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第三章 大陸統一
第56話 厄災
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それは突然始まった。
大地が揺れ、地響きが聞こえる。
その物達は、遠方より黒き波となって、村々や畑を飲み込んでいく。
「報告です。大陸の四起点からモンスターの氾濫が発生。すでに防衛体制は整っているようです」
「よし、各地の司令官が判断を下し、殲滅せよ」
「承知しました。各地の判断で殲滅」
そんなやり取りを見ていて、コピーヌは首をひねる。
「あれは、何を行っているのですか?」
「うん? 今のでモンスター撃退の命令を出したのよ」
龍一達の仕事を見ていて、暇になった様だ。
コピーヌの髪を編み込みながら、ぼーっと人が走り回るのを見ている。
澪が嬉しそうに答える。
「えっ命令?」
天敵である、ナーガは今壊した城を修復している。
人一倍力があるため、使い勝手がよいらしい。
龍一から、これも見聞だろうと言われて、渋々手伝う事になった様だ。
「そう、ここインセプトラ―王国は当然だし、隣のサンドウ皇国やダイモーン王国、すべてにね」
ぴゅんと飛ぶような仕草。
「ですが命令が届く頃には、もう終わっていますよね。それどころか、今来たのも随分前の話では?」
そうこの世界の常識。だが……
「あんたバカね。さっき魔導具を持っていたでしょ。あれで我が連合国内なら、一瞬で届くの」
まあ、なんと言うことでしょうと、コピーヌは目を見開き驚く。
この国へ来てから、驚くことばかりで、もう驚くことは無いだろうと思っていたが、まだまだある様だ。
「そうなのですね…… 我が国は大丈夫でしょうか?」
そう…… 思いを寄せるのは、王妃もろとも、コピーヌの縁を切ったような国。彼女はそんな、王の心を知らない。
無論同盟による救援依頼が無い限りは、救援など出さない。
他国で勝手な軍事行動など御法度だ。
そして、国同士の約束など関係無しで、モンスター達は流れ込み、すべてを飲み込んでいく。
それは、インセプトラ―王国に接しているチューカンノ王国と同じく、ダイモーン王国と接している、チーサイノ王国でも一緒だ。
両国民は押し込まれて、両国が接する国境へと人々は逃げてきていた。
「救いを求めよ、使いはどうした?」
「御恐れながら、おそらくはモンスターに飲み込まれたのではないかと……」
「くっ、誰かおらぬのか? 力あるものはぁ」
両国が苦労している頃。
「ほい、東側掃討完了」
「こっちも終わったぞ」
ハッキリ言って、楽勝だった。
魔力を流し、ボタンを押すだけ。
幾人かが、各方面を見ているため、斉射係と掃討担当が連携。
毎日のように、波状で攻撃がくるが一時間も掛からない。
連合国となった三国は平和だった。
ただ結構穀物に被害が出たが、十分まかなえる備蓄はできていた。
不安定だからこそ備蓄をしろ、その一年だけで見るから余ったり足りなかったりするんだ。せめて…… 五年くらいのスパンで考えて、古いものから使え。
そんな触れが出ていた。
そのため丈夫な倉庫が各地方ごとに建築されて、魔導具により低温保存されている。そう魔導具だと造ってしまえば、冷却用の燃料は空気中にある。
倉庫と町は、地下通路で繋がれていて、非常時にも安全に行き来出来るし、倉庫自体は、ドラゴンが踏んでも大丈夫と言われている。試してはいないが……
「ふひゃひゃ、やれやれやれぇ」
プルフラスはご満悦。
チューカンノ王国やチーサイノ王国でモンスターは暴れ回り、数の前に彼らはなすすべが無かった。
横にやって来たのは、様子を見に来たデモゴルゴンの妹ウェヌス。
「ここは問題が無いようだな……」
「どうした?」
「大陸の半分。東側は、被害無しで沈静化をされてしまった」
「なに? そんなに強いのか」
流石に、プルフラスも驚くが、フクロウの頭では驚いているのが判断出来ない。
「あの軍を、率いる者と対峙をしてくる」
そう言うと、彼女は姿を消す。
ダークエルフであり、とてつもなく美人だが、その性格は自身より弱いものに対しては残虐である。
プルフラスも過去に一度怒らせて、頭の毛をむしられたことがある。
一部の人間なら、立ち直れない絶望を受けることであろう。
○平さんなら、最後の一本を毟られるような衝撃だろう。
「おい、お前達の上司はどこにいる?」
「今なら、王城です」
脅しながら口を割らせ、地方から順に追いかけてきた。
だが簡単ではなかった。今まで無敵だった魔法障壁を幾度も抜かれ、脇腹に怪我を負ってしまった。
魔人族にもそんな強者はめったにいない。
何か魔導具のようだが、恐ろしい。
恐怖を感じながらも、やっと強者に会える喜びが、体を支配する。
そう弱いものに対して行う、容赦の無い仕打ち。
彼女はそれをして欲しかった。
それは心の奥底にある葛藤。
ダークエルフが発生、つまり聖悪反転をするときに起こる何かなのか……
ウェヌスは、結構ダークなエロ婦だった。
まだしたことはなく、三百年。
願望の中で生きてきた。
ああ、虐めながら突かれてみたい、罵られながら……
そんな思いを胸に、彼女は王城へと近寄っていく。
だがそんな前に、驚異的なプレッシャーがやって来る。
いい加減うんざりして、嫌になったナーガが、妙な気配を見つけた。
ぴょんと飛び降り、建物の壁を走り降りてくる。
「何者だお前? 魔の者だな?」
そうドラゴン達に、仲間達が幾度かちょっかいをかけた。
そのため、魔の者達は、ドラゴン達に敵認定をされている。
「白昼堂々、死ぬがよい」
「なっ早い」
パンチを何とかかわすが、風圧だけで避けた腕が切れてしまった。
「うん? 逃げるな。死ね」
言葉は嬉しいが、違うそうじゃない。
ノリノリで、魔力を乗せたパンチ。
魔法でシールドを張るが、この力、耐えられない。
だが来なかった……
「何をやっている? 修理はどうした?」
突っかかってきた女の頭を、見知らぬ男が掴んでいる。
ジタバタして動けなくなっている女。
まさかこのような者を、従える強者?
「あの、あなたは?」
「ああ一応このバカの主人だ」
こいつの主、だと……
それを聞いた瞬間、汗では無い物が、つつーと彼女の体を流れる。
大地が揺れ、地響きが聞こえる。
その物達は、遠方より黒き波となって、村々や畑を飲み込んでいく。
「報告です。大陸の四起点からモンスターの氾濫が発生。すでに防衛体制は整っているようです」
「よし、各地の司令官が判断を下し、殲滅せよ」
「承知しました。各地の判断で殲滅」
そんなやり取りを見ていて、コピーヌは首をひねる。
「あれは、何を行っているのですか?」
「うん? 今のでモンスター撃退の命令を出したのよ」
龍一達の仕事を見ていて、暇になった様だ。
コピーヌの髪を編み込みながら、ぼーっと人が走り回るのを見ている。
澪が嬉しそうに答える。
「えっ命令?」
天敵である、ナーガは今壊した城を修復している。
人一倍力があるため、使い勝手がよいらしい。
龍一から、これも見聞だろうと言われて、渋々手伝う事になった様だ。
「そう、ここインセプトラ―王国は当然だし、隣のサンドウ皇国やダイモーン王国、すべてにね」
ぴゅんと飛ぶような仕草。
「ですが命令が届く頃には、もう終わっていますよね。それどころか、今来たのも随分前の話では?」
そうこの世界の常識。だが……
「あんたバカね。さっき魔導具を持っていたでしょ。あれで我が連合国内なら、一瞬で届くの」
まあ、なんと言うことでしょうと、コピーヌは目を見開き驚く。
この国へ来てから、驚くことばかりで、もう驚くことは無いだろうと思っていたが、まだまだある様だ。
「そうなのですね…… 我が国は大丈夫でしょうか?」
そう…… 思いを寄せるのは、王妃もろとも、コピーヌの縁を切ったような国。彼女はそんな、王の心を知らない。
無論同盟による救援依頼が無い限りは、救援など出さない。
他国で勝手な軍事行動など御法度だ。
そして、国同士の約束など関係無しで、モンスター達は流れ込み、すべてを飲み込んでいく。
それは、インセプトラ―王国に接しているチューカンノ王国と同じく、ダイモーン王国と接している、チーサイノ王国でも一緒だ。
両国民は押し込まれて、両国が接する国境へと人々は逃げてきていた。
「救いを求めよ、使いはどうした?」
「御恐れながら、おそらくはモンスターに飲み込まれたのではないかと……」
「くっ、誰かおらぬのか? 力あるものはぁ」
両国が苦労している頃。
「ほい、東側掃討完了」
「こっちも終わったぞ」
ハッキリ言って、楽勝だった。
魔力を流し、ボタンを押すだけ。
幾人かが、各方面を見ているため、斉射係と掃討担当が連携。
毎日のように、波状で攻撃がくるが一時間も掛からない。
連合国となった三国は平和だった。
ただ結構穀物に被害が出たが、十分まかなえる備蓄はできていた。
不安定だからこそ備蓄をしろ、その一年だけで見るから余ったり足りなかったりするんだ。せめて…… 五年くらいのスパンで考えて、古いものから使え。
そんな触れが出ていた。
そのため丈夫な倉庫が各地方ごとに建築されて、魔導具により低温保存されている。そう魔導具だと造ってしまえば、冷却用の燃料は空気中にある。
倉庫と町は、地下通路で繋がれていて、非常時にも安全に行き来出来るし、倉庫自体は、ドラゴンが踏んでも大丈夫と言われている。試してはいないが……
「ふひゃひゃ、やれやれやれぇ」
プルフラスはご満悦。
チューカンノ王国やチーサイノ王国でモンスターは暴れ回り、数の前に彼らはなすすべが無かった。
横にやって来たのは、様子を見に来たデモゴルゴンの妹ウェヌス。
「ここは問題が無いようだな……」
「どうした?」
「大陸の半分。東側は、被害無しで沈静化をされてしまった」
「なに? そんなに強いのか」
流石に、プルフラスも驚くが、フクロウの頭では驚いているのが判断出来ない。
「あの軍を、率いる者と対峙をしてくる」
そう言うと、彼女は姿を消す。
ダークエルフであり、とてつもなく美人だが、その性格は自身より弱いものに対しては残虐である。
プルフラスも過去に一度怒らせて、頭の毛をむしられたことがある。
一部の人間なら、立ち直れない絶望を受けることであろう。
○平さんなら、最後の一本を毟られるような衝撃だろう。
「おい、お前達の上司はどこにいる?」
「今なら、王城です」
脅しながら口を割らせ、地方から順に追いかけてきた。
だが簡単ではなかった。今まで無敵だった魔法障壁を幾度も抜かれ、脇腹に怪我を負ってしまった。
魔人族にもそんな強者はめったにいない。
何か魔導具のようだが、恐ろしい。
恐怖を感じながらも、やっと強者に会える喜びが、体を支配する。
そう弱いものに対して行う、容赦の無い仕打ち。
彼女はそれをして欲しかった。
それは心の奥底にある葛藤。
ダークエルフが発生、つまり聖悪反転をするときに起こる何かなのか……
ウェヌスは、結構ダークなエロ婦だった。
まだしたことはなく、三百年。
願望の中で生きてきた。
ああ、虐めながら突かれてみたい、罵られながら……
そんな思いを胸に、彼女は王城へと近寄っていく。
だがそんな前に、驚異的なプレッシャーがやって来る。
いい加減うんざりして、嫌になったナーガが、妙な気配を見つけた。
ぴょんと飛び降り、建物の壁を走り降りてくる。
「何者だお前? 魔の者だな?」
そうドラゴン達に、仲間達が幾度かちょっかいをかけた。
そのため、魔の者達は、ドラゴン達に敵認定をされている。
「白昼堂々、死ぬがよい」
「なっ早い」
パンチを何とかかわすが、風圧だけで避けた腕が切れてしまった。
「うん? 逃げるな。死ね」
言葉は嬉しいが、違うそうじゃない。
ノリノリで、魔力を乗せたパンチ。
魔法でシールドを張るが、この力、耐えられない。
だが来なかった……
「何をやっている? 修理はどうした?」
突っかかってきた女の頭を、見知らぬ男が掴んでいる。
ジタバタして動けなくなっている女。
まさかこのような者を、従える強者?
「あの、あなたは?」
「ああ一応このバカの主人だ」
こいつの主、だと……
それを聞いた瞬間、汗では無い物が、つつーと彼女の体を流れる。
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