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第一章【史上最強雀士コテツ編】
二十八打目◉伝説の決勝戦
しおりを挟むさあ、最強を決める最後の一戦だ。勝敗を決めるのに回数はいらない。一回のチャンスをモノに出来る奴が強い。そういうものである。
「「よろしくお願いします!」」
決勝戦が始まった。
スタートの並びは
東家アキラ
南家コテツ
西家メタ
北家シオリ
「ツモ」
「ロン」
「ロン」
「ツモ」
東場は女王シオリがあまりにも強かった。さすがは女王である。伊達に三度もプロリーグを制覇してない。東1局から東4局まで流局以外は全てシオリのアガリだった。
2着と2万5千点離して南入。シオリとしてもこの戦いにかける意気込みは大きかった。
明らかにプロリーグよりも強いメンバーとの麻雀である。事実、ここの店員はプロのレベルを超えていた。姉のため生きるためと命懸けで鍛えたマサルや特殊能力のあるコテツ、抜群の安定感のアキラに騙しの天才であるジンギ、どこを見ても格下が居ないということは悔しいけど自分が格下なんだと言うことに利口なシオリは気付いていた。実際、シオリは富士2で勝ち越していない。リーグ戦で無敵のシオリがだ。この世界に同格ということはない、上か下かだ、そしてシオリの見立てではその頂点がコテツだった。
だから今日は絶対に勝ちたいのだ。
南入してからはコテツもメタもアガリ始めアキラも小さく刻んでリードを広げられないようにしていた。
そして迎えたオーラス。親はシオリなので逃げ切られたらそれで終わりの連荘のない最終局。
コテツもメタも跳直か倍ツモ条件だった。アキラに至っては倍直か三倍満ツモ条件でほぼ不可能である。
しかしアキラには思うことがあった。
(そもそも自分の麻雀は4着回避の負けない麻雀だ。ならここで作るのは3900。コテツくんかメタくんからの3900直撃なら作れそうだ。狙うは3着。それが僕らしい麻雀じゃないか。大会だからと言って普段と違う麻雀はせずに自分の麻雀を貫く事にしよう。うん、そうしよう)
一方コテツとメタは優勝だけを狙っていた。
メタは優勝しないと勝ったことにはならないと考えていた。
(跳直? 倍ツモ? 必要なら作るだけだ! オレはそれが出来る奴なはずだ)とメタもコテツも思っていた。
アキラのドラ四の最後の手
アキラ手牌
三四伍伍伍345白白(③④⑤)
コテツかメタから白か赤伍萬直撃狙いのテンパイ
一方、コテツは役満を作っていた。
コテツ手牌
一一一六六六九九九東東白白
キッチリ安めの出アガリでもダマっ跳ねあるのでシオリ狙いで闇テンだ。この時点でアキラの白は無く赤伍の直撃しかチャンスはなかった。
シオリも南を仕掛けていて自力で勝つつもりでいたので東がポロっと出る可能性はある。
その時、メタはチートイツをやっていたが絶対に必要なドラが引けず苦戦している。ドラ無しチートイで倍満はほぼ無理だ。
「槓!」
コテツが六をアンカンした。すると新ドラ③がメタに2枚乗る。あとはメタもテンパイさせてリーチしてツモって裏を乗せれば優勝だ。難しいが不可能ではなくなった。
そして残り2巡でメタもテンパイ。
メタ手牌
二二七七八八①①③③⑥⑥⑨
「リーチ!」
(この⑨はまだ山にありそうだ)
メタからリーチだと自分もリーチしてみる価値がありそうだと考えコテツもリーチ。
「リーチ」
(もしかしたら出アガリ24000になるかもしれないし)それに、そもそもシオリはさすがにもう降りていた。シオリからの出アガリはもはや期待できない。
(逃げ切ることも戦いだ。ここは降り切ってみせる)とシオリ。
鳴きとカンが入っていてハイテイ前にコテツから二が出る。コテツは結局四暗刻はツモれなかった。
(二か。あーあ、役無しの方だよそれは、役無しドラドラ3900。なんてな)とアキラは苦笑する。これでもうハイテイでメタが振っても同巡内フリテンでアガれない。
ハイテイでメタが掴んだのは……
打東
「ロン! 裏のれ!!」
裏ドラは白だった。
「リーチ門前混一色トイトイ三暗刻ハイテイ裏裏で24000!!」
「うわ!」
「マジかこいつ!」
「すご…」
キッチリトップを捲った劇的な幕切れであるかに思えた。
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