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第三章【一日一度はメンタンピン編】

三十一打目◉女誑し

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 メタとアヤノはコテツの家がある駅に着いた。駅前薬局で少し買い物をして、熱冷ましのシートなども購入する。

 ケータイで配信を確認すると、コテツの出番は終わっていた。
 結局コテツのアガリは一回しかなく、敗退した。それも仕方ない。本調子ではないのだから。というよりは絶不調だ。

「まあ、しゃあねえな。いくらアイツがバケモンでも体調不良にゃ勝てねえか」と言いつつもメタは残念そうだった。(それでもコテツなら勝つかも)そんな期待をしていたのだ。

「アヤノはまだコテツと喋ったことないよな。気を付けてくれよ。あいつは天性の女誑おんなたらしだからな。口を開けば甘い台詞言い出すんだ。熱出てるからって油断できねえ」

「そんな人なの? コテツさんて。でも既婚者よねえ?」
 
「義理堅いし、真面目だし。仕事に真剣で、プロ意識の高い男だよ。ただ、女誑しなんだ。呼吸するように『可愛いよ』とか『きれいだね』とか言いやがる。でも、結婚してからは女の子とは食事に行くくらいしかしてないみたいだけどな。つまり女が好きなんだよあいつは。少し面倒なくらいにさ」

 気付いたらもうコテツの家の前だった。


ピンポーン

呼び鈴を押すとコテツが出る。


『おいこら、デケェ声で人聞きの悪い話をしながら歩くんじゃねえよ。網戸なんだから近所中全部聞こえてんだよ。…鍵はあけてあるから入ってこい』

「たく、それが看病されるやつの態度かよ! 少しは感謝したらどうなんだ?」

「今さっきまでは感謝してたんだよ」

「お邪魔しまーす」

 アヤノも部屋に上がる

「林アヤノです。覚えてますか? 秋葉原の雀荘で働いてて、何度か会ったことはあるんですけど」

「忘れるわけないさアヤノさんみたいな美人」

「ホラきた。な? すぐに甘言かんげんが出るんだよ」

「うふふ! そうですね!」


「あ、つい」

 コテツは言われても仕方ねーかと思い。自分の態度を反省した。
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