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第2章 黎明期
第29話 お誘い
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多少のずるをしながら、階を進めていく。
後ろから見ていると、戦闘がずいぶん安定をしてきた。
意外と、美樹はナイフを使い攻撃する。
それも執拗に、追い詰めとどめを刺す。
パターン化されたそれは、時により今倒せばよかったのにと思ったときにでも、わざと逃がして追い詰める。
楽しんでいる感じが見受けられる。
佳代に言わせると、美樹は変態だから言ってもだめ。生来のハンターだから、追い詰め切り刻むのが好きなようだ。
見た目通りなのは佳代の方で、ひたすら何も考えず突っ込んでいく。
最近は、自分の体を把握して、無鉄砲な所はなくなった。
前は、佳代が突っ込みかく乱? させている間に美樹がとどめを刺していたようだ。
じゃあ盾を装備すればよかったんじゃ? そう言ったが
「あたしらは、両方とも攻撃。アタッカーなの」
そう言って膨れる。
そして、ウルフ系が来ると、対処ができなくなってドタバタする。
そんな感じだったが、連携? ができるようになった。
佳代が完全なおとり。
向かってきた奴を、横から美樹がとどめを刺す。
完全に盾役と暗殺者だな。
まあそれも、魔法を使い炎を撒いて経路を制限。
釣って、倒す。
そのパターンが完全になじんできた。
途中で、鍵を拾い落とし穴を回避して、いよいよ30階。
「ふわーでっかい。それに筋肉すごい」
「見た目があれだが、なんかうまそうだな」
「二人とも、皮は厚いし筋肉がすごいから、打撃もナイフも通じない。どっちも魔力を乗せるか内側からの魔法。それか窒息でもさせてね」
一応アドバイスを言うが、そんなことは十分承知をしているだろう。
一応出て行く用意をしながら、僕も準備をする。
しかし、予想を裏切られ二人ともがガンブレードを取り出すと、フルオートで連射を始めた。
「それはずるいだろう」
思わず、口をついてそんな言葉が出た。
あれは、お遊びで創ったもの。
この地球の物理法則から外れている。
トロールの、分厚い皮も筋肉も完全無視で内側から破壊していく。
撃たれたトロールは、訳も分からず霧となって消えていく。
おもしろいことに、美樹は足や手から攻撃。
佳代は胸に集弾。
「まあいつも通りか。でもそれはずるいな。没収しようかな?」
「「えー」」
「人がいない所なら良いじゃん」
「そうよ。一度撃ってみたかったの。これすごく、ストレス解消に良いの。すんごく気持ちいいのよ」
「すごくは分かったけど、自分の練習にならないじゃない」
と言ったが、これから先の階層トロールみたいな奴ばかりだしいいか。
練習はいつでもできる。
「分かったよ。魔石を回収して協会へ申請しに行こう」
そして協会へ。
「これお願いします」
佳代が魔石をカウンターへ置く。
「えっもう30階? ですか」
登録窓口藤本さんが、目を丸くする。
受け取ってチェックすると、
「トロールですね。今回もお2人で?」
「そうですね。僕は見ていただけ」
「カードとタグをお願いします。これで、全員横並びになりましたね」
そう言って、情報更新とタグへの星を追加していく。
「お疲れ様です」
中島さんが顔を出す。
何だろう? ちょっとキョドっている。
「鬼司さん。ちょっと時間いただけます?」
「ああはい。良いですよ。じゃあ二人は更新の作業を進めておいて」
そう言って、中島さんに連れられ会議室へ移動する。
使用中の札をひっくり返して中へ入ると、
「あっあの、この前の約束。でっでっで」
そこまで言って、中島さんは胸を押さえて深呼吸を繰り返す。
過呼吸になりそう。
「デートの話? いつにします?」
適当な椅子に座りながら、話しかける。
「良いんですか?」
「ええ。そう言う話だったし」
「ええと、今度の休暇は2日後なんですが」
「じゃあその日に。待ち合わせはどこで?」
「近くの○○駅で、9時に待っています」
立ち上がろうとして、父さんの言葉を思い出すが、デート1回くらいなら別に問題ないだろう。そう心をだまし立ち上がる。
問題は、ドアの前に張り付いている二人だな。
「それじゃあ。2日後によろしく」
そう言って、ドアを開ける。
すでに2人は、フロアの待合椅子に座って何か話している。
身体能力の無駄遣いだな。
「お待たせ」
「お疲れ様。何の話だったの?」
聞いていただろ? それに、美樹は笑顔だが目が笑っていない。
「ああ先日世話になって、お礼にデートすることになった」
父さんの言葉が引っかかり素直に話すことにした。
「他の女とデートだ? 私たちもしていないのに」
「そうよね。許せませんよね」
「そういえば、遊んだ事って無かったよね。今度いくかい?」
「明後日、むこうといくなら、当然私たちは明日だよな」
「そうよね」
聞いてたこと、さらっとばらしたな。
「二人とも一緒で良いの?」
「当然。一人ずつなんかだったら、お互いに内容が気になるじゃん」
「わかった。待ち合わせはどこに?」
そう言うと、二人が悩み始める。
「うーまあ。今から30階のお祝いに行ってその間に決めよう」
「うんそうね。そうしましょう」
そう言って、手を引かれていく。
後ろから見ていると、戦闘がずいぶん安定をしてきた。
意外と、美樹はナイフを使い攻撃する。
それも執拗に、追い詰めとどめを刺す。
パターン化されたそれは、時により今倒せばよかったのにと思ったときにでも、わざと逃がして追い詰める。
楽しんでいる感じが見受けられる。
佳代に言わせると、美樹は変態だから言ってもだめ。生来のハンターだから、追い詰め切り刻むのが好きなようだ。
見た目通りなのは佳代の方で、ひたすら何も考えず突っ込んでいく。
最近は、自分の体を把握して、無鉄砲な所はなくなった。
前は、佳代が突っ込みかく乱? させている間に美樹がとどめを刺していたようだ。
じゃあ盾を装備すればよかったんじゃ? そう言ったが
「あたしらは、両方とも攻撃。アタッカーなの」
そう言って膨れる。
そして、ウルフ系が来ると、対処ができなくなってドタバタする。
そんな感じだったが、連携? ができるようになった。
佳代が完全なおとり。
向かってきた奴を、横から美樹がとどめを刺す。
完全に盾役と暗殺者だな。
まあそれも、魔法を使い炎を撒いて経路を制限。
釣って、倒す。
そのパターンが完全になじんできた。
途中で、鍵を拾い落とし穴を回避して、いよいよ30階。
「ふわーでっかい。それに筋肉すごい」
「見た目があれだが、なんかうまそうだな」
「二人とも、皮は厚いし筋肉がすごいから、打撃もナイフも通じない。どっちも魔力を乗せるか内側からの魔法。それか窒息でもさせてね」
一応アドバイスを言うが、そんなことは十分承知をしているだろう。
一応出て行く用意をしながら、僕も準備をする。
しかし、予想を裏切られ二人ともがガンブレードを取り出すと、フルオートで連射を始めた。
「それはずるいだろう」
思わず、口をついてそんな言葉が出た。
あれは、お遊びで創ったもの。
この地球の物理法則から外れている。
トロールの、分厚い皮も筋肉も完全無視で内側から破壊していく。
撃たれたトロールは、訳も分からず霧となって消えていく。
おもしろいことに、美樹は足や手から攻撃。
佳代は胸に集弾。
「まあいつも通りか。でもそれはずるいな。没収しようかな?」
「「えー」」
「人がいない所なら良いじゃん」
「そうよ。一度撃ってみたかったの。これすごく、ストレス解消に良いの。すんごく気持ちいいのよ」
「すごくは分かったけど、自分の練習にならないじゃない」
と言ったが、これから先の階層トロールみたいな奴ばかりだしいいか。
練習はいつでもできる。
「分かったよ。魔石を回収して協会へ申請しに行こう」
そして協会へ。
「これお願いします」
佳代が魔石をカウンターへ置く。
「えっもう30階? ですか」
登録窓口藤本さんが、目を丸くする。
受け取ってチェックすると、
「トロールですね。今回もお2人で?」
「そうですね。僕は見ていただけ」
「カードとタグをお願いします。これで、全員横並びになりましたね」
そう言って、情報更新とタグへの星を追加していく。
「お疲れ様です」
中島さんが顔を出す。
何だろう? ちょっとキョドっている。
「鬼司さん。ちょっと時間いただけます?」
「ああはい。良いですよ。じゃあ二人は更新の作業を進めておいて」
そう言って、中島さんに連れられ会議室へ移動する。
使用中の札をひっくり返して中へ入ると、
「あっあの、この前の約束。でっでっで」
そこまで言って、中島さんは胸を押さえて深呼吸を繰り返す。
過呼吸になりそう。
「デートの話? いつにします?」
適当な椅子に座りながら、話しかける。
「良いんですか?」
「ええ。そう言う話だったし」
「ええと、今度の休暇は2日後なんですが」
「じゃあその日に。待ち合わせはどこで?」
「近くの○○駅で、9時に待っています」
立ち上がろうとして、父さんの言葉を思い出すが、デート1回くらいなら別に問題ないだろう。そう心をだまし立ち上がる。
問題は、ドアの前に張り付いている二人だな。
「それじゃあ。2日後によろしく」
そう言って、ドアを開ける。
すでに2人は、フロアの待合椅子に座って何か話している。
身体能力の無駄遣いだな。
「お待たせ」
「お疲れ様。何の話だったの?」
聞いていただろ? それに、美樹は笑顔だが目が笑っていない。
「ああ先日世話になって、お礼にデートすることになった」
父さんの言葉が引っかかり素直に話すことにした。
「他の女とデートだ? 私たちもしていないのに」
「そうよね。許せませんよね」
「そういえば、遊んだ事って無かったよね。今度いくかい?」
「明後日、むこうといくなら、当然私たちは明日だよな」
「そうよね」
聞いてたこと、さらっとばらしたな。
「二人とも一緒で良いの?」
「当然。一人ずつなんかだったら、お互いに内容が気になるじゃん」
「わかった。待ち合わせはどこに?」
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「うんそうね。そうしましょう」
そう言って、手を引かれていく。
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