてるよ。匂い嗅いでみて」
「……えっ、このひとつだけ甘い香りが強いですね」
「ふふ、美味しいよ~これは今日食べなきゃ」

 朝食には、チーズを乗せて温めた昨日のパン、豆と根菜の塩味のスープ、温室で採れた果物を並べた。


 その後、シューが懐中時計を持っていたので今後の一日の予定をおおまかに決めた。
 
 5時に起床。
 朝食と畑の世話などを10時ごろまで。
 合間に休憩を挟みながら魔法の指導。
 17時に夕食。
 就寝までは各々自由に過ごす。この時間に、私は媚薬の調薬を行う。
 シューが風呂を沸かしてくれるという。入浴自体は好きだけれど、沸かすのが面倒で木桶に温い湯を張って済ませてしまうのでとても有難い。
 
 今までの私の一日に合わせてくれたのでこうなったが、シューはお腹を空かせてしまうと思うので、休憩時間に軽い食事を出そうと思っている。
 季節が変われば調整していこう、ということで落ち着いた。



 ―――数年ぶりに、私たちは師匠と弟子として向かい合う。
 

「シューは魔法を専門に勉強してたんだよね。本当に、私が教えられることなんてある…?」

 私ができることは、遠見、鎮静、浄化の魔法と、魔法薬の調薬。

「いろいろと習得しましたが………学院の方針で言えないこともありまして」
「そうなんだね、いいよ~言わなくて」


「同級に遠見を扱う奴がいました」
「へえ、どんなの?」
「俺の方が上手でしたよ」
「あらあら、うふふ」


 雑談をしていたら休憩時間になってしまったので、卵と粉と糖蜜を混ぜて焼いたものを熱いうちに食べた。

「ん、美味しいです」
「シューがケバコの卵をふわふわに混ぜてくれたからね、美味しいね」

 森で巣から落ちて翼が折れてしまった雛を拾って、ずっと敷地内で放し飼いにしている、けばけば鳥のケバコ。
 毎朝、ご飯だよーと呼びかけると小屋から出てきて、可愛い顔で見上げてくれる。
 家を挟んだなるべく遠くに果物を入れた皿を置き、食べている間に素早く小屋を掃除して、滅多に産まない卵があれば回収する。
 間に合わないと、鎮静の魔法をかけない限り追われてつつかれて蹴られてしまう。
 元々狂暴な鳥だけれど、懐いてくれなくて寂しいし悲しい。
 今朝はシューが、一瞬の隙をついて卵を取ってくれたのだ。



「師匠の魔法は詠唱しないですね」
「したいことを強く意識するだけで口に出す必要はないね~出しても問題ないけど」

 ふたりでかっこいい詠唱を考えていたら、随分と時間が経ってしまっていた。

 
 師匠と弟子っぽいことは何もせずに終わってしまった―――


 夕食は、シューが朝の時間に狩ってきてくれた兎もどきの串焼き、朝のスープの残りに葉物野菜を加えたもの、発酵させない簡単なパン。

 朝、シューが何かの肉を持ってきた。
 それが、長い耳と背中の毒針が特徴の毒針兎擬のものだと聞いて驚いた。
 雄同士の争いだけではなく、敵や人にも体当たりして毒を纏った針を刺す兎もどき。
 その毒針が木の幹に当たると、枯らしてしまうことがある。
 たくさんいると森が荒れるので狩猟が推奨されているけれど、狩るのも処理するのも危険なのだ。
 刺されていないかと心配したが、シューは大丈夫ですよと笑っていた。
 毒針もしっかり抜いて解体した肉。手先が器用な子だ。
 薄く切って香辛料を効かせて串に刺して直火で焼くと、とても美味しかった。


 ―――その後は

「じゃあ、媚薬の調薬をしようかな…う~~~ん」


「師匠、実は俺の家にも魔族にゆかりのあるものがあったんですよ」
「え、そうなの。どんなもの?」
「魔人が時空を渡って集めた書物を訳したものです」
「へえ~! 異世界の本?」
「はい。原本ではありませんが、魔族から訳読の魔法を得た者を探して翻訳させた物だそうです。卑猥な小説で、諳んじてるので濡れ場だけ朗読しますね」
「え、暗記してるの」
 
 そこまでして訳した本はどんな内容だろうと思ったらいくつか「?」が浮かんだけれど、飲み込んで頷いた、



「…『俺のち●ぽで天国見せてやるよ』『ああんフル勃起お●んぽしゅごいのおおお●●こおかしくなっちゃううん』『俺の●んぽそんなにいいのかよお前の●ん●むしゃぶりついてくるぜ』」

「●が気にって集中できない…」

 あと棒読み…味わい深い…


「では●のない話を…『ジュヌリヴィエリーヌ嬢僕の愛を受け止めてください』ロベールドウィッグはジュヌリヴィエリーヌの喜悦に涙を零す淫穴に己の猛り立つ肉杭を打ち込んだ。『わたくしは貴方のものですロベールドウィッグ様』『ジュヌリヴィエリーヌ嬢ああこれこそが真実の愛』ロベールドウィッグはジュヌリヴィエリーヌの白磁の双丘の先端で健気に待っていた桃色の尖りを味わう。『ああ熱いのロベールドウィッグ様飴のように溶けてしまうわ』」


「名前が長いなあ…」

 あと棒読み…癖になりそう…


「文句ばっかりでごめんね…上手だったよ」
「いえ…実を言えば同級の奴らには不評だったんですよね…何故でしょう」
「ど…どうしてかなあ…同級生の子にも聞かせてあげたの?」
「不寝番の時などに…ところで師匠、いやらしい気分になりましたか?」
「………えへへ」
「なんですか気まずそうかな顔からのそのごまかし笑い俺の情緒は乱れっぱなしです」
「んん? 魔人って変わったもの集めてるんだね」
「他には閨事の指南書なんてものもありましたよ」
「ヒトの営みに興味があるのかな」
「……魔族の考えることはわかりませんね」


「やっぱり直接触ってもらうのがいいのかなあ」
「…自分で触ってみるというのは?」
「ああ、そっか」

 触りながら調薬するわけではないので、可能だ。
 おもむろに乳を鷲掴むと、作業台の前で向かい合って座るシューが椅子から浮いたかと思う程にびくりと震えた。

「ど、どうかした?」
「い、いえ、そんなに強く掴んで大丈夫なんですか!?」
「全然平気だよ?」

 贅肉を寄せたり上げたり揉んだりしてみるものの、布地が邪魔なように感じる。
 
「ごめんね、ちょっと後ろを向いててもらえるかな」
「え、あ、はい」

 シューの背中を確認して、私は前掛けを外してスカートの裾から手を入れ、素肌に触れた。

「…………」
「師匠…?」
「もう少し待っ……あっ」
「師匠???」

 指先が乳首に触れた時、妙な声が上がってしまった。
 さっと手を抜き、服の乱れを整える。

「お、お待たせ、もういいよ」
「……は、い…」
 
 シューはゆっくりと、首を回して顔だけ振り向いた。

「よしっ、調薬してみるね」
「あっ、はい…あの、すす少し休憩してもいいですか」
「うん、あっお水か何か飲んできてね」

 朗読もしてくれたし、喉が渇いているかもしれない。
 シューは立ち上がりこちらを振り返ることなく滑らかに部屋を出て行った。
 なんだか颯爽としていて、格好良さを感じてしまった。
 

 今日は、5本の媚薬が完成した。

「昨日より少ないけど、できたよ~」
「よかったですね師匠俺には見えませんでしたがいやらしい気分になる何かをしていたんですねすぐ側なのに見えないこのもどかしさと言ったらもうものすごい勢いで想像しました衣擦れの音が聞こえましたがもしかして直接」
「んん…」

 瞼を上げていられずぐらぐらと揺れている私を、シューは抱き上げて寝台に運んでくれた…気がする。



<媚薬:15本>


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