はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第三章 大陸統一

第57話 危険な魔人族

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「ふはぁっ、見つけたぞ、強きものよ。お相手願おう」
 ビシイと龍一を指さす。

「うん? なんで?」
 当然訳が分からない。

「りゅーいち、こいつは魔の者だ、殺してしまえ。悪さをするぞ」
 まだ手は離れていない。
 ナーガは、指で指し示しながらジタバタ。

「何かするのか?」
 ウェヌスをじっと見つめる瞳、それと共に強大なプレッシャーは、となりにいるナーガを越えていく。

 足がガクガクと震え、力が抜ける。
 動けば、その瞬間に殺される。
 そんな姿が幻視される。

 捕まっているナーガも、その波動を受けて、ガクガクし始める。
 りゅーいちってこんなに……
 やはり強い、子をなさねば。

 まだ出来ないことを、聞いていなかったようだ。

 薄れていく意識、そんな中で、ウェヌスは渾身の力を込めて魔法を練り込む。王都上空に湧いてくる暗雲。
 それは、龍一達の頭上で、渦を巻き始める。

「うん? なんだ」
 それを見つめながら、魔力の流れに干渉をする。
 そこから落ちてくる雷。

 彼らの周りに落ちてくるが、どうやっても直撃をしない。
「なぜだ……」
 彼女がそう言うと、龍一が簡単に答える。

「危ないだろ」
 パンと平手を打つ。
 そうその柏手で、周囲に渦巻く強大な魔力が霧散をする。

「なっまさか、?」
 自分で言ったその言葉に、ウェヌスは反応をしてしまう。
 奪われる…… ああ、なんと言う甘美な響き。
 彼女のある部分から雫が流れ出し、ポテポテと地面を濡らし始める。

 別な意味で、膝から力が抜けて座り込む。
「おい大丈夫か?」
 心配する龍一だが、彼を見上げる目は潤み、とってもやばいくらいドキッとする。

 なんだこの、えっちな感じ。
 激怒する澪の顔が浮かぶが、男の本能の方が勝ってしまう。
 一度くらいなら…… 先っちょだけでも、お相手をしたい。

「だいじょうぶか?」
「だめっ……。立ち上がれないのぉ」
 そう言った口びるに、なぜか目が引きつけられる。
 天性の妖艶さ。

「しっ、仕方が無い、城に行こうか。ナーガは修理に戻れ」
 龍一も男の子。
 これは男にしか判らない。

「だめ。りゅーいち、その女は危険なの」
 ナーガは必死に忠告をする。
 だが睨まれて、口を噤む。

「取られた……」
 悲しそうな背中で、ナーガはお城の垂直の壁をとぼとぼと普通に歩いて上がっていく。足の裏に出た強力な爪は、そんな芸当も出来る。

 城の中、仮の寝室には皆が揃っている。
 ナーガが居ないからね。

 そして、また龍一が女を拾ってきた。
 色が、少し黒いが、健康的と言えば言える。
 魔力を阻害しないためか、薄着のドレス。
 下履きは穿いている様だが、揺れ方からすると上は付けていない。

 そしてその超絶美人な顔と、長い耳。
 それが…… 女から見ても生唾を飲み込むほど妖艶。

「龍一その人は?」
「ああ、気分が悪いようでな。ナーガが言うには魔の者と言う事だが、まあ休まそうと思うんだ」
 そう言ってベッドに寝かせる。

「その娘……」
 彼女から匂ってくる強烈な女の匂い。
 女には判る、どうして龍一にはこれが匂わないの?

 どうしてでしょうね?
 浮気などをすると一発で判るそうです。
 男性諸君気を付けましょう。

 まあそれはさておき、彼女を寝かせようとするが、首に掛けられた腕が離れない。
 そのまま、ベッドに向けて引っ張られる。

「んぐっ」
 流れるようなキス。
 そして手は、的確に龍一の感じる部分を流れていく。

 相手は、三百年の歴史を持つエロ婦。
 情報量はとんでもない。
 自分はしていなくとも、じっくり観察を行ったのは数え切れない。
 魔人族はその点が奔放だったりする。

 その、妖艶さにやられて、澪ですら止めるのを忘れて見入ってしまう。
 その中で、原稿用紙五十枚くらいの執筆を行うくらいの技を見た。
 心のメモリーはオーバーフローを起こし、鼻血をたらして、目は釘付けとなり、ただみていた。

 ふと意識が戻ったときには、龍一は美味しく食われて…… そう、一時間に十回以上は食われただろう。
 だがそれでも、まだ元気だった。

 そう、ウェヌスはそっちでも、最後には負けてしまった。

 彼女が倒れた後、澪達が我を忘れて飛びかかり、ぐっちゃぐちゃのビッショビショになったベッド。
 侍女達が驚いたとか。

「ここに居るのは妻達だ。お前が強いというのなら、皆を守れ」
 命令をされた。
「はい」
 その返事の後ろには、ハートマークが大量に飛んでいた。

 妻達は、彼女に教えを請い、仲良くなった様だ。
 そしてその教室は、侍女達にも広がり乙女の秘密講義として定着をする。
 そして塾生は、乙女の園という秘密組織を結成する。
 それにより、王国貴族の管理を澪達が握ることになる。



 デモゴルゴンは、妹が行方不明と聞き探しに来た。
 当然だが、ウェヌスは兄の魔力を感じて起き上がる。

「どうした?」
「申し訳ありませんご主人様。兄がきた様ですのでお話をしてまいります」
「そうか、一緒に行こうか?」
「いいえ。大丈夫でございます。鬱陶しそうなら兄とて命を摘みますので」
「おう、判った」
 彼女はどうも極端なところがある。
 些細なことで、叱られたがるし、尻を叩かれるとそれはもう喜ぶ。

「何用だ兄じゃ?」
「無事だったのか?」
「ああ。問題ない。それと人の世界にこれ以上手を出すでない。私は兄者を殺したくない」
 そう言った二人の間を、風が吹き抜ける。
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