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第三章 大陸統一
第45話 逃げ込んできた厄災
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「こちらです。お早く。暗いので、足元にご注意を」
「やかましい。急かすな、もう少しゆっくり」
「駄目です、奴ら止まりません、すぐに来ます」
彼らは王族用の避難路を抜けて、一旦川沿いを上り、森の中を走っていた。
皇城から伸びて川に流れ込む排水口。その一つが脱出路になっていた。
河原に降りて、川を渡り足跡と匂いを消す。
そのまま少し上流から山の中へ。
途中に小屋があり、村人の衣装が隠されている。
妃や姫、王子達。
一族が、あっさりと城を捨てた。
「こんな服、何か匂いますわ」
「死にたければ勝手にしろ、ドレスは目立つ、捨て置くぞ」
王の口調が荒くなる。
「判っていますわ、ただ匂うと言っただけです」
良家の娘だった妃、非常時になれていない。
ギャアギャア言いながらも逃げのび、スキー侯爵家へと到着をする。先代のキンガー=スキーへと話が伝わる。
「何、息子が死んだと……」
キンガー=スキーはその報告に驚く。
「装備は一流だったはず、矢も剣も通らないはずだが?」
「それが奇妙な武器を使っていまして、目撃者によると、その…… あっというまに粉砕をされたとのことでございます」
「粉砕だと?」
「はい。味方の兵達も跡形もなく」
「うぬぬ。許せん。じゃが、我が領だけでは…… そうだ、簒奪者から国を取り返してほしいと念書を書け」
相手は皇王だが、人の価値とは、人が決めるもの。
自分が宣言をしても、周りが認めなければ意味が無い。
すでに、スキー侯爵の中では、皇王は国を追われた単なる弱者となっていた。
報奨金の支払いを約束した一筆。
それを元に周辺貴族に依頼を掛ける。
当然そんな事、インセプトラ―王国の許可が必要となる。
だが王都に陳情の書状が来たとき、彼らはもう動いていた。
「インセプトラ―王国側の国境で、侵攻です。貴族軍数千が入ってきました」
数週間後には、龍一達の元に連絡が来る。
「応戦せよ」
その一言で、適当な装備を持って皆が走っていく。
侵攻への対応は時間が勝負。
馬が走り、荷車が走り、人が走る。
その荷車は、疲れ知らずで走り続けて、早馬を追い抜いていく。
そう相手が、数千なら、二十人も居れば良い。
国力の差、そして武器の差。
その違いは、天と地ほども離れていた。
その軍は、街道を長蛇の列となりやって来ていた。
途中の村や町を襲い、戦利品を鹵獲していく。
他国の軍など、盗賊とイコールなこの世界。
通り過ぎた地では、奪いおかされ捨て置かれる。
「居たぞあれだな」
「ちょっと聞いてみる」
そう言うと、メガホンで問いかける。
「貴様ら、インセプトラ―王国の軍では無いか、我が国の領土でナニをしておる」
それを聞いて相手は、なんかわちゃわちゃした後、偉そうな馬に乗った奴が出てきた。
「やかましい、国盗人め、皇王の依頼により解放に来たのだ、おとなしく駆除されろ」
そう言い放ち、笑顔。
「駆除ってゴキブリかよ俺ら。良いからやろうぜ、国境は踏み越えて来てるんだ」
「まあそうだな、全員準備」
なんだか皆、戦いに慣れてきちまった。
淡々と、そして迅速に準備をして、一気にぶっ放す。
木があろうが、岩があろうが関係ない。
ただ淡々と、動くものが居なくなるまで撃っていく。
彼らは、幾度も盗賊達の非道さを見てきた。
人は環境により、幾らでも残忍になる。
殺さなければ、簡単に殺される。
平和な日本でも時折起こる。
気に食わないから、むしゃくしゃするから、誰かを巻き添えに等々。
そう倫理という、人の前に引かれた見えない線は、ひどく脆く簡単に越えられる。
ああ、どこかの国でも、気に食わないと車で無関係な人を跳ね回った事件もあった。
そんな程度らしい。
そして、音が止まる。
周囲一帯を、浄化の光が包む。
周囲を、手製の双眼鏡で確認をすると、彼らはまた走り始める。
馬も御者もいない荷車が、街道を疾走する姿は、死を運ぶ荷車と呼ばれることになる。
誰かが言った。
「噂が出ているし、黒く塗るか?」
「ばか、塗るなら赤だろう。赤に塗るとなぜか性能が上がるんだぞ」
「なんで?」
「さあ?」
彼らは、町や村を開放していく。
ただ、いい加減少ない住人は、大きく数が減らされていた。
そこで少し、予防線を張り、後続がくるのを待つ。
そこで決められたのは、徴兵された農民はごっそり頂こう作戦。
「なんか言いにくい、こっちの水は甘いぞ作戦で良いんじゃね」
「じじいかお前は、ここはだな、撒き餌作戦とか?」
「敵のものは俺の物とか?」
「ジャ○アンかお前は」
意外と白熱をしたが、『徴兵された農民は、ごっそり頂こう』作戦に決まった。
彼らの暗躍が始める。
その頃、インセプトラ―王国の王城では、王様激おこ、参加した家は取り潰し、責任を取らせろ作戦を発動していた。
だがそれに、いくつかの家が苦情を言ってくる。
陳情の束。
『そんな事では、王国が舐められます』
『先王の時ならば、国を挙げて敵を滅ぼしに走ったでしょう』
『サンドウ皇国は、同盟国ですぞ、それが危機の時にお見捨てになっては、相手はダイモーン王国では有りませぬか、向こうは先の流行病で国に自体が傾いておる様子、それを手をこまねいて傍観なさるのは、あまりにも……』
言葉を濁したが、ふぬけとでも言いたいのだろう。
王キクーノス=オーガミは、決断をする。
陳情を持って来た者達に、出兵を命令する。
「よもや嫌とは、言うまいな。話し合いで済めばそれに越したことはない。我が国が当事者にはならず、話し合いの場を設ける形にするのだ。良いな」
そう言って、送りだしたが、この世界。
話し合うには、まず力を見せ合うのが道理。
俗に言う、まず一当たりという奴だが、それは兵力にあまり差が無いときの話し。
差があれば……
「まあこれで国内が、静かになる。宰相、貴族の割り振りについて候補を出しておいてくれ」
「御意……」
「やかましい。急かすな、もう少しゆっくり」
「駄目です、奴ら止まりません、すぐに来ます」
彼らは王族用の避難路を抜けて、一旦川沿いを上り、森の中を走っていた。
皇城から伸びて川に流れ込む排水口。その一つが脱出路になっていた。
河原に降りて、川を渡り足跡と匂いを消す。
そのまま少し上流から山の中へ。
途中に小屋があり、村人の衣装が隠されている。
妃や姫、王子達。
一族が、あっさりと城を捨てた。
「こんな服、何か匂いますわ」
「死にたければ勝手にしろ、ドレスは目立つ、捨て置くぞ」
王の口調が荒くなる。
「判っていますわ、ただ匂うと言っただけです」
良家の娘だった妃、非常時になれていない。
ギャアギャア言いながらも逃げのび、スキー侯爵家へと到着をする。先代のキンガー=スキーへと話が伝わる。
「何、息子が死んだと……」
キンガー=スキーはその報告に驚く。
「装備は一流だったはず、矢も剣も通らないはずだが?」
「それが奇妙な武器を使っていまして、目撃者によると、その…… あっというまに粉砕をされたとのことでございます」
「粉砕だと?」
「はい。味方の兵達も跡形もなく」
「うぬぬ。許せん。じゃが、我が領だけでは…… そうだ、簒奪者から国を取り返してほしいと念書を書け」
相手は皇王だが、人の価値とは、人が決めるもの。
自分が宣言をしても、周りが認めなければ意味が無い。
すでに、スキー侯爵の中では、皇王は国を追われた単なる弱者となっていた。
報奨金の支払いを約束した一筆。
それを元に周辺貴族に依頼を掛ける。
当然そんな事、インセプトラ―王国の許可が必要となる。
だが王都に陳情の書状が来たとき、彼らはもう動いていた。
「インセプトラ―王国側の国境で、侵攻です。貴族軍数千が入ってきました」
数週間後には、龍一達の元に連絡が来る。
「応戦せよ」
その一言で、適当な装備を持って皆が走っていく。
侵攻への対応は時間が勝負。
馬が走り、荷車が走り、人が走る。
その荷車は、疲れ知らずで走り続けて、早馬を追い抜いていく。
そう相手が、数千なら、二十人も居れば良い。
国力の差、そして武器の差。
その違いは、天と地ほども離れていた。
その軍は、街道を長蛇の列となりやって来ていた。
途中の村や町を襲い、戦利品を鹵獲していく。
他国の軍など、盗賊とイコールなこの世界。
通り過ぎた地では、奪いおかされ捨て置かれる。
「居たぞあれだな」
「ちょっと聞いてみる」
そう言うと、メガホンで問いかける。
「貴様ら、インセプトラ―王国の軍では無いか、我が国の領土でナニをしておる」
それを聞いて相手は、なんかわちゃわちゃした後、偉そうな馬に乗った奴が出てきた。
「やかましい、国盗人め、皇王の依頼により解放に来たのだ、おとなしく駆除されろ」
そう言い放ち、笑顔。
「駆除ってゴキブリかよ俺ら。良いからやろうぜ、国境は踏み越えて来てるんだ」
「まあそうだな、全員準備」
なんだか皆、戦いに慣れてきちまった。
淡々と、そして迅速に準備をして、一気にぶっ放す。
木があろうが、岩があろうが関係ない。
ただ淡々と、動くものが居なくなるまで撃っていく。
彼らは、幾度も盗賊達の非道さを見てきた。
人は環境により、幾らでも残忍になる。
殺さなければ、簡単に殺される。
平和な日本でも時折起こる。
気に食わないから、むしゃくしゃするから、誰かを巻き添えに等々。
そう倫理という、人の前に引かれた見えない線は、ひどく脆く簡単に越えられる。
ああ、どこかの国でも、気に食わないと車で無関係な人を跳ね回った事件もあった。
そんな程度らしい。
そして、音が止まる。
周囲一帯を、浄化の光が包む。
周囲を、手製の双眼鏡で確認をすると、彼らはまた走り始める。
馬も御者もいない荷車が、街道を疾走する姿は、死を運ぶ荷車と呼ばれることになる。
誰かが言った。
「噂が出ているし、黒く塗るか?」
「ばか、塗るなら赤だろう。赤に塗るとなぜか性能が上がるんだぞ」
「なんで?」
「さあ?」
彼らは、町や村を開放していく。
ただ、いい加減少ない住人は、大きく数が減らされていた。
そこで少し、予防線を張り、後続がくるのを待つ。
そこで決められたのは、徴兵された農民はごっそり頂こう作戦。
「なんか言いにくい、こっちの水は甘いぞ作戦で良いんじゃね」
「じじいかお前は、ここはだな、撒き餌作戦とか?」
「敵のものは俺の物とか?」
「ジャ○アンかお前は」
意外と白熱をしたが、『徴兵された農民は、ごっそり頂こう』作戦に決まった。
彼らの暗躍が始める。
その頃、インセプトラ―王国の王城では、王様激おこ、参加した家は取り潰し、責任を取らせろ作戦を発動していた。
だがそれに、いくつかの家が苦情を言ってくる。
陳情の束。
『そんな事では、王国が舐められます』
『先王の時ならば、国を挙げて敵を滅ぼしに走ったでしょう』
『サンドウ皇国は、同盟国ですぞ、それが危機の時にお見捨てになっては、相手はダイモーン王国では有りませぬか、向こうは先の流行病で国に自体が傾いておる様子、それを手をこまねいて傍観なさるのは、あまりにも……』
言葉を濁したが、ふぬけとでも言いたいのだろう。
王キクーノス=オーガミは、決断をする。
陳情を持って来た者達に、出兵を命令する。
「よもや嫌とは、言うまいな。話し合いで済めばそれに越したことはない。我が国が当事者にはならず、話し合いの場を設ける形にするのだ。良いな」
そう言って、送りだしたが、この世界。
話し合うには、まず力を見せ合うのが道理。
俗に言う、まず一当たりという奴だが、それは兵力にあまり差が無いときの話し。
差があれば……
「まあこれで国内が、静かになる。宰相、貴族の割り振りについて候補を出しておいてくれ」
「御意……」
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