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第三章 初等部
第30話 変わっていく世界
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その時、僕は知らなかった。
僕自身が数週間で…… こんなにも、非常識になっているなんて。
シン君や、マッテイスさん。
それに、ヘルミーナ=シュワード様。
その辺りに、僕の拳など片手で止められる。
何処まで必死で逃げても、彼らはなぜか逃げた先に居る。
笑顔を浮かべて……
何処までも何処までも、僕を追って、笑顔がやって来る。
そして、訳が分からないうちに、衝撃が来て、僕は飛んで行く……
そう、笑顔の彼らは怖い。
ヘルミーナ様の、こてんと首を倒す愛らしい仕草。
最近は、その状態で、近寄ってくる夢を見る。
足だけで、すーっと近寄ってくる。
幾度そんな夢を見て、夜中に飛び起きただろう。
そのおかげで、顔を見た瞬間にビクッと体が反応をしてしまう。
「ベイエルス様、どうされました?」
そんな事を聞かれる始末。
「まあ。こう言う感じでしょうか?」
意外と、ヘルミーナ様は乗りがよく…… いや怒っておられるのか、その日はずっとその状態で追いかけられた。
小首をかしげた、笑顔の女の子。
音もなく、すーっと追ってくる。
白いドレスで、足が見えず……
それは怖かった。
「何をしているのじゃ」
「あっお兄様。ベイエルス様が動きを変えず追って来られるのが怖いと仰いまして、訓練中です」
うって変わった、ヘルミーナ様の姿。
「ほう。スカートだと、足運びが隠せるから便利じゃな、主も穿いてみるか?」
「やめてください。いい加減、女の子と間違えられるのに」
そんな話をした。
だが実際に、こいつらは……
僕を相手に、女性との行為をしようとするとは……
つい手が出てしまったが、二歩前に歩み寄り、殴っただけ。
それなのに、アーナルドは簡単に倒れた。
ドナスィヤンも、ジョアンも全く反応が出来ず。
見ると、すでに行為に対して期待でもしていたのか、一部分は反応をしている。
「このへんたいがぁ」
そう思って、手が出た。
無論、今までのこともある。
僕は、彼らをぶん殴る。
こいつらは、思っていたよりもものすごく簡単に、殴り倒せた。
あんなに怖かった奴ら…… だけど、それはすごく簡単に成すことができた。
倒れ込んだ三人。
人気の無い教室。
僕は考える。
「あーうん。せっかくだ。練習をすれば良い」
ズボンを脱がせて、繋いでみる。
触りたくないので、少し苦労したが、無事繋いだ。
それ以降彼らは、僕と目を合わさなくなった。
こんなに簡単に、あの生活から抜けられるなんて……
クリスティアーノはそう思ったのだが。
実は練習がてら、他の奴らも新メンバーである、モニカの練習台として彼らは使われた。
いきっていたが、五人がかりで、七歳の女の子にぶちのめされた。
それも一方的に。
「あーそうそう。クリスティアーノ=ベイエルスを知っているかい? 彼は彼女よりも強い。だが手加減が出来なくてね、殺さないようにしているらしい。あまり調子に乗っていると、うっかり殺されるかもね」
そう言って、周りで見ていたがきんちょどもが笑う。
「言っていた話、本当か?」
「幾度も泣かしただろう。絶対嘘だよ」
疑心暗鬼だった彼ら。
「三人がかりで負けた。たいした事は無いが、強いというのは本当だ」
「紙一重の差だがな」
「紙一重なら、三人で掛かれば負けんだろ」
「いや、三人一緒で、紙一重なんだ……」
妙に仲良くなった奴らが、声をそろえるが、きっとあっさり負けたんだろ。
奴の言う事が本当なら、手加減を覚えたのか……
その後、少しずつ奴の周りに人が集まり、そいつらは実技の成績が上がり始めた。
「どれだけの奴らが、手加減の練習をしていたんだ?」
「そんな訳あるかよ」
呆れた感じで、フィンセント騎士爵家のイェルンがそう言った瞬間、魔法演習場の壁がぶち抜かれた。
壁には、魔法用の障壁が張られて、先生の強力な魔法でも打ち抜けない。
まあスキルなら、誰が撃っても強さは一緒だが……
「いつもはシン君が、シールドを張ってくれているから、ついいつもの調子で撃ってしまった」
ベイエルスが行ったそのぼやきが、耳に入った。
「いつもは、抑えているらしいぜ」
「その様だな」
その後彼らは、人を見た目で判断しないと言うことを実践したようだ。
いくつかの貴族家で、『人を見た目で判断する事、能わず。然すれば仁人を有すことかなうべし』などという家訓ができたとか?
そして、クリスティアーノはうやむやだったが、他はきちんと、家の状況まで調べた。マッテイスが……
「こいつらなら、妙な後ろ盾がなく、独立している。一応寄親とかの繋がりはあるが、面倒は無さそうだ。まあ、やばそうなら切ろう」
そう言って、出してきたリスト。
アレクセイ。フロリーク準男爵家。男性。
レイナルド。ニコラオ騎士爵家。男性。
エルミーヌ。ロザリー伯爵家。女性。
マリレーナ。レナータ男爵家。女性。
「こんな感じだな」
「少ないな」
そう答えると、嫌そうな顔をされる。
「貴族は小さな所でも、繋がりがあるものなの」
「それはそうだ」
そうして、クリスティアーノが声をかけて、誘ってくる。
女の子二人は、夜に誘われて警戒をされたために、王からの書状を見せた。
効果がてきめんだった。王は偉いらしい。
「さて、クリスティアーノが何処まで説明をしたのか知らないが、これは王命である。諸君強くなれ」
マッテイスが適当な説明をする。
「あの、何をするのでしょうか?」
「明確に何が起こるのかは不明。だが、何が起こっても良い様に鍛えろ。当面の敵はダンジョンに居るドラゴンだ」
「「「「はあっ?」」」」
僕自身が数週間で…… こんなにも、非常識になっているなんて。
シン君や、マッテイスさん。
それに、ヘルミーナ=シュワード様。
その辺りに、僕の拳など片手で止められる。
何処まで必死で逃げても、彼らはなぜか逃げた先に居る。
笑顔を浮かべて……
何処までも何処までも、僕を追って、笑顔がやって来る。
そして、訳が分からないうちに、衝撃が来て、僕は飛んで行く……
そう、笑顔の彼らは怖い。
ヘルミーナ様の、こてんと首を倒す愛らしい仕草。
最近は、その状態で、近寄ってくる夢を見る。
足だけで、すーっと近寄ってくる。
幾度そんな夢を見て、夜中に飛び起きただろう。
そのおかげで、顔を見た瞬間にビクッと体が反応をしてしまう。
「ベイエルス様、どうされました?」
そんな事を聞かれる始末。
「まあ。こう言う感じでしょうか?」
意外と、ヘルミーナ様は乗りがよく…… いや怒っておられるのか、その日はずっとその状態で追いかけられた。
小首をかしげた、笑顔の女の子。
音もなく、すーっと追ってくる。
白いドレスで、足が見えず……
それは怖かった。
「何をしているのじゃ」
「あっお兄様。ベイエルス様が動きを変えず追って来られるのが怖いと仰いまして、訓練中です」
うって変わった、ヘルミーナ様の姿。
「ほう。スカートだと、足運びが隠せるから便利じゃな、主も穿いてみるか?」
「やめてください。いい加減、女の子と間違えられるのに」
そんな話をした。
だが実際に、こいつらは……
僕を相手に、女性との行為をしようとするとは……
つい手が出てしまったが、二歩前に歩み寄り、殴っただけ。
それなのに、アーナルドは簡単に倒れた。
ドナスィヤンも、ジョアンも全く反応が出来ず。
見ると、すでに行為に対して期待でもしていたのか、一部分は反応をしている。
「このへんたいがぁ」
そう思って、手が出た。
無論、今までのこともある。
僕は、彼らをぶん殴る。
こいつらは、思っていたよりもものすごく簡単に、殴り倒せた。
あんなに怖かった奴ら…… だけど、それはすごく簡単に成すことができた。
倒れ込んだ三人。
人気の無い教室。
僕は考える。
「あーうん。せっかくだ。練習をすれば良い」
ズボンを脱がせて、繋いでみる。
触りたくないので、少し苦労したが、無事繋いだ。
それ以降彼らは、僕と目を合わさなくなった。
こんなに簡単に、あの生活から抜けられるなんて……
クリスティアーノはそう思ったのだが。
実は練習がてら、他の奴らも新メンバーである、モニカの練習台として彼らは使われた。
いきっていたが、五人がかりで、七歳の女の子にぶちのめされた。
それも一方的に。
「あーそうそう。クリスティアーノ=ベイエルスを知っているかい? 彼は彼女よりも強い。だが手加減が出来なくてね、殺さないようにしているらしい。あまり調子に乗っていると、うっかり殺されるかもね」
そう言って、周りで見ていたがきんちょどもが笑う。
「言っていた話、本当か?」
「幾度も泣かしただろう。絶対嘘だよ」
疑心暗鬼だった彼ら。
「三人がかりで負けた。たいした事は無いが、強いというのは本当だ」
「紙一重の差だがな」
「紙一重なら、三人で掛かれば負けんだろ」
「いや、三人一緒で、紙一重なんだ……」
妙に仲良くなった奴らが、声をそろえるが、きっとあっさり負けたんだろ。
奴の言う事が本当なら、手加減を覚えたのか……
その後、少しずつ奴の周りに人が集まり、そいつらは実技の成績が上がり始めた。
「どれだけの奴らが、手加減の練習をしていたんだ?」
「そんな訳あるかよ」
呆れた感じで、フィンセント騎士爵家のイェルンがそう言った瞬間、魔法演習場の壁がぶち抜かれた。
壁には、魔法用の障壁が張られて、先生の強力な魔法でも打ち抜けない。
まあスキルなら、誰が撃っても強さは一緒だが……
「いつもはシン君が、シールドを張ってくれているから、ついいつもの調子で撃ってしまった」
ベイエルスが行ったそのぼやきが、耳に入った。
「いつもは、抑えているらしいぜ」
「その様だな」
その後彼らは、人を見た目で判断しないと言うことを実践したようだ。
いくつかの貴族家で、『人を見た目で判断する事、能わず。然すれば仁人を有すことかなうべし』などという家訓ができたとか?
そして、クリスティアーノはうやむやだったが、他はきちんと、家の状況まで調べた。マッテイスが……
「こいつらなら、妙な後ろ盾がなく、独立している。一応寄親とかの繋がりはあるが、面倒は無さそうだ。まあ、やばそうなら切ろう」
そう言って、出してきたリスト。
アレクセイ。フロリーク準男爵家。男性。
レイナルド。ニコラオ騎士爵家。男性。
エルミーヌ。ロザリー伯爵家。女性。
マリレーナ。レナータ男爵家。女性。
「こんな感じだな」
「少ないな」
そう答えると、嫌そうな顔をされる。
「貴族は小さな所でも、繋がりがあるものなの」
「それはそうだ」
そうして、クリスティアーノが声をかけて、誘ってくる。
女の子二人は、夜に誘われて警戒をされたために、王からの書状を見せた。
効果がてきめんだった。王は偉いらしい。
「さて、クリスティアーノが何処まで説明をしたのか知らないが、これは王命である。諸君強くなれ」
マッテイスが適当な説明をする。
「あの、何をするのでしょうか?」
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「「「「はあっ?」」」」
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