4 / 11
四話
しおりを挟む
マダムが現れて三日目の朝も、自然と目覚ましより早く起きた。
昨日バイトだったからダルいんだけど。
「圭太さん、今朝の寝癖もまるで芸術のようですわ」
昨日と似たような会話で朝が始まる。
「圭太さん、今朝は野菜ジュース、忘れずにお飲みになって?」
「わかってるよ。そのために買ったんだし」
冷蔵庫に三本ある野菜ジュースに思わず顔をしかめてしまう。
なにこの見た目。バイト帰りのテンションで買うもんじゃないな、こういうの。
朝食のパンを齧りながらスマホをいじっていると、父さんから「今日は7時頃には帰る」とメールが届く。
適当に返信を打っていると、「そういえば、それは何ですの?」と頭に声が響く。
あ、やっぱ聞くよね。聞かれないとは思ってたけど。カレーパン知らないマダムがスマホをスルーできるわけがない。
でもそういえば昨日も一昨日もあんまりスマホ触ってなかった。あれ、マダム三日目?…いつまで続くんだろ。この日々。
「圭太さん?」
「ん?あ、これね。スマホ。電話だよ。電話。ついでにメールが出来てネットも見れてゲームも出来る便利なやつ」
「……電話と便利しか理解できませんでしたわ」
「合ってるから良いんじゃない?」
「でも、わたくしの知っている電話とは随分と趣きが違いますのね」
「んー、でも今は殆どこの形だよ。一人一台持ってるし」
「……わたくし、好奇心には自信がありましたの。でもこれは……無理ですわ……」
「まぁ、諦めも肝心って言うしね」
「今朝は完敗ですわ。圭太さん」
思わず噴き出しそうになった。
今朝もハンカチを待たされて学校へ行く。駐輪場に着くとまた伊藤がいた。
「おはよう」
「おう!おはよう山中!夜振りだな」
「うん」
「最近ちょっと早いのか?」
「へ?」
「昨日も朝会ったし」
マダム効果で十五分早く起こされてるからそのせいかな。
「まぁ、そうかも…?」
「はは。何で疑問系なんだよ。お前意外と面白いよな。ハンカチも持ってるし」
今朝も汗を拭いていたハンカチを慌ててポケットに押し込んで、引きつった笑いを返す。
「伊藤ー!」
「おー!じゃあな!」
「う、うん。また」
ちょっと手を挙げて挨拶する。
「いいお友達ですわね」
「友達…かなぁ…?」
「まぁ……数年後、成人のお祝いに乾杯しておられる姿が思い浮かびますわ。友情の杯、素敵でしてよ……!」
「……最近、成人十八歳なんだよね」
「あら?」
「でもお酒は二十歳から」
「やっぱり何だか今朝は勝てませんわ」
オホホホホと笑うマダムにもう黙っててねと言って教室へ向かう僕。
昨日と同じく引かない汗をハンカチで拭いていると背後からまた澄んだ声がした。
「今日は白なんだね。ハンカチ」
なんだか恥ずかしくなって視線を下に落とす。
……マダムに白をゴリ押しされたなんて言えるはずもないし。
「あ、ごめん。なんかいいなって思ってさ。私もハンカチこだわっちゃおっかな」
「これは、まぁ、父さんが用意したやつだから」
「あ、そうなんだ?」
「趣味の良いお父さんっていいね。憧れる。うちはほんっとダサいから」
「そう…なんだ」
「うん。お母さんはそんな事ないんだけどね」
ちょっとチクリとした。
「うちは母さん、居ないから」
「あれ、そうなの?なんかごめん」
「あ、ううん。こちらこそなんかごめん」
加賀屋さんには関係ないのに。
「え、じゃあご飯とか自分で作ってるの?」
「ううん。あんまり。駅前のカフェでバイトしてるからそこで賄い食べたりしてる。あとはカップラーメンとか…」
「え、駅前のカフェでバイトしてるの?あのお洒落なとこ?」
「多分、それ」
「えー、いいなー!一回行ってみたいんだよね!」
「ご飯、美味しいよ」
「やっぱり?!今度シフト入ってる時教えてよ!」
そのとき、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。
幸せな時間は唐突に終わる。
…自然に話せた…と、思う。
シフト教えて…って本当かな…。
今朝も何だかぐるぐるしたまま一日が終わる。
…ハンカチに感謝する日が来るとは思わなかった…な。
学校の間はマダムは本当に静かにしてくれてるから助かる。一人で喋っちゃう怖い奴認定されたらほんとに生きていけないからね。
今日はバイトは入ってないし、父さんもちょっと早くに帰ってくるみたいだから晩ご飯を作ろうかな。って思って帰りにスーパーに寄ろうと自転車に乗る。
「今日は何か作られますの?」
「うん。父さん帰ってくるし。簡単なものだけど」
「まぁ、ご帰還のお祝いですわね。ではカリィなといかが?」
「あー、わりといいけど、一回作ると三日は食べなきゃいけなくなるから却下。せめて父さんが毎日帰ってくるって確定してる日程がいい」
「そうなのですね」
「まぁ、なんか安くなってる肉でも買うよ」
「お野菜も忘れずにですわ」
「へいへい」
スーパーに着いて物色していると声をかけられた。
「おー、圭太君だねー」
「あ、店長。お疲れ様です」
「今日は晩ご飯作るのかい?」
「はい。父さんが出張から帰ってくるみたいなんで」
「偉いねー。お父さん泣いちゃわない?僕なら確実に泣いちゃうね」
「そんな大層なもんじゃないですよ」
「そうかなー?僕は圭太君みたいな息子が欲しいよー?」
「あははは」
「で、今日は何作っちゃうの?」
「いや、特に何も決めてなくて」
「あ、それなら超簡単お勧めレシピ教えちゃおっか?」
「え、いいんですか?」
「うん。後でレシピメールしてあげるから、とりあえず炒める用のカット野菜と豚こま肉買っといて。後はサラダ用の千切りキャベツとコーン缶ね。ちなみにニンニクのチューブとお酢ってお家にある?」
「多分ありますよ」
「おっけー!レモン汁でもいいからね。何か酸っぱいやつ。あ、じゃあ僕は店に戻るね。急いでたんだった。あははは」
「じゃーねー!」って言って店長は去って行った。
相変わらず嵐みたいな人だな。
「良い方ですわねぇ」
マダムが思わずと言ったように呟く。
「そうだね」
小さく呟いて僕はカット野菜を探しに行った。
「このコールスロー、圭太が作ったのか?」
沢山のお土産と帰ってきた父さんに聞かれた。
「え、うん。スーパーでバイト先の店長に会って、なんか教えてくれたから」
「美味しいなこれ。このニンニクきいた野菜炒めとも合うわ」
「ほんと?あ、それも店長が教えてくれたんだよ。結構簡単だった」
「定番入りにするか」
「気に入ってくれて嬉しいよ。それより、何であんなにお土産買ってきたのさ」
リビングのソファに置かれたパンパンになったエコバッグを見る。
「ん?あれ?うん……なんか、お土産売り場のテンションに負けてな……」
「何そのテンション」
「いやぁ…試食させられたり、まとめて買うとエコバッグ貰えたりしたから……つい」
「ついって……あのエコバッグ?」
「あぁ。…あ、せっかくだからお土産バイト先にも持って行けばどうだ?こんなに美味しいレシピも教えてもらったんだろ?」
「まぁ、そうだね。週末バイトだからそん時持って行くわ」
「友達にも持って行っていいんだぞ」
「…いないって分かって言ってるよね」
ちょっとだけ、伊藤と加賀屋さんの顔がチラついた。いやいやいや。ないない。
「でもな、この時期に作った友達は一生物だぞ?父さんだって今でも付き合ってるじゃないか」
「和夫おじさんでしょ?でもあの人だけじゃん」
「細く長くだよ」
「なにそれ」
久しぶりな気がする、父さんとの晩ご飯。
コールスローの甘酸っぱさが妙に記憶に残った。
その日の夜、意識が落ちる直前。
「圭太さんは、とても良い方々に囲まれてらっしゃいますのね」
と、マダムの声で聞こえた気がした。
昨日バイトだったからダルいんだけど。
「圭太さん、今朝の寝癖もまるで芸術のようですわ」
昨日と似たような会話で朝が始まる。
「圭太さん、今朝は野菜ジュース、忘れずにお飲みになって?」
「わかってるよ。そのために買ったんだし」
冷蔵庫に三本ある野菜ジュースに思わず顔をしかめてしまう。
なにこの見た目。バイト帰りのテンションで買うもんじゃないな、こういうの。
朝食のパンを齧りながらスマホをいじっていると、父さんから「今日は7時頃には帰る」とメールが届く。
適当に返信を打っていると、「そういえば、それは何ですの?」と頭に声が響く。
あ、やっぱ聞くよね。聞かれないとは思ってたけど。カレーパン知らないマダムがスマホをスルーできるわけがない。
でもそういえば昨日も一昨日もあんまりスマホ触ってなかった。あれ、マダム三日目?…いつまで続くんだろ。この日々。
「圭太さん?」
「ん?あ、これね。スマホ。電話だよ。電話。ついでにメールが出来てネットも見れてゲームも出来る便利なやつ」
「……電話と便利しか理解できませんでしたわ」
「合ってるから良いんじゃない?」
「でも、わたくしの知っている電話とは随分と趣きが違いますのね」
「んー、でも今は殆どこの形だよ。一人一台持ってるし」
「……わたくし、好奇心には自信がありましたの。でもこれは……無理ですわ……」
「まぁ、諦めも肝心って言うしね」
「今朝は完敗ですわ。圭太さん」
思わず噴き出しそうになった。
今朝もハンカチを待たされて学校へ行く。駐輪場に着くとまた伊藤がいた。
「おはよう」
「おう!おはよう山中!夜振りだな」
「うん」
「最近ちょっと早いのか?」
「へ?」
「昨日も朝会ったし」
マダム効果で十五分早く起こされてるからそのせいかな。
「まぁ、そうかも…?」
「はは。何で疑問系なんだよ。お前意外と面白いよな。ハンカチも持ってるし」
今朝も汗を拭いていたハンカチを慌ててポケットに押し込んで、引きつった笑いを返す。
「伊藤ー!」
「おー!じゃあな!」
「う、うん。また」
ちょっと手を挙げて挨拶する。
「いいお友達ですわね」
「友達…かなぁ…?」
「まぁ……数年後、成人のお祝いに乾杯しておられる姿が思い浮かびますわ。友情の杯、素敵でしてよ……!」
「……最近、成人十八歳なんだよね」
「あら?」
「でもお酒は二十歳から」
「やっぱり何だか今朝は勝てませんわ」
オホホホホと笑うマダムにもう黙っててねと言って教室へ向かう僕。
昨日と同じく引かない汗をハンカチで拭いていると背後からまた澄んだ声がした。
「今日は白なんだね。ハンカチ」
なんだか恥ずかしくなって視線を下に落とす。
……マダムに白をゴリ押しされたなんて言えるはずもないし。
「あ、ごめん。なんかいいなって思ってさ。私もハンカチこだわっちゃおっかな」
「これは、まぁ、父さんが用意したやつだから」
「あ、そうなんだ?」
「趣味の良いお父さんっていいね。憧れる。うちはほんっとダサいから」
「そう…なんだ」
「うん。お母さんはそんな事ないんだけどね」
ちょっとチクリとした。
「うちは母さん、居ないから」
「あれ、そうなの?なんかごめん」
「あ、ううん。こちらこそなんかごめん」
加賀屋さんには関係ないのに。
「え、じゃあご飯とか自分で作ってるの?」
「ううん。あんまり。駅前のカフェでバイトしてるからそこで賄い食べたりしてる。あとはカップラーメンとか…」
「え、駅前のカフェでバイトしてるの?あのお洒落なとこ?」
「多分、それ」
「えー、いいなー!一回行ってみたいんだよね!」
「ご飯、美味しいよ」
「やっぱり?!今度シフト入ってる時教えてよ!」
そのとき、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。
幸せな時間は唐突に終わる。
…自然に話せた…と、思う。
シフト教えて…って本当かな…。
今朝も何だかぐるぐるしたまま一日が終わる。
…ハンカチに感謝する日が来るとは思わなかった…な。
学校の間はマダムは本当に静かにしてくれてるから助かる。一人で喋っちゃう怖い奴認定されたらほんとに生きていけないからね。
今日はバイトは入ってないし、父さんもちょっと早くに帰ってくるみたいだから晩ご飯を作ろうかな。って思って帰りにスーパーに寄ろうと自転車に乗る。
「今日は何か作られますの?」
「うん。父さん帰ってくるし。簡単なものだけど」
「まぁ、ご帰還のお祝いですわね。ではカリィなといかが?」
「あー、わりといいけど、一回作ると三日は食べなきゃいけなくなるから却下。せめて父さんが毎日帰ってくるって確定してる日程がいい」
「そうなのですね」
「まぁ、なんか安くなってる肉でも買うよ」
「お野菜も忘れずにですわ」
「へいへい」
スーパーに着いて物色していると声をかけられた。
「おー、圭太君だねー」
「あ、店長。お疲れ様です」
「今日は晩ご飯作るのかい?」
「はい。父さんが出張から帰ってくるみたいなんで」
「偉いねー。お父さん泣いちゃわない?僕なら確実に泣いちゃうね」
「そんな大層なもんじゃないですよ」
「そうかなー?僕は圭太君みたいな息子が欲しいよー?」
「あははは」
「で、今日は何作っちゃうの?」
「いや、特に何も決めてなくて」
「あ、それなら超簡単お勧めレシピ教えちゃおっか?」
「え、いいんですか?」
「うん。後でレシピメールしてあげるから、とりあえず炒める用のカット野菜と豚こま肉買っといて。後はサラダ用の千切りキャベツとコーン缶ね。ちなみにニンニクのチューブとお酢ってお家にある?」
「多分ありますよ」
「おっけー!レモン汁でもいいからね。何か酸っぱいやつ。あ、じゃあ僕は店に戻るね。急いでたんだった。あははは」
「じゃーねー!」って言って店長は去って行った。
相変わらず嵐みたいな人だな。
「良い方ですわねぇ」
マダムが思わずと言ったように呟く。
「そうだね」
小さく呟いて僕はカット野菜を探しに行った。
「このコールスロー、圭太が作ったのか?」
沢山のお土産と帰ってきた父さんに聞かれた。
「え、うん。スーパーでバイト先の店長に会って、なんか教えてくれたから」
「美味しいなこれ。このニンニクきいた野菜炒めとも合うわ」
「ほんと?あ、それも店長が教えてくれたんだよ。結構簡単だった」
「定番入りにするか」
「気に入ってくれて嬉しいよ。それより、何であんなにお土産買ってきたのさ」
リビングのソファに置かれたパンパンになったエコバッグを見る。
「ん?あれ?うん……なんか、お土産売り場のテンションに負けてな……」
「何そのテンション」
「いやぁ…試食させられたり、まとめて買うとエコバッグ貰えたりしたから……つい」
「ついって……あのエコバッグ?」
「あぁ。…あ、せっかくだからお土産バイト先にも持って行けばどうだ?こんなに美味しいレシピも教えてもらったんだろ?」
「まぁ、そうだね。週末バイトだからそん時持って行くわ」
「友達にも持って行っていいんだぞ」
「…いないって分かって言ってるよね」
ちょっとだけ、伊藤と加賀屋さんの顔がチラついた。いやいやいや。ないない。
「でもな、この時期に作った友達は一生物だぞ?父さんだって今でも付き合ってるじゃないか」
「和夫おじさんでしょ?でもあの人だけじゃん」
「細く長くだよ」
「なにそれ」
久しぶりな気がする、父さんとの晩ご飯。
コールスローの甘酸っぱさが妙に記憶に残った。
その日の夜、意識が落ちる直前。
「圭太さんは、とても良い方々に囲まれてらっしゃいますのね」
と、マダムの声で聞こえた気がした。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる