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第五章 人は生き残れるのか?
第88話 王城での異変
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「ええい、王子ももういい年、王もさっさと引退をすればよいのに」
もう五〇歳になる王妃がたるんだ裸体を見せ、若い男が、その下腹部を舐める醜悪な現場。
「そうですな、じゃまな者達もいなくなったことだし、頃合いですかな?」
すぐ横では、でっぷりと太った男が、まだ少女とも言える女の子をなぶる。
「言うは易しだけど、何とかなりそうなの?」
「お任せを」
クスクスと笑いながら睦み合う二人。
王妃と、幾人かの男達。
王城の、人の来ない一角に、王妃のヤリ部屋があった。
退廃的なその部屋では、王妃だけでは無く連なる者や、拒否をした家の娘が顔だけには傷をつけないようになぶられていた。
「もうやめてください。御父様にお願いをして、王妃様に力を貸すよう言いますので」
少女はまだ、一〇歳程度だろう。
「言いますだと? 貸すだと? 勘違いをしているようね、喜んで賛同をして力をお使いくださいというのが筋では無いのかえ?」
「あっはい。申し訳ありません。あの…… これを、抜いてください。裂けてしまいます」
かわいそうなことに、娘の下半身には二本の棒状の物が刺さっていた。
それは植物性で、水を含めば肥大化をする。
最初直径三センチ程度だった物は、すでに五センチ程度にまで膨らんでいた。
貴族の婚姻には、経験が無いことが重要視される。
親の侯爵が首を縦に振らなかったために、娘が攫われこの悲劇が起こった。
娘はこの後、王妃に賛同をする幾多の男に慰みものとされ、ボロボロで屋敷に帰される。それを見て侯爵は血の涙を流す。
そう王位の簒奪。
第一王子アルベルは、二七歳となるが王位を譲るには今一…… かなり能力が無い。
物事の道理よりも、自分の意思を優先し、それは相手の立場を考えない。
そう、簡単に言えば、バカで我が儘だという事だ。
王妃の血を濃く引いたのか、その駄目さは目を潰れないレベル。
それに、王としては、子供の頃から王子をかわいいと感じなかった。
そう、この世界に遺伝子検査があれば、真実が分かっていただろう。
王妃は、第一王女セリアの出産後、体形が崩れるのがいやで、王に内緒で避妊をしていた。
ところが王子がうまれない。それを理由に、第二王妃オルネラを迎えてしまった。
焦った彼女は、自分のこだわりを引っ込め、子をなした。
ところが、言わば意趣返しのつもりか、他人の種で。
そうよく聞く女性の浮気、その理由ナンバーワン。
彼や夫への意趣返し。
良くある話。
そのため、本来第一王子アルベルと第二王女リリーにはそもそも、継承権など無い。
それは、この世界では曝かれることの無い事実。
だが…… この時代、異物が存在。
「ふむ。ミシェル。頃合いだな」
王は、宰相と第二王妃オルネラをつれ、忽然と姿を消す。
それは悔しいことだが、王都での戦闘を回避するための措置。
それを可とするか不可とするかは、後に周囲が決めること。
急ぎ向かったのは、当然のようにデルクセン領。
王が居なくなった王城では、混乱が起こる。
当然だ。
すべてを差配していた宰相までいない。
だが、軍部や貴族院。
娘を攫われた侯爵などには、話が伝わっていた。
まさか娘を攫うとは思っていなかったが。
そう脅しよりも、憎悪が勝つ。
その娘は、王と共にデルクセン領へと心と体の療養に向かう。
憎悪の鬼となった、フォスティー=ジャスティス侯爵は私財をなげうち徹底的にその繋がりを曝くことに尽力をする。
無論、王が居なくなったために、法務官の役職は解任され、暇にもなったせいで時間はできた。十分に調べた後、姿を消す。
馬鹿なことに、王妃はほくほく顔で、王子を立て周囲を身内で固める。
重要な役職を、一気に刷新をする。
外されたのは、忠信の徒。
むろん王に対して。
普通なら、周囲国に使者を出して、その地位を確実にするのだが、内部の入れ替えに躍起になり、すべての機能が停止。それを進言する者も存在しなかったようだ。
一時予算の金庫は開いても、その奥にある王家の宝物庫は魔導具により封じられている。
そして所詮は、烏合の衆。
三ヶ月くらい、好き勝手に簒奪をして、この世の春を謳歌する。
「財源が無い? 地方から取れば良いのよ」
「特別徴税には、理由が必要でございます」
まだ残っていた、真面目な施政官。
当然、即日解雇である。
「なんだ、どうなっているのだ王国は……」
酒場でグダっていると、見知らぬ女性が近寄ってくる。
「あなた家族は?」
「いるが?」
そう答えると、彼女は、彼の耳元に色っぽい唇をよせる。
「大声で、体制に対して文句を言うと、逮捕をされるわ。こっちへ来て、良いことを教えてあげる」
半信半疑だが、奥の個室へ一緒に入る。
その娘が言うには、王は今、すべてを一度に終わらせるために調査中とのこと。
善良な者達は、密かに集まり、その時を待っている。
「大事な人がいるなら、一緒に王の下へ参りましょう」
彼女にそう言われて驚く。
「王妃が悪。それは分かっているけれど、想像以上に腐っているらしくて、苦渋の決断らしいわ」
その啓発運動は広がり、どんちゃんと浮かれていた間に、王都からまともな人達は姿を消していた。
残っているのは、悪徳商人達と、自身の常識に拘り、世界が見えなかった者達。
決断ができなかった優柔不断者。
兵達も、最もらしい理由を考えては抜け、考えられなかった者は、二日酔いだと報告に来て、長期無断欠勤へと突入をした。
いきなり、上位の席に抜擢をされ喜んでいる愚か者達は、そんな王都の異常にも気が付かない。すでに支払われる給料さえ無いというのに。
そう、大体世界が見えていない者達が、馬鹿な行動を起こすもの。
家の中で、親から言われたことを盲目的に信じる。
『当家は本来、王となる家系。それを簒奪され、現王家が立ったのじゃ』
その中身は、無能であり、閉職に追われただけ。
温情により取り潰しを免れた過去が、今になって徒となって帰ってきた典型である。
駄目なモノは、やはりきっちりと潰すのが良いようだ。
報告を聞きながら、王はそう決心をする。
そして、シンが創った、セキュリティ用の魔導パターン計測器。
コイツが、一波乱を起こす。
そう近親者は、必ず魔導パターンが重なる所があるのだよ……
もう五〇歳になる王妃がたるんだ裸体を見せ、若い男が、その下腹部を舐める醜悪な現場。
「そうですな、じゃまな者達もいなくなったことだし、頃合いですかな?」
すぐ横では、でっぷりと太った男が、まだ少女とも言える女の子をなぶる。
「言うは易しだけど、何とかなりそうなの?」
「お任せを」
クスクスと笑いながら睦み合う二人。
王妃と、幾人かの男達。
王城の、人の来ない一角に、王妃のヤリ部屋があった。
退廃的なその部屋では、王妃だけでは無く連なる者や、拒否をした家の娘が顔だけには傷をつけないようになぶられていた。
「もうやめてください。御父様にお願いをして、王妃様に力を貸すよう言いますので」
少女はまだ、一〇歳程度だろう。
「言いますだと? 貸すだと? 勘違いをしているようね、喜んで賛同をして力をお使いくださいというのが筋では無いのかえ?」
「あっはい。申し訳ありません。あの…… これを、抜いてください。裂けてしまいます」
かわいそうなことに、娘の下半身には二本の棒状の物が刺さっていた。
それは植物性で、水を含めば肥大化をする。
最初直径三センチ程度だった物は、すでに五センチ程度にまで膨らんでいた。
貴族の婚姻には、経験が無いことが重要視される。
親の侯爵が首を縦に振らなかったために、娘が攫われこの悲劇が起こった。
娘はこの後、王妃に賛同をする幾多の男に慰みものとされ、ボロボロで屋敷に帰される。それを見て侯爵は血の涙を流す。
そう王位の簒奪。
第一王子アルベルは、二七歳となるが王位を譲るには今一…… かなり能力が無い。
物事の道理よりも、自分の意思を優先し、それは相手の立場を考えない。
そう、簡単に言えば、バカで我が儘だという事だ。
王妃の血を濃く引いたのか、その駄目さは目を潰れないレベル。
それに、王としては、子供の頃から王子をかわいいと感じなかった。
そう、この世界に遺伝子検査があれば、真実が分かっていただろう。
王妃は、第一王女セリアの出産後、体形が崩れるのがいやで、王に内緒で避妊をしていた。
ところが王子がうまれない。それを理由に、第二王妃オルネラを迎えてしまった。
焦った彼女は、自分のこだわりを引っ込め、子をなした。
ところが、言わば意趣返しのつもりか、他人の種で。
そうよく聞く女性の浮気、その理由ナンバーワン。
彼や夫への意趣返し。
良くある話。
そのため、本来第一王子アルベルと第二王女リリーにはそもそも、継承権など無い。
それは、この世界では曝かれることの無い事実。
だが…… この時代、異物が存在。
「ふむ。ミシェル。頃合いだな」
王は、宰相と第二王妃オルネラをつれ、忽然と姿を消す。
それは悔しいことだが、王都での戦闘を回避するための措置。
それを可とするか不可とするかは、後に周囲が決めること。
急ぎ向かったのは、当然のようにデルクセン領。
王が居なくなった王城では、混乱が起こる。
当然だ。
すべてを差配していた宰相までいない。
だが、軍部や貴族院。
娘を攫われた侯爵などには、話が伝わっていた。
まさか娘を攫うとは思っていなかったが。
そう脅しよりも、憎悪が勝つ。
その娘は、王と共にデルクセン領へと心と体の療養に向かう。
憎悪の鬼となった、フォスティー=ジャスティス侯爵は私財をなげうち徹底的にその繋がりを曝くことに尽力をする。
無論、王が居なくなったために、法務官の役職は解任され、暇にもなったせいで時間はできた。十分に調べた後、姿を消す。
馬鹿なことに、王妃はほくほく顔で、王子を立て周囲を身内で固める。
重要な役職を、一気に刷新をする。
外されたのは、忠信の徒。
むろん王に対して。
普通なら、周囲国に使者を出して、その地位を確実にするのだが、内部の入れ替えに躍起になり、すべての機能が停止。それを進言する者も存在しなかったようだ。
一時予算の金庫は開いても、その奥にある王家の宝物庫は魔導具により封じられている。
そして所詮は、烏合の衆。
三ヶ月くらい、好き勝手に簒奪をして、この世の春を謳歌する。
「財源が無い? 地方から取れば良いのよ」
「特別徴税には、理由が必要でございます」
まだ残っていた、真面目な施政官。
当然、即日解雇である。
「なんだ、どうなっているのだ王国は……」
酒場でグダっていると、見知らぬ女性が近寄ってくる。
「あなた家族は?」
「いるが?」
そう答えると、彼女は、彼の耳元に色っぽい唇をよせる。
「大声で、体制に対して文句を言うと、逮捕をされるわ。こっちへ来て、良いことを教えてあげる」
半信半疑だが、奥の個室へ一緒に入る。
その娘が言うには、王は今、すべてを一度に終わらせるために調査中とのこと。
善良な者達は、密かに集まり、その時を待っている。
「大事な人がいるなら、一緒に王の下へ参りましょう」
彼女にそう言われて驚く。
「王妃が悪。それは分かっているけれど、想像以上に腐っているらしくて、苦渋の決断らしいわ」
その啓発運動は広がり、どんちゃんと浮かれていた間に、王都からまともな人達は姿を消していた。
残っているのは、悪徳商人達と、自身の常識に拘り、世界が見えなかった者達。
決断ができなかった優柔不断者。
兵達も、最もらしい理由を考えては抜け、考えられなかった者は、二日酔いだと報告に来て、長期無断欠勤へと突入をした。
いきなり、上位の席に抜擢をされ喜んでいる愚か者達は、そんな王都の異常にも気が付かない。すでに支払われる給料さえ無いというのに。
そう、大体世界が見えていない者達が、馬鹿な行動を起こすもの。
家の中で、親から言われたことを盲目的に信じる。
『当家は本来、王となる家系。それを簒奪され、現王家が立ったのじゃ』
その中身は、無能であり、閉職に追われただけ。
温情により取り潰しを免れた過去が、今になって徒となって帰ってきた典型である。
駄目なモノは、やはりきっちりと潰すのが良いようだ。
報告を聞きながら、王はそう決心をする。
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そう近親者は、必ず魔導パターンが重なる所があるのだよ……
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