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17.要は私?
しおりを挟む私の人生って何だろう?
やっと落ち着いて、まぁ端から見たら24歳でこんな老後みたいな生活をと思われるかもしれないけれど、一番望んでいることだ。
私は、ただ普通の静かな生活がしたいだけなのに。
「…カ。ホノ!」
「えっ?」
体がビクッとなったのが自分でもわかった。
いけない、話の途中だった。
「ごめんなさい。先を続けてもらえる?」
ランスは、何か話そうと、たぶん文句だったんだろうけど、ため息をつき紙を見ながら話を再開した。
「ひいおじい様は、以前から見たこともない文字に興味を持ち、彼女、エディに字を習ったようです。そのまま読みます」
ランスの紙をめくる音がいやに大きく感じる。
『エディと結婚し子供にも恵まれ幸せな生活の中、どこかでエディの家族、国がいつかわかればと思い、息子にも文字を教えた。記憶は、彼女が倒れ意識を失った際に戻った」
複雑だな。
『彼女が話した内容は普通なら考えられないような話だったが、私には本当に思えた。しかし、エディは、記憶が戻ったが皮肉にも、もう起き上がる力さえなかった。私は、彼女はきっと帰りたいと泣きだすだろうと思ったが、それは違っていた』
「ひいおばあ様の言葉のようです」
『私はとても幸せな人生を貴方のおかげで歩めました。それを家族に伝えられなかった事と、私は国を守る立場だったので、国は平和が今も保たれているのか祈るばかりです』そう彼女は言い寂しそうに微笑んだ』
なんか強い人だな。
『彼女がこちらに飛ばされた際にいくつか持っていた物があった。私は同じ場所に置くのは不安に感じ、息子にばらばらにして保管するよう命じたのだが息子は、これもまた信じがたい事だが術を使える力があるらしい。エディは亡くなる前に最後の力で息子の力を抑える術を施し、幾つか術を息子に教えたようだ』
とうてい信じられない話は続く。
『本来ならエディの世界とは違いこの私達の世界は魔術が使いづらいらしいが、エディは桁はずれの力をもっており、それは息子へも少し受け継がれていると言った。転移の際に膨大な力を使った為にこの世界への影響は少なくて済んだようだけれど、抑制の術をかけた息子は大丈夫だが、その後の代にもしかしたら、私の力がでてしまうかもしれないと最後まで心配していた』
「シュリカ石の話です」
『エディは、持ってきていたシュリカ石という石は強すぎる為、この世界に影響を及ぼすと判断し封印を施した。万が一あっては欲しくないけれどこの石が使われる可能性もゼロではないから解放の術は息子に託したと彼女は私に言ったが、正直、私はのけ者扱いされたように感じ、その時は悲しかった。そんな拗ねた私を見て彼女は、微笑んでいた』
最後の文は。
『いつか、彼女の国に行き、彼女の事を伝えたいと願ってやまない』
ランスは紙を閉じた。
私を見て、それから机の上の玉を指差す。
「これを見たとき、シュリカ石に間違いないと思いましたが、違和感を感じていました。封印のせいで力が籠っているからです」
私は話の内容を頭の中で整理していく。
「術とやらを解除しないと駄目ってことよね?」
「はい。おじい様から何か聞いてますか?」
私がその解除の仕方を思い出さないとランスは帰れない?
思い出すも何もまったくわからない。これ、不味いじゃない。
私は頭を抱えた。
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