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9.歓迎パーティー
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「いやぁ、俺たちまでパーティーに呼んでくれるなんて、気前がいいよなぁ」
ガッハッハッハ!と笑うのは竜の息吹の大楯使い、バルガ。
「声が大きい。バカバルガ」
「あんだとぉ?!言っとくがお前の方がバカだからなぁ?!バカカリン!いや、バカリン!」
「バカリン……?ちょっと可愛い」
「何でだよ!」
領主の屋敷の一部屋に案内された竜の息吹たち。バルガと斥候の猫獣人、カリンがじゃれあっている。
リーダーのルークがため息をついて言う。
「二人とも落ち着いて。領主様のお屋敷だよ」
「そうよ。『これだから冒険者は』なんて言われたくないわよ?」
ヒーラーのケイティもそう言う。
「私はうるさくないもん」
「はいはい」
拗ねるカリンの頭を撫でながら返事をするケイティ。
「俺もうるさくねぇ!!」
「うるさい」
「うるさい」
「うるさい」
「な ん だ と……」
四つん這いになってショックを受けるバルガ。
その姿を横目に見ながら立ち上がるルーク。
「夜はパーティーだから、それまで僕はギルドに行ってくるよ。君たちは……お屋敷の方がお風呂とか貸してくれるって言ってたから、行ってくればどうかな?」
「お風呂、良いわね!カリン!一緒に行きましょう!」
「に゛ゃっっ?!やだ!ルーク!私もギルドに行く!」
「はぁ。カリンのお風呂嫌いは相変わらずだね。ま、別に付いてきても良いんだけど……僕も後でお風呂借りるよ?」
呆然とするカリン。
その背後に笑顔のケイティが現れ、カリンの両肩をガシッと掴む。
「カーリーンー。行ーくーわーよーー!!!」
「ひょえ!!」
ビクッとするカリン。そしてそのままケイティに引き摺られて行く。
ルークとバルガは顔を見合わせて肩をすくめた。
————
「今宵は、お館様様の婚約者になられます、コンスタンツェ・イヴェリオス様が無事に到着された事を祝いまして、内々ではございますがパーティーを開催させていただく事になりました!立食形式になりますので、皆様お気楽にどうぞ!!!」
そう声を上げたのは、ヴァルグレン様の側近のフィン様。
今回のパーティーはヴァルグレン辺境伯家の家臣が主に参加するもので、肩肘張らなくても良い気軽な物と聞かされている。
……聞かされているのだけれど……。何故か私は会場に続く控えの間で、ヴァルグレン様と二人きりで待たされている。
……といっても、メイドのマリアとミーシャはそこに居るのだけれど、二人ともニコニコしてこちらを見ているだけで何とも落ち着かない。
「イヴェリオス嬢……」
「は、はい……」
突然名前を呼ばれて驚いてしまう。
「いや、なんだその……。その、ドレス。とても、似合っている……。まるで春の女神の……いや、何でもない」
ヴァルグレン様がそう言った時、パーティー会場の壇上で司会をしているフィン様から声が掛かった。
「お館様ぁ!ご挨拶お願いしまぁす!」
「あ、あぁ。……ではまた後で……」
ヴァルグレン様はそう言って会場の方へ向かって行かれた。
私は火照った顔で頷く事しか出来なかった。
そんな私に、アンヌとミーシャが近付いて来て「春の女神ですって!」「良かったですわね」なんて言うので、さらに顔が熱くなってしまう。
突然会場の方から、ワァッという歓声が聞こえてくる。それと同時に「コンスタンツェ・イヴェリオス嬢!こちらへどうぞ!」と言う声も。
どうしよう。緊張する。アンヌが「大丈夫ですよ。とってもお綺麗ですから」なんて、言ってくれるのだけれど、大体いつもその後で、魔法が使えないとわかるとため息をつかれたり、顔だけはなんて言われたり……。
頭に義妹の姿や両親の影がちらつく。
……ううん。ダメだわ。そんな事を考えたって仕方ないもの。それに、今と前とは違う。
頭をふるふると張って雑念を吹き飛ばす。
そして、震えそうになる手をギュッと握りしめて歩き出す。口角を無理矢理上げて背筋を伸ばす。会場の明るい光に導かれるように足を進め、入り口に着くと、そこにはヴァルグレン様が居た。
手を差し出して、エスコートして下さる。
恐る恐るその手を取る。
ラウル以外の男性に、こうしてエスコートして貰うのは初めてかもしれない。
ラウルよりもゴツゴツとした、剣を振り続けて来た方の手……。少しだけ、緊張がほぐれる。
壇上へ導かれて小さな階段を登ると、さっきまでの歓声が嘘のように静まり返る。
家臣の方ばかりとはいえ、百人程居るのではないかしら……。自分の心臓の音が耳に聞こえるように鳴り始める。
「こほん……。えー。本日、こちらに着かれたコンスタンツェ・イヴェリオス嬢だ。私の……その、婚約……者と、なられる……」
ヴァルグレン様がそう言って私を少し見つめる。そして、少し首を振って前を向き直し
「皆、丁重におもてなしするように!」
と大きな声で言って、壇上を降りていってしまわれた。
ああ、まただ。きっとまた、失望されたんだわ。見栄えが良くても、中身はダメ。魔法が使えないんじゃ何の役にも立たない。
歪みそうになる顔を必死に抑える。口角を上げろ。笑え。私。
でも、その瞬間。
「お館様ぁ!照れないで下さいよぅ!」
「ひゅーぅ!!嬢ちゃん綺麗だぜぇ?!」
「どこ行くんですかお館様ぁ!!」
「綺麗だー!!奥さまぁ!!」
「お館様ぁ、照れてないでエスコートしないとですよぉ!!」
へっ?照れてる?誰が?
百人近い家臣の方々の歓声がワッと上がる中、そんな声が聞こえて来て目をぱちくりさせてしまう。
とにかく一礼をして頭を上げると、頭をぽりぽりと掻きながら困った顔をしているヴァルグレン様が壇上へ戻って来ていた。
「その……なんだ、悪い。慣れなくてな……。こちらへ、どうぞ……」
そう言って差し出してくれた手をそっと取り、ぎこちなく微笑むと、ヴァルグレン様は少し顔を赤らめ、会場は更に大きな歓声に包まれた。
————
竜の息吹たちはパーティーを楽しんでいた。
食べ物も酒も美味しいし、辺境伯の家臣たちも気の良い人間ばかり。
どこかのシスコンが言っていたような野蛮な雰囲気など微塵も無い。
「なぁルーク」
会場の和やかな雰囲気の中で、何かの肉の塊に齧り付いているバルガがルークに話しかける。
「何だい?バルガ」
「俺思うんだけどよぅ、ラウの奴、あんな極端な考え方する奴だったか?」
「この地のこと?」
「あぁ。異常な程蛮族やら野蛮やら言ってただろ?」
「確かにそうだね。でも……貴族の顔したラウと会ったのは初めてだったからね……。もしかしたらその方向で何かあるのかもしれない。バルガのそういう感覚は鋭いからね。注意しておこう」
頷くバルガ。満足そうにまた肉の塊を食べ始める。
「ねぇバルガ……そんな肉、どこにあったんだよ……」
ガッハッハッハ!と笑うのは竜の息吹の大楯使い、バルガ。
「声が大きい。バカバルガ」
「あんだとぉ?!言っとくがお前の方がバカだからなぁ?!バカカリン!いや、バカリン!」
「バカリン……?ちょっと可愛い」
「何でだよ!」
領主の屋敷の一部屋に案内された竜の息吹たち。バルガと斥候の猫獣人、カリンがじゃれあっている。
リーダーのルークがため息をついて言う。
「二人とも落ち着いて。領主様のお屋敷だよ」
「そうよ。『これだから冒険者は』なんて言われたくないわよ?」
ヒーラーのケイティもそう言う。
「私はうるさくないもん」
「はいはい」
拗ねるカリンの頭を撫でながら返事をするケイティ。
「俺もうるさくねぇ!!」
「うるさい」
「うるさい」
「うるさい」
「な ん だ と……」
四つん這いになってショックを受けるバルガ。
その姿を横目に見ながら立ち上がるルーク。
「夜はパーティーだから、それまで僕はギルドに行ってくるよ。君たちは……お屋敷の方がお風呂とか貸してくれるって言ってたから、行ってくればどうかな?」
「お風呂、良いわね!カリン!一緒に行きましょう!」
「に゛ゃっっ?!やだ!ルーク!私もギルドに行く!」
「はぁ。カリンのお風呂嫌いは相変わらずだね。ま、別に付いてきても良いんだけど……僕も後でお風呂借りるよ?」
呆然とするカリン。
その背後に笑顔のケイティが現れ、カリンの両肩をガシッと掴む。
「カーリーンー。行ーくーわーよーー!!!」
「ひょえ!!」
ビクッとするカリン。そしてそのままケイティに引き摺られて行く。
ルークとバルガは顔を見合わせて肩をすくめた。
————
「今宵は、お館様様の婚約者になられます、コンスタンツェ・イヴェリオス様が無事に到着された事を祝いまして、内々ではございますがパーティーを開催させていただく事になりました!立食形式になりますので、皆様お気楽にどうぞ!!!」
そう声を上げたのは、ヴァルグレン様の側近のフィン様。
今回のパーティーはヴァルグレン辺境伯家の家臣が主に参加するもので、肩肘張らなくても良い気軽な物と聞かされている。
……聞かされているのだけれど……。何故か私は会場に続く控えの間で、ヴァルグレン様と二人きりで待たされている。
……といっても、メイドのマリアとミーシャはそこに居るのだけれど、二人ともニコニコしてこちらを見ているだけで何とも落ち着かない。
「イヴェリオス嬢……」
「は、はい……」
突然名前を呼ばれて驚いてしまう。
「いや、なんだその……。その、ドレス。とても、似合っている……。まるで春の女神の……いや、何でもない」
ヴァルグレン様がそう言った時、パーティー会場の壇上で司会をしているフィン様から声が掛かった。
「お館様ぁ!ご挨拶お願いしまぁす!」
「あ、あぁ。……ではまた後で……」
ヴァルグレン様はそう言って会場の方へ向かって行かれた。
私は火照った顔で頷く事しか出来なかった。
そんな私に、アンヌとミーシャが近付いて来て「春の女神ですって!」「良かったですわね」なんて言うので、さらに顔が熱くなってしまう。
突然会場の方から、ワァッという歓声が聞こえてくる。それと同時に「コンスタンツェ・イヴェリオス嬢!こちらへどうぞ!」と言う声も。
どうしよう。緊張する。アンヌが「大丈夫ですよ。とってもお綺麗ですから」なんて、言ってくれるのだけれど、大体いつもその後で、魔法が使えないとわかるとため息をつかれたり、顔だけはなんて言われたり……。
頭に義妹の姿や両親の影がちらつく。
……ううん。ダメだわ。そんな事を考えたって仕方ないもの。それに、今と前とは違う。
頭をふるふると張って雑念を吹き飛ばす。
そして、震えそうになる手をギュッと握りしめて歩き出す。口角を無理矢理上げて背筋を伸ばす。会場の明るい光に導かれるように足を進め、入り口に着くと、そこにはヴァルグレン様が居た。
手を差し出して、エスコートして下さる。
恐る恐るその手を取る。
ラウル以外の男性に、こうしてエスコートして貰うのは初めてかもしれない。
ラウルよりもゴツゴツとした、剣を振り続けて来た方の手……。少しだけ、緊張がほぐれる。
壇上へ導かれて小さな階段を登ると、さっきまでの歓声が嘘のように静まり返る。
家臣の方ばかりとはいえ、百人程居るのではないかしら……。自分の心臓の音が耳に聞こえるように鳴り始める。
「こほん……。えー。本日、こちらに着かれたコンスタンツェ・イヴェリオス嬢だ。私の……その、婚約……者と、なられる……」
ヴァルグレン様がそう言って私を少し見つめる。そして、少し首を振って前を向き直し
「皆、丁重におもてなしするように!」
と大きな声で言って、壇上を降りていってしまわれた。
ああ、まただ。きっとまた、失望されたんだわ。見栄えが良くても、中身はダメ。魔法が使えないんじゃ何の役にも立たない。
歪みそうになる顔を必死に抑える。口角を上げろ。笑え。私。
でも、その瞬間。
「お館様ぁ!照れないで下さいよぅ!」
「ひゅーぅ!!嬢ちゃん綺麗だぜぇ?!」
「どこ行くんですかお館様ぁ!!」
「綺麗だー!!奥さまぁ!!」
「お館様ぁ、照れてないでエスコートしないとですよぉ!!」
へっ?照れてる?誰が?
百人近い家臣の方々の歓声がワッと上がる中、そんな声が聞こえて来て目をぱちくりさせてしまう。
とにかく一礼をして頭を上げると、頭をぽりぽりと掻きながら困った顔をしているヴァルグレン様が壇上へ戻って来ていた。
「その……なんだ、悪い。慣れなくてな……。こちらへ、どうぞ……」
そう言って差し出してくれた手をそっと取り、ぎこちなく微笑むと、ヴァルグレン様は少し顔を赤らめ、会場は更に大きな歓声に包まれた。
————
竜の息吹たちはパーティーを楽しんでいた。
食べ物も酒も美味しいし、辺境伯の家臣たちも気の良い人間ばかり。
どこかのシスコンが言っていたような野蛮な雰囲気など微塵も無い。
「なぁルーク」
会場の和やかな雰囲気の中で、何かの肉の塊に齧り付いているバルガがルークに話しかける。
「何だい?バルガ」
「俺思うんだけどよぅ、ラウの奴、あんな極端な考え方する奴だったか?」
「この地のこと?」
「あぁ。異常な程蛮族やら野蛮やら言ってただろ?」
「確かにそうだね。でも……貴族の顔したラウと会ったのは初めてだったからね……。もしかしたらその方向で何かあるのかもしれない。バルガのそういう感覚は鋭いからね。注意しておこう」
頷くバルガ。満足そうにまた肉の塊を食べ始める。
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