はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第二章 冒険者時代

第29話 激震が走る

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「何それはまことか?」
「はい、彼らのうち半数が、向かったようでございます」
「止められなかったのか?」
「はい。新型の武器と…… リアルバイオハザードがどうとか…… そう言って嬉しそうだったと」
 王に連絡が来たとき、すでに彼らは出発をしていた。

 そして、一部のゲーム好きな連中が盛り上がり、作った銃を装備して、ダイモーン王国の依頼に乗ってしまった。

 だが実際に行くと、リアルはゲームと違うと落ち込むのだが、それはもう少し後の話し。

 田中や長谷川はこちらに来て、生活をするのに大変だったときはそうでもなかった。
 だが、生活が安定をすると人は娯楽を求める。
 彼らは、日課だったゲームが出来ずに、うずうずしていた。
 そこで聞こえたゾンビという単語。
 そこに飛びついた。

「俺達が行くぞ」
 それに賛同する数人。
 流石に人数が少ないため、神野達もついて行くことになった。
 女子は不参加だし、福山達もマリー達に言われて不参加となった。

 特に田中は作った銃や手榴弾、ランチャーを実地で試したいと言うのもあってノリノリである。
 サンドウ皇国の検問を抜けるときに面倒だからと、荷車の底を二重にしたものを作製。

 どうせ見つかっても、何をするものか判らないはずなのだが、男のロマンと言って拘る。

 どうせ弓とか剣は見えるように装備しているのだし、何の意味がと首をひねった。

 そして、向こうに行くと補充が出来ないと言って、どんどん積み込むものだから、荷車の底はどんどん分厚くなり、もはや二重底では無くなってしまう。
 
「まあいいか」
 結構男のロマンは軽い物の様だ。

 田中作製荷車改。
 四輪独立懸架よんりんどくりつけんか方式、のサスペンション装備。
 牽引用自転車装備。
 ハーネス接続部も有り、馬も繋ぐことが出来る。

 最近作り始めた魔導具により、アシスト機能がある。
 そう蒸気機関が行き詰まり、魔導具で回転機能を開発。

 蒸気機関は、水と燃料が面倒なのだよ。
 そしてこの世界特有の魔導具を改良し始めた。
 そしたらまあ、意外と簡単に回転ができるし、回転ができれば各種リンク機構で縦横動作が出来る。
 この辺りは、車が好きな連中、お手の物だ。

 学校の勉強は嫌いなのに……

 ガソリンさえ見つかれば、すぐに車を造りそうな勢い、というか、すでに魔導具のバイクは造っている途中だ。
 すべての、合い言葉は男のロマン。

 エンジンがないのに、マフラー付きとか……

 意味のないほど高く上がった、カウルとか。
 まるで昭和。

 まあそんな荷車を引きながら、ダイモーン王国調査隊第三班達との珍道中が始まった。
 インセプトラ―王国から、サンドウ皇国へは普通に入れた。
 通貨も簡単に両替ができた。

 ヘイド=ハンター準男爵達は来たときとの、待遇の違いに絶句する。
 無論彼らが冒険者であり、ある程度の特権を持っているのも大きい。
 兵達よりも身近で、頼りになるのが冒険者なのだ、一部困り者もいるがまあ待遇はいい。

 そのおかげもあり、宿にも普通に泊まれて快適である。

 そのすぐ近くで、サンドウ皇国方面第二班隊長スベーテノ=ヤクーサイ男爵達は死にかかっていたのだが、彼らが気が付くことなどはなかった。

「君達、旅の途中だというのは判っているが、手伝ってくれ」
 ギルド、ギルドで、来たときに挨拶を入れる。
 これは、冒険者の決まり。
 
 チュカーンの町で、いきなり引き留められる。
 神野達のカードは今、銀になっている。

「町から十キロ程度離れた山中に、オークの集落が発見された。地元の冒険者だけでは手が足りないんだ」
 とまあ、そう言われれば、手伝わないわけにはいかない。

 近くにあった盗賊達の集落を襲い、そこがオークの集落となったようだ。

 好き勝手していた盗賊達、自分たちが好き勝手されて、食われることになっていた。
 最悪なのは、捕まっていた人達。

 盗賊達に好き勝手に陵辱され、なんとか生き残るために我慢をしていた。
 そこに、救いかと思えばモンスターである。
 その絶望は大きかった。

 だが、今度こそ救いがやって来て、冒険者達が切り込んできた。
 それなのに、彼らは負けてしまい、捕まっている仲間が増えてしまう。

 そんな冒険者の負けを、報告を受けたギルドはあせる。
 領主にかけ合い、嫌みを言われながら兵を出して貰う。
 今ここである。

 兵達の基本は対人。
 オークでも剣技は通じるが、圧倒的にパワーが弱い。

 多少槍で突いても平気で動き回る。
 それに、山中ではまともな陣形などは取れない。

「押されています、隊長いかがなさいますか?」
「相手は、知能の低いモンスターだ。囮をたて、囲んでしまえ」
「はっ」
 伝令は走っていくが、囲んでも倒せないのにとぼやく。

 矢も余り効かず、槍も、そうなれば剣もである。
 下手に傷を負わせばさらに凶暴になる。

「どうすりゃいいんだ、隊長も来りゃ良いんだよ」

 そこに、ギルドの応援がやって来る。
 多少来たって……

 だが、そこに来た奇妙な格好をした冒険者はひと味違った。
「結構でかいな」
 そう言ったと思うと、剣を一閃。

 今までどうしようもなかったオークの腕が、首が簡単に切り飛ばされる。
「なんだ、ちみら」
 思わず、兵は噛んでしまう。
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