7 / 13
6.到着
しおりを挟む
領都へ入る前日にカリンさんが先触れで走ってくれていたからか、門の前にはずらっと兵士が並んでいた。
綺麗に揃えられた槍の穂先と、ピンと背を伸ばして立つ兵士たちに少し緊張する。
「コンスタンツェ・イヴェリオス様でいらっしゃいますか」
「そうだ。僕たちは彼女の護衛のAランクパーティー、竜の息吹だ。領主館まで案内してくれるか?」
兵士の問いかけにルークさんが答える。
「かしこまりました!無事のご到着、歓迎致します!!」
その言葉と同時に、周囲の兵士たちが槍を高く捧げる。
ザッという足を揃える音にドキドキしながら、馬車はゆっくりと進む。
周りの兵士さんは、冒険者に護衛をされた質素な馬車を見て何を思っているのだろう。
……少し、怖い。
馬車が門をくぐる。途端に、空気が変わった。
焼きたてのパンの香りや、香辛料の匂いが風に乗って流れ込む。喧騒に紛れて遠くから鍛冶屋の槌の音が響いていて、空からは午後の穏やかな光が差し込んでいる。
通り沿いには果物を山盛りにした屋台や、色鮮やかな布を吊るした店が並び、行き交う人々の顔は皆穏やかで明るい。
深呼吸をする。
もしかしたら、ここなら……。
馬車がカラカラと軽い音を立てて進み、領主館の前へ辿り着く。
口から心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしている。ケイティさんがエスコートしてくれて馬車のタラップを降りる。
ケイティさんが小さな声で「私女だから、ラウに殺されたりしないわよね?」とか言うから少し笑ってしまった。
領主館の前では人がずらりと並んで私たちを待っていてくれた。
背の高い男性が前に出て来る。
「ようこそ辺境の地へ。……歓迎する。私はレオンハルト・ヴァルグレンだ」
今朝着替えた初めて着るワンピースで、慣れないカテーシーをする。
「初めまして、コンスタンツェ・イヴェリオスです」
「……うっ……」
「?」
ヴァルグレン様が片手で顔を覆って俯いてしまわれた。……お身体の具合でも悪いのかしら……。
その時ヴァルグレン様の後ろから細身の男性が出てきて言う。
「ようこそイヴェリオス嬢。あぁ……えっと、辺境伯殿はあまり調子が良くないみたいのでこれで失礼しますね。あ、私は従者のフィンと申します。ここからはメイド長のアンヌがご案内致しますのでどうぞごゆっくり。では!」
そう言ってフィン様はヴァルグレン様の背中を押してお屋敷の中に入って行ってしまった。
本当に、大丈夫かしら……。
————
「フィン!私は具合など悪くないぞ」
屋敷の中の執務室へと押し返されたレオンハルトがフィンへと言う。
「いやいやレオン、あれはダメだよ。たたでさえ無表情で何考えてるか分かんないのにあんな行動しちゃ」
「あんな行動とはなんだ」
「いやいや無自覚?!無自覚なの?!片手で顔押さえて『うっ……』て何だよ。動揺しすぎだよ?!」
「だって……」
「だって?!」
「うっ……。…………ったんだ……」
急に声が小さくなるレオンハルト。
「何だって?」
「……天使が!……舞い降りたかと……思ったんだ……!」
「いやいや、釣書の肖像画見てたでしょ?!」
「あんなのは偶像だった」
即答するレオンハルトに、天を仰ぎ見るフィン。ため息をついて言う。
「まぁ、なんて言うか……良かったね」
————
「フィン様よりご紹介に預かりましたアンヌと申します。それとこちら、家令のエドワードでございます」
小顔で丸顔の、いかにも優しそうなアンヌさんの横へ、キッチリとした雰囲気の男性がやってくる。
「イヴェリオス嬢、エドワードでございます。何かございましたら、いつでもお気軽にお申し付けください」
エドワードさんは、優しい微笑みでお辞儀をしてくれる。
「ありがとう……ございます」
「ではお部屋までご案内いたしますね」
アンヌさんが優しく言ってくれて
「冒険者の方々はこちらの部屋へ。よくぞイヴェリオス嬢をここまで無事に送り届けて下さいました。歓迎させていただきます」
と、エドワードさん。
竜の息吹のことまでちゃんと考えてくれていて、とても嬉しくなってしまう。
「こちらへどうぞ」
アンヌさんに促されて、お屋敷の中へ入っていく。でもその前に……。
竜の息吹の皆の前に向き直る。
「皆さん、ありがとうございました!」
ペコリとお辞儀をする。
顔を上げると皆何だか様子が変で、赤くなったり、顔を押さえていたり、上を向いていたり。
「ととと、とんでもないよ!!ラウにも良い報告が出来るしね!あはは。こちらこそありがとう!!」
とルークさん。
お屋敷の皆さんも何だか落ち着かない雰囲気になってしまったので、気まずくてアンヌさんの方に向き直る。
すると、アンヌさんは満面の笑みで迎えてくれる。思わず微笑み返して、歩き始める。
ヴァルグレン様の事は心配だけれど、何だか大丈夫そうな気がしてきた……かも。
お屋敷の中はシンプルながらも素敵な造りで、美しさを感じる。
所々飾られている美術品が武器や防具なのが、さながら辺境伯……という事なのだろうか。
「こちらでございます」
アンヌさんが案内してくれたのはお屋敷の客間。とても広くて、何だか持て余してしまいそうだ。
「……こんなに広いお部屋、私には勿体無いです」
思わず漏らしてしまう言葉に、アンヌさんは優しく返してくれる。
「あら……では、他のお部屋にいたしましょうか。うふふ。お館様が張り切られて、一番大きな客間にせよと仰いましたのですよ。うふふ」
思わずびっくりしてしまう。私なんかに、そんなに気を使っていただいているなんて……。だとすれば、このお部屋を使わないのは失礼になるのではないかしら……。
「そ、それでしたら、せっかくですので……こちらのお部屋で結構ですわ」
「いえいえ。お嬢様が心安らかにお過ごし頂ける方が、私たち使用人としましても嬉しゅう存じますので。それに、きっとお館様もその方が喜ばれますわ」
「ではではこちらへどうぞどうぞ」なんて言われて、戸惑っている間にどんどんと、更に奥の方へ案内される。
案内された部屋は先ほどの部屋の半分位。でもシンプルで、それでいて上品なお部屋。
何だかとても落ち着く……。
「こちらはいかがですか?」
アンヌさんがにこやかに聞いてくれる。
「ここなら……とても、落ち着きます」
「うふふふ。それはようござんした。もしもの時のために、使用人一同心を込めてご用意させていただいておりました。役に立ってとても嬉しゅう存じます」
アンヌさんはニコニコとしながらそう言ってくれる。
何だか、こちらまで嬉しくなってしまう。
中に案内してもらって、ソファに腰をかける。
「お茶を淹れますね」とアンヌさんが去り、しばらくすると、静かにドアがノックされた。
「どうぞ」
「失礼致します」
「失礼致します」
入ってきたのは、アンヌさんともう一人。
オレンジ色の髪の毛の、私よりも若そうな女の子。
「ご紹介致します。こちらはイヴェリオス嬢付きの侍女となりますミーシャでございます」
「初めまして!奥様!」
「これ!ミーシャ!」
「すっ!……すみません!!!イヴェリオス様!ミーシャでございます!!」
……奥様だなんて呼ばれてびっくりしてしまった。顔が熱くなる。
でもミーシャさんの慌て方がなんだか可笑しくて、思わず口元が緩んでしまった。
「うふふ。よろしくお願いしますわ。ミーシャさん」
そう言うと、ミーシャさんがどんどん真っ赤になって
「ひゃ、ひゃい!!イヴェリオスしゃま……!!」
なんて言うので更に笑ってしまった。
「お嬢様、私共の事はどうぞ呼び捨てでお呼び下さい」
アンヌさんが頭を下げてそう言う。他家の方だし……と思ったのだけれど、確かに、これからここでお世話になるのだものね。
「わかりましたわ。アンヌ。ミーシャ。……では私の事も、コンスタンツェと呼んでください」
「かしこまりました。コンスタンツェ様」
「か、かしこまりました!コンスタンツェしゃま!!」
綺麗に揃えられた槍の穂先と、ピンと背を伸ばして立つ兵士たちに少し緊張する。
「コンスタンツェ・イヴェリオス様でいらっしゃいますか」
「そうだ。僕たちは彼女の護衛のAランクパーティー、竜の息吹だ。領主館まで案内してくれるか?」
兵士の問いかけにルークさんが答える。
「かしこまりました!無事のご到着、歓迎致します!!」
その言葉と同時に、周囲の兵士たちが槍を高く捧げる。
ザッという足を揃える音にドキドキしながら、馬車はゆっくりと進む。
周りの兵士さんは、冒険者に護衛をされた質素な馬車を見て何を思っているのだろう。
……少し、怖い。
馬車が門をくぐる。途端に、空気が変わった。
焼きたてのパンの香りや、香辛料の匂いが風に乗って流れ込む。喧騒に紛れて遠くから鍛冶屋の槌の音が響いていて、空からは午後の穏やかな光が差し込んでいる。
通り沿いには果物を山盛りにした屋台や、色鮮やかな布を吊るした店が並び、行き交う人々の顔は皆穏やかで明るい。
深呼吸をする。
もしかしたら、ここなら……。
馬車がカラカラと軽い音を立てて進み、領主館の前へ辿り着く。
口から心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしている。ケイティさんがエスコートしてくれて馬車のタラップを降りる。
ケイティさんが小さな声で「私女だから、ラウに殺されたりしないわよね?」とか言うから少し笑ってしまった。
領主館の前では人がずらりと並んで私たちを待っていてくれた。
背の高い男性が前に出て来る。
「ようこそ辺境の地へ。……歓迎する。私はレオンハルト・ヴァルグレンだ」
今朝着替えた初めて着るワンピースで、慣れないカテーシーをする。
「初めまして、コンスタンツェ・イヴェリオスです」
「……うっ……」
「?」
ヴァルグレン様が片手で顔を覆って俯いてしまわれた。……お身体の具合でも悪いのかしら……。
その時ヴァルグレン様の後ろから細身の男性が出てきて言う。
「ようこそイヴェリオス嬢。あぁ……えっと、辺境伯殿はあまり調子が良くないみたいのでこれで失礼しますね。あ、私は従者のフィンと申します。ここからはメイド長のアンヌがご案内致しますのでどうぞごゆっくり。では!」
そう言ってフィン様はヴァルグレン様の背中を押してお屋敷の中に入って行ってしまった。
本当に、大丈夫かしら……。
————
「フィン!私は具合など悪くないぞ」
屋敷の中の執務室へと押し返されたレオンハルトがフィンへと言う。
「いやいやレオン、あれはダメだよ。たたでさえ無表情で何考えてるか分かんないのにあんな行動しちゃ」
「あんな行動とはなんだ」
「いやいや無自覚?!無自覚なの?!片手で顔押さえて『うっ……』て何だよ。動揺しすぎだよ?!」
「だって……」
「だって?!」
「うっ……。…………ったんだ……」
急に声が小さくなるレオンハルト。
「何だって?」
「……天使が!……舞い降りたかと……思ったんだ……!」
「いやいや、釣書の肖像画見てたでしょ?!」
「あんなのは偶像だった」
即答するレオンハルトに、天を仰ぎ見るフィン。ため息をついて言う。
「まぁ、なんて言うか……良かったね」
————
「フィン様よりご紹介に預かりましたアンヌと申します。それとこちら、家令のエドワードでございます」
小顔で丸顔の、いかにも優しそうなアンヌさんの横へ、キッチリとした雰囲気の男性がやってくる。
「イヴェリオス嬢、エドワードでございます。何かございましたら、いつでもお気軽にお申し付けください」
エドワードさんは、優しい微笑みでお辞儀をしてくれる。
「ありがとう……ございます」
「ではお部屋までご案内いたしますね」
アンヌさんが優しく言ってくれて
「冒険者の方々はこちらの部屋へ。よくぞイヴェリオス嬢をここまで無事に送り届けて下さいました。歓迎させていただきます」
と、エドワードさん。
竜の息吹のことまでちゃんと考えてくれていて、とても嬉しくなってしまう。
「こちらへどうぞ」
アンヌさんに促されて、お屋敷の中へ入っていく。でもその前に……。
竜の息吹の皆の前に向き直る。
「皆さん、ありがとうございました!」
ペコリとお辞儀をする。
顔を上げると皆何だか様子が変で、赤くなったり、顔を押さえていたり、上を向いていたり。
「ととと、とんでもないよ!!ラウにも良い報告が出来るしね!あはは。こちらこそありがとう!!」
とルークさん。
お屋敷の皆さんも何だか落ち着かない雰囲気になってしまったので、気まずくてアンヌさんの方に向き直る。
すると、アンヌさんは満面の笑みで迎えてくれる。思わず微笑み返して、歩き始める。
ヴァルグレン様の事は心配だけれど、何だか大丈夫そうな気がしてきた……かも。
お屋敷の中はシンプルながらも素敵な造りで、美しさを感じる。
所々飾られている美術品が武器や防具なのが、さながら辺境伯……という事なのだろうか。
「こちらでございます」
アンヌさんが案内してくれたのはお屋敷の客間。とても広くて、何だか持て余してしまいそうだ。
「……こんなに広いお部屋、私には勿体無いです」
思わず漏らしてしまう言葉に、アンヌさんは優しく返してくれる。
「あら……では、他のお部屋にいたしましょうか。うふふ。お館様が張り切られて、一番大きな客間にせよと仰いましたのですよ。うふふ」
思わずびっくりしてしまう。私なんかに、そんなに気を使っていただいているなんて……。だとすれば、このお部屋を使わないのは失礼になるのではないかしら……。
「そ、それでしたら、せっかくですので……こちらのお部屋で結構ですわ」
「いえいえ。お嬢様が心安らかにお過ごし頂ける方が、私たち使用人としましても嬉しゅう存じますので。それに、きっとお館様もその方が喜ばれますわ」
「ではではこちらへどうぞどうぞ」なんて言われて、戸惑っている間にどんどんと、更に奥の方へ案内される。
案内された部屋は先ほどの部屋の半分位。でもシンプルで、それでいて上品なお部屋。
何だかとても落ち着く……。
「こちらはいかがですか?」
アンヌさんがにこやかに聞いてくれる。
「ここなら……とても、落ち着きます」
「うふふふ。それはようござんした。もしもの時のために、使用人一同心を込めてご用意させていただいておりました。役に立ってとても嬉しゅう存じます」
アンヌさんはニコニコとしながらそう言ってくれる。
何だか、こちらまで嬉しくなってしまう。
中に案内してもらって、ソファに腰をかける。
「お茶を淹れますね」とアンヌさんが去り、しばらくすると、静かにドアがノックされた。
「どうぞ」
「失礼致します」
「失礼致します」
入ってきたのは、アンヌさんともう一人。
オレンジ色の髪の毛の、私よりも若そうな女の子。
「ご紹介致します。こちらはイヴェリオス嬢付きの侍女となりますミーシャでございます」
「初めまして!奥様!」
「これ!ミーシャ!」
「すっ!……すみません!!!イヴェリオス様!ミーシャでございます!!」
……奥様だなんて呼ばれてびっくりしてしまった。顔が熱くなる。
でもミーシャさんの慌て方がなんだか可笑しくて、思わず口元が緩んでしまった。
「うふふ。よろしくお願いしますわ。ミーシャさん」
そう言うと、ミーシャさんがどんどん真っ赤になって
「ひゃ、ひゃい!!イヴェリオスしゃま……!!」
なんて言うので更に笑ってしまった。
「お嬢様、私共の事はどうぞ呼び捨てでお呼び下さい」
アンヌさんが頭を下げてそう言う。他家の方だし……と思ったのだけれど、確かに、これからここでお世話になるのだものね。
「わかりましたわ。アンヌ。ミーシャ。……では私の事も、コンスタンツェと呼んでください」
「かしこまりました。コンスタンツェ様」
「か、かしこまりました!コンスタンツェしゃま!!」
13
あなたにおすすめの小説
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
エリート医務官は女騎士を徹底的に甘やかしたい
鳥花風星
恋愛
女騎士であるニーナには、ガイアという専属魔術医務官がいる。エリートであり甘いルックスで令嬢たちからモテモテのガイアだが、なぜか浮いた話はなく、結婚もしていない。ニーナも結婚に興味がなく、ガイアは一緒いにいて気楽な存在だった。
とある日、ニーナはガイアから女避けのために契約結婚を持ちかけられる。ちょっと口うるさいただの専属魔術医務官だと思っていたのに、契約結婚を受け入れた途端にガイアの態度は日に日に甘くなっていく。
【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
断罪された私ですが、気づけば辺境の村で「パン屋の奥さん」扱いされていて、旦那様(公爵)が店番してます
さら
恋愛
王都の社交界で冤罪を着せられ、断罪とともに婚約破棄・追放を言い渡された元公爵令嬢リディア。行き場を失い、辺境の村で倒れた彼女を救ったのは、素性を隠してパン屋を営む寡黙な男・カイだった。
パン作りを手伝ううちに、村人たちは自然とリディアを「パン屋の奥さん」と呼び始める。戸惑いながらも、村人の笑顔や子どもたちの無邪気な声に触れ、リディアの心は少しずつほどけていく。だが、かつての知り合いが王都から現れ、彼女を嘲ることで再び過去の影が迫る。
そのときカイは、ためらうことなく「彼女は俺の妻だ」と庇い立てる。さらに村を襲う盗賊を二人で退けたことで、リディアは初めて「ここにいる意味」を実感する。断罪された悪女ではなく、パンを焼き、笑顔を届ける“私”として。
そして、カイの真実の想いが告げられる。辺境を守り続けた公爵である彼が選んだのは、過去を失った令嬢ではなく、今を生きるリディアその人。村人に祝福され、二人は本当の「パン屋の夫婦」となり、温かな香りに包まれた新しい日々を歩み始めるのだった。
地味令嬢の私が婚約破棄された結果、なぜか最強王子に溺愛されてます
白米
恋愛
侯爵家の三女・ミレイアは、控えめで目立たない“地味令嬢”。
特に取り柄もなく、華やかな社交界ではいつも壁の花。だが幼いころに交わされた約束で、彼女は王弟・レオンハルト殿下との婚約者となっていた。
だがある日、突然の婚約破棄通告――。
「やはり君とは釣り合わない」
そう言い放ったのは、表向きには完璧な王弟殿下。そしてその横には、社交界の華と呼ばれる公爵令嬢の姿が。
悲しみも怒りも感じる間もなく、あっさりと手放されたミレイア。
しかしその瞬間を見ていたのが、王家随一の武闘派にして“最強”と噂される第一王子・ユリウスだった。
「……くだらん。お前を手放すなんて、あいつは見る目がないな」
「よければ、俺が貰ってやろうか?」
冗談かと思いきや、なぜか本気のご様子!?
次の日には「俺の婚約者として紹介する」と言われ、さらには
「笑った顔が見たい」「他の男の前で泣くな」
――溺愛モードが止まらない!
完璧な政略結婚のはずでしたが、宰相閣下の“私の妻”扱いが甘すぎます
星乃和花
恋愛
政略結婚のはずでした。
家同士の利も、立場の釣り合いも、全部きちんと整った、完璧に合理的な結婚。
……なのに、夫となった冷徹宰相は、なぜか人前で私を「最高の妻」と紹介し、暮らしを完璧に整え、他人に近づかれると不機嫌になってしまいます。
“天使”と噂される穏やかな令嬢フィオナもまた、
そんな不器用な優しさに少しずつ心をほどかれて――。
これは、条件で選ばれたはずの夫婦が、
いつの間にかお互いを“ただ一人”として欲しくなるまでの、甘くてやさしい政略結婚物語。
(毎日21:50更新ー全8話)
【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました!
※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)
狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。
突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。
だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。
そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。
共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?
自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる