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マリーの進む道
想定外
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マリーに向かって振われる魔族の剣を、ソフィが受け止める。鍔迫り合いになった瞬間に、マリーが素早く魔族に蹴りを叩き込む。魔武闘術を使って打ち込まれた脚によって、魔族の体勢が崩れ、ソフィが首を刎ねる。
その瞬間に一瞬動きが止まってしまうソフィに魔族がタックルをしようとするが、その上半身と下半身が、突然別れてしまう。先んじて放っていたマリーの剣が斬り裂いたのだ。
そんな二人に魔族から魔法が放たれる。既にアイリ達も防御に意識を回せる段階を過ぎている。そのため、この攻撃も自分達で対応するしかない。
マリーは、その魔法に、剣を飛ばして斬る。マリーの剣が、魔族の放った火魔法と水魔法、風魔法を纏う。マリーの剣には、それぞれ一つの属性魔法を纏える処理がされている。そのため、相手が魔法を使うのであれば、こうして逆に利用する事も可能だった。ただし、その魔法に反応して、受け止めないといけないので、不意打ちなどの意識外から攻撃されると対応出来ないので、万能というわけではない。
魔法を纏った剣を魔族の集団に叩きつけ、纏った魔法を解放した。魔族達が宙を舞う姿を見ずに、マリーは目の前の魔族に剣を飛ばして斬り裂いていく。
そして、次の魔族に目を向けた瞬間、いきなり視界が一段下がった。
「!?」
その原因は、義足にあった。この戦闘で酷使した結果、関節部分に負担が掛かっていたのだ。膝から完全に折れていないだけマシという状況だが、すぐに動かせないのは変わらない。
『主様!』
すぐにソフィが近くに来て、近づいてくる魔族を退ける。その間に、マリーは自分の義足を調整する。
(早く……早く……!)
出来るのは、応急処置だけだが、それでも動けるようにはなる。マリーは、焦りながらも的確に処置を続ける。そこに、魔族が殺到してくる。今のマリーは、丸腰も良いところだからだ。だが、マリーの短剣と剣がそれを阻む。そこを突破したとしても、ソフィがいるので、マリーに近づける魔族はいないはずだった。魔族の剣と打ち合ったマリーの剣が砕けるまでは。
「!」
十分なメンテナンスを出来てなかったため、いつかはそうなってもおかしくはなかった。だが、今はタイミングが悪かった。短剣だけでは、押し寄せる魔族に対応しきれず、ソフィに負担が集中した結果、突破してくる魔族が出て来た。
『主様!』
ソフィの叫びに応じるように、マリーは魔法を放つが、それでも対応しきれない。
「アルくん……」
無意識にアルの名前を呼ぶが、その声はアルには届かない。
マリーは、歯を食いしばり、拳を握りしめる。この状況下でも、マリーの中に諦めはなかった。まだ自分には出来る事があると信じているからだ。
マリーの目の前に魔族の凶刃が迫る。その刃に合わせるように、マリーも拳を振ろうとすると、目の前を黒い風が通り過ぎていった。その瞬間、目の前に来ていた魔族が倒れる。黒い影は、そのままマリーの周囲を回り、近づいてくる魔族を次々に倒していった。
「何……?」
全く身に覚えがないマリーは、それを警戒した。周囲の魔族が消え、一時的に隙間が出来ると、黒い影が、マリーの傍に跪き、頭を垂れる。そこにいたのは、フードも全て取ったカイトだった。フードを取ろうが、カイトに見覚えはないため、マリーは困惑する。
「こうして姿を現す事をお許しください。私は、国王陛下の命でマリー様を殺そうと画策していた者です」
「……なら、放っておけば、死んだと思うけど」
自分を殺そうとしていたと聞いて、マリーが快く思うわけがない。その事をカイト自身も承知していたが、こうして正直に話したのは、マリーへの罪悪感故だった。
「国王陛下の崩御に伴い、その命令は解消されたと判断しました。故に、御身を守らせて頂きたい」
「……信用しろと?」
「虫のいい話だとは、重々承知しております。ですが、先程の攻防で、ある程度の信用して頂けないかと……」
カイトの言う通り、虫のいい話だとマリーは思っていた。だが、先程助けて貰った事も事実。それらと現状を加味して、マリーの出した決断は……
「分かった。信用はしないけど、今は戦力が欲しい」
「ありがとうございます」
そう言った直後、カイトの姿が掻き消え、マリーの周囲に寄ってきていた魔族が斬り裂かれていった。ソフィが相手をしていた敵も同様に倒されたので、ソフィは、マリーの傍に寄る。
『主様!』
「ソフィ。守ってくれてありがとうね。私は大丈夫だよ」
『いえ、私は守りきれませんでした。本当に申し訳ありません。それで、先程の者は、お知り合いですか? 敵意はありませんでしたが』
「そうなんだ。ソフィがそう言うなら、本当に敵意は無さそうだね。私を殺そうとしていた人だけど、正直よく分からない。今は、私を守ってくれてる。私達も戦わないとね」
応急処置を終えたマリーは立ち上がる。ただの応急処置の為、まだ走る事は出来ない。
「さて、短剣はあるけど、剣は行進曲に使っているもの以外壊れたから、魔法中心で戦う。ソフィは、一メートル以内にいて」
『かしこまりました』
マリーとソフィは、互いに離れないようにして戦う。基本的に接近してくる魔族は、カイトが倒しているが、それでも数が数なので、抜けてくる魔族がいる。
マリーの魔法で牽制しつつ、ソフィが斬り殺す。それを繰り返して倒していると、傍にアイリとリリーがやってくる。
「マリーちゃん! ソフィちゃん! 大丈夫!?」
先程のマリーのピンチを偶々アイリが見掛けて、急いで駆けつけてきたのだ。
「うん。ちょっと義足が壊れちゃっただけ。今は動くから大丈夫。リリー、怪我は?」
「ないですわ。それよりも、何でここだけ敵が寄り付かないんですの?」
「ああ……話せば長くなるんだけど、今は味方だから、気にしないでいいよ。それよりも、二人とも私の後ろを守って貰って良い? ちょっと脚が心配で」
「うん。任せて」
「分かりましたわ」
リリーとアイリも加わって、マリーの戦闘は安定する。そのまま数時間戦闘は続き、夜になる頃には、千以上いた魔族を倒しきる事が出来た。その分、被害もあり、少なくない人数が犠牲になった。
戦い終えたマリーは、正座をしたソフィの膝に座っていた。
「はぁ……」
「マリーさん、大丈夫ですの?」
「うん。ちょっと酷使し過ぎちゃっただけ。帰りは、ソフィに背負って貰うから大丈夫だよ」
そんな話をしているマリーとリリーの元に、カイトが跪いて頭を垂れる。
「ご無事でなによりです。私は、このまま森の奥へと偵察に行って参ります。何かあれば、音響玉を鳴らします。その後の判断は、お二人にお任せ致しますが、なるべくであれば、後方に退却して頂けると幸いです」
「まぁ、そこは考えておくよ」
「ありがとうございます。では、マリー様、リリー様、失礼致します」
カイトはそう言って、森の方へと消えていった。
「マリーちゃん達の知り合いさん?」
マリーとリリーの名前が出たので、アイリは二人の知り合いなのかと首を傾げる。
「野外演習で、私を殺そうとした人」
「「!?」」
マリーが何でもないように言ったが、リリーとアイリには衝撃的だった。
「じゃ、じゃあ、お父様の懐刀という事ですの?」
「まぁ、そうなるね。だから、私とリリーの事を知っているっていうか、敬っているの。正直、あまり信用は出来ないけど」
「何の話だ?」
マリー達の元にボロボロのアルとコハク、セレナがやってくる。
「ん? 味方だか敵だかよく分からない人の話。皆、ボロボロだね」
「マリーが言う? 脚、壊れちゃったの?」
「うん。上手く動かないんだ。多分、他の人達も、大分消耗してると思う。取り敢えず、塹壕に戻ろう。敵は全員倒したみたいだし」
『感知範囲内に、敵は存在しません』
ソフィのお墨付きも貰ったので、マリー達は塹壕に移動する。マリーは、ソフィに背負われて移動した。その途中で、これまたボロボロのリンと合流した。
「リンさん、無事で良かった」
リンの姿を見て、コハクも安堵していた。
「皆も無事……マリーさんは、無事って言っていいのかな?」
「うん。脚が動かないだけだから、無事だよ」
「まぁ、元気そうで良かったかな」
マリー達は、全員の無事に安堵しつつ塹壕へと戻っていった。
その瞬間に一瞬動きが止まってしまうソフィに魔族がタックルをしようとするが、その上半身と下半身が、突然別れてしまう。先んじて放っていたマリーの剣が斬り裂いたのだ。
そんな二人に魔族から魔法が放たれる。既にアイリ達も防御に意識を回せる段階を過ぎている。そのため、この攻撃も自分達で対応するしかない。
マリーは、その魔法に、剣を飛ばして斬る。マリーの剣が、魔族の放った火魔法と水魔法、風魔法を纏う。マリーの剣には、それぞれ一つの属性魔法を纏える処理がされている。そのため、相手が魔法を使うのであれば、こうして逆に利用する事も可能だった。ただし、その魔法に反応して、受け止めないといけないので、不意打ちなどの意識外から攻撃されると対応出来ないので、万能というわけではない。
魔法を纏った剣を魔族の集団に叩きつけ、纏った魔法を解放した。魔族達が宙を舞う姿を見ずに、マリーは目の前の魔族に剣を飛ばして斬り裂いていく。
そして、次の魔族に目を向けた瞬間、いきなり視界が一段下がった。
「!?」
その原因は、義足にあった。この戦闘で酷使した結果、関節部分に負担が掛かっていたのだ。膝から完全に折れていないだけマシという状況だが、すぐに動かせないのは変わらない。
『主様!』
すぐにソフィが近くに来て、近づいてくる魔族を退ける。その間に、マリーは自分の義足を調整する。
(早く……早く……!)
出来るのは、応急処置だけだが、それでも動けるようにはなる。マリーは、焦りながらも的確に処置を続ける。そこに、魔族が殺到してくる。今のマリーは、丸腰も良いところだからだ。だが、マリーの短剣と剣がそれを阻む。そこを突破したとしても、ソフィがいるので、マリーに近づける魔族はいないはずだった。魔族の剣と打ち合ったマリーの剣が砕けるまでは。
「!」
十分なメンテナンスを出来てなかったため、いつかはそうなってもおかしくはなかった。だが、今はタイミングが悪かった。短剣だけでは、押し寄せる魔族に対応しきれず、ソフィに負担が集中した結果、突破してくる魔族が出て来た。
『主様!』
ソフィの叫びに応じるように、マリーは魔法を放つが、それでも対応しきれない。
「アルくん……」
無意識にアルの名前を呼ぶが、その声はアルには届かない。
マリーは、歯を食いしばり、拳を握りしめる。この状況下でも、マリーの中に諦めはなかった。まだ自分には出来る事があると信じているからだ。
マリーの目の前に魔族の凶刃が迫る。その刃に合わせるように、マリーも拳を振ろうとすると、目の前を黒い風が通り過ぎていった。その瞬間、目の前に来ていた魔族が倒れる。黒い影は、そのままマリーの周囲を回り、近づいてくる魔族を次々に倒していった。
「何……?」
全く身に覚えがないマリーは、それを警戒した。周囲の魔族が消え、一時的に隙間が出来ると、黒い影が、マリーの傍に跪き、頭を垂れる。そこにいたのは、フードも全て取ったカイトだった。フードを取ろうが、カイトに見覚えはないため、マリーは困惑する。
「こうして姿を現す事をお許しください。私は、国王陛下の命でマリー様を殺そうと画策していた者です」
「……なら、放っておけば、死んだと思うけど」
自分を殺そうとしていたと聞いて、マリーが快く思うわけがない。その事をカイト自身も承知していたが、こうして正直に話したのは、マリーへの罪悪感故だった。
「国王陛下の崩御に伴い、その命令は解消されたと判断しました。故に、御身を守らせて頂きたい」
「……信用しろと?」
「虫のいい話だとは、重々承知しております。ですが、先程の攻防で、ある程度の信用して頂けないかと……」
カイトの言う通り、虫のいい話だとマリーは思っていた。だが、先程助けて貰った事も事実。それらと現状を加味して、マリーの出した決断は……
「分かった。信用はしないけど、今は戦力が欲しい」
「ありがとうございます」
そう言った直後、カイトの姿が掻き消え、マリーの周囲に寄ってきていた魔族が斬り裂かれていった。ソフィが相手をしていた敵も同様に倒されたので、ソフィは、マリーの傍に寄る。
『主様!』
「ソフィ。守ってくれてありがとうね。私は大丈夫だよ」
『いえ、私は守りきれませんでした。本当に申し訳ありません。それで、先程の者は、お知り合いですか? 敵意はありませんでしたが』
「そうなんだ。ソフィがそう言うなら、本当に敵意は無さそうだね。私を殺そうとしていた人だけど、正直よく分からない。今は、私を守ってくれてる。私達も戦わないとね」
応急処置を終えたマリーは立ち上がる。ただの応急処置の為、まだ走る事は出来ない。
「さて、短剣はあるけど、剣は行進曲に使っているもの以外壊れたから、魔法中心で戦う。ソフィは、一メートル以内にいて」
『かしこまりました』
マリーとソフィは、互いに離れないようにして戦う。基本的に接近してくる魔族は、カイトが倒しているが、それでも数が数なので、抜けてくる魔族がいる。
マリーの魔法で牽制しつつ、ソフィが斬り殺す。それを繰り返して倒していると、傍にアイリとリリーがやってくる。
「マリーちゃん! ソフィちゃん! 大丈夫!?」
先程のマリーのピンチを偶々アイリが見掛けて、急いで駆けつけてきたのだ。
「うん。ちょっと義足が壊れちゃっただけ。今は動くから大丈夫。リリー、怪我は?」
「ないですわ。それよりも、何でここだけ敵が寄り付かないんですの?」
「ああ……話せば長くなるんだけど、今は味方だから、気にしないでいいよ。それよりも、二人とも私の後ろを守って貰って良い? ちょっと脚が心配で」
「うん。任せて」
「分かりましたわ」
リリーとアイリも加わって、マリーの戦闘は安定する。そのまま数時間戦闘は続き、夜になる頃には、千以上いた魔族を倒しきる事が出来た。その分、被害もあり、少なくない人数が犠牲になった。
戦い終えたマリーは、正座をしたソフィの膝に座っていた。
「はぁ……」
「マリーさん、大丈夫ですの?」
「うん。ちょっと酷使し過ぎちゃっただけ。帰りは、ソフィに背負って貰うから大丈夫だよ」
そんな話をしているマリーとリリーの元に、カイトが跪いて頭を垂れる。
「ご無事でなによりです。私は、このまま森の奥へと偵察に行って参ります。何かあれば、音響玉を鳴らします。その後の判断は、お二人にお任せ致しますが、なるべくであれば、後方に退却して頂けると幸いです」
「まぁ、そこは考えておくよ」
「ありがとうございます。では、マリー様、リリー様、失礼致します」
カイトはそう言って、森の方へと消えていった。
「マリーちゃん達の知り合いさん?」
マリーとリリーの名前が出たので、アイリは二人の知り合いなのかと首を傾げる。
「野外演習で、私を殺そうとした人」
「「!?」」
マリーが何でもないように言ったが、リリーとアイリには衝撃的だった。
「じゃ、じゃあ、お父様の懐刀という事ですの?」
「まぁ、そうなるね。だから、私とリリーの事を知っているっていうか、敬っているの。正直、あまり信用は出来ないけど」
「何の話だ?」
マリー達の元にボロボロのアルとコハク、セレナがやってくる。
「ん? 味方だか敵だかよく分からない人の話。皆、ボロボロだね」
「マリーが言う? 脚、壊れちゃったの?」
「うん。上手く動かないんだ。多分、他の人達も、大分消耗してると思う。取り敢えず、塹壕に戻ろう。敵は全員倒したみたいだし」
『感知範囲内に、敵は存在しません』
ソフィのお墨付きも貰ったので、マリー達は塹壕に移動する。マリーは、ソフィに背負われて移動した。その途中で、これまたボロボロのリンと合流した。
「リンさん、無事で良かった」
リンの姿を見て、コハクも安堵していた。
「皆も無事……マリーさんは、無事って言っていいのかな?」
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