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第一章【史上最強雀士コテツ編】
十七打目◉旅行計画
しおりを挟む数年に一度のビルメンテナンスで富士2号店は店を何時間か閉めなければならない日が2ヶ月後にあるという。
それならばいっそ2日間ほど店休日にして社員旅行をしてしまうのはどうだろうとマサルは考えた。
ここのところ2号店の売り上げは右肩上がりだ。こういう時にはスタッフにわかりやすい形で感謝を示しておくのも経営陣の仕事のひとつだとマサルは習ってきた。
(大入り袋で現金支給もいいが普段接点の少ない反対番とも交流するチャンスがあってもいい。今回はみんなで旅行にしよう。行き先は近くも遠くもない静岡県あたりが妥当だろう)
夏祭りで花火大会があるタイミングとメンテナンスの日が被っていたのは嬉しい偶然だった。
「よし、ここで決まりだ」
花火大会が決定打になり行き先は静岡県に確定した。
旅行に行くのは2号店スタッフの他に普段呼び出しては入ったり出たりと協力してくれる旧友のジンギと今や店のスーパーアイドルであるシオリ。あと富士の社長が参加することになった。
シオリは旅行が好きだった。プロになったきっかけも沖縄旅行に目がくらんでという理由だったくらいだ。
スタッフでもないのに私が参加していいのかしらとも思ったが自分以外にもスタッフではないジンギさんもいるし女の子は女子バイトの子が2人参加していたので遠慮なく参加を希望した。
反対番からはスグルと髙橋コウタロウの2名が参加した。強制にはしていないので残る2人は店内清掃という名目で留守番することに。上司や社長との旅行じゃ気を緩めることも出来ないから不参加が出るのも自然なことだった。
髙橋コウタロウはコテツやアキラと同世代だが丸々太っていてメタロウと呼ばれていた。それすら略され今では通称メタ。本人曰くメンタンピンのメタなんだそうだが、どう見てもメタボリックのメタである。
メタは理解の深い味のある麻雀をする。基本的には効率。しかし、相手を見て力押しや変化球を投げる事もしばしば。そんな奴。そして無類の競技麻雀マニアだった。
メタが旅行に行くメンツを確認すると。
「どう見ても富士2最強面子。なら麻雀セットをいくつか持参して麻雀大会をやりましょうよ!」と提案。
するとマサルが
「言い出すだろうと思って麻雀ルームがある宿を選んでおいたから安心しな」と言う。
マサルはいつでも先を見通している。
こうして第一回富士2最強決定戦が静岡県で行われることが決定した。
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