29 / 63
第29話 シェリー・V・カイネハイン
しおりを挟む
王都からフリーデブルクに戻ってから数日後、マリカは普段通りに仕事をしつつカティア用のオプション装備を修復していた。これまで使用されたユニットとは異なり、脚部に装着するタイプのようだ。
「これでよし…カティア、装着してみて」
いわゆる無限軌道と呼ばれる戦車型の装備で、アンドロイドのふくらはぎの側面に取り付ける。その状態で正座するようにヒザを曲げることで無限軌道が接地し、履帯によって走行することが可能になるのだ。
「カティア、これを装備することで何かメリットはあるの? 二足歩行できるのだから、わざわざ旧世界の戦車のように走らなくてもいいような……」
「無限軌道の利点は不整地でも安定した走行が可能という点ですね。しかも重量のある火器類を搭載したまま高速移動ができます。それこそ戦車のような大口径装備を持って、走りながら撃つこともできるでしょう」
「キャノンパックよりも大きな魔道砲を積んだまま前線で戦えるってことか」
「旧世界においては、タンクパックという二門の大型魔道キャノンと無限軌道を併用して使用していましたね。確か、倉庫の中に似たような武器がありました」
「ならそれも直そう。いつ戦いに巻き込まれるか分からないからね。装備は充実させておいて損はないもの」
ここ最近、強力な魔物と交戦する機会が何度もあり、その度にカティアとオプションユニットに助けられてきた。つい数日前もマインレイヤーを担いだカティアの機雷攻撃によってグロット・スパイダーを殲滅することに成功し、それが無ければマリカ達が逆に殺されていただろう。
「街の外に出なければ魔物に遭遇することもないから、暫くは街の中で平穏に過ごしたいねぇ……」
フリーデブルクの中にさえいれば魔物と鉢合わせすることは無い。時折、魔物は集団で街を襲うこともあるが、街の魔導士達が一丸となって防衛に出るので個人で戦うよりはリスクは減る。
「まあカナエのような傍若無人で人を振り回すヤツでも来なければ」
「おっすおっすー。マリカはおるかー?」
「…来なければ平穏でした」
聞きなれた甲高い声を耳にしてマリカはうな垂れた。王都での一件以来の再会である。
「相変わらず暇そうだね、コノエ・エンタープライズは」
「真正の暇人に言われたかないわ。で、今日はどうしたの?」
「エーデリアがさ、この店に来たいっていうもんだから」
カナエの後ろからひょこっと現れて上品に手を振るのはエーデリアだ。
家出をしたままフリーデブルクへとマリカ達と共に渡り、以後はカナエと同棲しているらしい。金持ち令嬢と不審者の組み合わせというものは不可解だが、二人は身分や肩書など全く関係なく強く結ばれている。
「久しぶりのフリーデブルクをカナエさんと観光して回っていまして、マリカさんのお店も学生時代の思い出の場所なのですから是非訪れたいと思っていたのです」
「そっか。ここは観光ポイントにするほどの場所ではないけど、まあゆっくりしていって」
「この老舗の雰囲気、好きですよ。喧噪もなく落ち着いていて、せわしない世間を忘れながら様々な道具類に囲まれるというのも」
「…いやうん、単に客がいなくて過疎っているだけなんだけどね……」
物は言いようで、エーデリアは好意的な解釈をしてくれているが、現実はマリカの言うように客がいないために静かなだけである。カティアの呼び込みなどで前よりは客足も増えたとはいえ劇的な改善がなされたわけではない。
「エーデリアに経営顧問を頼むのが正解かもね」
「わたくしは一応経営学を学んでおりますから、ご要望とあらば協力しますよ」
「お姉ちゃんに話しておくか……」
将来的にディザストロ社の経営を担う予定であったエーデリアは、学生時代に経営学についても勉強していた。しかし母と袂を別って会社を出てきたため、その努力は無駄になりかけており、ならコノエ・エンタープライズの経営健全化に手を貸してもらうのも悪くないとマリカは思ったのである。
「ウチをお呼び?」
「うわっ! 急にどっから出てきたの!?」
「マリカちゃんに呼ばれれば地中からでも空からでも出てくるよぅ。てか、エーデリアちゃんじゃないの! おひさしぶりね」
アオナもエーデリアと面識があり、姪っ子が来たようにエーデリアを迎え入れた。
こういう外面の良さを家の中でも維持してくれとマリカは心でツッコむが声には出さない。無駄な行為はなるべくしたくないからだ。
「コノエ・エンタープライズはエーデリアに社長を任せたほうがイイと思うんだよね、お姉ちゃん」
「あら、じゃあウチは会長に?」
「グループ企業じゃないでしょウチの店は……お姉ちゃんにはヒラの店員としてやり直してもらうのが一番かもね」
「まあ! こんな模範的店員なのに!?」
「……」
普通の店員は営業中に酒を呑んで酔いつぶれたりしない。真っ先にクビを切られる対象なのだが、これがトップに居座っているのだから世も末である。
「雇っていただけるなら嬉しいです。この街で職を探そうと思っておりましたので」
姉を追放してエーデリア、カティアと三人で頑張っていくのもアリだな考えた矢先、
「そうはいきません! エーデリア、あなたは王都に連れて帰ります!」
店の中に突入してきた甲冑姿の騎士がビシッとエーデリアを指さしながら叫んだ。一体何事かとマリカは狼狽えるが、エーデリアとアオナはその正体に見当が付いているようで、あまり動揺せずに騎士に向き直る。
「なんだなんだ…一体どういうんだ?」
「マリカさん、あの騎士はわたくしの姉です。姉のシェリー・ヴィン・カイネハインです」
「エーデリアのお姉ちゃん!? 確かにお姉ちゃんがいるとは聞いたことがあったけど、しかしどういうこっちゃね…?」
「姉の言葉通りで、わたくしのことを連れ戻しにきたんでしょうね」
エーデリアに紹介されたシェリーは頭部を覆う兜を外し素顔を晒す。顔はエーデリアを大人っぽくした凛々しさがあって、美しい金髪はショートスタイルにまとめられている。
「いきなりの訪問で驚かせてしまって申し訳ありません。わたしはお母様の指示を受けてエーデリアの捜索に当たっており、王都外郭の関所にて目撃情報があったので、もしや学生時代を過ごしたフリーデブルクに来ているのではと思い訪ねた次第なのです」
家出をしてきたエーデリアは行方不明扱いになっているようで、となれば捜索が行われるのも当然だろう。ディザストロ社での扱いが悪いとはいえ貴族一家の娘なのだ。
「お姉様、わたくしは戻るつもりはありません。この街にて暮らすことに決めたのですから」
「何をワガママなことを! そんなことが許されるわけがありません。職務放棄などカイネハイン家の人間としてあり得ないことです!」
「そう言うお姉様こそ、王都騎士団の一員でありながら妹の捜索をしている暇などあるのですか!?」
「わたしは単独行動を許される特権を持っています。それに、これは母が騎士団に根回しをして下された正式な任務でもあるのですよ。身内の失態は身内で解決したいとお母様は思慮したのでしょう」
「思慮するべきなのは社員の待遇と経営方針です! わたくしのことは死んだとでも適当に報告してください。もうカイネハイン家には帰りませんと再度申し上げます…そう、わたくしはカイネハイン家を捨てます」
エーデリアの意思は固く、シェリーの言葉に断固として拒否する。実の姉の言葉にも靡かないとは相当な覚悟を持っての家出なのだろう。
「カイネハインの名を捨てることはできませんよ! わたしとしても、あなたは大切な妹なのですから、そう簡単に繋がりを捨てるなど言わないで!」
「捨ててやります! 今日からわたくしは…エーデリア・アールム・ホシオカとして生きます!」
その宣言にカナエ以外が驚いていた。ホシオカの姓はカナエと同じであり、今後もカナエとの同棲を続けるという意思表示も含まれていて、それを聞いたカナエは全然オーケーと頷いている。
「なっ!? この分からず屋! わたしはあなたの事を心配してここまで来たのです!」
「分からず屋なのはお姉様です!」
エーデリアは店を飛び出してしまった。その背中を呼び止めようとするシェリーだが、エーデリアは空間転移術であるエスパスシフトを用いて姿を消した上、カナエに腕を掴まれて止められる。
「ここは任せてくださいよ、お義姉さん。エーデリアの扱いはあたしのほうが慣れているでしょうし、エーデリアを慰めるのは得意ですから」
カナエはウインクしながらエーデリアの後を追い、妹に反抗されたショックもあってかシェリーは動けなくなって二人を見送ることしかできない。
「フッ…ならウチがシェリーを慰めてあげようかね」
「シェリーさんと知り合いなの?」
「前に話したことなかったっけ? シェリーはウチが学生だった時の知人なんだ」
「ああ、そういう」
世間とは狭いもので、どこかしらで関わりのある人間が偶然にも集まってしまうものだ。
マリカはなんだか大事に巻き込まれているような気がするが、大切な友達のためには何が最適なのか頭を悩ませるのだった。
「これでよし…カティア、装着してみて」
いわゆる無限軌道と呼ばれる戦車型の装備で、アンドロイドのふくらはぎの側面に取り付ける。その状態で正座するようにヒザを曲げることで無限軌道が接地し、履帯によって走行することが可能になるのだ。
「カティア、これを装備することで何かメリットはあるの? 二足歩行できるのだから、わざわざ旧世界の戦車のように走らなくてもいいような……」
「無限軌道の利点は不整地でも安定した走行が可能という点ですね。しかも重量のある火器類を搭載したまま高速移動ができます。それこそ戦車のような大口径装備を持って、走りながら撃つこともできるでしょう」
「キャノンパックよりも大きな魔道砲を積んだまま前線で戦えるってことか」
「旧世界においては、タンクパックという二門の大型魔道キャノンと無限軌道を併用して使用していましたね。確か、倉庫の中に似たような武器がありました」
「ならそれも直そう。いつ戦いに巻き込まれるか分からないからね。装備は充実させておいて損はないもの」
ここ最近、強力な魔物と交戦する機会が何度もあり、その度にカティアとオプションユニットに助けられてきた。つい数日前もマインレイヤーを担いだカティアの機雷攻撃によってグロット・スパイダーを殲滅することに成功し、それが無ければマリカ達が逆に殺されていただろう。
「街の外に出なければ魔物に遭遇することもないから、暫くは街の中で平穏に過ごしたいねぇ……」
フリーデブルクの中にさえいれば魔物と鉢合わせすることは無い。時折、魔物は集団で街を襲うこともあるが、街の魔導士達が一丸となって防衛に出るので個人で戦うよりはリスクは減る。
「まあカナエのような傍若無人で人を振り回すヤツでも来なければ」
「おっすおっすー。マリカはおるかー?」
「…来なければ平穏でした」
聞きなれた甲高い声を耳にしてマリカはうな垂れた。王都での一件以来の再会である。
「相変わらず暇そうだね、コノエ・エンタープライズは」
「真正の暇人に言われたかないわ。で、今日はどうしたの?」
「エーデリアがさ、この店に来たいっていうもんだから」
カナエの後ろからひょこっと現れて上品に手を振るのはエーデリアだ。
家出をしたままフリーデブルクへとマリカ達と共に渡り、以後はカナエと同棲しているらしい。金持ち令嬢と不審者の組み合わせというものは不可解だが、二人は身分や肩書など全く関係なく強く結ばれている。
「久しぶりのフリーデブルクをカナエさんと観光して回っていまして、マリカさんのお店も学生時代の思い出の場所なのですから是非訪れたいと思っていたのです」
「そっか。ここは観光ポイントにするほどの場所ではないけど、まあゆっくりしていって」
「この老舗の雰囲気、好きですよ。喧噪もなく落ち着いていて、せわしない世間を忘れながら様々な道具類に囲まれるというのも」
「…いやうん、単に客がいなくて過疎っているだけなんだけどね……」
物は言いようで、エーデリアは好意的な解釈をしてくれているが、現実はマリカの言うように客がいないために静かなだけである。カティアの呼び込みなどで前よりは客足も増えたとはいえ劇的な改善がなされたわけではない。
「エーデリアに経営顧問を頼むのが正解かもね」
「わたくしは一応経営学を学んでおりますから、ご要望とあらば協力しますよ」
「お姉ちゃんに話しておくか……」
将来的にディザストロ社の経営を担う予定であったエーデリアは、学生時代に経営学についても勉強していた。しかし母と袂を別って会社を出てきたため、その努力は無駄になりかけており、ならコノエ・エンタープライズの経営健全化に手を貸してもらうのも悪くないとマリカは思ったのである。
「ウチをお呼び?」
「うわっ! 急にどっから出てきたの!?」
「マリカちゃんに呼ばれれば地中からでも空からでも出てくるよぅ。てか、エーデリアちゃんじゃないの! おひさしぶりね」
アオナもエーデリアと面識があり、姪っ子が来たようにエーデリアを迎え入れた。
こういう外面の良さを家の中でも維持してくれとマリカは心でツッコむが声には出さない。無駄な行為はなるべくしたくないからだ。
「コノエ・エンタープライズはエーデリアに社長を任せたほうがイイと思うんだよね、お姉ちゃん」
「あら、じゃあウチは会長に?」
「グループ企業じゃないでしょウチの店は……お姉ちゃんにはヒラの店員としてやり直してもらうのが一番かもね」
「まあ! こんな模範的店員なのに!?」
「……」
普通の店員は営業中に酒を呑んで酔いつぶれたりしない。真っ先にクビを切られる対象なのだが、これがトップに居座っているのだから世も末である。
「雇っていただけるなら嬉しいです。この街で職を探そうと思っておりましたので」
姉を追放してエーデリア、カティアと三人で頑張っていくのもアリだな考えた矢先、
「そうはいきません! エーデリア、あなたは王都に連れて帰ります!」
店の中に突入してきた甲冑姿の騎士がビシッとエーデリアを指さしながら叫んだ。一体何事かとマリカは狼狽えるが、エーデリアとアオナはその正体に見当が付いているようで、あまり動揺せずに騎士に向き直る。
「なんだなんだ…一体どういうんだ?」
「マリカさん、あの騎士はわたくしの姉です。姉のシェリー・ヴィン・カイネハインです」
「エーデリアのお姉ちゃん!? 確かにお姉ちゃんがいるとは聞いたことがあったけど、しかしどういうこっちゃね…?」
「姉の言葉通りで、わたくしのことを連れ戻しにきたんでしょうね」
エーデリアに紹介されたシェリーは頭部を覆う兜を外し素顔を晒す。顔はエーデリアを大人っぽくした凛々しさがあって、美しい金髪はショートスタイルにまとめられている。
「いきなりの訪問で驚かせてしまって申し訳ありません。わたしはお母様の指示を受けてエーデリアの捜索に当たっており、王都外郭の関所にて目撃情報があったので、もしや学生時代を過ごしたフリーデブルクに来ているのではと思い訪ねた次第なのです」
家出をしてきたエーデリアは行方不明扱いになっているようで、となれば捜索が行われるのも当然だろう。ディザストロ社での扱いが悪いとはいえ貴族一家の娘なのだ。
「お姉様、わたくしは戻るつもりはありません。この街にて暮らすことに決めたのですから」
「何をワガママなことを! そんなことが許されるわけがありません。職務放棄などカイネハイン家の人間としてあり得ないことです!」
「そう言うお姉様こそ、王都騎士団の一員でありながら妹の捜索をしている暇などあるのですか!?」
「わたしは単独行動を許される特権を持っています。それに、これは母が騎士団に根回しをして下された正式な任務でもあるのですよ。身内の失態は身内で解決したいとお母様は思慮したのでしょう」
「思慮するべきなのは社員の待遇と経営方針です! わたくしのことは死んだとでも適当に報告してください。もうカイネハイン家には帰りませんと再度申し上げます…そう、わたくしはカイネハイン家を捨てます」
エーデリアの意思は固く、シェリーの言葉に断固として拒否する。実の姉の言葉にも靡かないとは相当な覚悟を持っての家出なのだろう。
「カイネハインの名を捨てることはできませんよ! わたしとしても、あなたは大切な妹なのですから、そう簡単に繋がりを捨てるなど言わないで!」
「捨ててやります! 今日からわたくしは…エーデリア・アールム・ホシオカとして生きます!」
その宣言にカナエ以外が驚いていた。ホシオカの姓はカナエと同じであり、今後もカナエとの同棲を続けるという意思表示も含まれていて、それを聞いたカナエは全然オーケーと頷いている。
「なっ!? この分からず屋! わたしはあなたの事を心配してここまで来たのです!」
「分からず屋なのはお姉様です!」
エーデリアは店を飛び出してしまった。その背中を呼び止めようとするシェリーだが、エーデリアは空間転移術であるエスパスシフトを用いて姿を消した上、カナエに腕を掴まれて止められる。
「ここは任せてくださいよ、お義姉さん。エーデリアの扱いはあたしのほうが慣れているでしょうし、エーデリアを慰めるのは得意ですから」
カナエはウインクしながらエーデリアの後を追い、妹に反抗されたショックもあってかシェリーは動けなくなって二人を見送ることしかできない。
「フッ…ならウチがシェリーを慰めてあげようかね」
「シェリーさんと知り合いなの?」
「前に話したことなかったっけ? シェリーはウチが学生だった時の知人なんだ」
「ああ、そういう」
世間とは狭いもので、どこかしらで関わりのある人間が偶然にも集まってしまうものだ。
マリカはなんだか大事に巻き込まれているような気がするが、大切な友達のためには何が最適なのか頭を悩ませるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる